TPP、米国抜きの発効検討も=メキシコ経済相
イギリス国民によるEU離脱の選択続いて、アメリカでは、共和党のトランプ候補が第45代大統領に就任することが確実となりました。マスメディアの予想が外れたために番狂わせとも称されましたが、その背景には、中間層を崩壊へと導いたグローバリズムへの反感があると指摘されています。
そこで、”何故、グローバリズムが移民問題を引き起こすのか”というグローバリズムに内在する中間層破壊メカニズムについて考えてみる必要がありそうです。そして、そこには、グローバル市場の勘違いが潜んでいるように思われるのです。グローバル市場と言えば、あたかも国内市場のような単一化された市場であると理解されがちです。そのイメージは、何らの障壁もなく、もの、お金、企業、人、サービス、技術…等が自由に移動し得る”自由で開かれた市場”です。言葉だけは心地よく耳に響くのですが、その実態に目を凝らしますと、これらの移動の流れには著しい偏りがあることが分かります。水が高きより低きに流れるように、全ては、高低の格差によって流れが一方方向性付けられているからです。
ここで言う”高低の格差”とは、市場空間が凡そ”国境”によって画されていることから生じます。即ち、現実には、国家によって税率、為替相場、物価水準、労働コスト…等に違いがあり、グローバル企業の基本的な戦略とは、あらゆる側面で移動の自由を確保した上で、この”格差”を利用して利益(CEO利益?株主利益?)を最大化することにあります。労働コストに注目すれば、グローバル企業には、およそ、二つの方法がベストなポートフォリオです。第一の方法は、先進国での生産を止めて、労働コストが低い国に製造拠点を移し、低コストで生産された製品を先進国に輸出する方法です。第二の方法とは、先進国での生産を維持しつつ、海外から低コストの移民労働者を導入する方法です。これらの方法は、経営上は理に適っていますが、先進国の国民からしますと、第一の方法であれ、第二の方法であれ、雇用の喪失を招きますし、第二の方法では、当然に移民問題が深刻化します。そして、仮に、両者を拒否して雇用の維持を望むならば、自らの給与カットを受け入れざるを得ないのです。こうして先進国の中間層は崩壊する一方で、”格差”を利用できるグローバル企業のみに富が集中してゆきます。
グローバル市場の実態とは、競争条件が平準化された単一市場ではなく、移動の自由を前提に格差を最大限に利用する利益追求の場であることを考慮しますと、おそらく、グローバル企業は、国家間の格差の是正、すなわち、平準化されたグローバル市場の形成には、むしろ不熱心であるかもしれません。一定の期間を経て格差が縮小されれば、さらなるフロンティアを求めてより格差の”旨味”が享受できる国へと移動することでしょう。地球上に、最低賃金、最低資源価格の”秘境”がなくなるまで…。
このようにグローバリズムに内在する中間層破壊メカニズムを捉えるとしますと、無制限な移動の自由に基づく現行のグローバリズムが適切であるのか疑問符が付きます。先進国の国民と新興国並びに途上国の国民との関係はゼロ・サムとなり(先進国の中間層を維持しつつ、途上国諸国の経済的底上げが望ましいのでは?)、グローバリズムに対する反動は政治における先進国国民の是正要求として現れています。現実には、国家間格差が存在する以上、人類の共存共栄のためには、より柔軟なシステム、即ち、国境の調整能力の機能回復の方が望ましいとも考えられ、移動の自由化を金科玉条とする現行のグローバリズムとは異なる別の道を探るべきではないかと思うのです。
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ここで言う”高低の格差”とは、市場空間が凡そ”国境”によって画されていることから生じます。即ち、現実には、国家によって税率、為替相場、物価水準、労働コスト…等に違いがあり、グローバル企業の基本的な戦略とは、あらゆる側面で移動の自由を確保した上で、この”格差”を利用して利益(CEO利益?株主利益?)を最大化することにあります。労働コストに注目すれば、グローバル企業には、およそ、二つの方法がベストなポートフォリオです。第一の方法は、先進国での生産を止めて、労働コストが低い国に製造拠点を移し、低コストで生産された製品を先進国に輸出する方法です。第二の方法とは、先進国での生産を維持しつつ、海外から低コストの移民労働者を導入する方法です。これらの方法は、経営上は理に適っていますが、先進国の国民からしますと、第一の方法であれ、第二の方法であれ、雇用の喪失を招きますし、第二の方法では、当然に移民問題が深刻化します。そして、仮に、両者を拒否して雇用の維持を望むならば、自らの給与カットを受け入れざるを得ないのです。こうして先進国の中間層は崩壊する一方で、”格差”を利用できるグローバル企業のみに富が集中してゆきます。
グローバル市場の実態とは、競争条件が平準化された単一市場ではなく、移動の自由を前提に格差を最大限に利用する利益追求の場であることを考慮しますと、おそらく、グローバル企業は、国家間の格差の是正、すなわち、平準化されたグローバル市場の形成には、むしろ不熱心であるかもしれません。一定の期間を経て格差が縮小されれば、さらなるフロンティアを求めてより格差の”旨味”が享受できる国へと移動することでしょう。地球上に、最低賃金、最低資源価格の”秘境”がなくなるまで…。
このようにグローバリズムに内在する中間層破壊メカニズムを捉えるとしますと、無制限な移動の自由に基づく現行のグローバリズムが適切であるのか疑問符が付きます。先進国の国民と新興国並びに途上国の国民との関係はゼロ・サムとなり(先進国の中間層を維持しつつ、途上国諸国の経済的底上げが望ましいのでは?)、グローバリズムに対する反動は政治における先進国国民の是正要求として現れています。現実には、国家間格差が存在する以上、人類の共存共栄のためには、より柔軟なシステム、即ち、国境の調整能力の機能回復の方が望ましいとも考えられ、移動の自由化を金科玉条とする現行のグローバリズムとは異なる別の道を探るべきではないかと思うのです。
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