メキシコの環境保護政策は厳しい。というか、他のことも同じなんだが、庶民にわかりやすくウケやすい決まりを作りがちで、かつ議会で「ダメー!」と決まるのもすごく早い。リサイクル!エコ!人権!的な話は、世にウケるものをさっさと決めていく。日本みたいに諸事情を検討して…なんて悠長なことは言わない。しっかり守られなくてもそれがデフォなんで、構わないのである。
で、温暖化がらみ&自然を大切に…で、環境保護目的でいろんなことが決まっている。その1つに、「海岸線から20キロ以内の地域での開発申請は、敷地の40%までが緑地のままでなければならず、かつ海岸植物が植わっていなければならない」という規則がある。規則自体は連邦のもので以前からあるそうだが、おそらく適用や細かいチェックは申請を受理する自治体に任せられている。
先日、隣の空き地(プールの隣家とは逆側の藪)を買ったアメリカ人のおばさんが建築士と一緒に、開発許可(ここは建設許可とひとまとめ)申請のための計画を作りに来た。自分とこの敷地は草ボーボー、サボテンもあるし木も伸び放題で踏み入って行けるところが限られているので、いつもうちの脇からアクセスさせてと言ってくる。
見辛いですが、赤いテープで囲ってある。一緒に連れてきたワーカーが草をかき分けて作業している間、おばさんが海岸植物のリストを見せてくれた。学術名で全然わからないが要はこのへんに生えている植物で、そのまま残す分にはまったくOK。
だが、引退外人の典型的な「憧れのビーチフロント」というのはプールの周りに白い砂入れて木は椰子だけ…なので、ほとんどが苦労する。ユカタンの生態は、そういうんじゃない。カンクンも、今の姿は人工ですから。
おばさんは我々と同じくどっちかというと自然なほうがが好きなんだそうだが、さすがにボーボーは困る。で、ある程度は切り倒すとなると、代わりにその海岸植物のリストにある何かを新たに植えなければならないらしい。
40%の部分を残さないと罰金で、それも重機を入れてガーッと…みたいなことをすると百万ペソだという。ほんとかな。まぁユカタンは犯罪が少ない分、交通警察とかそういうことには厳しいんで、まんざら嘘でもないだろう。
最近プログレソで、ビーチを清掃していた市民グループが景観が変わったことに気づいて「この家、木切ってる!」とお上に訴えた結果、裁判所命令が出された。以前は地を這うように伸びる海岸植物が生えていたのが、つんつるてんの砂浜にしてあったらしい。3軒の貸別荘に罰金と使用(営業)禁止令。うちの近くでも、この張り紙をよく見る。
ちなみに運用強化以前の建設には適用されない。うちはOK(それどころか開発申請なしで建てたが、市役所による土地利用状況のアップデートというか、現状確認をしたので、既成事実になった。今じゃ考えられない、古き良きメキシコ)
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別に上の話と関係ないんだが、門扉というか、印を新設。
なんだかよく分からないが、隣家が松を切り倒したときにもらっておいたのを使って、相棒がオブジェを作った。
家の前の小道が袋小路なんだが、その先のエアビーが小道を私有地化していてUターンするスペースがないので、だいたいうちとうちの向かいのあたりの広いところまでバックしてくる。別に何度か切り返すくらい構わないんだが、あまり重い車が入ると地面が下がる(ハリケーンの時に水たまりになりやすい)し、ついでに木を傷つけたりもう1つのオブジェにぶつけたりするので、「入りにくそう」にした。
ただでさえ人が増えてうざったいので、自分とこ近辺でいろいろ対策したり、周りがつるっ禿げになっても我が家だけは緑が残るように、日々努力を怠らない。
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フロリダに被害をもたらしたハリケーンは、キューバから北上してここには来なかったが、いまだに家の中にいても波の音が聞こえる。普段だと風が強い夜くらいにしか聞こえない。何かあっても嫌なので泳ぎに行ってなかったが、禁断症状というか、どんな感じかなと思って、隣村の植木屋を除くついでに桟橋へ。
見てください、この小さい波。これで海岸から100メートル離れてるうちで音がする。どれだけ障害物がないか。
ただ、普段はここの白波は、高いときでもせいぜい横に3メートルくらいの幅でなのが、一線に並んで寄せている。これはやっぱりハリケーンの影響だと思う。
ハリケーン後の隣村の桟橋。後半、遠くに貨物船とクルーズ船のターミナルが見える。