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さだ まさし /アントキノイノチ

2011年10月23日 | 小説

さだまさし著 アントキノイノチを読みました。


永島杏平は、高校3年生の頃に親友の山木が学校内の人気者である松井からネットいじめの被害に遭い、山木が学校内で松井を殺しかけ、その直後に自殺してしまった。

杏平はそのトラウマから高校中退後もうつ病に悩まされていたが、遺品整理の仕事を紹介され、見習いとして働いていくうちに「命」と向き合う現場を体験していく。

杏平はその中でゆきという同い年の女性と知り合っていくが、ゆきもまた、人には言えない凄惨な過去を持っていた・・・。


 さだまさし作品を読むのは「解夏」、「眉山」に続き3作目です。

本作も前2作と同じく映画化されて今年11月19日に公開予定です。

作品の内容についてはまったく知らなかったHさん

タイトルの「アントキノイノチ」を見て、まず思い浮かべたのは「アントニオイノキ」です。

この小説は「アントニオ猪木」をモチーフにしたパロディーなのかなと思っちゃっていました・・・。(冗談ですが)

ところが、読んでみると、これが「生命の重さ、大切さ」をテーマにした重厚な力作でした。

「アントキノイノチ」とは、「あの時の生命」の事なのです。

高校時代、ある男を「殺したい」と思ったことをきっかけに、心のバランスを崩してしまった杏平が父のすすめで、「遺品整理業」の見習いとして働き始める。

佐相さんという先輩に付いて杏平は仕事をしますが、 佐相さんはいつも「仏さんを助けに行く」と行って現場に向かう。

誰にも看取られることなく亡くなった方々が、そのまま残したモノ達を片付ける。

時には死後数週間たった壮絶な現場もあるが 佐相さんたちは顔をそむけることはない。

自分の仕事に誇りを持ち、 亡くなった方やご家族の気持ちをなにより大切にする。

そこでの仕事は、杏平に「生きるとは何か。死ぬとは何か」を考えさせるきっかけとなる。

もう一つ、並行して明らかになっていく杏平の高校時代の話。

杏平が「殺したい」とまで思う男とはどんな男なのか、そしてなにがあったのか・・・。

職場で行きつけの居酒屋さんでアルバイトとして働くゆきと云う明るい娘。

しかし、ゆきにも人には言えぬ過去があった・・・。

心に闇をかかえた二人が、他人の死に向き合い、生きるということの難しさ、さみしさ、はかなさを目の当たりにして得たものとは・・・・。

そして、ラストで、再び、このタイトルが・・・!?

うまいな~、さだまさし!!

コメント
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