南北首脳会談の用意=慰安婦「心からの謝罪を」―韓国大統領
今月9日、朝鮮半島では、2年ぶりとされる南北両国の閣僚による会談が開かれました。新北派で知られる文在寅韓国大統領のたっての願いが叶えられたわけですが、南北の歩み寄りは、今後の東アジア情勢にどのような影響を与えるのでしょうか。
当初、同南北対話では、議題は、平昌オリンピック問題のみに絞られると報じられていました。しかしながら、議題限定化の予測に反し、韓国側からは、目下の懸案である核・ミサイル問題も提起されたようです。この非核化の提案に対して北朝鮮側は無視を決め込んだものの、平昌オリンピックへの北朝鮮の参加と協力、並びに、朝鮮半島の緊張緩和や軍当局レベルでの会談等については合意に達し、一定の成果が強調されています。
今後の展望として、文大統領は、南北首脳会談の実現まで視野に入れているそうですが、同大統領が対北融和政策の行き着く先をどのように描いているのか、疑問なところです。仮に、南北統一であれ、“二国共存”の相互容認であれ、それが南北間の和解、即ち、朝鮮戦争の終結(講和)を意味するならば、アメリカとの同盟は、最早、必要ではなくなるからです。
朝鮮戦争とは、北朝鮮による奇襲的な韓国侵攻を国連安保理が“侵略”と認定し、米軍を中心とした国連軍が侵略国である北朝鮮に対し、武力を以って排除しようとした戦争です。北朝鮮は、平和を破壊する加害国として位置付けられ、国連軍は、多大なる犠牲を払って被害国である韓国を軍事力を以って救済したのです。ところが、南北両当事国が和解するとなりますと、事実上、加害国と被害国とが“示談”したこととなります。そして、米軍をはじめ、“平和の敵”と戦うために軍隊を派遣していた諸国は梯子を外され、犯罪国家である北朝鮮から被害国である韓国を守るという意味での“世界の警察官”の役割も宙に浮いてしまうのです。
南北が和解した以上、アメリカは、米韓同盟を維持する理由を失い、朝鮮半島から米軍を撤退させることでしょう。この状況は、漁夫の利を待つ中国やロシアにとりましては好都合な展開なのですが、アメリカは、ここで、またもや重大な選択を迫られることとなります。北朝鮮は、韓国側に安心感を与えるため、あるいは、米韓を離反させるためか、核やICBM等の標的はアメリカであると明言しております。このことは、南北の“示談”が、むしろアメリカにとりまして安全保障上の脅威であることを意味しているのです。つまり、南北間において朝鮮戦争は終結しても、対米戦争だけは継続されるという奇妙な状況が出現するのです。しかも、この場合、アメリカは、対北戦争の最前線基地として韓国に期待することはできません。また、南北が和解して北朝鮮が敵国をアメリカ一国に絞った場合、中ロを含む広範な国際経済制裁網を維持することも困難となります。
仮に、このような事態に至れば、アメリカは、(1)アメリカ・ファーストの立場から、予防的防衛措置として、単独で北朝鮮の核・ミサイル 攻撃能力を潰す、(2)“世界の警察官”の立場から、国際的な有志連合を結成して北朝鮮の国際法違反行為を排除する(おそらく、中国やロシアの協力は得られない…)、(3)軍事力の行使を断念する場合には、日本国の核武装やミサイル防衛網の整備等の抑止力の強化等で対応する…といった選択肢の中から何れかを選択することでしょう。もっとも、これらの選択肢やそれに伴うリスクは現状と大して変わりはなく、最大の違いは、軍事行動において韓国軍の協力を得られない点にあります。
北朝鮮問題は、朝鮮戦争が絡む故に複雑化している嫌いがありますが、今般の南北の動きは、朝鮮戦争抜きの北朝鮮問題解決への移行、あるいは、北朝鮮による暴力主義に基づく核・ミサイル開発という問題の本質を明確化しているのかもしれません。何れが選択されるにせよ、北朝鮮問題の解決には、軍事制裁であれ、抑止力強化であれ、暴力主義の封じ込めを要することは言を俟たないのではないかと思うのです。
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今月9日、朝鮮半島では、2年ぶりとされる南北両国の閣僚による会談が開かれました。新北派で知られる文在寅韓国大統領のたっての願いが叶えられたわけですが、南北の歩み寄りは、今後の東アジア情勢にどのような影響を与えるのでしょうか。
当初、同南北対話では、議題は、平昌オリンピック問題のみに絞られると報じられていました。しかしながら、議題限定化の予測に反し、韓国側からは、目下の懸案である核・ミサイル問題も提起されたようです。この非核化の提案に対して北朝鮮側は無視を決め込んだものの、平昌オリンピックへの北朝鮮の参加と協力、並びに、朝鮮半島の緊張緩和や軍当局レベルでの会談等については合意に達し、一定の成果が強調されています。
今後の展望として、文大統領は、南北首脳会談の実現まで視野に入れているそうですが、同大統領が対北融和政策の行き着く先をどのように描いているのか、疑問なところです。仮に、南北統一であれ、“二国共存”の相互容認であれ、それが南北間の和解、即ち、朝鮮戦争の終結(講和)を意味するならば、アメリカとの同盟は、最早、必要ではなくなるからです。
朝鮮戦争とは、北朝鮮による奇襲的な韓国侵攻を国連安保理が“侵略”と認定し、米軍を中心とした国連軍が侵略国である北朝鮮に対し、武力を以って排除しようとした戦争です。北朝鮮は、平和を破壊する加害国として位置付けられ、国連軍は、多大なる犠牲を払って被害国である韓国を軍事力を以って救済したのです。ところが、南北両当事国が和解するとなりますと、事実上、加害国と被害国とが“示談”したこととなります。そして、米軍をはじめ、“平和の敵”と戦うために軍隊を派遣していた諸国は梯子を外され、犯罪国家である北朝鮮から被害国である韓国を守るという意味での“世界の警察官”の役割も宙に浮いてしまうのです。
南北が和解した以上、アメリカは、米韓同盟を維持する理由を失い、朝鮮半島から米軍を撤退させることでしょう。この状況は、漁夫の利を待つ中国やロシアにとりましては好都合な展開なのですが、アメリカは、ここで、またもや重大な選択を迫られることとなります。北朝鮮は、韓国側に安心感を与えるため、あるいは、米韓を離反させるためか、核やICBM等の標的はアメリカであると明言しております。このことは、南北の“示談”が、むしろアメリカにとりまして安全保障上の脅威であることを意味しているのです。つまり、南北間において朝鮮戦争は終結しても、対米戦争だけは継続されるという奇妙な状況が出現するのです。しかも、この場合、アメリカは、対北戦争の最前線基地として韓国に期待することはできません。また、南北が和解して北朝鮮が敵国をアメリカ一国に絞った場合、中ロを含む広範な国際経済制裁網を維持することも困難となります。
仮に、このような事態に至れば、アメリカは、(1)アメリカ・ファーストの立場から、予防的防衛措置として、単独で北朝鮮の核・ミサイル 攻撃能力を潰す、(2)“世界の警察官”の立場から、国際的な有志連合を結成して北朝鮮の国際法違反行為を排除する(おそらく、中国やロシアの協力は得られない…)、(3)軍事力の行使を断念する場合には、日本国の核武装やミサイル防衛網の整備等の抑止力の強化等で対応する…といった選択肢の中から何れかを選択することでしょう。もっとも、これらの選択肢やそれに伴うリスクは現状と大して変わりはなく、最大の違いは、軍事行動において韓国軍の協力を得られない点にあります。
北朝鮮問題は、朝鮮戦争が絡む故に複雑化している嫌いがありますが、今般の南北の動きは、朝鮮戦争抜きの北朝鮮問題解決への移行、あるいは、北朝鮮による暴力主義に基づく核・ミサイル開発という問題の本質を明確化しているのかもしれません。何れが選択されるにせよ、北朝鮮問題の解決には、軍事制裁であれ、抑止力強化であれ、暴力主義の封じ込めを要することは言を俟たないのではないかと思うのです。
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