日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく口にし、仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦パイロットがいた。
人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始める。
祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかった。
元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵の姿は健太郎たちの予想もしないものだった・・・。
天才的な操縦技術を持ちながら、「妻と娘のために生きて帰る」という信念のために、“臆病者”の謗りを受けても“生”に固執した零戦パイロット宮部久蔵。
彼は何故、終戦まで数日と迫る中、特攻隊の一員として南洋の空に命を散らせなくてはならなかったのか?
神風特別攻撃隊をモチ-フにしたフィクションとして書かれてますが坂井三郎さんや岩本少尉など、日本海軍撃墜王 と呼ばれた実在の方々も出てきます。
家族から離れて、一人家族を守るために生き抜く。
ともすれば特攻が美化されることもある中、
本当に特攻隊員が考えていたことは何か、
そして日本軍の失敗はなぜ起きたのか。
特攻で亡くなった一人の人物を調べることを軸に、
特攻隊員の悲劇など戦争の恐ろしさを語りかけてくる。
家族を思う男の生き様は、浅田次郎の名作「壬生義士伝」を髣髴とさせます。
永遠の0 (ゼロ)」を読みました。