花の詩山の詩

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このブログは「花と山とを友として」の続編です

秋はどこから来るかしら~那須の沼ッ原とJAふれあいの森へ

2017年09月15日 22時18分38秒 | スポーツ・トレッキング

9月13日9時13分の沼ッ原湿原駐車場と白笹山


ガラガラの駐車場とトイレ

久々の秋晴れの中、はるばると那須の沼ッ原湿原と、白笹山のふもとに広がる
JAふれあいの森を、秋の花を探して放浪したのだった。

東北道の黒磯板室ICで降りて、板室温泉経由で沼ッ原を目指すと、緑の広がる
牧場などの間を走って、まるで北海道のような気分を味わう気持ちの良い道である

深山ダムから流れ出る川は、やがて那珂川となって茨城を通って太平洋にそそぐ
そのダムへの道を左に見ながら山の中に入ると、やがて板室温泉の静かな佇まいの
町に入る

ここは有名な温泉街のような、けばけばしい宣伝物が無いのが良い
ただここで道は右に大きく曲がらなければならないので、油断できない

やがて道なりに左に曲がって走ると、乙女の滝の駐車場がに見えてくる
寄りたいところだが今回はパスすることにした。

木漏れ日の道をうねうねと走ると、右にハイランドパークの入口が見えて、その先に
沼ッ原に曲がる林道の入口が左にある

ここから曲がりくねった林道を登ってゆくのだが、これが意外と遠い
おそらくテンニンソウと思われる蕾をつけた草が道の両側に続いている。

窓を開けて、さわやかな風を受けながら走ると、ようやく駐車場に着いた
先客の車が5~6台ほどあったが、駐車場はガラガラだった。

奥では何かの工事をしている。(昼休みの時に聞いたら柵の工事をしているとの事)


園地の奥では工事中


駐車場の園地から眺める調整池と大佐飛山(中央の左側の一番高い山)

クマ注意の看板を横目で見ながら、歩きにくい石段を下りていくと真っ先に
出迎えてくれるのはアケボノソウだ


アケボノソウ


暗紫色の斑点を星に、二つの黄色い蜜腺を山に見てたネーミングで
夜明け直前の曙の星空をイメージしたものだという。
よく見ると、斑点がどれも規則正しく並んでおらず、みんな違うのが良い


ヤマトリカブトも見事に咲いていた


名前のトリカブトは、雅楽などの楽人が被る鳥兜に似ていることから名づけ
られたというが、この花などは、まさに鳥兜にそっくりだと思う


ヤマトリカブトの蕾


ちょっと失礼して兜の中をのぞきました。なお兜は上萼片にあたります
兜の中の両側にあるのは側萼片、下側に2個の下萼片がある
花弁2個は兜の中に隠れて見えない


調整池側の木道を歩くと、ヤマノコギリソウが咲いている


そこには、咲き残りのサワギキョウもあちらこちらに残っていた


草むらに咲くアケボノソウ


エゾリンドウも咲いています


お日様に輝くエゾリンドウ


調整池の土手の下のフェンス際は、草むらに花が隠れている。


ヤマノコギリソウのアップ、キク科ノコギリソウの変種で、ノコギリソウ
よりも花が小さい
ノコギリソウは、縁の周りにある舌状の雌花と、中の筒状の両性花とで
出来ていて、両方とも結実するという賢い花である。


ゴマナの花も外の草にもたれるように咲いている


ノハラアザミで吸蜜しているこれは何者?


アケボノソウの群落


展望デッキから湿原と大倉山・流石山の展望


同じく展望デッキ付近からの白笹山の展望


木道脇のヤマノコギリソウ


ヤマノコギリソウの花、ノコギリソウと言うと、園芸種のイメージが
強すぎて、あまり野草というイメージがわかない。


最近、雨が多かったので、池の水もそれなりにある


アキノキリンソウ


アキノキリンソウとヤマハハコ


日を浴びるアキノキリンソウ


サワギキョウのアップ


きらめく草原と白笹山


湿原にも、それとなく秋の気配


草むらにネバリノギランのようなものが見えた
遠すぎて触れないので、粘りは確かめられなかった。


木道から見る西ボッチ、名前がユニークで由来が気にかかる山だ
どこかにダイダラボッチが跨ぐとき、急所があたって崩れたという山が
有ったような伝説を思い出したが、そんな話は無いかな(笑)

追記 山と渓谷の「福島県の山」に載っている「二岐山」には、ダイダラボッチの
伝説で、この山をまたごうとして、股間のイチモツをぶっつけたため、山が割れて
このような姿になったという伝説があると書かれている。痛そう(笑)


池のそばのサワギキョウ


木道とアケボノソウ


木道とサワギキョウ

駐車場には何台か車がとまっていたのに、湿原には誰もいなかった。
静かに流れる秋の気配が湿原の上を覆っていた

山の上の真っ白な雲と、時折轟音を立てて自衛隊のジェットが飛ぶ以外
小鳥のさえずりと風が流れるだけだった。

蒸し暑さはなかったが、肌に突き刺さるような光が当たり、またまた顔が
黒くなったのだった。


沼ッ原湿原を時計回りに歩くと、東の休憩四阿と結ぶ横断路の木道がある
私は横断路は最後に歩くことにして、そのまま西側の木道を歩いて行った


横断木道を過ぎると、ズミなどの低木林の間を歩いて樹林帯に入っていく

かつて、この湿原を放牧場にしようとして、馬の水飲み場として掘られた
水路が、現在も小川として残っている
そこにはクロサンショウウオが住み、春には沢山の卵のうを見ることができる
そうした小川のそばに、休憩用のデッキが作られ、ベンチがおかれている

そのデッキに、エゾリンドウが倒れかかって咲いていた
そのそばには、エゾリンドウの案内板が立てられている


エゾリンドウの案内板


エゾリンドウの案内板の下部にある案内図


デッキ上にのびて咲くエゾリンドウ


これ幸いとばかり、上から花の中を撮影した
柱頭が分裂しているのが判る

夢中になって撮影していたら、「リンドウの撮影ですか?」と声をかけられた。
見ると私より若そうな年配のご夫婦のようで、カメラも持っていた
ひとしきりリンドウの話をして、ご夫婦は林道を奥に歩いて行った。
本日最初に遭遇した人で有った。


デッキの反対側の林の中に、ヤマトリカブトの花が見え隠れしていた


木道の最奥の角には、熊注意の看板が出ている。
古い地図には、ここから点線で山道が書かれているが、現在は侵入禁止で
笹などの藪に覆われている

三斗小屋宿や麦飯峠への分岐を左に見て進むと、次は三斗小屋温泉と姥ケ平
への分岐で、その辺からカラマツの林が続いている。


唐松の林が続く


ここにはコケ専用のベンチもある(笑)

ここで見たこともないイチゴのような赤い実を見た


ご存じの方はお教えくださいね。 指名手配1号(笑)
コバノフユイチゴ」と判明、(メールで教えてくださったKZさんに感謝)
コバノフユイチゴ、別名マルバフユイチゴ、バラ科キイチゴ属
この植物は、那須塩原市で販売している「沼ッ原湿原植物ガイドブック」
にも掲載されていませんでした。

四阿の周りでアケボノソウやらヤマトリカブトの写真を撮っていたら
昆虫網を持った若い男女が来て、何の写真を撮っているのか尋ねられた
「花の写真を撮っている」と説明して、「チョウの採集ですか?」と
二人に聞くと「クワガタ」の採集だという
それも普通のクワガタではなく、何とかクワガタとか言う樹木の上の
枝に集まるクワガタだという。
加齢性の難聴で名前がはっきり聞き取れなかった。ごめんなさい。

後で網を10メートル近く伸ばして、樹木の上の枝付近で振っていたので
「取れた?」と聞くと「いいえ 届きませんでした」と笑っている
まあ本来、この辺は保護地区なので動植物は採集禁止の筈なのだが


横断木道に咲くイタドリ


いかにも痛そうなトネアザミも咲いている


ヤマトリカブトが見事に咲いていた


横断木道を抜けるところで、年配の団体客に出会った
数十人もいる団体で、すれ違った後で撮影した写真

沼ッ原の入口で、鉄のフェンスを開けて、調整池の土手下にも入っていたので
何かの視察なのかもしれない。

私は大急ぎて駐車場に帰り、軽く昼食を摂り冷房をかけて身体を冷やした
午後は白笹山の麓の「JAふれあいの森」へ行くつもりだからである。

続く