La Ermita の記録

メキシコ隠遁生活の私的記録と報告
 @ユカタン半島。

緑地割合

2022年09月30日 | 設備/外構/庭

メキシコの環境保護政策は厳しい。というか、他のことも同じなんだが、庶民にわかりやすくウケやすい決まりを作りがちで、かつ議会で「ダメー!」と決まるのもすごく早い。リサイクル!エコ!人権!的な話は、世にウケるものをさっさと決めていく。日本みたいに諸事情を検討して…なんて悠長なことは言わない。しっかり守られなくてもそれがデフォなんで、構わないのである。

で、温暖化がらみ&自然を大切に…で、環境保護目的でいろんなことが決まっている。その1つに、「海岸線から20キロ以内の地域での開発申請は、敷地の40%までが緑地のままでなければならず、かつ海岸植物が植わっていなければならない」という規則がある。規則自体は連邦のもので以前からあるそうだが、おそらく適用や細かいチェックは申請を受理する自治体に任せられている。

先日、隣の空き地(プールの隣家とは逆側の藪)を買ったアメリカ人のおばさんが建築士と一緒に、開発許可(ここは建設許可とひとまとめ)申請のための計画を作りに来た。自分とこの敷地は草ボーボー、サボテンもあるし木も伸び放題で踏み入って行けるところが限られているので、いつもうちの脇からアクセスさせてと言ってくる。

 緑地(おばさんの言葉でアンタッチャブル)部分の印。

見辛いですが、赤いテープで囲ってある。一緒に連れてきたワーカーが草をかき分けて作業している間、おばさんが海岸植物のリストを見せてくれた。学術名で全然わからないが要はこのへんに生えている植物で、そのまま残す分にはまったくOK。

だが、引退外人の典型的な「憧れのビーチフロント」というのはプールの周りに白い砂入れて木は椰子だけ…なので、ほとんどが苦労する。ユカタンの生態は、そういうんじゃない。カンクンも、今の姿は人工ですから。

おばさんは我々と同じくどっちかというと自然なほうがが好きなんだそうだが、さすがにボーボーは困る。で、ある程度は切り倒すとなると、代わりにその海岸植物のリストにある何かを新たに植えなければならないらしい。

40%の部分を残さないと罰金で、それも重機を入れてガーッと…みたいなことをすると百万ペソだという。ほんとかな。まぁユカタンは犯罪が少ない分、交通警察とかそういうことには厳しいんで、まんざら嘘でもないだろう。

 使用禁止(現場いじるのも禁止)の看板

最近プログレソで、ビーチを清掃していた市民グループが景観が変わったことに気づいて「この家、木切ってる!」とお上に訴えた結果、裁判所命令が出された。以前は地を這うように伸びる海岸植物が生えていたのが、つんつるてんの砂浜にしてあったらしい。3軒の貸別荘に罰金と使用(営業)禁止令。うちの近くでも、この張り紙をよく見る。

ちなみに運用強化以前の建設には適用されない。うちはOK(それどころか開発申請なしで建てたが、市役所による土地利用状況のアップデートというか、現状確認をしたので、既成事実になった。今じゃ考えられない、古き良きメキシコ)

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別に上の話と関係ないんだが、門扉というか、印を新設。

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 近くで見るとこう。

なんだかよく分からないが、隣家が松を切り倒したときにもらっておいたのを使って、相棒がオブジェを作った。

家の前の小道が袋小路なんだが、その先のエアビーが小道を私有地化していてUターンするスペースがないので、だいたいうちとうちの向かいのあたりの広いところまでバックしてくる。別に何度か切り返すくらい構わないんだが、あまり重い車が入ると地面が下がる(ハリケーンの時に水たまりになりやすい)し、ついでに木を傷つけたりもう1つのオブジェにぶつけたりするので、「入りにくそう」にした。

ただでさえ人が増えてうざったいので、自分とこ近辺でいろいろ対策したり、周りがつるっ禿げになっても我が家だけは緑が残るように、日々努力を怠らない。

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 隣村の桟橋のあたり。

フロリダに被害をもたらしたハリケーンは、キューバから北上してここには来なかったが、いまだに家の中にいても波の音が聞こえる。普段だと風が強い夜くらいにしか聞こえない。何かあっても嫌なので泳ぎに行ってなかったが、禁断症状というか、どんな感じかなと思って、隣村の植木屋を除くついでに桟橋へ。

見てください、この小さい波。これで海岸から100メートル離れてるうちで音がする。どれだけ障害物がないか。

ただ、普段はここの白波は、高いときでもせいぜい横に3メートルくらいの幅でなのが、一線に並んで寄せている。これはやっぱりハリケーンの影響だと思う。

ハリケーン後の隣村の桟橋。後半、遠くに貨物船とクルーズ船のターミナルが見える。

スペイン人がユカタン半島を無視した理由

2022年09月26日 | ユカタン諸々

FBのグループや地元のワッツアップグループなどで見聞きしたことや、興味を持って少し調べてわかった文化ネタと歴史ネタをちらほら。(ハリケーンシーズンに備えてスス払いとか壁拭きなどの大掃除しかしてないので、ほとんど外出してない。あと、最近蚊がすごくて家のすぐ外にさえ出たくない。)

 スペイン人のルート。

メキシコ人に一番嫌われてるのがエルナン・コルテスだが、彼のルートがこちら。長年の謎。

 右が大西洋でスペインはそっちから来た(念のため)

で、キューバのハバナから、まずはユカタン半島西岸へ。これはわかる。で、なぜ北岸を無視してオレンジ色のとこまで行ったのか。これが謎だった。陸路を行かないにしろ、今我々が住んでいるあたりは?と思っていたのである。

最近、当時の(といってもコルテスの40年くらい後)宣教師が書いたユカタンレポートみたいのを見つけて読んだら、なんと「山がないので、海上から何も見えず気づかなかった」と書いてあった! 上の図では少し北に回っているのが気になるが、それは簡略図だからというか、まぁどうせ誰にも(行った本人たちにも)正確なルートはわからないのであろう。とにかく、確かにこの辺は真っ平らである。

 地平線。

メリダ - プログレソ自動車道からうちの村へ向かうバイパスに出る立体交差からの Google 先生だが、マジで目の前に広がる何もない大地はすごい。初めて来た人はみんな感動する。この写真でほんの30度くらい。360度、真っ平ら。

 海抜。

メリダ10メートル、プログレソなんかゼロ(それもセンチ表記)!

 半島の地形。

半島の中心部で多少高くなっている緑の部分は、有名なウシュマル遺跡の少し南で、一番標高が高いところで210メートル。半島の付け根の西側、くびれたところからさらに西にシエラマドレ山脈があって最高点は3300メートルを超える。山が一番メキシコ湾に迫ってるところがベラクルスで、そりゃぁスペイン人もそこ目指して行くだろう。謎が解けてよかった。

いやー、気がつかなかったのが理由だとは気がつかなかった。

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 マヤの少女

持っている本の題が『母語(である)スペイン語』で、スペイン語は母語じゃない!と文化グループで大きな議論になっていた。ちなみに母国語って言い方はあまりしないそうですよ、奥さん。

マヤ語をおろそかにしている、という議論。意見を集約すると、①(連邦)政府の施策が悪い、②(州)政府の方針は間違っていないが実行できてない、③悪いのはコンプレックスを感じている親。

①についてはいろいろ情報があるが、要は独立後の結束を狙って「みんなメキシコ人(民族間でゴタゴタ言わない)!」という政策がとられてきたことを批判している。②は、他の州同様、先住民文化を大切にしようという姿勢は明らかだが、一時すべての公立学校でマヤ語の授業があったのが必須じゃなくなった。授業がある学校がだんだん減っている。メリダの友達も、自分が通った小学校では今はないと話していた。③がなかなか興味深い。メキシコの他の地域に比べて先住民文化への誇りが大きいとなんとなく感じているが、やはり子供にはマヤ語の前にきちんとスペイン語を…と考える親が多い。気持ちはわかる、当たり前ったら当たり前。

田舎の公立小学校教員をしている知り合いによると、父兄とは生徒の通訳を通して面談していたらしい。そのバイリンガル世代がだんだん育ってきて街へ出ると、ほとんどマヤ語は使わなくなる。その子供世代になると話せない…という流れである。方言を話す人が高齢化してだんだん減ってる程度の話なら日本でもよく聞くが、ここでは侵略という歴史があるため、なかなか複雑だ。

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後は細かい話なんで、写真だけで。

 イィス・ワァハ 。

新米ならぬ初物トウモロコシで作るトルティーヤ。ニシュタマルというアルカリ化プロセスなしで粉にして水と混ぜて焼く。タコスにしないでおやつみたいに食べるらしい。

 昔はユカタンに鉄道が通っていた。

F. C. U. というのはユカタン鉄道連合のことで、当時の貨車にそのロゴが入っている。駅での写真は多いけど、ロゴが写り込んだ写真は珍しい。F. C. U. は 1968年に(メキシコ)南部鉄道連合に入って組織解散した。まぁ、いつの世もユカタン州は我が道を行きたがる。

 トルタ・デ・キビ

キビはこちら。写真はユカタン政府が作ったプロモーション画像。で、キビはユカタン名物なんだが、パンに挟んだトルタ・デ・キビもそうか?と議論になっていた。言われてみれば、メリダではキビだけを売っていた。トルタがあるのはプログレソだけ。

意見①トルタ・デ・キビは既にユカタン名物になった、②あくまでプログレソ名物、③そもそもレバノン料理なんだから不毛な議論。えーと、どっちでもいいです。わたしは焼きそばパンとかポテサラ・サンドとか嫌いなんで、キビだけの方が好き。


チャヤが枯れた

2022年09月17日 | ユカタン諸々

  完全に死亡。

村の友だちに枝を3本もらったのを挿し木したが、最後の一本(一番大きかったやつ)も枯れてしまった。内陸で土もいい州南部からじゃなくて村の木だったら大丈夫かと思ったが、彼が住んでいるのは村の中心部でうちほど潮風が直撃しない。ラグーンに近いので土も多少違うと思う(うちは貝殻混じりの砂)。

 ちなみに隣家のバナナ。

メリダの自宅では増えて増えて困ると言ってたのに、こちらもこんな調子でてっぺんから出る新しい葉以外、いつもすぐ枯れる。ここも、多少はうちが風よけになるとはいえ風通し自体はいいところで、やっぱり潮風が直撃する。

今見たら、チャヤの枝をもらったのは、去年の4月であった。去年中に2本枯れて、残った1本で葉が小さいまま育たなくなったのが今年の春。蟻対策、イグアナ対策といろいろしたけどダメだった。残念。相棒は、また機会があったらもらってきて、改良した土を入れた植木鉢で再度トライすると言っている。

 こちらは元気なヤシ。

うちの斜向かいの空き地というかジャングルで、「村中を回って採ってもよさそうなところで採る」人たちがときどき回ってくる。彼らにとっては赤の他人の土地なんだが、放ってある土地なんだから構わない。ピックアップじゃなくて歩いてきたのでそうと気付かず、むむっ泥棒の下調べか?と見ていたら、前にも来たお兄ちゃんたちだった。毎回「ジャングルだから、いいよね?いいよね?」と許可をもらいたがるんだが、我々にとっても赤の他人の土地(放ってあって、地主を見たことがない)である。「我々は何も言いません」と答えるものの、周りをうろちょろして、彼らが採った実のおこぼれをもらう。

引退外人の中には、文句を言う人がいる。ジャングルでも誰かの土地なのにという理屈だが、最近住み始めた移住組には、鬼の首を取ったように外人グループで報告する人もいる。

でもだいたい古参に「ここはメキシコなんだから我々は黙っているべき」とか、「それで村の経済が回ってるんだから」とか、「彼らがいなかったらヤシの木の手入れに金を払わなければならない」とか総攻撃に遭う。そのとおりだが、うちは窓に鉄格子を入れてないので、ハリケーンのときあの重い実が飛んでこないようにどんどん採ってもらったほうがいいのである。

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続いて、ユカタンに生息する動物について。

 ハナグマの赤ちゃんを肩に乗せた青年。

これは内陸部の村だが、プログレソの東側のちょっと内陸寄りのところにもいる。ハナグマ注意の道路標識もある。

ハナグマは、スペイン語ではテホンで、あとピソテとも呼ばれるが、ここではモノ(猿)と言う人が結構いる。ハナグマは作物を荒らすので嫌われていて、それはユカタン内では一般常識なんだが、もぐらというかネズミみたいな動物ですごく似ているのがいて、そちらはどちらかというと獲ったり殺したりしてはいけないらしい。理由はおそらく絶滅危惧関連。区別をするために、そのネズミは「キツネ」、ハナグマは「サル」と呼び分けるらしい。

メリダ人が「赤ちゃんハナグマ、可愛い」と騒ぎ、それに対して「作物を荒らすサルをペットにするとは何事だ」などなど、FB で議論を呼んでいた。

 

 ラグーンの生物たち。

エビを1キロ買ったら混ざっていた。

 

 怪我した亀を運ぶ専門家。

ビーチで見つかって、エコ警察がレスキューした。獣医のところへ連れていって、そのあとは「リハビリ」だという。まぁ、専門家がいるんだろうけど、リハビリってどうやってするのか興味ある。

よく見ると、この板、よくできている。亀専門の担架だろうか。重そう。

相棒が蟻避け/イグアナ避けを作ったところ

最近のプログレソ市警

2022年09月08日 | ユカタン諸々

 「逮捕の仕方」講習。

市警内講習。日本やアメリカの警察ドラマを見慣れていると、なんとも気が抜けた様子だが、それがいい。

 警察犬、 Togo 君。

ユカタン州公安省の警察犬部隊は、米軍に倣ってK9というらしい。日本人だと脳内で「ケー・ナイン」と聞こえるでしょうが、ここはスペイン語なので「カー・ヌエべ」です。ヌエべはともかく、カー(カラスがカァw)。話はずれるが、このせいであのかっこいい山は「カードス」だし、U2は「ウードス」というマヌケっぷり。

で、そのK9からプログレソ市警に配属された Togo 君。かっこいい。以後、東郷くんと呼ぶ。

 うちの村で起きた逮捕劇。(c) Marea Roja

村で逮捕沙汰がまったくないというわけではないんだが、これは奮っている。お縄になったのは、地元の女の子と、プログレソの青年と、彼らに黒魔術を施していたキューバ人2人の計4人。家族とその他の住民が騒いで、何かを埋めた痕から鶏の死骸を発見し、警察に通報。

おそらく、住民たちはただ捕まえろと通報したんだと思う。家族は、この辺だと誰もがそうなようにカトリックなんで、娘を助けてと訴えたとかそうじゃないとか。日本でも家族が…って話で持ちきりですね。

それはともかく、この場所はマングローブのラグーンのそばだが単なる未開なエリアで、特に保護区域とかになってるわけじゃないので不法侵入では取り締まれない。最終的に、動物虐待でしょっぴかれた。

ユカタン以外では警察のめちゃくちゃぶりを見聞きする。どこまで本当か知らないが、交通違反チケットを避けるには賄賂…程度のことなら日常茶飯事らしい。なので、ユカタンの警察、真っ当じゃんという印象をよく受ける。

ってか、警察はフツーに仕事してて大変よろしいんだが、黒魔術って。。。実は、あたしは個人的にカトリックというだけで(プロテスタントじゃなくて)、頭のてっぺんだけ剃った神職者の時代の話や映画エクソシストや、スペインの三角帽子の祭りとかのイメージが強くて、少し怖い。でもここはフツーにカトリック。マヤには生贄文化もあるし、黒魔術というものにそんな過剰反応をするんだ!と思ったんだが、こっちの人だとネズミ講に引っかかった…みたいな被害感情なんだろうか。その辺は聞いてみないとわからないけど、田舎の人ってのは比較対象を知らないために表現に限りがあって、聞いてもおそらくわからない。まぁ、宗教の話は余程の間柄でないかぎり、しないにこしたことない。

 

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 プログレソの郵便局。

局員は一人しかいない。客もいない。宅配業者におされてもう誰も郵便なんか使わないけど、国としてなくすわけにはいかないってとこだろうか。

一時は郵便物は村役場までは来ていて、連絡などは一切ないが心当たりがあれば役場に探しに行く方式だったが、いつの間にか終わって、プログレソまでしか来ないスタイルに戻った。我々はハナから信用していないので、アマゾンジャパン以外、日本から何か送ってもらうことは一切しない。アマゾンも、外人仲間からきちんと届くと聞くまでは、メリダの友人宅宛で買っていた。メキシコ在住日本人の話を聞いていると、EMSでさえそのときそのときで結果が違うようで、要は問題はメキシコ国内である。

ちなみに今回受け取ったのは、アメリカの店から通販で買ったもので、USPS アメリカ郵便でしょうか?で送られた物。郵便局の隅の方に、箱が2つ置いてあって、1つはうちの村、もう1つは隣村宛であった。ほとんどの郵便物がアメリカから。中にはカードっぽいものもあり、まだ昔ながらの方法を好む人いるのは日本の年賀状と同じ。

 

 1階の屋根から見た海のぶどうの木。

もう低いところのは採り尽くしたんで、どうかなと思ったが、いまいち手が届かず。無念。プールは隣家の。

 ユカタンのアボカド。でかい。

味は、日本でおなじみの種類よりちょっと薄いというか、甘いというか。メキシコ料理にはいまいちだが、他の料理には逆に使いやすい。

 アノナとグアヤバ。

アノナは、チェリモヤなんだが、ここユカタンではチェモヤといえばメキシコにある種類で、チェモヤといえば日本で馴染みのある東南アジア産のタイプ(売ってないけど、違いを説明するページによると)、アノナといえば、ユカタンにある種類である。ただし、わかって言い分けている人ばかりとは限らない。各々の味の違いを説明したいが、東南アジア産なんか食べたのずいぶん前なんで、よく覚えていません、すみません。アノナより甘かったような気もするが、果物って個体差あるんで、そうとは言い切れない。

ここではジュースかシャーベットにする。

グアヤバというのはまぁグアバなんだろうけど、メキシコのは形も色も種の大きさも違う。黄色いのがそうです。こちらもジュースにすることが多い。すごく美味しい。