プログレソは、メリダ中心部から40キロ強、ユカタン半島北岸の港町。永住権取得のための領事面接で「どこに住むつもり?」と聞かれたが、おそらく「どうせ日系企業が進出している内陸部の都市のどっかだろう」と想像してたんだと思う。プログレソと答えたらとても喜ばれた。そのくらいマイナーなところ。
海岸沿いにもっと西の方に行くとシサルという港町があるが、そこはエネケンと呼ばれるリュウゼツランを旧大陸へ輸出する拠点となっていた。エネケンでユカタンは稼ぎまくり(といっても先住民はそのための厳しい労働に駆り出された)、もっとメリダに近いところに港が必要になってできたのがプログレソ。1850〜70年代の話。(エネケンとは、シサルという名前からサイザル麻と呼ばれるようになった繊維がとれるリュウゼツラン)
えーと、東京で言うと、方角はぜんぜん違うけど、「メリダが23区、プログレソが横浜、シサルは鎌倉」みたいな存在でしょうか。
で、1930〜40年代に、オランダ資本でプログレソに埠頭が造られた。今も大型クルーズ船が来る。こないだは輸出禁止の木材が日本仕向け船で見つかって摘発されていた。
オカルト好きのメキシコ人友達は、「プログレソ沖にはちょっと前まで島があったが、ある日突然消滅した」と言う。ほんまかいな。ただ、埠頭のせいか波のせいか、海底の砂がどんどん侵食されて、海岸線も後退してきているらしい。
それでもメリダ人は、セマナサンタ(イースターみたいなもんか?)と夏休みには海で過ごすのを楽しみにしている。プログレソから海岸線に沿って小さい町(村)があり、休みでなくとも何かにつけて「プラヤ(ビーチ)に行こう!」と繰り出す。別荘がある人もいれば、そういう別荘を週末だけ借りる人もいる。
メリダからまっすぐプログレソまで自動車道が走っていて、海岸沿いにある他の町に行くのにも、プログレソ手前までこの道を北上する。路面はメキシコクオリティだが、片側4車線、制限速度は90キロ。でも一応一般道なので、なんと人や自転車が横断する。「どこから歩って来た?」というような道端でバスを待ってる人もいるし、自転車こいでる人もいる。暑いのに。。。