新野 剛志 著 「FLY」を読みました。
1985年・福岡県北九州。
高校生の向井広幸は、夏休みに訪れた高塔山で旅行者・戸浦と出会った。
やがて戸浦が指名手配中の殺人犯だと知った向井は警察に通報するが、それを察知した戸浦は行方を晦ませる。
4ヶ月後、東京へ引っ越し新たな生活を始めていた向井は、福岡から会いに来る恋人・一野瀬佳奈と渋谷で待ち合わせをしていた。
しかしそこへ戸浦が現われ、目の前で佳奈を刺し殺してしまう。
再び行方を晦ませた戸浦に、向井は復讐を誓い追跡する。
戸浦を追う広幸が執念の追跡の果てに見つけたものは…。
物語は、高校生のカップルの爽やかな恋愛タッチで始まる。
これは青春物の軽いミステリーなのかな?
と思って読み始めると、これが大ハズレ!
第2章からは、急展開で男の執念がただよう、陰のある話に変わります。
最初の殺人事件から15年の時を超えて連綿と続けられる、
行方の知れない相手に対する復讐の思いと交錯した愛憎劇。
複雑に入り組んだ、過去と現在に封じ込められた殺人
蜘蛛の糸のようにかすかな絆の人間模様
誰と誰が結託しているのか
本当に悪い奴は一体誰なのか。
欲望とエゴをあぶり出しのように描いた内容で
切なくなりながらも魅せられて一気に読了。