こっちの人は、ペットの睡眠場所だけはだいたい決めているが、そもそも犬も猫も放し飼いが多い。前の猫が死んだときも「次はちゃんと自分のテリトリーを教えなきゃダメだ」と言う人が多かった。もちろん、「テリトリーを教える=散歩して自分で帰ってこられる」という意味である。
犬を飼うのは初めてということもあり、どこでどう過ごさせるかで、結構悩んだ。連れてこられた初日は玄関で寝かせた。翌日からテラスに移動し、前の猫のために作った段ボールハウスを出してやった。
でも、番犬にするために飼ってるんだし蚊などの虫対策も考えて、1階の屋根で寝かせようと前から話していた。仮の場所に慣れてしまう前に、本番犬小屋を作った。
屋根の防水加工は特殊モルタルなので、犬小屋には土台も何も作らず、そのままガンガンブロックを積んでった。
まあ、あってもなくてもいいんだが、壁の防水をちゃんとするのが面倒なので、代わりに床下を作ることにした。パレットを使えばラクなんだが、ここではパレットは異様な人気である。高くはないが、出物があるとすぐ売れてしまう。どこにでもゴミが散らばっている土地柄で、いかにもそのへんに捨ててありそうだが、パレットに限らず何か作るための材料になりそうなキレイな物は一切見かけない。逆に、ボロッボロに見えても捨ててあるわけでは決してなく、使われているか使う予定か売る予定の物である。
屋根材にも金がかかるので、床はそのへんの木で作ることにした。サボテンの寿命サインのツノがまっすぐなんだが、シーズンが終わったらしく、あんなに突き出ていたのにほぼ全滅して(枯れて使えない状態になって)いた。
屋根材はいろいろ検討したんだが、よさげな物は妙に高い。犬小屋に限った話でなくラ・エルミータの建設も、工賃より材料費が大きかった。そういうわけで、新品で一番安い波型ラミ板に決定。半透明だが、昼間はどのみち暑いのでテラスに降ろしてあげて、夜だけここで寝かす。
ブロックとそのへんの木とテキトーな板製だが、プログレソ市内の貧しそうな地区に建ってるのも、そういう造りの家である。ヒトだって住めるんだから、犬には上等だ。