報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「富谷からの仙台」

2025-04-01 20:30:33 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月22日12時30分 天候:晴 宮城県富谷市高屋敷 コストコホールセール富谷店]

 愛原母「今日はステーキを焼きましょう」
 リサ「おおっ!ありがとうございますぅ!」

 

 愛原学「いや、デカいだろ!」

 さすがはアメリカサイズ。
 アメリカ人達、これを週末にはバーベキューで焼いて食べるんだで?

 愛原父「さすがに、ワシには食いきれんなぁ……」
 学「ねー?」

 

 リサ「すっごい塊……」

 リサは口元から涎が出るほどだった。

 学「だから、デカいってw」

 こんな赤身肉、思いっ切り焼いたら硬いだろうなぁ……。
 それでアメリカ人達は、レアに焼いて、『血の滴るステーキ』を楽しむのだろう。
 そして今、リサがそれを試したいと思っているようだ。

 リサ「レイチェル、なかなかバーベキューに誘ってくれなくて……」
 学「そりゃ、BOWを軍隊の基地には入れたくないよな」

 日本人なら焼肉なのだろうが、彼らには小さな肉をチマチマ焼いているようにしか見えないという。
 そりゃ、こんな肉のブロックと比べられては困る。
 それでも、これは日本向けに小分けされている方だという。

 

 母「学とお父さんには、こっちのサシの入っているお肉にしましょう。これなら食べやすいでしょう?」
 学「まあ、これなら……」
 父「でも、ちょいと脂が多くはないか?ワシ、来週は病院の検査日なんだが……」
 母「じゃあ、赤身肉にする?」

 

 学「こっちはバラした肉か……」
 リサ「このまま食べたい……!」
 学「こら、ダメだよ」

 私はリサを制した。
 リサは両手で頭を押さえている。
 湧き立った食欲のせいで、鬼形態に戻ろうとしているらしい。
 頭から2本角が生えるのを押さえようとしているだろう。

 学「り、リサは赤身肉が好きなんだ。それのレア!」
 母「お腹壊したりしない?」
 学「い、今まで大丈夫だったから!」

 

 学「この5切れのヤツにして、俺達は一切れずつにする。リサは2切れ食べればいい」
 父「赤身肉か。脂は少ないが、母さん、軟らかく焼いてくれよ?」
 リサ「5切れ?」

 リサはその隣に陳列されているブロック肉を持ち上げようとした。

 リサ「違う違う!それは『一塊り』であって、『一切れ』とは言わない」

 だいたい5切れ入りパックだって、全部合わせて1300kg以上あるという。
 単純計算で、1切れ260gだ。
 実際は、それにプラス数十グラムはあるだろう。
 リサのヤツ、それを2切れ食べるというのだから、相当な量だ。
 アメリカ産の輸入肉だからまだ比較的安い値段だが、国産となると、高くなるだろうなぁ……。

 父「肉ばっかりだとアレだ。パック入りの寿司なんかも欲しいな」
 母「はいはい。見てみましょう」

 おおかた買い物を終える。

 リサ「レジがベルトコンベアになってる!」
 学「アメリカのスーパーも、こんな感じなのかね」

 因みに買った商品は、大きなマイバッグに詰める。
 レジ袋は無いので、マイバッグを持参して詰めることになる。
 無くても、コストコオリジナルの買い物バッグを購入することはできる。
 ぶっちゃけ、コストコで買い物することを前提としたバッグなので、むしろそっちの方がいいかも。
 実際、以前に買ったという大型のコストコバッグに詰めた。

 リサ「次はお昼だね!」
 学「フードコートだね」

 それにしても、ホットドッグとソーダのセットが180円は安すぎるだろう。
 ホットドッグは4分の1ポンドサイズで、ソーダを入れる紙コップはLLサイズだで?
 他のコストコではテーブル席が無い場合も多いが、富谷店はテーブル席もある。
 地方のコストコは、そこまで混まないようだ。
 その違いは、外国人客の多少ではないかと両方取材した作者が後に語っている。
 日本人の来客数は首都圏も地方もそんなに変わらないのだろうが、首都圏のコストコはそこに外国人客も合わさってカオスになっているのだろうとのこと。

 リサ「あれ?パンとウィンナーだけ?……ウィンナーはデカい!」
 学「そっちの台に玉ねぎを振りかける機械と、ケチャップやマスタードを掛ける所があるよ」

 私はその台にリサを連れて行った。
 ステンレスの無機質なところは、アメリカっぽい。
 横に小さなクランクハンドルの付いている機械があって、これを回すと、刻み玉ねぎが出てくるので、お好みの量に合わせて出せるとか。
 後は蛇口の上に押しボタンがあって、1回押すごとにケチャップとかマスタードが出てくる機械とか……。
 ソーダはコーラの他、オレンジジュースやジンジャーエールが出せるドリンクバーがある。

 父「若い頃は、こういうの食べながら、職場のボウリング大会によく参加してたものだが……」
 母「ねー」
 学「警備会社時代は、そういうの無かったなぁ……」

 不規則勤務だからと言ってしまえばそれまでだが、鉄道会社や公務員の世界ではよく行われていることから、それだけでは理由にならない。
 要するに、やる気が無かっただけだ。
 別に、私だけハブられてたわけではない。
 開催そのものが行われなかっただけだ。

 母「帰りに寄る所はあるの?」
 父「母さん、そこのスタンドで給油だ。コストコは安いからな」
 母「そうだったわね。他には?」
 学「大和町のヤマト運輸で、買った酒を東京に送らないと」
 リサ「そうだった」

 デイライトが“鬼ころし”“鬼つよし”“鬼ふうじ”について、成分分析を行いたいとのことだ。
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“私立探偵 愛原学” 「富谷市内で買い物」

2025-03-29 20:16:59 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月22日11時40分 天候:晴 宮城県富谷市11時40分 天候:晴 宮城県富谷市某所 某コンビニ]

 実家を出発してから、車で40分。
 仙台市の北隣に、富谷市という所がある。
 奥州街道の宿場町だった所だ。
 仙台市のベッドタウンとして市に格上げになった後も人口は増加ししつつあるが、鉄道は1本も通っていない為、仙台市地下鉄南北線の延伸を望んでいるそうだが、実現には至っていない。
 私の目的地はそんな富谷市内の、それも国道4号線から外れた場所にあった。
 外れたとはいっても、バイパスから外れたという意味だ。
 市道に格下げされた旧国道から、そんなに外れているわけではない。
 その旧国道こそが、江戸時代からある元祖・奥州街道だったのだから。

 愛原学「ここが酒蔵だよ。今は閉まってるね」
 愛原父「何だ。せっかくだから、見学して行きたかったのに」
 学「試飲できれば万々歳でしょ?」
 父「もちろん!」
 愛原母「2人とも飲んだら、車が運転できなくなるんだから、それはやめてよね?」
 父「はい」
 学「はい」

 そして、私はコンビニの駐車場に車を止めた。

 学「ここのコンビニだ」
 父「なるほどな」

 私達は車を降りて、店内へと入った。

 学「母さんも降りるの?」
 母「あなた達が勝手に試飲しないようにね」
 父「オイオイ……」

 私は店番していた店長らしき者に話し掛けた。

 学「すいません。“鬼つよし”と“鬼ころし”と“鬼ふうじ”を注文していた愛原と申しますが……」
 店長「愛原さん?……ああ、ハイハイ。本社から聞いてますよ。今、持って来ますから」

 そう言うと、店長は店の奥へと引っ込んだ。

 店長「これですね」
 父「おおっ!これは美味そうな吟醸酒!」
 店長「正確に言えば、吟醸酒は“鬼ふうじ”の方ですよ。“鬼つよし”は純米酒、“鬼ころし”が本醸造酒になります」
 学「なるほど……」

 あまりメーカーの中では、そんなに高級酒ではないのだろう。
 吟醸酒の中にもランク付けがあり、大吟醸でもなければ、純米大吟醸でもないので。

 店長「こちらが半升分の瓶入りで、3本セットです」
 学「ありがとうございます」

 東京に送って成分分析する分には、少ない量の酒でいいだろう。

 店長「“鬼ふうじ”の小瓶が1つと、“鬼ころし”と“鬼つよし”の一升瓶が2つですね」
 学「お願いします」
 父「おいおい、学。俺には無いのか?」
 学「仕事で使う為に買うって言ったでしょ!」
 母「何ついでに買おうとしてるのよ……」

 一升瓶の方は、太平山家の皆さんに手土産として持って行く為の物だ。
 コンビニとはいえ、さすがはメーカーの販売店でもある店の店長だ。
 瓶が割れないように緩衝材で包んでくれてから、箱に入れてくれた。
 “鬼ころし”と“鬼つよし”はリサに飲ませてもいいだろう。
 “鬼ふうじ”はどういった効果があるのか分からない以上、ヘタに飲ませるわけにはいかない。
 これを日本酒用のスキットルに入れておけば、携行してリサにも飲ませられる。
 コンビニではあるが、宅配便の取り扱いはしていないらしく、別の場所で発送する必要がある。
 それは想定済みで、それで父親からクーラーボックスを借りたのだ。

 学「酒ならコストコでも売ってるでしょ」
 父「それもそうだな」

 私は店を出ると車のハッチを開け、保冷剤入りのクーラーボックスの中に日本酒を入れた。
 これならコストコで買い物の最中、夏の暑い中に車を置いていても大丈夫だろう。

 学「よし。これで第1のミッション、終了~!」
 リサ「次はコストコだね!」
 学「ああ」

 私達は車に乗り込み、コストコを目指した。

[同日12時00分 天候:晴 同市高屋敷 コストコホールセール富谷店]

 週末ということもあり、コストコは賑わっている。
 もっとも、車で来店することを前提にしている為、駐車場は広い。
 しかも心なしか、駐車枠もイオンモールの駐車場のそれよりも広く引かれているような気がする。
 駐車枠の規格もアメリカサイズなのだろうか?
 近くにベンツのVクラスが止まっている。
 ベンツはアメ車ではないが、普通免許サイズの乗用車としては大型の部類に入る。
 それが余裕で止められるのだから、それより大きなキャデラックが止められることを考えているのかも。

 学「それじゃ、俺とリサは同伴者ということで」
 母「はいはい。カート持って来てね」
 リサ「カート、デカっ!」
 学「カートもアメリカ規格なんだよ」

 入る際にスタッフが会員証の確認をしている。
 スタッフが持つ端末でもって、会員証のスキャンが行われる。
 こうすることで、『会員の同伴者』以外の非会員が入店することを防いでいるわけだ。
 我が家で言えば、母親が正会員、父親が家族会員、私が『1人まで許可されている成人の同伴者』であり、リサは『人数無制限で許可されている未成年の同伴者』である。
 売っているのは飲食品だけでなく、服飾や家電製品まで扱っているほど。
 但し、家電製品に関しては運搬も設置も自分達で行わなければならない。
 また、服飾に関しても、試着はできない。

 父「週末ということもあって、人が多いな」
 学「こんなの序の口らしいよ」
 父「そ、そうなのか?」
 学「今日これを書いている日、新三郷のコストコに取材に行った作者が、ここより人が多過ぎて吐きそうになったらしい」
 父「何故に新三郷?」
 学「日本国内で、『唯一電車で行けるコストコ』だかららしいよ?作者、車持ってないから」
 父「だからって、本当に電車で行くのは無謀だと思うが……」
 学「大した買い物もしなかったんだよ、きっと」

 私が父親とこんな無駄話するのには、理由があった。

 母「あら、これもかわいい!」
 リサ「ちょっと、子供っぽくないですか?わたし、こう見えて高校3年生なんですけど……」
 母「今の高校生なんて、まだまだ子供だからいいのよ!」
 学「お母さん、リサは見た目は子供っぽい令和の高校生だが、中身は昭和の高校生だで?」
 母「あら、そうなの?」
 リサ「は、はあ……」

 後にリサは、『先生の言ってることは正しいんだけど、なんだかモヤッとした』と、証言したという。
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“私立探偵 愛原学” 「富谷市へ向かう」

2025-03-27 20:43:59 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月22日08時00分 天候:晴 宮城県仙台市若林区某所 愛原家1階・洗面所]

 翌朝、私が洗面所で顔を洗っていると……。

 リサ「おはよう……」

 リサが眠そうな顔でやってきた。

 愛原学「おう、おは……って、おい!」

 私はリサの恰好に驚いた。
 さすがにここではブルマ姿はアレなので、学校のショートパンツを持って来ているはずだが、その上も脱いで、カルバンクラインの黒いスポプラとショーツだけになっていた。

 学「ここは俺んちじゃない!早く服着てこい!」
 リサ「えー……」

 何でも夜中に暑くなって脱いだとのこと。

 愛原母「脱いだ服は洗濯しておくから、洗濯機に入れておいてね」
 リサ「は、はーい!」

 リサが体操服を着て戻ると、私の母親と廊下で鉢合わせとなった。
 下着姿だったら怒られていたかもしれない。

 母「それにしても学は、リサちゃんにかわいいパジャマとか買ってあげないのかしら?」
 リサ「わ、わたしはいつもジャージで寝てますから!」

 アンブレラの研究所にいた頃は、あえてかわいいパジャマを着せられていたことがある。
 その為、逆に今はTシャツとかジャージの方がいいのだ。

[同日08時30分 天候:晴 同地区内 愛原家1階ダイニング]

 

 今朝の朝食はベーコンたっぷりのベーコンエッグが出て来た。
 いつもはこんなに多くのベーコンは出てこず、むしろ卵2個分で誤魔化す感が多かった。
 それが今日は……。
 明らかにお母さん、リサに忖度しているな。

 母「11時になったら出掛けるわよ。お昼は富谷のどこかで食べましょう」
 学「コストコのフードコートは?」
 母「この歳で、あんなに大きいホットドッグ食べさせる気?」
 リサ「大きいホットドッグ!?」
 愛原父「あれは正にアメリカンサイズだよなぁ……」
 学「別に、ホットドッグ以外にも食べる物あるじゃん」
 リサ「他には!?」
 学「ピザとか、チーズバーガーとかあったぞ」
 父「あそこ、たまにメニューが変わるらしいな?」
 学「ホットドッグやピザは鉄板で変わらないらしいけどね」
 リサ「面白そう!」
 学「……と、仰ってますが?」
 母「まあ、ゲストが望むならしょうがないわねぇ……。値段は安いし」
 リサ「おお~!ありがとうございます!」
 父「会員制なんだけど、学達は入れるのか?」
 母「大丈夫でしょ。リサちゃんはまだ18歳以下でしょ?」
 リサ「今年の10月で18歳になります!」

 魂の年齢は50……ゲフンゲフン!
 ま、まあ、それでもアラセブのお母さんよりも若いか。

[同日11時00分 天候:晴 同地区内 愛原家]

 母「リサちゃんが手伝ってくれたおかげで、洗濯が早く終わったわ~。ありがとうね」
 リサ「いえいえ、とんでもないです!」
 父「学が風呂掃除とトイレ掃除手伝ってくれたおかげで、腰が痛まなくて済んだ。今夜も風呂は先に入っていいからな?」
 学「そりゃ、ありがとさんです。俺の方が腰が痛ェ……」
 父「あ、そうそう。行きの運転は任せた」
 学「何で!?」
 父「最初に酒蔵に行くんだろ?その場所を知ってるのは学だけだ。道知ってる人が運転するのは当然だろ?」
 学「いや、俺もナビ頼りだよ!?」

 風呂掃除やトイレ掃除で腰が痛いのに……。

 母「はい、学。バンテリン」
 リサ「わたしが塗ったげるぅー!」

 リサは私の痛んだ腰にバンテリンを塗ってくれた。

 母「体が衰える前に、孫の顔、よろしくね?」
 リサ「任せてください!」(;゚∀゚)=3ハァハァ
 父「母さん、先にクーラーボックス載せていいよな?」
 母「それはあなたのなんだから、自分で積みなさい」
 父「……はい」
 学「何だい。だったら、高校生縛りする必要ねーじゃんな……」
 リサ「うん。……って、ええっ!?」
 学「はッ!?」
 リサ「なーんだ!それならそうと早く言ってくれたらよかったのにぃ……
 母「2人とも、早く車に乗って。学はさっさと車のエンジン掛けてクーラー入れて」
 学「あ……はい」

 私はそそくさと家から出ると、車に向かった。

 母「リサちゃん、ちょっとスカート短くない?」
 リサ「えっ?そ、そうですか?これくらい、普通ですけど……」

 リサはクリーム色のTシャツに、デニムのスカートを穿いている。
 尚、スカートは確かに丈は短い。

 リサ「フツーですよ、フツー!」
 母「そうかしらねぇ……。その下にストッキングでも穿けばいいんじゃない?黒いストッキングとか……」
 リサ「それだと暑いので……。一応、ブルマ穿いてます!」

 リサはバッとスカートを捲り上げた。
 その下には、紺色のブルマを穿いている。

 母「分かったから、スカート下ろしなさい。そういうのは、学にしかしてないでしょうね?」
 リサ「もちろんです!」
 母「学、帰ったらちょっと話があるから」

 お母さんがリアシートに乗り込んで来て、急にそんなこと言った。

 学「はい!?」
 リサ「……サーセン」
 学「ええっ!?何したの!?」
 父「……クーラーボックスの積み込み、終わりました」
 母「じゃ、とっとと車に乗って出発」

 私は車のナビをセットした。
 酒蔵は休みなので、実際にはその近所にある販売店に向かうことになる。
 その住所は把握済みだ。
 私は住所を入力した。

 学「じゃ、行くか」

 私は車を走らせた。
 まずは一方通行の道に出る。

 父「向こうじゃ運転しないだろ?運転大丈夫か?」
 学「確かに久しぶりだけど、何とかなるでしょ」
 リサ「八丈島に行った時、レンタカーを運転してくれたけど、大丈夫でした」
 父「八丈島かぁ……。行ってみたいなぁ……」
 母「そうねぇ……」
 リサ「あと、奥日光行った時は、ダンプカー運転してました」
 父「おい!それ、本当に探偵の仕事なのか!?」
 学「い、一応……」

 私はリサに、『余計なこと言うな』と、目で叱った。
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“私立探偵 愛原学” 「実家で過ごす」

2025-03-26 20:26:40 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月21日14時00分 天候:晴 宮城県仙台市若林区某所 愛原家]

 車は無事に愛原家に辿り着いた。
 荷物を降ろして家の中に運び込む。

 愛原母「暑いわねぇ……。東京はもっと暑いでしょ?」
 愛原学「うん。急に暑くなったなぁ……」

 家の中に入ると、リビングのエアコンを稼働させた。

 母「アイスコーヒー飲む?食後のコーヒーがまだだったわね」
 学「一杯だけもらうよ」
 母「リサちゃんの部屋は1階でいいわね?」
 リサ「え?わたしはダーリンと同じ部屋がいいです」
 学「お、おい、リサ!」
 母「リサちゃん……学と一緒の部屋は、高校を卒業してからね?」
 リサ「えー……」

 高校を卒業したらいいんだ?w

 母「リサちゃんは大学行かないの?」
 学「行くよ」
 母「……中学3年生だったっけ?」
 学「いや、高校3年生だよ!」

 何言ってんだ、このオバハンw

 母「だったら、最後の夏休み、遊んでる場合じゃないでしょ!?」
 リサ「あ、学校の宿題なら持って来ました」
 母「ゴメンね。リサちゃんの私服、若く見えるからぁ……オホホホホホ!」
 リサ「そ、それはどうも……オホホホホ」

 ちょっと奥さん!
 もしかしてウチ、嫁姑戦争の火種燻ってませんこと!?
 別にリサ、子供っぽい私服ではないのだが、今時の高校生のファッションがそうなのか?
 リサが着ると、高校生なのに中学生に見えるのか。
 これなら、最初から制服着せて来た方が良かったかな……。

 リサ「酒蔵に行くって言うから、高校生の恰好はダメだと思って……」
 愛原「別に、そこで試飲する必要は無いんだよ?」

 試飲は私か父親がすればいいだろう。
 両方はダメだ。
 車が運転できなくなってしまう。
 それに、酒蔵の見学くらいなら未成年でもOKだろう。

 リサ「もう少し宿題はやっておく」
 母「その方がいいわ。学の部屋に机があるから、そこを使っていいからね」
 学「いや、俺の部屋www」
 母「いいじゃない。昼間くらい」
 リサ「わあ!」

 リサは自分のキャリーケースを開けると、そこから勉強道具を取り出した。

 リサ「じゃあ先生、机借りるねー!」
 学「あ、ああ……」
 母「あなたはアイスコーヒー持って行ってあげない」
 学「勉強はコーヒー飲んでからでいいんじゃない?」

 私はその前に、善場係長に定時連絡。
 自分の実家に到着した旨を伝えると……。

 善場「かしこまりました。本日はゆっくりなさっててください」

 とのこと。
 特に、東京やBSAAの方は何も無いようだ。
 ただ、追加のメールは来た。

 善場「裏庭の空洞はどうなっていますか?」

 とのこと。

 学「お父さん、裏庭の空洞はどうなったの?」
 父「市が『空洞のままだと陥没して危険だから』と、コンクリート流し込んで埋めたよ。庭石も元通りだ」
 学「そうなんだ」

 私は一応、裏庭を見に行った。
 確かに、空洞があった所だけ、妙に新しい。
 私はそこを写真に撮って、係長に送信した。

 学「……というわけで、今は空洞の中に入れない状態です」
 善場「かしこまりました。地下鉄のトンネルに近い所の空洞は、仙台市の方で埋めたようですね」
 学「取りあえず、これで元通りというわけです」
 善場「分かりました。もし何かありましたら、すぐに御連絡ください」
 学「分かりました」
 善場「明日は富谷市の酒蔵に向かうのですね?」
 学「はい。ただ、直接酒蔵に行くわけではありません」
 善場「と、仰いますと?」
 学「土日は酒蔵も休みなので、販売店の方に向かおうと思います。どうも一般販売は本来していない酒らしいのですが、メーカーの方に頼めば、取り置きしてくれるようなので」
 善場「それは助かります」

 平日のうちに頼んでおいて良かった。
 あとはメーカーの近所にある販売店に向かえば良し。

[同日18時00分 天候:晴 同地区内 愛原家1階ダイニング]

 

 夕食にはビーフシチューが出た。

 リサ「取りあえず、持って来た宿題は全部終わった」
 学「早っ!」
 母「リサちゃんの頭なら、いい大学行けそうなのにねぇ……」

 上野医師の娘だとされている。
 医者の娘なら、地頭も良いだろう。

 母「どこの大学を志望してるの?」
 リサ「東京中央学園大学です」
 母「……聞いたこと無いわね」
 学「リサが今通ってる東京中央学園高校の附属の大学だよ」
 母「そうなの?リサちゃんの頭なら、そのまま推薦合格ね!」
 リサ「あ、ありがとうございます」

 本当は、その予定だったんだがな……。
 暴走して高校の校舎を破壊したせいで1ヶ月の停学。
 そのせいで、内申点は暴落。
 内申点が重要な推薦入試はそれで受けられなくなり、一般入試を受けることとなった。
 一般入試は来年の冬に行われる。
 合宿は今夏に参加するつもりであるが……。
 冬休みを過ぎての一般入試受験となる為、学習塾・予備校業界では冬でも冬期講習や合宿を行う所もかなりある(教育・運営方針で、やらない所もある)。
 リサの頭なら、あえて行く必要も無いだろうが……。
 ミキは分からんなw

 父「明日はどうするんだ?」
 学「午前中に、まずは酒を入手しよう。それから、コストコに行こうかと。あ、父さんの釣り用のクーラーボックス借りるね。保冷剤も」
 父「いいけど、何でだ?」
 学「いい酒ってのは、熱に弱いんだよ。明日も暑いみたいだから、輸送中も冷やしておかないとね」
 父「そうか!それもそうだな!そういうことなら、後で保冷剤を冷やしておこう」
 母「大丈夫?魚臭くない?」
 父「心配要らん。新調したてのボックスと保冷剤があるから、それを使おう」
 母「え?いつの間に新調したの?」
 父「え?……あっ!!」
 母「頭を垂れてつくばえ。平伏せよ」
 学「うわー……」
 リサ「わあ……」

 どうやらお父さん、へそくりで釣り道具を新調したのがバレたようだな……。
 くわばらくわばら。
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“私立探偵 愛原学” 「仙台に到着からの……」

2025-03-26 16:11:48 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月21日12時05分 天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 東京建物仙台ビル1階・宮交高速バスセンター→大樹生命仙台本町ビル(アジュール仙台)地下1階 伊達の牛タン本舗本店]

 バスは東北自動車道を仙台宮城インターで降りる。
 ここはかつて、宮城県宮城郡宮城町という所にあり、それでインターの名前に『宮城』が入ったという。
 けして、宮城県の宮城ではない。
 その町も今では仙台市に吸収され、青葉区の一部となっている。
 そのインターで降りると、国道48号線のバイパス(愛子バイパス、仙台西道路)に入る。
 市街地方向に向かうと自動車専用道路の仙台西道路となる。
 市街地に向かうということもあり、道路はやや車が多かった。
 片側2車線であるが、正直3車線に拡幅してもらいたいところ。
 その市街地の混雑に巻き込まれる形なり、遅延は回復できず、仙台駅西口の宮交高速バスセンターには10分遅れで到着した。
 まあ、高速バスで10分の遅れは定時のうちに入るか。

 運転手「ご乗車ありがとうございました」
 愛原「どうもありがとう」

 長距離を運転してくれた運転手に礼を言ってバスを降りる。
 時刻表上ではこの後、この乗り場を23時59分に出発する、バスタ新宿経由、渋谷マークシティ行きになるはずだ。
 宮城交通と共同運行という形を採っている為、高速バスの運行を引き受けている富谷営業所まで回送するのだろう。
 そこでこの運転手は休息を取り、バスの整備をそこの営業所に任せ、夜行便として折り返す行路なのだと推測する。
 そして渋谷マークシティに到着した後は、京王バスの永福町営業所世田谷車庫に回送して乗務終了と。
 正に長距離バスならではの拘束時間だ。

 マリア「運転してくれてありがとう。チップは2ドルでいいのか?」
 エレーナ「おい、マリアンナ」
 運転手「あっ、お客様!日本ではチップは要りませんよー!大丈夫です!お心遣い、ありがとうございます!」
 稲生「2人とも、荷物忘れてる!」
 愛原「あのインバウンドの外国人達、どこかで見たことあるような……?」
 リサ「気のせいでしょ。それより先生、ちょっとトイレに行っていい?」
 愛原「いいよ」

 バスを降りて荷物室から荷物を取り出すと、ターミナルの中に入る。
 仙台も東京ほどではないが、夏の日差しが照り付ける暑さである。
 昼間は冷房がいるが、夜は……何とか扇風機で行けるか?といった感じ。
 バスの車内はもちろん、ターミナルの中も冷房が入って涼しい。

 愛原父「おう、長かったな」
 愛原学「いやあ、ちょっと道路が混んでてねぇ……」
 リサ「お久しぶりです!お義父様!お義母様!」
 愛原母「あらぁ……。しばらくぶりだというのに、あんまり大きくならないわねぇ……」
 リサ「そこはお世辞でも、『大きくなった』と言って欲しいです。それより、ちょっとトイレ」
 学「行ってらっしゃい」

 リサはターミナル内のトイレに向かった。

 父「明日は富谷に行くのか?」
 学「ちょっと行きたい所があってね。……あ、これ、お土産」
 母「あらぁ……定番の東京ばな奈」
 父「ありがとう。後で美味しく頂くよ。それより、まずは昼飯だな。あのコ、体は小さくても大食らいだろ?」
 学「そうなんだよ」
 母「向かいのビルで、牛タン食べに行こうって話をしているの」
 学「それはいいね。リサは肉をガッツリ食うからね」
 父「富谷に行くんなら、ついでにコストコで買い物して行こう」
 学「コストコ?生協じゃなくて?」
 父「あそこのスタンドは料金が安いんだ」
 学「ああ、そういうことね」
 母「リサちゃんがいっぱい食べるコなら、コストコで買った方がいいでしょう?」
 学「んー、まあ、確かに。ていうか、いつの間にコストコの会員に?」
 母「近所のお従姉ちゃん達」
 学「あの元コギャルママか……」
 父「今度4人目生まれるんだよな?」
 母「あれじゃ、生活の方も大変でしょうにねぇ……」
 学「ギャルは繁殖力いいなw」

 もっとも、子供の頃はブルマやパンティーでヌいてくれた思い出がある為、頭が上がらない。
 両親や伯父さん(公一伯父さんではなく、別の親戚の伯父さん)達には内緒である。
 当たり前だ。

 リサ「お待たせしましたー」

 しばらくして、リサが戻って来た。

 愛原「ここのトイレはどうだった?」
 リサ「新しくてきれいだったよ」
 愛原「そうか」
 父「何の質問だ。早く行くぞ」
 リサ「はーい」

[同日13時30分 天候:晴 同地区内 MKパーキング仙台駅前]

 昼食のレストランは昼時で混んでいた。
 その為、少し待たせされてから入る。
 サラリーマンがやたら多いのは、今日が平日であるからだ。
 私も本来は仕事なのだが、やはり会社勤めの仕事とはだいぶ違うのだと分かる。
 昼食を終えた後、車のハッチを開けて、そこに私達の荷物を入れる。
 車の中は、夏の暑さで物凄く暑かった。
 すぐに父親が車のエンジンを掛ける。
 エアコンの吹き出し口から、強い風が吹いて来た。

 父「じゃあ、家に帰るぞ。途中、寄りたい所は無いだろ?」
 学「まあね」

 私は助手席の後ろに座った。

 父「明日は後ろに座る事になるのか。久しぶりだな」
 母「いつも運転する側だからねぇ……」

 父親は70代の団塊世代だ。
 そろそろ免許返納の時期であるかもしれない。
 車は日産・ノートeパワー。
 まあ、高齢夫婦が買い物や通院に使うなら十分な大きさの車だろう。
 因みに今日、酒蔵に行かないのは、既に車には私達の大きな荷物が積まれているからであり、それ以外に買い物の荷物を積むのは困難という判断からだ。
 元々実家には2泊3日する予定なので、明日に行っても良い。
 父親は車を出した。

 母「長旅で疲れたでしょう。今日はゆっくりしてなさい」
 学「そうさせてもらう」
 リサ「ありがとうございます!」
 学「……夕飯はどうするの?」
 母「心配しなくても、今日の分はあるから」
 父「明日の分が無いから、明日はついでにコストコに行こうって話だ」
 学「ふーん……」
 父「そっちにはコストコは無いのか?」
 学「無いねー」

 私が知っている限り、菊川だと埼玉県の三郷市まで行かないとダメだ。
 車が無いと不便な所にあるコストコの中で、私が知る限り、唯一、電車で行けるコストコだ。
 で、明後日に秋田に向けて出発、と……。
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