まだ完璧とは言えないが家の建設そのものに関係する諸々はほぼ片付いたので、総まとめをしておく。
ちなみに設備外構建具以外、基本的に発注すれば全部建てててくれる、日本でいう大工さんみたいな人をアルバニィエルという。工法が違うので、用語的には組積工になる。
まず前提として、海辺の村の家はLさんに全面的に面倒を見てもらった。Lさんは、メキシコへ来て初めてできた友達で、ちょうど土建屋で、かつ当時は連邦の与党の知事が公共工事を地元ユカタンの業者でなく中央の会社にばかり発注していたのでユカタンは不況で暇していた。子供の頃からアルバニィエルのお父さんを手伝っていて、そのまま独立(当時は資格なし)したが、立場としてはアルバニィエルのチームを監督するエンジニアである。そのとき毎日のように現場に行って見学し、家が建った後も他の現場を見せてもらった。
その後、うちの周りで新築工事が始まるたびに、行って監督やアルバニィエルたちと仲良くなっていろいろ見せてもらったりした。最後は隣地の米人おばさんの現場に張り付いて観察した。すべて、現場監督の下にアルバニィエルのチームというスタイルである。
この村には大学で建築を専攻した(資格ありとほぼ同意語)人はいない。地元には工業高校があるが、建築士や監督でなくアルバニィエルとして働くための知識を学ぶ。学校で教育を全く受けずに現場で経験を積んだり、基本的に農業に従事してるがしょっちゅう現場を手伝ったりして、今ではベテランという人もいる。
というか、そもそもこのあたりでは建築士の出番があるような家はない。ヒルベルトに「建てる人を誰か」と相談したときも、何の疑問もなくアルバニィエルの親方を紹介してくれたし。
最近になって、ようやくメリダかどこかの設計事務所が作ったオサレな建売程度の設計の家がポツポツ増えてきたが、遠いので設計事務所はうちの親方みたいな「元請けになることに慣れている」アルバニィエルに丸投げする。
そういうわけで今回の新築にあたり、現場監督という立場で動く人間もほしかったが、この辺にはいないし、Lさんは井戸掘り屋として忙しく飛び回っているし、メリダで雇ったら高い移動費を請求されそうなので、監督はなしにした。…長かったけどここまで前提。
まず困惑したのは、この辺の村の発注スタイルである。ある程度の金ができたら、それで出来る分だけ仕事してもらう。基礎までだったり、壁までだったり、屋根までだったり、内外壁下地までだったり。頼んだ分の工事が終わると、人によって「金ができたらまた連絡する」とか「米国に行ってる息子からいついつ金が入るんで、それまで工事は一時中止」となる。メキシコではオブラ・ネグラ(未完成家屋)として珍しい話ではないが、この辺ではこれがデフォ。アルバニィエルはそういう現場をいくつか同時に抱えて、あっち行ってこっち行ってまたあっちに戻って…なんてことを繰り返す。一軒竣工したら次の現場…じゃないのである。
これを知らなかったので、うちの基礎掘りが始まって10数名が来たとき、こんなに大勢なら海辺の家より早く終わるかも…などと期待し、途中で一部が別の現場に行っていると知ったときはストレスを溜めた。
そして今思えば「金ができたら」スタイルでは、内外壁の下地(我々のいうペチペチ)が終わって最低限住める家ができると、ここまででいいやと考える人間が多い。金を惜しんだり、自分たちでやる(ペンキぐらい塗る)気になったり、面倒だからそのまま住んでしまったり。もっと言えば、最低限住める家なんで、そもそもそれで完成でいいと考える人間も多い。ヒルベルトんちも下地まで。
壁と屋根があって炊事用の蛇口がどこかにあってトイレがあれば、住める家。(でなければマヤの家…というのが、この辺の住宅事情)。
そうなると、アルバニィエル達にとって「躯体ができた後の細かいことはおまけ」になる。実際その頃になると設備屋や建具屋が入り、一度やったところに開いた穴を埋めるとか細かいことを直すといった作業が増えてくる。当然、士気は上がらない。がさつな田舎の土建屋にとって、もろ力仕事である基礎や棟上げなどと比べると、つまらない仕事なのである。
田舎の…ついでに、もうひとつ気づいたことがある。うちの親方に限らず、この辺のアルバニィエルは自分達の仕事をしょっちゅう自画自賛する。だいたいFBに、「素晴らしい出来」だの「人生で大事なのはしっかり働くこと」だの「汗水流して働くことの尊さ」だの「建築士には分からない、人としての価値」だの、己の誇りを再認識し合うためのフレーズを現場の写真とともに載せる。どんな職業でも自分の仕事に誇りを持つのはいいことだが、他の地域では「我々はいい仕事をしまっせ」ともっと営業目的の表現になる。ここではもっと人生がらみ、格言みたいな感じ。各々が自画自賛し、仲間とその家族が全員でいいね!するので、仕事がらみの投稿(現場写真)にはどえらい数のいいね!がつく。
マヤ人も「ユカタンの田舎者」もアルバニィエルという職業も、下に見られることが多い。本当は、昨今のポリコレ風潮で面と向かってバカにされることは減ってきているだろうし、そもそもこんな僻地にいれば直接バカにされる機会もない。が、下に見られる人間であるという認識を彼ら自身が持っていて、たとえ仲間内だけであろうとそれに反発する発言を繰り返して己を鼓舞するのである。
我々の現場の場合、設備がらみや仕上げの細かさ(曲がってたらダメ、揃ってなかったらダメ、色が違ったらダメ、etc)など、「つまらない仕事」の段階で「施主からの要望」がどんと増えたことになる。
施主からの要望とはいえ、我々からしてみれば海辺の村での暮らしを踏まえて元から考えていたことだから発注時に親方には話してある。やった経験が設備屋にないと後から知った仕様も、親方には最初から伝えてある。彼らにとって「この辺の家ではしない作業」だと分かり始めていちいち確認するようになったんで、なおさらうるさく感じたかもしれない。
「えー!?、親方に言ってあったのに…」という我々の反応が増え、常日頃自画自賛し合ってる自信満々チームの面々にとっては、ムカッとくることがしばしばあったんではなかろうか。中には分かりやすい人もいるんでw、もちろん尋ね方言い方には気を使ったんだが、こっちもメキシコでの2軒目の家となれば「よしとする」わけにはいかないことも多い。
その上、地面に棒っ杭埋めて葉っぱで屋根を葺いた家に今でも住んでいる人たちである。衛生観念が違うのも大きい。工事品質以前に、水が染み込むこと自体に何の問題も感じないとか。
あとはまぁ、マヤ人って半島内で自給自足してきた人達なんで、ありすぎて売ったら儲かったとかなくて困ったという経験がない。余った食べ物はそこらへ捨てておけば肥やしになる。建設現場に限らず、あまり物を大切に扱わないのはそこから来ると思う。もったいない精神の日本人には、見てるだけでストレスになった。
結論を言うと、万事日本のような高品質を望めないのは当然だが、メキシコはOECDの一員だし、まぁまぁの都会もあるし、最近はガイジンも増えてきたし…と、「大丈夫だろう」と思ったのがいけなかった。ユカタンの田舎の土建屋のレベルを過信していた。彼らが悪いとかそういうことじゃない。まぁ、2日で終わらせると「約束」したのを破ったのは、メキシコ人が聞いてもよろしくないことだろうが、作業員全員、日本語で言う「悪い人間ではないんだけどね〜」なのは確か。
単純に、無理だったんだと思う。どこか発展途上国のまだ近代化されていない村で、高機能住宅や高級ホテルや最新工場などを村人だけで造れといってもできないのと同じ。いや、我々の家はそんな大層なものじゃない。が、最先端じゃなくて彼らが出来るよりほんの少し上なだけのレベルだろうと、できないものはできないのである。
ほんの少し上ならこの機会に勉強してやってみるってことはしない。勉強しないどころか、分からないんで無視を決め込み、いつまでたっても完成しなかったり酷いときは違うことをしていた。抑圧され続けてきた時代とそれへの反発という、歴史的背景と関係するかもしれない。頑張ったって難題が多すぎるという、地理的ハンディから来るのかもしれない。建築に限った話じゃないので、おいおい観察していくつもり。
恐るべし、ディープ・マヤ。日本人、平和ボケならぬ高品質ボケ。
ーーー
お風呂にドアつけました。重かったですw。
いい加減、新築カテゴリから離れたいが、相変わらず「普通の暮らしの中で少し変えたいこと」レベルでなく「まだ不便」なことを片付け続けている。
ってか、水道管工事の不具合をまずは直す。とにかくこうなるようにしてほしいと言ったことを(電気も含めて)無視して、できることをできるようにだけしてある。工事中に気づいて問いただしたり指摘したところも、蓋を開けたら説明が嘘だったとか確認した通りしてなかったとか…(涙)
まずは水道管(水道じゃなくて井戸→タンクからの給水管ですが)の漏れ(前の記事のマンゴーの芽のとこ)を直す。1本になったのは、この下流の配管を変えるため。
そもそもキッチンと浴室まわりの2ルートに分ける必要はなかったんだが、将来シャワー圧を増やしたいときポンプをかませるようにと頼んだのを「こうした」というので「ハイそうですか」と思ってたが、嘘だった。途中、ポンプも買ってつけてみたんだが、うまく水圧が上がらない。なんでだ?といろいろやってみて(ポンプの馬力を考えたりもした)、アレ?だからこういう不具合が出るのか?などと試行錯誤したところ、どうやらキッチンカウンターの下にかますポンプへのルートがおかしい。理屈に合ってない。
この設備屋は、市の水道管から低い屋根の上にあるタンクに上げるポンプくらいしか施工したことなかったのであろう。農業の散水用とか、うちみたいな井戸(役所の工事)とか、ポンプにもいろいろあるにはあるんですけどね。まぁ、引き方自体は単純か。ホント、分からないなら聞いてほしかった。2、3日無駄にした。疲れたし。
もう家が建った後で、キッチンカウンター下部にポンプを置くには床や壁を壊さなければならないので、あとで給湯器辺りにかますことにした。
引っ越したらすぐ外に干したくなるよと相棒に言ってあったが、作業員追い出しのごたごたで生じた余計なことのため手が回らず、これから設置。そもそも棒っくいを立てて紐でも結わけば済むものを、我々も貧乏性で大量に余った鉄筋を利用しようとするもんだから、いちいち大変なことになるw。まあ、丈夫でいいです。置いといても困るし。
「まだ不便なこと」は他にもあって、
- トイレットペーパーのホルダーなど買ってあった小物やタオルや布巾を引っ掛ける物や調味料を置く小さい棚などの取り付け
- 建設中のチリやホコリや飛び散ったセメントなどで滑らかに動かなくなってしまった窓サッシの掃除
- 新しく買った棚の組み立て
- 浴室のドアの取り付け
- モップシンクの蛇口と排水口
などなど。ああ、細かい。でもって、なんでこんなに大変な気がするかというと、理由は3つ。新築工事に入っているはずだったという不満と、ブロック造では付けるのにいちいちドリルで壁に穴を開けて専用ネジを締めなければならないのと、入手が面倒なためです。
「さすがにこういう建設金物みたいなのでなくちゃんとした小物を…」となると、メリダに行って探すかアマゾンで買わなければならない。それも、日本だったら百均で事足りるような物なのに、なかなか見つからなかったり高かったり。便利系の物の充実度が違いすぎる。前の海辺の村の新築でも同じだった…というか、メキシコの田舎なら日常的にそうなんだが、これだけアレコレいろいろあると、本当に面倒だ。
おまけに、頼りのアマゾンも大して頼りにならない。メリダあちこち見て回るより探すこと自体はラクだが、日本のアマゾンや日本のアマゾンの配送とは違いすぎる。違うのは分かってたが、多少時間がかかったり何時に来るか分からなくても、どうせずっと家で作業しているので問題はない。困るのは「来ると思ってたら、10日後に来ないと確定した」といった物で、Fedex の配送票だけ作って肝心の荷物を持ち込まず、アマゾンが「売り手は送付済み、問題は Fedex にあり」の一点張りとか。
メキシコではこの手の問題が持ち上がると、問い合わせルートがなかったり(見栄えだけはいいHPなんかざら)、無視されて一切返答なしなんてことが平気で起こる。まぁ、それも日常的にそうで分かってたことなんだが、しつこいけど、「これだけアレコレいろいろあると本当に面倒」なんですよ。
唯一うまくいったチュクム。バタバタして水切りの溝とか「落ちにくい」感のための縁とか一切忘れてたんだが、使った後ただ置いておくだけで、すっきりと水が切れるし滑って落ちたりもしない。ところで石鹸って、すぐ乾くとこういう形で減っていくのか? 四角いまま薄くなってきてビスケットですw。
もっときれいに撮れないのが悔しいw。
撮り忘れたと思っていた写真があったので、少し遡ります。先日の記事に足しておいたので、この部分は後から消す。新しいことはその下に。
ーーここからーー
乾くともう少し白くなる。ちなみに、20キロの専用セメント3袋と18リットルのチュクム液タンク1つのワンセットで買うのが便利。チュクム液は、表面仕上げに吹き付けたりするので、混ぜ合わせる必要な分より多めになっている。腕にもよるがw、1セットで10平米くらい塗れる。糊は、1セット分に合う量のボトルで売られている。
家中に粉が飛び散って掃除が大変だったが、快適な風呂には変えられない。
グラインドをかけた面だけでなく、最後の最後に作った排水トラップの中も念入りにキレイにする。ちなみに、設備工事がひどくて施工中に出たゴミが結構パイプの中に残っていて、他のところも蛇口がすぐ詰まったりして大変だった。この後、栓をつけておしまい。
ーーここまでーー
風呂に関しては、とにかく苦労した甲斐があった。チュクムの足裏の気持ちよさだけでなく、日本から取り寄せたTOTOの混合栓にも感動している。シャワーと蛇口の切り替えの間にある「止める」に合わせると微かに聞こえるカチッという音、カチッという感触。あれ、日本にいた頃は気にしたことなかったが、感動ものです。こっちはカチッがない原始的な物でさえ結構すぐ壊れるし、漏れがないなどの心配をしなければならない。が、ほんの少しのことで、快適さ便利さ安心感が違う…というのは、日本の十八番ですね。マヤ人が体験したら、ほしいと思うんだろうか?
で、チュクムは浴室以外にも使えて便利だった。海辺の家の経験から、家の中でなるべく木材を使いたくない。喰われにくい木材がない上に防虫加工がいい加減なので、シロアリのリスクが半端ない。が、プラやPVC素材も、高い割にこの品質?というものが多くて使う気にならない。施工もそうだが、材料の製造にも難があると思われる。
左官仕事の練習台にもできたし、ほしいサイズにするためのちょっとした隙間埋めとか、親方チームの仕事を待っていてはキリがないもの(最後の方には、避けたいので伸ばし伸ばしにしてるとしか思えないとストレスを溜めたもの)など、全部チュクムで仕上げた。
この後、作ってなかった(パイプが刺さってるだけで穴が空いてなかった)排水溝を作って完成。大型で使いやすい。
カウンター面に大きいタイルを貼った奥と、側面。奥は、特に流しの奥など水が跳ねて掃除が面倒なところにバッチリだった。塗れてもすぐ乾く。それに加えてなめらかだけど滑らないという性質で、少しだけ余ったチュクムで石鹸受けを作ってみたんだが、これも正解だった。ヌルヌルしないようにどうやって水を切るかとか形の心配もないし、ヌルヌルしないんで石鹸が妙に減っていくこともない。
…というわけで、チュクムを使ったのは面白い体験、かつ大成功であった。マヤの素材、自然と共生するマヤのどうのこうのとオサレな住宅などで持て囃されているが、肝心のマヤの…の部分がイマイチ分からない。一体いつどこで使われていたのか。「多分昔モルタルを作るのに」と言う人がいるが、ピラミッドなどだろうか。それに、スペイン侵攻以降、どうやって生き残ってきたのか? 一旦忘れられて、マヤブルーの顔料のように復活させた人がいるのか? それとも細々と使い続けられてきたのか。今後、暇になったらこの辺の疑問をクリアにしたい。
あ、あと、最近読んだ記事には、保温性もあると書かれていた。気泡みたいなもののおかげだろうか。それこそお風呂にぴったりじゃないか。日本人にどのくらいもつのかと聞かれたが、そもそも耐久性は普通のモルタルより高いというのがウリである。素人の施工でも大丈夫かw、そのへんは今後の楽しみとする。
残念ながら、人気が出て人工物が増えただけで、本格的なチュクムの製造業者が増えたという話は聞かない。中にはヨーロッパまで送ってくれと言って買う人もいるらしいが、重いものだし輸送量が半端じゃないと思う。ユカタン半島で開発が進むせいで、生えている木も減っているらしい。エネケン(サイザル麻)といい建材としてのポテンシャルが高いんで、是非ともユカタンの企業家や政府に頑張ってもらいたいが、彼らは世界に向けて…となると明後日の方向を向きがちだからどうか。。。
コンクリとセメントの箱を家と認識するマヤ人土建屋が撤収してくれた後、いよいよ日本式の家として完成すべくニホンジンの我々で作業を開始した。まずは風呂。しばらく借家にシャワーを浴びに行ってたが、とりあえず湯水を使える状態になったので、そこまでの記録。ああ、きれいな風呂場のシャワーは快適だ〜。
湯船など滅多になく、あってもジャクジーしか売ってないユカタンで、日本のお風呂を作るためにチュクムというマヤの建材(漆喰の素)を選んだ話はこちら。内陸部に引っ越したので、海風のない暑い夏を水風呂で乗り切るのと、冬は結構寒いので温まりたいため、日本のお風呂を作る。
(7/13 追記 ないと思ってた写真を足しました)
勇んで買ったのは確か5月上旬w。建材として本物を売るところは、メリダに3軒くらいある(他は人工セメントの紛い物)。オサレな現代建築で人気が出たのがここ数年なので、マヤの素材なのにマヤ人の親方たちは扱った経験がなく、左官工事を請け負いたくないという。まあ、当然だ。が、売ってる店ではメリダあるいはその近郊でしか施工まで請けない。動画をいろいろ見て、後はこの店のお兄さんが何か疑問があったらビデオ通話でフォローしてくれるという状況で、レッツゴー。
ここまでは親方チームの仕事で、チュクム仕上げにすると言ったところは手を抜いてあるのできれいにするのは結構大変だった。凸凹を取って、出た粉などを払って(洗い流して)、水を含ませる。ここまでは普通のモルタル仕上げの準備と同じ。その後、糊を塗る。素人がするんで、一応、この店で専用の物を買ってきたが、保水性のモルタルの下地材ならなんでもいいんじゃないですかね。
チュクム液と専用のセメントを混ぜる。
乾くともう少し白くなる。ちなみに、20キロの専用セメント3袋と18リットルのチュクム液のワンセットで買う。チュクム液は、表面仕上げに吹き付けたりするので、混合割合より多め。腕にもよるが、1セットで10平米くらい塗れる。糊は、1セット分に合う4リットルボトルで売られている。
当たり前だが、素人なんで左官仕事が難しいのなんの。まずは表面をチュクムで均す的な1層目を塗る。
設備の不具合が発覚したとこ。
混合栓がきちんと付くように壁の形状を変えたところも、漆喰なので対応できる。浴槽の形といい、好きなように成形できてかつ水回りにバッチリという素材に出会えたのは本当にラッキーだった。
浴室の2層目に入る前に、また練習。細かいところは手こずるかと思ったが、広い面の方が下手がバレて難しい。まして、浴室となると凸凹していては使いにくいし掃除もしづらいんで、ここはつるんと仕上げたい。
素人のコテ使いでは全面満遍なくつるんとまでは行かない。試行錯誤(恥ずかしいので写真なし。というか、撮ってる余裕なし)を繰り返して、結局一部グラインダーをかけることにした。
家中粉だらけで掃除が大変だったが、快適な風呂には変えられない。
グラインドをかけた面だけでなく、最後の最後に作った排水トラップの中も念入りにキレイにする。ちなみに、設備工事がひどくて施工中に出たゴミが結構パイプの中に残っていて、他のところも蛇口がすぐ詰まったりして大変だった。この後、栓をつけておしまい。
いやあ、素晴らしい! 水がだいたいはけた後、残りは染み込んでいって、それからすぐ乾く。だから全然ジメジメしない。表面は滑らかだけどまったく滑る心配なく、足裏がとても気持ちいい。えーと、天気がいい日の、高級ホテルのプールサイドみたいな感じです。
無理やり工事を終わらせたのは、いつまでに…いつまでに…が何度も延びてキリがないと思ったのもあるが、それが原因でストレスを溜めたくなかったのが大きい。彼らが今日は来ているか、明日は何をするかと考えるのも面倒くさい。彼らがするはずだった作業が残ってでも、バイバイして自分たちでする方がラクだと考えた。作業自体も、完成して落ち着くのがまだ先なのも、改めて頼んだらかかるコストもムカつくが、これ以上他人に振り回される生活よりはましだ。
家中ぐちゃぐちゃだが、一歩ずつ。まずは設備屋がやり残していったことに着手。
井戸のポンプを設置してくれた彼に頼んで、まずはガス管を繋げてもらう。やろうと思えば我々でもできるんだが、エアコンの取り付けについて話したかったのと、元の設備屋と親方が無視し続けた電気の配線も変えてもらいたかったので、まとめて頼むことにした。さらに、給水管が排熱パーツの真上を通っていたので、そこも直してもらう。
きちんと繋いで動作確認をしてもらった。元の設備屋の仕事については、さすがの彼も苦笑いしていた。電気の配線は、元設備屋が何をしたか分からず、後日我々が壁を壊して確認してから、ということになった。
まずは養生w。
元設備屋の作業が雑で混合栓と壁との間に隙間がある。せっかくの日本式風呂だし混合栓も日本から取り寄せたんだし、ここはビシッと仕上げたい。よって、仕上げのチュクムの前に、モルタル仕上げの形を直す。
バスタブや排水口や混合栓の段階でゴタゴタして忘れていたので、ついでに作る。
キッチンのチュクム仕上げは、彼らの作業が終わっていたら着手できてたはずなんだがこれから。なので、コンロと流しは使えるが皿とか鍋とかまだ出せない。他にも、ランプシェードなどのための金具取り付けや旗を差すためのとこなど、代金に入っていたはずの細かいことが今後の作業として残った。洋服棚やら洗面台の棚やら、親方に頼む予定にしていた(追加工事で頼むとすでに話してあった)細かいものも、これから。もうそれらはおいおい片付けていく。
続きまして、彼らが帰ったときの状態についても、記録しておく。仕上げ段階の品質と引き渡しのための清掃について。前の記事に書いたように、「もうやらんでいい、ラッキー」と帰っていったんで、彼らにとっても何らかの「作業を終えていない状況」ではあるが、いつまでやらせておいても大した違いはないだろうと思われる。
この写真は21日のもので、親方に言われて1人の青年が工事瓦礫と自分たちのゴミを片付けていた。終わった後はもちろん、日本人なら「まだ全然きれいになってないだろ!」というレベルであった。屋内も同様。
という感じで、使った材料の残り入っていた袋や、足場にしたブロックや、どの工程で使ったのかも不明な木片が散らばっている。
工事中に飛び散ったモルタルやコンクリのセメントがタイルにこびりついて固まっている。
キッチンカウンターの下。将来的にシャワーの水圧を上げたかったらポンプをかますための蛇口。見えないところなんで、思いっきりテキトーに付けている。
ペットボトルに入っているのは、型枠作業をしていた頃に拾っていた使用済みの釘で、すでに錆び始めている。こういうのは消耗品なんでしょうがないが、新品の余りは持って帰っていた。
…というわけで、この状態で引っ越した。もう一度書くが、彼らにとって時間切れはあまり関係ない。まあこれよりは少しマシかもしれないが、日本人が期待する竣工引き渡しには程遠いのは確実である。
海辺の家のときは、Lさんが「いい家建ててやる!」と張り切っていたので、彼なりにきれいな新築の家を引き渡してくれた。まだドア枠屋がいるのに掃除部隊のおばさんが来たりして「一回作業すればいいってもんじゃなくて、きれいにして引き渡すための掃除なんだが…」と思ったりしたが、マヤ人とは全然違う。Lさんがしてたことは、メキシコ人と日本人の感覚の違いはあっても、フツーに普通の家を建てる土建屋の普通の仕事だったのだ。
どうしてこんなに汚すのか、どうしてこんな品質の仕上げなのかと、最近ずっと考えていた。どうして汚すのかというと、食べた後の皮や骨など、別にその辺に投げてあっても構わない生活をしているからである。放し飼いの犬が食べるか、土の肥やしになる。思うに、現代マヤ人の文化を「自然と共生している」などと称えるメリダ人はあまり意味わかってなくて、「緑や野生動物を大切にしながら暮らしている」程度の認識しかない。わたしもそうだった。実際は、基本的にゴミは出ないか出てもその辺に投げていい生活。
そこへプラスチックやコカコーラやブロック造の家など近代的なものが入り込んできたが、投げ捨てる文化は変わらないのである。「しつけがなってない、教育レベルが低い」と言うメキシコ人は多いが、親がどうとか学校がどうとかいう話ではないと思う。
ちょっと話がずれるが、日本では貝塚が発見されたじゃないですか。メキシコの何とか文明以前の「ヒトが住んでいた証拠」ってな話を読んでても、貝塚という言葉は使われていない。「貝殻を放置した跡」と書いてある。まとめて棄てたのでなく、その辺にポイっと捨ててたんじゃなかろうか。
話戻ってどうしてこんな品質の仕上げなのかというと、マヤの家やブロックを積んだだけの未完成の家に住んで、細かいところなんか気にしたことないからである。この暑さでは何かを整えるためにちまちま作業するなんてことは考えられない。厳しい自然の中でできるようにしかならない環境、遠く離れた半島という地理的条件で、何かを外へ売って儲けるには大変な苦労をする。苦労するのはやめて、自分たちさえよければ今あるものでいいという考え方。
ユカタン半島のジャングルでずっと自分たちの暮らしを続けてきて、スペイン人に侵略されて独立後も奴隷扱いされてきた数百年の歴史のせいか分からないが、マヤ人には「不便だ、改良しよう!」とかいう感覚がない。もちろん個人差はあるんで、人によってはメリダやカンクンへ出て行くが、平均像、一般的にという話です。が、アメリカの「一旗上げるぞ」文化や、最近の日本の「何でも改良、より便利に」文化は基本的にない。虐げられた時間が長すぎて(さらに焚書などで過去を抹殺され)、「いいから放っておいてくれ、自分たちは自分たちのやり方でしかできません、やりませんから」的な感覚がどんどん強まったんじゃないかと思う。社会学?とかの専門家じゃないんで分からないけど、工事に関係ないことも含めて、半年暮らしてみて、そう感じることは結構多い。
・・・話が飛びましたが、そういうわけでまたしても「引越!片付けさえすれば快適!」とは程遠い、やらなければならないことてんこ盛りの新居生活が始まった。メリダから海辺の家に引っ越したときより、やることが多い分、大変じゃなかろうか。
【6/14の作業】 風呂桶、階段タイル
ここまでが数人で来てちんたら作業をしていた先週で、その後ハリケーンの影響の雨で昨日まで作業なし。内装と設備なんで仕事しようと思ったら来られたんだが、なし。水曜日にちょろっと来てたかもしれないが、こちらはパスポート更新のため、丸一日かけてメキシコシティに行っていた。引っ越して落ち着いた頃にと思ってたが、とんでもない。
いくら細かい作業しか残ってない(親方曰く)とはいえ、結構あちこちにあるしいろいろ忘れてるしごまかしてるし、こんなちんたらじゃいつまでたっても終わらない。で、昨日の木曜、親方を呼び出し、今までの「早く終わらせてくれ」とは違うモードでテコ入れした(また)。会う前に、同じメキシコ人のLさんにメキシコ人を説得する方法について聞いてみたが、「米人、カナダ人方式で怒鳴りつけろ」などと言う。他人事だと思ってこのヤロw。
結論だけ言うと、やっぱり功を奏したのは「助けて、アミーゴ」方式で、本日と明日の土曜で終わらせると「約束する」と言わせることができた。どう考えても、全員で来ても2日では終わらない。が、「大丈夫、任せとけ、アミーゴ」と気を良くしている人間に細かい工程を聞き出してクリティカルパスを指摘して…なんてのはやらないほうがいいので、やめておいた。おそらく日曜出勤することになると思う。
…というわけで、
【6/21の作業】 風呂桶、壁の色違い修正、ドア枠、湯沸かし器の台、
待った無しなので、排水口のトラップについて、指摘。とにかく何度言っても忘れているかすっとぼけているかなので、そうじゃなくて前から何度も頼んでいると、ここでもアミーゴ方式で訴える。が、親方と最後に確認して一緒に行って買った蛇腹が、案の定使えない。すでにアミーゴなのでw、俺が知恵を絞ってやるとばかり周りから口を出す人間が出てくるw。
ほら、やっぱりコンクリなんか打っちゃうから大変だ。ってか、地盤を埋めるときにもその後にも何度も話してあったのに。ついでに言えば、この設備屋にも何度も。
まぁ、市販のパスタブと違うので、このあたりは検討が必要なのは分かる。が、プッシュ(押して開け閉めする栓、この記事の最初)もずいぶん前に買って現物を渡してあった。
ともかく、風呂桶自体はできた。あとは、明日設備屋が混合栓などを取り付けるのと洗い場のスラブ、最後に我々がチュクムを塗って完成。
結局、白セメントと石灰を混ぜて薄く溶いたものを上から塗る方式にしたらしい。この色違い(この記事の後半)については、完全に端から端まで同じトーンになることはもう諦めている。広くて明るいリビングだけは責任持って直してもらい、あとは折を見てどうにかと考えていた。この白セメント+石灰はよさげなので、我々でもあまり苦労なくできそう。最悪ペンキ塗りと覚悟していたがともあれホッとした。
が、これは承知の上。親方の勧めで屋内のドア+ドア枠は市販のセットを買ったんだが、この国の工事で買ってきたものがピタッと嵌るわけがない。一応、ブロックや目地など考慮に入れて部屋の寸法を考えてあったが、ピタッと…というのは無理である。で、このベテランが「普通はドア枠は木工業者に現場で作らせる」とブーブー言い始めたが、「あんたの上司に言ってくれ」である。
というか、海辺の家では木のドア枠にしたが、我々が引っ越したあと1週間くらい業者が来て夜中までノコギリその他の爆音を響かせていたので、このベテランに苦労してもらったほうがいいw。
あるところは壁を延ばす。
お疲れ様だが我々のせいじゃない。
洗濯場の角に台を作って、上にガス湯沸かし器、下にプロパンボンベを置く。そのための台も前から言ってあるんだが、壁の仕上げが終わって床タイルも貼った今になって。お湯用の配管とかキッチンへ続くガス管とか、壁から出てるんですけどね。基本的に作業員はその日にしろと言われたことしか頭にない。が、そういう作業員達をまとめてる上の責任というか能力なので、彼等に罪はない
その手前が洗濯機で、その手前に掃除用の流し(最近日本ではスロップシンクと呼んでるそうですね)を作る話も忘れていた。そちらは明日以降。
その他、細かいところ。
洗面ボウルを乗せて配管して、我々がチュクム仕上げ。
固定が終わったので、あと配管。
何やらやり直しをするらしい。疲れたので明日聞く。
【6/13の作業】 風呂桶、階段タイル
前から何度も言ってある排水トラップを付けずに進める気だったらしい。風呂の栓はゴムでもよかったんだが、ここには風呂自体がないので浴槽といえばジャクジーという贅沢品になり、プッシュと呼ばれる押して開け閉めするやつしか売ってなかった。プッシュだろうと何だろうと、防臭措置がないのは以ての外(下水道に繋がるんじゃないですよ、肥溜めに直接繋がってるんですよ、奥さん💢)。写真の状態だろうと諦めるわけがない。
案の定、閉めておけば匂いが…などと言い訳していたが、排水し終わったあと即閉めるとは限らないと説明して、付けてもらう。
コンクリが固まる前に壊してつけてしまえばと思うんだが、大丈夫まかせておけとごまかしていた。メキシコ人の「聞き手をその場で喜ばせる」親切心はありがたいが、ときにそんなに意地にならんでも…と思うことがあるw。ちなみに「その場で喜ばせる」が顕著に出る例が、道を尋ねると知らなくても行き方を説明するというやつ。最近はナビがあるが、5人捕まえて聞かないと本当の行き方は分からない…などと言われていた。おそらく、日時を守らないのも、聞かれたときにほとんどダメだとわかっていても一番早い可能性を答えてるんだと思う。
囲ってしまったら作業がしにくくなると思うが、この彼はこれからトラップを作ることを知らないんじゃなかろうか。こっちももう疲れてどうにでもしろ…なので(ほら、何言っても大丈夫大丈夫と答えるから)、彼とはニコニコ「鉄筋入れるよね?」「そうだな、余ってるし」と会話して終わりにした。そう、鉄筋がいっぱい余っているのもムカつく。高かったのに。ちなみに壁でも塀でもここはブロックは積むだけで鉄筋もコンクリも入れない。地震がないので。
来週の配達便だと言ってたのに、来たw。
マシヤを塗るのはアリが入ってこないようにと言ってあったので、他の穴も埋めてくれた。が、こうやってモルタルが継ぎはぎの状態で引き渡しになる気がする。
…と思ったら、こういう設置型は見たことがないらしく、つまみをいじったりして「料理ごっこ」をしていたw。よく売ってるのはこういう置き型で、住む人の家具扱いなので、工事で据付けることはない。おまけに彼らはお母さんが薪で調理していた…という世代。
少し低くなっていたらしく、モルタルで高さ調整してあった。2階の踊り場が少し高くなっていた(この記事のはじめ)のは、数字を丸めたからでなく垂直方向に少しずつずれていたからであった。親方が階段の墨出しを2時間で終えた、どうだすごいだろと自慢したとき、いや、図面に寸法書いてあるんだから現場との調整こそあっても大した計算はいらんだろと思ったんだが、時間に無頓着な人が急ぐと、こういうことが起きてしまうw。
途中の踊り場まで貼り終えた。その後、蹴込み板のところにもタイルを貼るらしい。今回の現場ではペンキを全く使わないのでそうなるか。別にマシヤでもいいんだけど、今さらあれこれ言うとまたサイズがおかしくなるので、タイルを貼ってもらう。ただ、海辺の家と違って、角のところ(鼻になってないけど段鼻のとこ)の仕上げが違うらしい。なんか面取りというかそんな感じ。最初のうち、上り下りするとき変な感じがするかもしれない。
しずく処理はよかったんだが、その中の屋根ブロックの穴埋めがいい加減だったんだと思う。凄い雨だったので、マシヤを通してブロック内部に雨が入り込み、室内でもちょっと濡れていた。マシヤに関しては、親方は大丈夫と言い張ったが、日本人の感覚では防水機能はないに等しいので、いずれ我々で屋根と庇に防水塗料を塗る。もしかすると壁にも塗るかも。
とにかく、マヤ人の「自然と共生」な感覚は、想像以上である。これはここに引っ越してきた我々がよく解ってなかったのが悪い。天井が多少濡れても、乾くのならばOKなのである。土足文化なだけでなく、ジャングルの中でのキャンプと同じである。うちには網戸がついているが、窓を開けるとき彼らはいつも網戸を閉めていない。何となく邪魔なんだと思う。虫とかサソリなどいて当然。だからハンモックで寝る。
屋内の湿気も気にしない。借家はもろ雨漏りしているので壁に跡がついていて、それを見た親方は工事の質がどうとか言ってたが、実際のところは跡になるのは見栄えが悪い程度の話で、室内環境がどうという認識はなかったんだろうと思う。
湿気も虫も衛生面も何もかも、彼らはヒトにとって厳しい環境を生き延びてきた免疫強者である。逆に清潔にする方向へ走ったニホンジンとは違う生物なのである。いやはや。
食べたマンゴー(ほら、うちに木があるから熟したのを地面から拾ってささっと手で皮をむいて食べる)の種なんかもその辺に捨ててある。工事が始まった頃は拾って回っていたが、何しろ彼らの方が人数が多いので追っつかない。それに海辺の家の工事をしてくれた「メリダ近郊の村に住むマヤ人」と違って、こっちはディープ・マヤである。捨てる量が違う。絶対に自分たちでまとめて掃除してもらう。そして彼らがいなくなったら日本人レベルの掃除をする。
コツコツやっていけば、いつかはきれいな庭になる。それに、この村は好きなんだが、家の中は「自然と共生な」周囲からの避難所的に、バリバリ快適にするつもり。
【6/10-12の作業】 床タイル(続き)、土間&車庫タイル(続き)、キッチンカウンター
この細かい作業を担当している子が、巾木を忘れていたり逆にドアがつく部分につけてしまったのを取ったりして、室内床面タイルはすべて完了。
さあ、つけてくれたのはいいんだが、
写真左が三和土、ドアを出た右が車庫。三和土に室内(上がったとこ)のタイルを貼ってしまっている。玄関ドアを入ったときには気づかなかったんだが、玄関上がったとき、上と下で同じタイルになっていることに違和感を感じた。む?と思ってから、あ、これはタイルが指定通りじゃないんだと気が付いた。長年の習慣が生んだ感覚ってすごい。
親方の積算は合っていたので、階段に貼る分の室内用タイルが不足、土間タイルが5箱余っている状態だった。そこで変だと思わないのか。とにかく、自分たちに馴染みのある家以外の家については、あまり頭を使わないで注意も払わないでやってしまうw。
玄関の間違えたタイルを剥がすのはともかく(やり直し自体はあまり気にならない人達)、割らないように注意深く剥がすのを面倒だと思ったようで、普通はまたタイルを買ってくるなどとほざいていたが、オノレの間違いをカバーするための追加コストなど以ての外。が、割れてしまったため庭とかその辺に放ってあるタイルを我々が拾い集めてきたのを見て、心を入れ替えたらしい。少し残っているのと慎重に剥がして割れなかったのとで、何とか階段部分用の数を確保できると、ニコニコやり直しを始めたw。
日本式の家を知ったからといって、彼らがこの村でその知識を活かす機会はない。今回の現場は普段のノリだけで進まずあれこれ面倒臭いと思うのはわかる。それにしても、いつも思うんだが、土足文化の人たちに靴を脱いで上がることの本質をわかってもらうのは難しい。思うに「家では靴を脱ぐ」という言い方が悪いんじゃなかろうか。だから自称日本通な人でさえ誤解して、裸足で外に出て行ってそのまま汚い足で平気で入ってくるなんてことをするのだ。今後は「家では靴を脱ぐ」でなく、「我々の家の中はきれいで衛生的で、裸足で心地よく暮らしている。外は汚いので【靴を履いて】出るのである」と言い換えたほうがいいんじゃなかろうか。
カウンターの両脇のブロック完了。
石は高いからエポキシにしようかなどとずいぶん悩んだが、変なこと頼むとミスを呼ぶのでw、大きいタイルを貼ることにした。ここの流行りの石風(石模様のタイル)が嫌いなので、真っ白のを探すのに苦労した(結局メリダでしか見つからなかった)。
海辺の家ではコンクリ打放しだったんだが、もちろん日本の打放し仕上げのようにきれいじゃなく隙間があって、そこから蟻が入ってきて大変だった。とにかく隙間を気にしない人たち…というか、よく言えば自然の中で暮らしている、悪く言えば土人。パイプが通っているところなど細かい隙間は今後我々で埋めていくが、上向きの佐官は大変なのでこれはお願いしてあった。
あれだけ洗濯場の東側の壁を通せと言ってあったのに、設備屋が道から丸見えの南側から通して、それも配線管がビローンと飛び出ていた。もう、早く引っ越したいので諦めていたら、親方が土台部分を掘って埋めて、あとはモルタルで隠してくれるらしい。なんというか、気分にムラがあるんだろうか。テメエが間違えたくせに面倒だと思ってるときそれを顔に出すかと思えば、黙っていても(諦めて言うのをやめたのに)突然ニコニコと「直したよ!」と言ってくるときがある。ようわからん。