Kuniのウィンディ・シティへの手紙

シカゴ駐在生活を振り返りながら、帰国子女動向、日本の教育、アート、音楽、芸能、社会問題、日常生活等の情報を発信。

ロイヤルズ、ヒルマン監督の敬虔なキリスト教伝道師としての姿をシカゴで見る

2008-08-14 | メジャーリーグ
昨日は、朝からデスプレインのルーメニアン・バプティスト教会に息子2人を連れて出かけた。8月旅行から帰ってきて、少しでものんびりと1日を過ごし、休みなので朝がとても弱い私達3人。でも、学校に行くときと同じように子供たちをたたき起こし、行ったことのない知らない場所へ車を走らせた。

2006年、日本で、日本ハムファイターズの監督として、なんと44年ぶりにチームを日本一に導き、2007年もリーグ優勝させた立役者、トレイ・ヒルマン監督が、この教会に講演しにくるというのだ。ヒルマン監督は、今年から自分の国アメリカにもどり、カンザスシティ・ロイヤルズの監督をやっている。日本に来る前は、アメリカのマイナーリーグの監督を11年もやっていたというから、たたき上げで、出世していき、メジャーリーグの監督という輝かしい地位を獲得したといえる。

テキサス出身で、テキサス大学卒業後、メジャー選手になることを夢見ながら、クリーブランド・インディアンズのマイナーで3年間プレーしたが、夢かなわず、インディアンズのプロ野球史上最も若いスカウトマンを2年し、27歳からヤンキースのマイナーリーグの監督になった。持ち前のリーダーシップを発揮して、チームを優勝に導くが、支配者になることに疑問を感じ、「軌道修正をする必要性を強く感じた。」(ヒルマン監督の著書「ターニングポイント トレイ・ヒルマンが強い理由」新生宣教団発行より)「祈りの中で、野心や自己実現の追及より、神様が私の周囲に置いてくださった人たちに、神様が喜んでくださるような態度で接していくことが大事なのかと思い始めたのだ。」と同書の中で語る。



ヒルマン監督の人柄を知らず、チームを優勝させた監督という事実だけだと、なんだか「凄腕の切れ者」というイメージがわく。しかし、ホワイトソックス対ロイヤルズ戦の試合前に大きく映し出されたヒルマン監督は、控えめで、誠実そうな雰囲気がただよっていた。メジャーリーグの監督は1年目で、新人というわけだからか、敬虔なクリスチャンとして自然にそういう態度が備わってしまうものなのか。ウーン、この目で確かめてみたい!その有名人、トレイ・ヒルマン監督の講演が、ここシカゴ郊外の教会であるというのだ。ウイキペディアに書かれているヒルマン監督は、やはり「熱心なクリスチャンで宣教師でもある」とあり、講演の目的は明らかであった。

無宗教の私たちにとって、教会での話を聞くという経験はほとんどない。せいぜい下の息子が小さな頃、教会内のプリスクールで行われた季節ごとのイベントでキリスト教の一端を垣間見るぐらいだ。しかし、私と息子たちは、プロ野球のベテラン監督としてのヒルマン氏の素顔を一目見ようと、信者さんたちに混じってずうずうしく聞きに行った。この講演は、ヒルマン監督の横に日本語の通訳もつき、インターナショナル・VIP・クラブ・シカゴとシカゴ日系人キリスト教会協議会が主催していて、多くのボランティアの方々の努力で行われたという。


ちょっとだけ、ケビン・コスナーを思わせる面差し、声のトーンも喋り方も少し似ているかも、日米の表舞台で活躍し、人並みはずれたリーダーシップを発揮できる独特のオーラがただよう

息子たちは、ロイヤルズのブルーのティーシャツにブルーの帽子をかぶり、にわかロイヤルズファンの目立つ格好。上の息子が小学4年生のとき、リトルリーグのチームはロイヤルズだったので、主人もティーシャツと帽子、私は帽子だけを買い、しっかり2人分のティーシャツと帽子がそろっていた。シカゴアンでロイヤルズグッズを買う人はまずいない。私がその当時ロイヤルズの帽子をかぶって、大学のクラスに行ったら、クリーブランド出身で熱狂的なインディアンズファンで、バリバリのシカゴアンのウイルソン教授が、「(弱い)ロイヤルズの帽子なんかかぶりやがって!」とやたら馬鹿にされた。その当時ロイヤルズが万年最下位で、限りなく弱いチームだと知らなかったのだ。



しかしだなあ、普通、メジャーリーグ関係者の講演だと、その人のチームの帽子やティーシャツを着ていくのが野球ファンの礼儀ってもんだろ。このシカゴの地で、敬愛する日本人メジャーリーガー、井口選手や田口選手の講演に出かけたとき、私達は、そうすることがファンとしてのせめてもの務めだと学び、当然のように昨日も子供たちにその格好にさせたのだが・・・まったく1人として野球の格好をしている人がいなかった!派手な青いユニフォームを着た息子たちはやたら目立ち、かなり、場違いの服装であった。あーあ!ヒルマン監督にどう映ったのだろうか。「ああ、そこにロイヤルズファンがいる!」と少しでも喜んでくれただろうか。普通なら、日本人学校を訪問した井口選手のように、ホワイトソックスのティーシャツを着ている子をさっとチェックするであろう。

しかし、ヒルマン監督は、「まったくそういうことは関係ない」というような雰囲気で、教会に来ている多くの信者さんたちに熱心に語りかけていた。落ち着いて穏やかな雰囲気がただよいながらも、ときどき大きなアクションやユーモアを交えながら話す。



勿論、話は、一貫して、「神様の導きで今の自分がある」ということに終始していた。選手をやめて、スカウトになったときも、日本で監督をやることになったときも、すべて神様のお導きだと言う。「神、キリスト、聖書、愛、信じる」などの言葉を何度も言いながら、修行をしてきた神の子のキリストのような雰囲気だ。何回も日本やアメリカで講演して慣れているのか、言葉が次から次へと溢れるように出てくる。まさに伝道師!うーん、これが、日本でペナント中「しんじられな~い!」を連発していた人なのか?!

講演は、1時間で終わり、ヒルマン監督のサイン入りボールや当日のロイヤルズ対ホワイトソックス戦が行われるUSセルラーフィールドへのチケットが、ラッフルで当たった人に手渡された。せめて、サインボールでも当たらないかなあ!とここで私たちは、ヒルマンさんが言うように神にひたすら祈るが、だめだった。「ヒルマン監督が私たちファンが持ってきたボールにサインぐらいしてくれるだろう」と大きな期待をして、(井口選手や田口選手が丁寧に1人1人してくれたように)息子たちは2個もボールとペンを用意していったが、無駄だった。試合があるということで、あっけにとられている私たちを残して、ヒルマン監督さっさと退場。


律儀にお辞儀をしながら、このイベントに尽力した教会関係者、関口氏から記念品を受け取るヒルマン監督

野球の技術的な質問をしたかった上の息子は、「ヒルマン監督、もう少しメジャーのことや野球の技術的なこと話してくれればなあ・・・」とがっくり!「日本のプロ野球を経験して、本場に帰ってきてとまどいなどないか?」などという野球に関する硬派な質問を真剣に考えてきた私も同感。でも、あのハンサムな笑顔と誠実な人柄にふれられたかたから、良しとしよう。おみやげに、「パワー・フォー・リビング」(ジェイミー・バッキンガム著)を教会関係者からもらい、聖書の内容に詳しくふれる機会をもらった。中に、シカゴキリスト教会協議会教会リストが入っていて、6つの教会と5人の日本人牧師たちの名前が書かれていた。シカゴでも日本人の牧師さんたちがキリスト教の布教に頑張っているんだなと感じる。プロテスタントで大阪で教会に通う義母に、今日のイベントは伝えよう。

おとといの第1戦と同じように、昨日もホワイトソックスがロイヤルズをシャットアウト勝利。ロイヤルズ打てない!試合の途中に映し出されたヒルマン監督は、朝の講演のときと打って変わって、かなり厳しい表情であった。しかし、きっとヒルマン監督は、「これも忍耐、神のお導きだ!」と自分に言い聞かし、再起を誓っているに違いない。ホワイトソックスファンの私だが、ヒルマン監督、ロイヤルズがんばれ!と言いたい。


追伸

ヒルマン監督の本のはじめのカラー写真の中に、幸せそうな家族写真が載っているが、14歳のハンサムな息子さんは、なんとホワイトソックスの帽子をかぶっている。なんだあ、私たちと同じソックスファンじゃん!


シカゴキリスト教会協議会教会リスト

シカゴ・ミッション日本人教会  小針勇吾牧師 847-323-3090

デボン教会            佐藤敬牧師  773-338-5687・
                            381-0074   
                 John Carlini 847-212-5953

グレンビュー福音自由教会    蛭沼寛行牧師 847-729-1185

シカゴ・レークサイド教会    鈴木光夫牧師 847-763-9724
                 Stan Wiedeman牧師


ノースショア・バプテスト教会  Carol McVetty牧師 773-728-4200

ウイネットカ日本人教会      安納義人牧師 847-853-1739