池井戸 潤 著 「下町ロケット」を読みました。
かつて研究者としてロケット開発に携わっていた佃航平は、打ち上げ失敗の責任を取って研究者の道を辞し、いまは親の跡を継いで従業員200人の小さな会社、佃製作所を経営していた。
下請けいじめ、資金繰り難――。
ご多分に洩れず中小企業の悲哀を味わいつつも、日々奮闘している佃のもとに、ある日一通の訴状が届く。
相手は、容赦無い法廷戦略を駆使し、ライバル企業を叩き潰すことで知られるナカシマ工業だ。
否応なく法廷闘争に巻き込まれる佃製作所は、社会的信用を失い、会社存亡に危機に立たされる。
そんな中、佃製作所が取得した特許技術が、日本を代表する大企業、帝国重工に大きな衝撃を与えていた――。
会社は小さくても技術は負けない――。
モノ作りに情熱を燃やし続ける男たちの矜恃と卑劣な企業戦略の息詰まるガチンコ勝負。
夢と現実。社員と家族。
かつてロケットエンジンに夢を馳せた佃の、そして男たちの意地とプライドを賭した戦いが始まる・・・。
日本の”モノ作り”は多数の名もない中小企業が基盤となっている。
本作品ではそんな中小企業の厳しい現実が描かれてゆきます。
少しでも経営が悪化すると手のひらを返したように態度を変える銀行
ライバル会社からの特許侵害と云う訴訟
折角取得した特許を自社のものにしようと画策する大企業
そんな状況の中でいつしか社員同士にも亀裂が・・・
しかし、”モノ作り”と云う原点を見失う事なく、熱意と夢と希望が持ち続けてそんな逆境に立ち向かってゆく過程が素晴らしい!!
”「働く」ということはこう云う事なんだよな~。”と、あらためて思い出させてくれた一冊でした。
第145回 直木賞受賞作