La Ermita の記録

メキシコ隠遁生活の私的記録と報告
 @ユカタン半島。

ハリケーン再び、とさらにもう1個

2020年10月27日 | ユカタン諸々

正確にはハリケーンの前にトルメンタ(嵐)というランクがあって、勢力を増すとトルメンタがハリケーンと呼ばれるようになる。感覚的には、日本での熱帯低気圧と台風の分け目より強くなってからしか、ハリケーンと呼ばない感じ。インフラが脆弱だし、ヤシの木ってのはグイングインと揺れてビジュアル効果が高いため、ハリケーンより弱いはずのトルメンタで、結構不安になる。被害も出る。

前回と同様、ユカタンでの大きな被害は水害だった。えーと、カンクンがある隣の州はカリブ海に面していて、到達時にちょうどハリケーン(デルタ)の勢力が高まっちゃったんで、国際ニュースで出たかも。

ユカタンの悲劇は、そのデルタの前のガンマという嵐でもう十分な降雨量があり、泣き面にスズメ蜂だったこと。注目を浴びたカンクンを通り過ぎたあと、勢力は弱まったがメキシコ湾に出てたっぷり水を吸って半島に戻ってきたこと。向かってくるときも荒天、東から北へ去っていくときも荒天というルート。

どういう状態だったかは、世界中の「ヤシが生えてる南の島」に台風などが来たときと変わらない。自分の動画を貼り付けられないので想像してください。

 ガラス飛散防止。

ここは紙が高く、宅配も日本の足元にも及ばない(梱包や配送のクオリティ)のであまり利用しないもんだから、余計な段ボールってものがない。家が無駄にでかくて窓も多いし。しょうがないのでテープ。

直撃前に知事やら市長やらが「窓ガラスにバッテンにテープを貼れ」と発言したもんだから、ユカタン半島全域で防災のうちそれだけは皆しっかりやっていた。というか、前日からそれらの投稿を見た知人たちからバッテンに貼れバッテンに貼れとやたらに連絡が来てうるさかった。

うちはそういうことはもちろん知ってて、ダクトテープと称して売られていたテープも買ってあったんだが、なんとこいつの接着力が何か別の工作用テープ?と思うほど弱く、そのくせ自分たちでくっつき合って扱いづらいという最悪なテープだった。なので、すごいテキトーなことに。まあ、破損防止じゃないんだからいいか。ただ、日本人の誇りを込めて米スタイルで貼りたかったよ。

  我が家の庭

前回のクリストバルのときは、近所のあちこちでこういう状態が発生したものの、うちは例の地下貯水タンク内までしか水位は上がらなかった。そのときから完全には下がりきってなかったようで、今回はうちもこのように。当然、メリダや各地の村々もうちの村も水没。

 ラグーンにピンクのフラミンゴ

メリダ − プログレソ間自動車道からうちの村へ向かってそれるバイパスは、海岸線から1キロ弱離れた位置にでーんと伸びるラグーンを横切っている。そこ。高潮で水辺が増えて、普段はもっと道路や村から遠いとこにいるのに、すぐ近くまで遊びに来ていた。

 プログレソでは、道路を横断していたらしい。

ハリケーンが去った後は、ユカタン州のあちこちで断続的な停電となった。電気公社が直しに来ない(手が足りない)とか、洪水状態の道に倒木が電線もろとも浸かり、そういうこと専用の官庁が来るまで電気公社が直せないとか。直した後で原因不明の…とか。うちは幸い、暴風域に入っていた数時間以外は、普通に復旧した。あ、電気だけじゃなくてネットも当然止まっていた。

   村の臨時簡易診療所。

いつも世話になっている診療所の停電が長引き、新興宗教の教会かなんかに設置された。いつも診療所には小さい子を連れた若いお母さんとおばさんと妊婦しかいないんだが、なぜかおじいさんたちもちらほら。(おじいさんったって、こっちより若いかも)

…と先週ここまで書いていて、またしてもハリケーンが来た。先ほど(日本時間で28日の朝早く)うちのあたりを通過してメキシコ湾へ出た。今回はユカタン半島を横断したので勢力が弱まったため、まあそこそこの強さ。カリブ海から直撃される隣の州は大変だったらしい。

ただ、名前がクリストバル、ガンマ、デルタときて今回はZETAである。メキシコにはそういう名前の麻薬カルテルがあるので、語感だけならだんだん強くなるって感じで非常に嫌であった。


メキシコの医療(参考にならない情報)

2020年10月03日 | メキシコ 日常生活

しばらくぶりだが理由があって、なんと相棒が入院していた。具合が悪くなったのは3月だったが、病名がはっきりするまでなんと半年。メキシコの名誉のために言っておくと、珍しい病気だったから。

で、メキシコの医療システムはってなことではなく、まあ体験したこと…というか設備というか、そういうのを記録しておく。

とはいえ少しだけ説明すると、メキシコは社会主義国家で基本は国民皆何らかの健康保険でカバーされてるはずなんだが、なぜか加入してない人も多い。我々が入っているのは国民健康保険みたいなやつで、保険料なし、よほどのケース以外の治療や州の決めた予防接種なども一切無料である。よく言われてるのは、そういう公的医療はサービスが悪く汚くめちゃくちゃ待たされて…ってことだが、住んでる田舎ではその保険の小っさい診療所があるだけで、悪いも汚いもへったくれもない。待つけど。なので、今回の入院とその前の検査諸々は州都まで出向かなければならなかった。

私立病院や個人の医者にかかるのは、当然高額。と言ってもめちゃくちゃ高いってところは「高級ホテル並みの病室」とかそういう医療とはあまり関係ないことで高くなる。感覚的には、日本の本人負担と同額くらいで、保険外治療ならそれも日本と変わらず。国民の年間所得平均などを考えると高額だが、そういうアメリカみたいなシステムなので、それはそれでしょうがない。

ちなみにプライベートの医療保険(日本でいう生命保険の医療カバー掛け捨て部分)はあるが、いざというときにも役立ちそうなのは当然高い。(我々は、保険代はケチっていざというときは身銭を切る覚悟…と決めていた。)

 

   メディカルセンター

村のゼネラルドクターが紹介してくれた専門医のクリニックが入っている。病院銀座になってる地区にあって、中は3階から8階まで専門医のクリニック。1、2階は入院施設で、コロナ患者も受け入れている。(が、予防対策は日本人から見ればポイント外しも甚だしい。)

 ずらりと並ぶクリニック

各科の専門の他に、ガンとか何ちゅうか高度医療を必要とする病気の専門医らしきクリニックもある。

 検査だけするとこ

日本だと大病院にはほぼすべての設備が揃ってるが、こちらは検査は検査専門の会社があって、病院内にあってもその出先機関みたいな感じ。尿血液検査専門の小さいところもあるし、レントゲンCTなど写す系(とはいえ、MRIはない)まで揃ってるところもある。あ、ユカタン以外の州がどうだかは知りません。今回、病名がクリアになった検査は、検体をメキシコシティーまで送っていた。

 入院した病院

専門医が検体採取のために手術したとこ。彼(つまり口腔外科医)が紹介してくれたもっとレアな専門の医者(つまり感染専門)が入っているメディカルセンターに併設された病院で、同じく私立なんだが、うまい具合に最初のメディカルセンターより安くて助かった。

 手術の前の待機室

 内部

ロの字型の建物で廊下は内側、嵐が来ると濡れ放題、床もベシャベシャ。でも晴れてると気持ちいい環境。

 室内。全部個室

  トイレとシャワー

  病院食

食事制限はなかったが、やっぱり病院食。そして、やっぱりタコス。あと、インスタントのゼリー(粉末で作るやつ)が出る。病院食の定番らしい。

 

一時はどうなるかと思った(実際、普通は3日くらいで死に至る病気だったらしい。なんでそんなに進行が遅かったのかは謎)が、現在は家で療養中。食べ慣れた食事と、まあ、日本人は水分取るならお茶ってことで。