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『怪物』福田和代

2013-08-28 00:56:32 | 本のこと

6月に日テレでドラマ化してたのを見たとき。
ラストがいまいちピンとこなかったんで、
原作を読んでみた。

日本循環環境ラボラトリーという、有機物すべてを
水に溶かすというシステムで生ゴミ処理をする企業の研究員・真崎を
演じたのが向井理

「死の匂い」を嗅ぎ取ってしまうという奇妙な能力を持つ、
定年間近の刑事・香西に佐藤浩市

15年前に香西が死の匂いをかいだものの逮捕できなかった
代議士の息子・堂島に要潤

その15年前の堂島が起こしたと思われる事件の真相を知っているという
藤井寺里紗に多部未華子

誤って堂島を殺してしまった里紗をかばって、真崎に堂島の死体を
溶かすようたのむ香西。

何事もなかったかのように人を溶かす真崎という怪物に
一歩近づいてしまう香西という怪物
香西は、真崎という怪物の正体を暴こうとするけど、
結局自分も怪物なのではないかという思いに取り込まれていく。

テレビのラストでは、香西はすべてを告白するの?
それとも怪物に魂売っちゃうの?と読み取れなかったんだけど。
文章で読むと香西の心理描写から、
もう後戻りはできない怪物の領域にいってしまったんだなぁと
思う。

無理心中で生き残ったという過去を持つ真崎は、
生き残ったときに魂は死んでしまっていて、
それからずっと死にながら生きていたんじゃないかと。

死んだように生きるって・・・
そんなの。

「怪物として生きるか、人間として死ぬか」
っていうドラマのコピーに、そういうことかと納得してしまう
原作だった。

怪物 (集英社文庫)
 
集英社

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