La Ermita の記録

メキシコ隠遁生活の私的記録と報告
 @ユカタン半島。

村の漁師

2021年10月28日 | ユカタン諸々

村の漁師の仕事の仕方がだんだんわかってきた。この村には漁師が船を泊めているところが2ヶ所ある。1つはラグーン側で、ラグーンをぐるっと回ってプログレソの方から海に出る。

もう1つがどういう仕組みなのか今ひとつ謎だったんだが、こないだタコを買った友達に聞いてようやく分かった。

 ムエジェ・デ・ペスカドレス。

漁師の桟橋という名で呼ばれているが、桟橋はなく、普段行くビーチと変わらない。漁師が帰ってくるのを待つ間、泳いだりボケーっとしたり。

プログレソからうちの村、そして隣村まで、海岸線はずーっとほぼ真っ直ぐで、入江とかみたいなものは何もない。幅が狭いのでイメージは違うが、要は九十九里みたいなもん。うちのあたりから海岸線沿いに2キロくらい東、村の中心部のあたりまで行ったところにある。

 いつも魚目当ての犬がいる。

漁師たちは、犬の向こうに見える三輪自転車で家からここまで来る。

桟橋とかは一切ない。船そのものは砂浜に上げるか錨を下ろしてある。上げてある船の方が多い。盗まれないように取り外しておいたエンジンと燃料タンクを家から自転車で持ってくる。船の場所はなんとなく決まっているらしい。

朝7時半頃に来て準備をして漁に出ていく。無線やレーダーなどといったものは何もない。携帯電波ってどのくらい飛ぶんだっけ? おそらく、お互いが目に入る距離を保ってるんじゃないかと思われる。

ビーチで待っていると、漁から帰ってくるときはまずモーターの音がかすかに聞こえる。水平線に船かな?と思われるものが見えてから、接岸まで20分から30分。船からは、ウォーターフロントの家の色を目印に戻るんだと思われる。

 帆船。

普通はエンジンをかけて戻ってくるんだが、ビニール看板を帆に見立てて風を利用して帰ってきた船。

 友達(赤い服)の船。

タコ漁から帰ってきたところ。だいたい2時から2時半に戻るそうで、その頃になると村から助っ人(ランニングか半袖)が集まってくる。

先に戻ってきた漁師(長袖)も一緒になって手伝って、船を砂浜まで上げる。水揚げは大きい保冷ボックスに入れてくる。あまり多くない。日本で今日は大漁といって帰ってくる釣り客程度。

ーーー

 うちの近くのビーチの一匹狼の船。

ホリデーシーズンが終わったので、朝と夕方2回、100メートルくらい先まで船を出して魚を獲るおじさんがいる。毎日なんだから彼も漁師なんだと思う。30センチくらいのアジやらフエダイやらを獲って、ペンキを売ってたバケツに入れて帰っていく。

ーーー

 死んだ鯖。

先日も1回、全部で6匹沈んでいた日があった。ノルテと呼ばれる寒波が来る予兆。

 

ああ、わたしも浜で投網を打う練習をせねば。。。

 

 最近の朝焼け。

冬はほぼ毎日赤く染まる。


歯医者と保健所

2021年10月22日 | ユカタン諸々

去年は相棒の闘病で専門医だのちゃんとした病院だのによく通ったが、普通に生活していられたらそんな金のかかるところへは行かない。特にここは日本と違って、やたら検査だの薬だのと言わず本当に必要な治療だけ…という感じでとてもいい。

が、歯だけはどうにもならない。日本人は歯並びに無頓着だが西洋圏ではけっこう重要なことで、ここも同じ。虫歯も歯並び矯正もホワイトニングも、して当然…それも必要なら即!という感じである。

話はそれるが、こないだ誰かがイギリスでのコロナの話をしていて「どんだけマスクが嫌いなんだ!」と言っていたが、日本人の対サングラス感情とよく似ている。別にブツに責任はないし目的に合った使用は当然だが、自分はちょっと…とか悪い人っぽくなるとか人前では…とかいう感じ。

絵文字が本当の絵になる前の絵文字を見るとよく分かると、どこかで読んだ。アルファベット圏では :-) がスマイルで口しか笑ってないが、日本のは ( ^ ^ ) で目しか笑ってない。だから、ヒーローでもバットマンは顔の下半分丸出しで、忍者は口元を隠している。

 

そんなわけで、春に加入した高額医療保険に年2回クリーニングと検診がついている。日本だったらおそらく健康診断とかミニ人間ドックかなんかになるんじゃなかろうか。

 行ってきました。

歯の形を使ったロゴはよくあるが、ここのは歯ブラシ。チェーン店でメキシコ中の都市にあり、どの支店でもそのクリーニングができる。保険会社お抱えというか上手いこと保険会社を取り込んだというか。クリーニング自体は日本と変わらずだったが、面白かったのがレントゲン。

 青赤黄色に色分けされた道具。

片方にフィルムを挟んで口の中に入れて、丸い輪っかを照射口?に当てる。

 

可愛くないですか? 初めて見たけど日本にもあるんだろうか。頭の周りをウィーンと回るやつが多いだろうけど、この撮るほうの機械はあると思う。何をどう色分けしてるのか、観察していてもよくわからなかったが、確かに角度と位置を決めるのは楽そうだった。

ちなみに保険に入る前は、隣村の歯医者に行っていた。ヤシの木が茂る一軒家、抗生物質の代わりにプロポリスを使うという、のんびりした歯医者である。

ーーー

続きまして、こないだエイに刺されたんだが、こちらは村の保健所で。村役場には、2年くらい前に24/7の診療所ができて救急医がいる…はずなんだが、行ったらいなくて近くの人に聞いたら時間外だと言うので、いつも降圧剤で世話になってる保健所に行った。

日本でいう国民健康保険の診療所で、田舎では各村にある。大都市圏だと企業とか公務員の健康保険に入ってる人の方が多いので、あまりない。

 うちの村の「健康センター」。

 中はこんな感じ。

これはエイに刺されたときじゃなくて今朝撮った写真で、もうすぐメキシコの誇る死者の日なのでその飾り付けがしてある。奥の部屋の壁には、村の地図が貼ってある。室内サインは、スペイン語とマヤ語の両方。

保険料も診察料も薬代も無料で、のーんびり受付してくれて、のーんびり診察してくれる。いつも飲んでる降圧剤をもらうだけでも、ゆっくりおしゃべりしたりして、診察時間は20分くらい。受付は、こちらもおしゃべりしながら血圧と体重とウェストを計って15分くらい。相棒は、機械を使ってて手を切ったときに行って、やっぱり無料で縫ってもらった。

重病なら行きたくないけど。


マルケシータとタコ

2021年10月11日 | ユカタン諸々

ユカタン発祥のスイーツに、マルケシータというものがある。ここんとこ他州在住の人が Twitter に書いているのを何度か目にした。他州に進出したユカタン料理の1つなわけだが、もちろんあちらではオシャレ度は高い。

 こんな食べ物。

メリダのアイスクリーム屋が、冬場の売上減少を乗り切るために、コーンにアイスじゃなくてチーズを入れたのが始まりだという。冬だって暑いんだから、こっちはいつでもアイスを食べたいが、商売となるとやっぱり売上が落ちるのか。

アイスクリームのコーンなので、クレープやワッフルより硬くて、中身もいろいろバラエティーがある。定番は、ここではケソ・デ・ボラ(ボールのチーズ)と呼ばれているエダムチーズで、あとはクリームとかジャムとかチョコとかヌテラとかお好みで。

遊びに来た人を連れてメリダに行くときくらいしか食べなかったんだが、Twitter で見て食べたくなり、村にもあるのか調べてみた。いかにもホリデーシーズンにメリダから来て儲けてるという屋台が二軒と、村人に絶大な人気を誇る一軒。人気の方は当然、村の住人がやってる屋台である。要は他の住民と同じく、自分とこの台所で作るご飯を他人にも売るってな規模。

 コーンの生地を専用の鉄板に流す。

 蓋の鉄板を閉めて焼く。

 途中、焼け具合をチェック。

 焼けたらチーズを入れる。チョコを入れるならここで。

 巻く。

この人気店のメニューは基本のチーズとヌテラ(の偽物)とその両方の3種類だけだが、フルーツジャムを入れたり、生クリームとかでデコレーションする店だと巻いてからさらにてっぺんに足す。

説明すると、食感はスカスカじゃない方のアイスのコーン。味も当然コーンの味。あまりコーンに集中してアイスを食べたことがないので分かんないんだが、ちょっと味が濃い気がする。えーと、ほのかに甘い瓦煎餅みたいな味です。

村人が褒めちぎるのも当然で、確かに美味しかった。他の店と比べて、チーズとのバランスがいいというか。シンプルなものだから違いが出るんだが、あれもこれもとトッピングを足すと、この違いは分からないかも。

ーーー

 この辺のタコ。

ペロ(ホットドッグ)屋をやっている友達は昼間は漁に出ていて、たまたま獲り立てのタコがあるというので買ってきた。なんたる幸運。

さっそく下茹でをしたんだが、その状態で、ここで売ってる下茹で済みタコと味も食感も全く違う。一体どうやって茹でてるんだ? 

もちろん自分でやったものは美味しい。というか、あまりの美味しさに涙が出るほどであった。海辺に住んでいるからと言って海産物に恵まれているかというとそうではなくて、生食をしない村人による処理だと日本人にはちょっとつらいレベルである。下手すると都市部で売ってる輸入物のほうがいいんではなかろうか…というくらい。

自分たちで釣ればいいんだが、桟橋があるとこまで行くのが面倒でなかなか上達しない。

それはともかく、あまりに美味しかったので思わずコメを炊き、握ってしまった。我々は江戸前握りにはうるさい人間で、日本人板前でも「海外に住みたい、寿司でも…」ってな、日本で修行を積んでない人の握りなんか食べる気はしない。他の寿司ならいいのでメキシコ寿司は好きだし海苔巻きや五目寿司なんかはうちでもよく作るが、握りとなると話は別である。あれは芸術だ、プロが作るものだ。

 タコの美味しさに負けた。

 そして煮物。

大根がわりによく使っている、ヒカマという野菜があって、それと。

メキシコ湾には2種類のタコがいる。1つは真蛸で、1週間以上かけてずっと沖合に出て獲ってくる。そういう船に乗ることを、viaje(旅)に出るという。村では独身の青年が行くらしい。まあ出稼ぎである。

もう1つは村の漁師が近くで獲る。イイダコよりすごく大きいが、色と形はそんな感じ。調べたらアミダコってのも似てるけど、イイダコの方が近いと思う。

 その漁師たちの船。

うちの近くのビーチはただのビーチだが、村の中心部に近いところにはこうして漁師が船を泊めている。ビーチ自体は同じ。比較的遠くまで行く漁師は、海とは逆側のラグーンから出る。沖合まで出るのは、おそらくプログレソから。

タコには禁漁期があるので、別の時には別のものを獲るし、普段も獲れたら魚も獲る。タコ漁は、竹の竿を使った伝統漁法。今度連れってってもらおうかと思っている(大人の社会科見学)。


晩夏

2021年10月02日 | 設備/外構/庭

海の近くのこのへんではメリダ以南のように「食べられるものがなる」植物が少ない。ヤシの実と海のぶどうくらいじゃないですかね。なので、海のぶどうが終わると、ニホンジンは「夏は終わった。でも秋か?」と思ってしまう。

最近ようやく最高気温が31℃、最低気温25℃くらいになってきて、1月には最低気温が15℃まで下がって寒い寒いと大騒ぎするので、まあそれもまちがいではない。だが、一番暑いのが3月末から5月で、そのあと普通に暑い夏が来て…と変なので、四季感が狂う。植物も変な時期に芽を出す。今、真っ盛り。気温の話だけじゃないのだ。

 落ちた実から芽が出た海のぶどう。

 黄色い花が咲く木。よく街路樹に使われている。

 うちの畑のメロン。

  ドラゴンフルーツ。

もちろん、メロンとドラゴンフルーツは自然のものじゃなくて、買ってきて食べたあとの種だが、真夏だと暑さで死ぬのもあるので、35℃まで上がらなくなってから育てるほうが発芽率が高い。

ドラゴンフルーツはサボテンの一種なので、メキシコ中にある。ちなみに、ピタヤという。正確にはピタアヤ。ピタヤという果物は別にあるんだが、スペイン語人は長音短音の区別がつかないので、ピタヤで通じる。

 こういうふうに生産する。

放っておくと地面にデロデロ伸びるタイプなので、ある程度の高さになるまで丸い枠をかましたり、ぶどうみたいに棚を作ったりして育てる。

ーーー

一応、ススキっぽい草が生えてきたり、インドゴムという木の葉っぱが黄色くなって落ちるんだが、秋っぽいという気はしない。

 シュロの芽も急に大きくなり出した。

ずっと細長い1本の葉だけだったのが、ここへきて2枚目が。日本の春みたい。

 相変わらず、ビーチも快適。

拡大してもらうと、プログレソの埠頭に着いた客船が見えます。コロナがましになってきたので、クルーズ船が復活している。相変わらずユカタンだけで毎日死者10人以上だけど、来るものは拒まない・観光業大切!なので、そのへんは気にしない。

 手前のがペリ太郎。

1羽、頭の黄色い部分が他のと違うのがいて、泳いでるとずっと眺めている。眺めてはいるが以前のように警戒してないのがわかる。いつまでも泳ぎにくるヒト(個体)として認識したのか。お礼に名前をつけてやった。

 ピッグビーチの子豚。

2センチくらい成長してた。体育の授業(海水浴)を見たくて行ったんだが、獣医が来ないとかで時間割を変更されてた。残念。

 ピッグビーチの反対側。

村の漁師が船を止めているラグーンと海の間の水路。遠くに見える橋は、いつもプログレソへ行くときに渡る橋。

 海軍士官学校協会のユカタン支部。

基地もある。逆か。

 仏像ホテル。

ちょっとオリエンタルにしてみました風のトタン屋根。これからゴテゴテ飾るんだと思う。赤いゲートには何とか酒店の文字。よくできました。

 最近の朝。

太陽が昇るのがだんだん南にずれてきた。冬になるとココ林の上から日が出て、朝焼けが多くなる。こんな真っ平らなところで、こうして毎日観察してたら、マヤ人じゃなくともカレンダーくらい思いつく。