La Ermita の記録

メキシコ隠遁生活の私的記録と報告
 @ユカタン半島。

プログレソの東側

2021年01月31日 | ユカタン諸々

最近やたらとガイジン移住者が増えている。自分たちも同類なんだが、聞くところによるとアメリカやカナダで移住先としてプログレソがブームになっているらしい。メキシコ移住とはつまり「暖かい + 物価安い」で、以前はカンクンやその他の高級で有名なところが人気だったのが、土地代が値上がりしすぎて「そんなに金持ってないけど、自分が貰える年金でも絵を描きながら犬とのんびりビーチサイドで暮らしたい」と考える中流層がプログレソを発見したらしい。まあ我々と一緒だな(爆)

そこへうちのチェレム村に住んでる婆さん4人の暮らしぶりを元にしたドラマなんかができて、あっという間に人気上昇したんだそうな。そう聞くより以前から、この辺の開発に加速がかかったのは実感していた。で、チェレム方面はわかってるが、プログレソから逆の方向である東の海岸沿いも変わってるだろうな〜と、見に行ってみた。

あまりに変貌していたので、ここに記録しておく。我々がメキシコへ移住してきた5年前のそのあたりの様子はこちら

 

  売地の看板

まずはこの価格に仰天。プログレソの西(こっち方面、チェレム側)の方が昔からの村もあるし距離も近いし便利なんだが、うちの周りより高い。左の写真の看板は5年前からあり、当時35万ペソ(250万円くらい? 今はペソが下がったので430万円くらい?)という値段に売れるわけねえよと思ってたんだが、値上げだけはしっかりしていた。ちなみにうちのほうの相場は5年前の4倍。

  コンビニが2か所にできていた。

日本と同じく、一般人にとってコンビニ進出は、開発がより進むかどうかの1つの判断材料である。

 集合住宅もできていた。

こんな辺鄙なところへ来るんだから、本国では実現不可能なデカい庭とデカい家で当然だろ…と思っていたが、こういう需要もあるらしい。ちなみに、以前も完成するのかな?という感じのホテル開発が数か所あったが、逆にそれらは廃れていた。

 同じ集合住宅でも、戸建

こういう、庭付きで共同ゲートの入口に管理人がいるタイプが人気。プリバダという。人気なのはメキシコ中どこでもそうで、まあだいたいセキュリティーと管理の楽さが理由なんだが、管理人は当人が悪いヤツだったら逆効果、管理はメキシコならではの「言ってもすぐに直しに来ない」に悩まされるので、売値や家賃が高いだけで、楽さなんか完全な戸建と変わらない。

 メリダによくある団地みたいのもできていた。

こっちはもっと、なぜこんな田舎に⁈と思うが、できていた。

 幹線道路(きれいになっていた)からビーチへ向かう道

こういう道はことごこく未舗装でくねくね曲がった細い道だったのが、半分以上がこういうふうにきれいになっていた。

 ビーチに並行する道

ところどころ途切れながら大別荘がポツンポツンとあるもののしーんとした道だったのが、人の住んでる気配がある普通の道になっていた。

 以前からあったプリバダの入口

前からこのサメは目立っていたんだが、5年前はできたてで、これから敷地内をどうするんだろ?売れるんかいな?って感じだったのが、見事に荒れ果てていた。

当時の値段で売れば秒殺で、固定資産税の安いここなら利益も出ると思うが、だいたい周囲と同じように上げて、だんだん失敗感が出始め、ますます売れなくなっていく。

 

まあ、我々以外に興味がある人がいるとは思えないが、今後どう変わっていくか、あるいは元に戻るか、また5年後に検証するだろうから記録。


メスカル実験

2021年01月07日 | ユカタン諸々

明けましておめでとうございます。

 今年のお飾り

この注連縄は、去年までススキみたいな草で作っていたんだが、今年はエノコログサみたいな雑草で作ってみた。なんちゃってに変わりないけど。

   

(業務連絡)

 

さて、敷地内にはサボテン(正確にはリュウゼツランの一種)がたくさん生えている。このテのリュウゼツラン全般をアガベと呼ぶ。うちに生えてるのは住んでいる村の名前になっていて、ほんの少し違う種類にサイザル麻のエネケンとかテキーラになるブルーアガベがある。村のはあまり役立たないが、繊維は取れるし根っこ近くを切ると汁が出る。

 これがエネケン。

 うちのも形はよく似ている。

本当にやたらと生えてくるのでだいたい駆除するんだが、メキシコっぽくて可愛いのでいくつか残している。三年くらいで寿命のサインのツノが出て、てっぺんに花が咲く(写真の真ん中と左。敷地外)。そのまま放っておくと1年くらいで枯れる。

枯れると見苦しいので、敷地内に残したものは寿命サインが出て半年くらいで根っこごと掘り出して捨てる。これがまた大仕事で、年末にも1つ片付けた。

 まずはトゲのある葉を落とす

長い葉の両側に5センチ間隔くらいでトゲが出ているし、中はぎっしり繊維なので、すごく大変。

その後、周りを掘って根を切る。根はそんなに長くないんだが、普通の木の根っこみたいに広がってるんじゃなくて、でっかいタワシみたいな感じ。ぎっしりで大変。もう倒れないか、まだかと押してみたりしながら二人掛かりで掘りながら切り続ける。グラグラし始めてからも30分ほど作業を続けるとようやく倒すことができて、根っこが全部露わになる。

 倒れた状態

 掘り出した跡

一人では抱えられないくらいの大きさ。葉っぱ抜きで100kgはあると思う。

 

で、今年もたま〜に繊維は採っていたが、今回は倒したものを使って酒を作ってみる。

テキーラってのは限られた州に生えるアガベを使って作った酒のこと。シャンパンとかカマンベールみたいに、本物を名乗り伝統を守る、あのシステムと同じ。で、おそらく同じ種類のサボテン(リュウゼツラン)なんだろうが、他の州に生えてるので作った酒をメスカルという。メスカルはテキーラと同じく蒸留して作る酒で、その前のどぶろく状態の酒をプルケという。

そのメスカルでもプルケでもいいんだが、つまりはアルコール発酵させると酒になるんだな…ということで、やってみた。ちなみに暑さと持ち前のズボラな性格のせいで、ここへ来て成功したアルコール発酵はマヤ文化でもやってた蜂蜜酒だけである。日本から持ってきてもらった麹は、冬に一回成功した以外、甘酒も味噌も失敗した(威張ることじゃない)。

 根っこに近い部分の茎、直径70センチほど

 吟醸作業の後

で、これを石造りのかまどで蒸し上げた後、臼みたいなもので挽いて細かく(といっても5x3センチくらい)して発酵させるとプルケになる(らしい)。らしい…というのは、観光案内みたいなページで見ただけで、実際に見たこともなければ、実はメスカルもプルケも飲んだことがない。ユカタンは暑いのでいつもビール。

ま、要はアルコール発酵させればよろしということで、まずはうちで伐採ゴミを燃やす際(今は違法なので夜中に燃やした)、銀紙に包んで放り込んだ。一応、こないだ見学したピブを参考に、焼いた石で囲っておいた。

 かまどの中

石窯でしっかり蒸し焼きすると取り出した時には結構バラバラになってるそうだが、いまいち周りは焦げてて中は生焼け。ただ、その中間に汁っぽいものがあるし、なにしろ焼き芋みたいに甘い匂いがする。

アルコール発酵に必要である糖化が済んだのであろうと判断し、これに水を足して(ちょっと違うが)瓶に詰めてみた。

残念ながら、この間、この子供の自由研究みたいな作業がめちゃくちゃ面白くて、写真を撮るのを忘れた。

と思ったら、別のカメラに少しあった。

  焼け具合によって3種類

 現時点で、この2つがアルコールの匂いを放っている

 甘い汁だけ瓶に詰めたものは失敗した

さあ、アルコールっぽい匂いはするが、いったい飲めるのか?? メタノールの心配もなきにしもあらずだし、なにしろ美味しそうじゃないので、勇気がわかない。まだどうするか考え中。