佐藤 賢一 著 「ジャガーになった男」を読みました。
徳川家康が関ヶ原の戦いで勝利をおさめて江戸幕府が開らかれた。
天下の覇者にならんとした東北の雄・伊達政宗の野望は潰えたかに見えたが、政宗の眼は海外へ向けられていた。
イスパニア海軍を援軍に引き込めば、家康から覇権を奪う事も夢ではない・・・。
こうして、支倉常長を筆頭に遣欧使節団が編成される。
その頃、戦国の武者魂を持て余していた伊達藩士・斉藤小兵太寅吉は恋人を捨て、冒険を求めて、遣欧使節団に加わる事にする。
しかし、着いたイスパニアは往年の海軍力を失い、支倉常長の交渉は長引いたまま埒があかない状況となる。
滞在が長引く中、寅吉は一人のイタルゴ(戦士)と意気投合し、共に戦場に赴くために、帰国する使節団と訣別する決心をする・・・。
共に、戦乱の世に生を受けたかったと望む奥州侍、斉藤寅吉とイスパニアのイダルゴ、ベニト・レドンデスの数奇な出会いから始まる物語。
戦を愛し、異国にいても大和武士の心意気を忘れない熱い男
恋に悩み、優柔不断だけど、純粋で、とんでもなく不器用な男
そんな寅吉の痛快ながらもホロリとさせられる波乱万丈な人生。
決して褒められた生き方ではないが、心は確かに揺さ振られた。