正確にはハリケーンの前にトルメンタ(嵐)というランクがあって、勢力を増すとトルメンタがハリケーンと呼ばれるようになる。感覚的には、日本での熱帯低気圧と台風の分け目より強くなってからしか、ハリケーンと呼ばない感じ。インフラが脆弱だし、ヤシの木ってのはグイングインと揺れてビジュアル効果が高いため、ハリケーンより弱いはずのトルメンタで、結構不安になる。被害も出る。
前回と同様、ユカタンでの大きな被害は水害だった。えーと、カンクンがある隣の州はカリブ海に面していて、到達時にちょうどハリケーン(デルタ)の勢力が高まっちゃったんで、国際ニュースで出たかも。
ユカタンの悲劇は、そのデルタの前のガンマという嵐でもう十分な降雨量があり、泣き面にスズメ蜂だったこと。注目を浴びたカンクンを通り過ぎたあと、勢力は弱まったがメキシコ湾に出てたっぷり水を吸って半島に戻ってきたこと。向かってくるときも荒天、東から北へ去っていくときも荒天というルート。
どういう状態だったかは、世界中の「ヤシが生えてる南の島」に台風などが来たときと変わらない。自分の動画を貼り付けられないので想像してください。
ここは紙が高く、宅配も日本の足元にも及ばない(梱包や配送のクオリティ)のであまり利用しないもんだから、余計な段ボールってものがない。家が無駄にでかくて窓も多いし。しょうがないのでテープ。
直撃前に知事やら市長やらが「窓ガラスにバッテンにテープを貼れ」と発言したもんだから、ユカタン半島全域で防災のうちそれだけは皆しっかりやっていた。というか、前日からそれらの投稿を見た知人たちからバッテンに貼れバッテンに貼れとやたらに連絡が来てうるさかった。
うちはそういうことはもちろん知ってて、ダクトテープと称して売られていたテープも買ってあったんだが、なんとこいつの接着力が何か別の工作用テープ?と思うほど弱く、そのくせ自分たちでくっつき合って扱いづらいという最悪なテープだった。なので、すごいテキトーなことに。まあ、破損防止じゃないんだからいいか。ただ、日本人の誇りを込めて米スタイルで貼りたかったよ。
前回のクリストバルのときは、近所のあちこちでこういう状態が発生したものの、うちは例の地下貯水タンク内までしか水位は上がらなかった。そのときから完全には下がりきってなかったようで、今回はうちもこのように。当然、メリダや各地の村々もうちの村も水没。
メリダ − プログレソ間自動車道からうちの村へ向かってそれるバイパスは、海岸線から1キロ弱離れた位置にでーんと伸びるラグーンを横切っている。そこ。高潮で水辺が増えて、普段はもっと道路や村から遠いとこにいるのに、すぐ近くまで遊びに来ていた。
ハリケーンが去った後は、ユカタン州のあちこちで断続的な停電となった。電気公社が直しに来ない(手が足りない)とか、洪水状態の道に倒木が電線もろとも浸かり、そういうこと専用の官庁が来るまで電気公社が直せないとか。直した後で原因不明の…とか。うちは幸い、暴風域に入っていた数時間以外は、普通に復旧した。あ、電気だけじゃなくてネットも当然止まっていた。
いつも世話になっている診療所の停電が長引き、新興宗教の教会かなんかに設置された。いつも診療所には小さい子を連れた若いお母さんとおばさんと妊婦しかいないんだが、なぜかおじいさんたちもちらほら。(おじいさんったって、こっちより若いかも)
…と先週ここまで書いていて、またしてもハリケーンが来た。先ほど(日本時間で28日の朝早く)うちのあたりを通過してメキシコ湾へ出た。今回はユカタン半島を横断したので勢力が弱まったため、まあそこそこの強さ。カリブ海から直撃される隣の州は大変だったらしい。
ただ、名前がクリストバル、ガンマ、デルタときて今回はZETAである。メキシコにはそういう名前の麻薬カルテルがあるので、語感だけならだんだん強くなるって感じで非常に嫌であった。