自由研究の続き。
えー、テングサだと思って干してあったものは、違う種類だと判明しました。
まあ、海藻なんで固まってくるんだけどテングサほどじゃないため大量に使う必要があり、テングサよりずいぶんと海藻くさい寒天になった。子供の頃の記憶(夏休みにばあちゃんの田舎で採ったという程度)はあてにならん!と気づいて調べ始めたら、海藻ラビリンスに迷い込んでしまった。
(9月10日追記)
適当に「海藻くさい寒天」などと書いてあるが、この時できたのはゲルっぽい固まりで、寒天で固まるスッキリしたゼリーとは似て非なるものであった。
今まで、この辺りの海藻と真剣に付き合ったことはない。カンクンがある隣の州では、冬になるとサルガソという海藻が大量に流れ着いて嫌われている。ユカタン州はあっちほどではないが多少流れ着くので、フノリにでもならんかと軽い気持ちで採ってきたことがあるが、ならなかったので諦めたきりになっていた。
カナダでスナックがわりに食べられている海藻が、焼くとベーコンの味がすると最近どこかで読んだのと、今回の寒天が残念だったため、海藻をどうにかできんかと思ったわけである。
嫌われ者サルガソでなくても、地元の人間は海藻なるものに見向きもしない。彼らの言う Sushi、つまりメキシコ海苔巻きの海苔も、嫌で裏巻きにするぐらい嫌われている。彼らに食べてもらおうとは思わないが、ニホンジンにとっては大切な栄養素である。これは食べられるものを探し出して食卓に変化を…と思い、まずは採集してきた。
観察してみると、うちの村のビーチには全部で10種類くらいあると思われる。見るからに食欲がわかないのと、大量に流れ着いているものは放っておいた。一番多く流れ着いてるのを食せればよかったんだが、この時点ではそれがサルガソという種類なんだと勘違いしていたため。
ここで、海に生えてる海藻すべてが食料じゃないんだという当然のことに気づき、地元の工科大学院から論文を取り寄せ、千葉大とかの図鑑とにらめっこし、田舎の自治体が村興しに作っているサイトやおばあちゃんの手作り料理的なブログを読みまくった。ちなみに論文は、押し葉標本の写真と学術名と多少ググったくらいの情報であった。
それでも、上の5種のうち、赤いのは刺身のツマにするトサカノリであると判明。ただし、よく観察すると3種類くらいあるように思われる。色は波に洗われて変わるだろうが、枝分かれとか触った感じも微妙に違うものがある。何をやっても固いままのは諦めた。正体はわからない。
あれこれ調べているうちに大量に見かけるものが隣の州でサルガソと呼ばれている海藻とは別物だとわかり、急遽採集してきた。写真を撮るのを忘れたんだが、オゴノリ じゃないかと思われる。あとこれ。
今回調べて初めてわかったんだが、英語かスペイン語で正体がわかって wiki で調べても、それぞれの海藻の日本語ページはない。あんなに食べるのになぜ?と思ったら、ない理由は「あんなに食べるから」であった。学術名じゃなくて食料品の名前のページになっていて、あくまでも生物植物というくくりで扱っている英語西語の wiki ページと連動していないのである。
こうなったら調理方法を試行錯誤し味見を繰り返すしかない。が、その前にこのオゴノリってのが寒天の代用品らしく、あとスギノリってのは別の種類の凝固酵素?を持つらしく、まずは寒天リベンジである。
同じ株で変色する部分としない部分がある。よくわからん。おまけによく観察したら、同じものだと思って採ってきたんだが、微妙に違う2種類だと思われる。
片方の煮汁は普通に冷蔵庫で固まり、もう片方は常温でガンガン固まった。手作りごはんですよがちょうど切れてたので、茹でた葉(とは言わないんだろうけど)のほうを煮たら、佃煮海苔にならずに固まってしまった。
これはカラギーナンと呼ばれるアガーじゃないかと思う。
それはいいんだが、問題は抽出方法である。日本で工業生産の技術が確立されたとかで、工業生産に関する論文や特許関連資料を読んでみたが、いまいち分からないというか、海辺の村で資金をかけずにできそうな話じゃない。
・・・とりあえずここまで。海藻は奥が深い。ご先祖さんたちは何百年もかけて食べ方を確立してきたのであろうが、できれば1ヶ月くらいで何らかの食料品という形までたどり着きたい。生なのか干すのかそのままか粉末にするのか、オプションがたくさんあるが1つずつトライしていくしかない。
オゴノリ っぽいのはひじきっぽく煮て食べたが、いじるとぶちぶち切れて扱いづらい。洗う手間を考えると感動するほどの味じゃないので、とりあえず保留。もう一種類は生で食べても美味しかったんだが、いかんせんこれしか見つからなかった。
先は長い。続報を待たれよ。