報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「7月8日」 昼間

2017-07-31 19:09:24 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[7月8日10:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 イオンモール与野]

 マリア:「どう?」

 マリアが試着室から出てくる。

 イリーナ:「おお〜」
 稲生:「おお〜」

 緑を基調としたビキニの水着を着たマリアがいた。

 イリーナ:「いいじゃんかー。よく似合ってるよ」
 マリア:「ありがとうございます。ユウタは?」
 イリーナ:「目のやり場に困ってるよw」
 マリア:「ええっ?」
 稲生:「あ、いや、その……」
 マリア:「師匠も買ったらどうですか?」
 イリーナ:「年寄りを溺死させる気かい?弟子の下剋上って怖いねぇ……」
 稲生:「そういう意味じゃないと思いますけど……」
 イリーナ:「アタシゃいいよ。じゃ、それ買ってあげるから、さっさと着替えてー」
 マリア:「はーい」

 シャーッとカーテンを閉めるマリア。

 稲生:「本当にいいんですか、先生?」
 イリーナ:「うん。アタシ、泳げないし」
 稲生:「そうなんですか!?」
 イリーナ:「水の上を歩くのは得意なんだけどねぇ……」
 稲生:「そっちの方が凄いです。……モーゼの十戒みたいなこともできそうですね」
 イリーナ:「いや、あれはさすがにアタシでも無理。ってか、それ映画の話であって、本当に海が割れたわけじゃないからね」
 稲生:「ええっ!?」
 イリーナ:「……あ、ゴメン。夢壊した。……海を割る魔法はダンテ先生や、バァルの爺さんくらいならできるかもね」
 稲生:「なるほど」
 イリーナ:「てか、海を割るより、魔法で海の上を歩かせた方が労力は安いんだけど……。あ、ゴメン。また夢壊した」
 稲生:「いえ。少なくともモーゼの十戒に魔道師が関わっていないことは、先生の発言で明らかになったということです」
 イリーナ:「おおっ、そういうことになるか。さすがだね」

 着替えて出て来たマリアは、いつもの服装だった。
 ローブを羽織って、フードを被っている。

 マリア:「着替え終わりました」
 イリーナ:「じゃ、行きましょう」

 海でも行くのかと思うだろうが、あいにくながら埼玉県にも長野県にも海は無い。
 マリアの屋敷の地下にはプールがあり、そこで泳ぐのに使う。
 泳ぎを習う際は、何故か稲生が調達してきたスクール水着(それも旧式スク水)を着させられるのだが、プライベートで泳ぐ際は今買ったのを着るわけである。
 改めて買った理由は、前に着ていたのがサイズが合わなくなったから。
 何だかんだ言って、マリアも少しは体が成長しているということだ。
 契約悪魔のベルフェゴールは出し惜しみしていたらしいが、稲生が将来一人前になったら契約するであろうアスモデウスが、もっと稲生にマリアに対する性欲を持たせる為にけしかけたとされる。

 イリーナ:「じゃ、次は服と靴かね?」
 稲生:「そうですね」
 マリア:「いいんですか、師匠?私の私物なのに、お金出してくれて……」
 イリーナ:「弟子の成長に、先生がそれを惜しまなくてどうするの。私のこの体が朽ちる前に、私の後継者になってくれればいいのよ」
 マリア:「師匠……。取りあえず、いつでもどこでも寝れるように努力します」
 イリーナ:「せんでいい」

[同日11:30.天候:晴 イオンモール与野]

 マリア:「むふぅ……」
 イリーナ:「だいたい、こんな所かな」

 両手に大きな買い物袋を提げたマリアがホクホク顔をしている。

 稲生:「じゃあ、取りあえず家に戻ります?それとも……」
 イリーナ:「そうねぇ……。どうせまた駅に行くんだから、もう先に駅のコインロッカーに置いて来ちゃおうか」
 稲生:「分かりました」

 稲生達は駐車場の一画にあるタクシー乗り場に向かった。

 稲生:「すいませーん、乗りまーす」

 爆買い(?)客に気づいた運転手がリアドアだけでなく、トランクも開けた。
 そこに買ったものを入れる。

 稲生:「大宮駅までお願いします」

 稲生は助手席に乗り込んで行き先を告げた。

 運転手A:「はい、ありがとうございます」

 夏の日差しが照り付ける中、黒塗りのタクシーが走り出した。
 車もエアコンの冷房を入れないと厳しい季節になった。

[同日11:45.天候:晴 JR大宮駅西口]

 タクシーが西口のタクシー乗り場に到着する。

 イリーナ:「はい、これ」

 イリーナがプラチナカードを取り出した。

 稲生:「あっ、すいません。カードで払います」
 運転手A:「はい、ありがとうございます」

 稲生がカードで支払っている間、マリア達は車を降りて、トランクの中の荷物を出している。

 マリア:「日本の夏はジメジメしてて暑いですね」
 イリーナ:「これも“魔の者”の攻撃から退避する為よ。日本海があるおかげで、奴らもここまでは直接攻撃できないしね」
 マリア:「そうですね」
 稲生:「それじゃ、上にコインロッカーがありますので」
 イリーナ:「ういっス」

 エスカレーターを使って2階に上がると、コインロッカーがある。
 最近はSuicaで支払いのできるタイプが普及し出してきた。
 そこに買った物を入れておく。

 マリア:「ほとんど私の買ったものばかりなのに、申し訳無いな」
 稲生:「いえ、いいんですよ」

 稲生のSuicaを使用した。
 これでロックが掛かる。

 稲生:「それじゃ、次に行きましょう」
 マリア:「うん」

 西口から外に出て、駅前通りに向かう。

 稲生:「いたいた。やっぱり行き慣れた所に行くのがベストですよねぇ」
 マリア:「まあ、それはそうかも」

 通りに停車している1台のマイクロバスに乗り込む。

 稲生:「お願いします」
 運転手B:「はい、どうぞ」

 乗り込むと3人は後ろの席に座る。

 イリーナ:「じゃ、アタシゃ寝るから着いたら起こしてー」
 稲生:「は、はい」

 送迎用のマイクロバスの座席はリクライニングシートではなく、固定シートだ。
 それでもイリーナはローブのフードを被ると、窓に寄り掛かって目を閉じた。

 マリア:「私もこれくらいできるようにならないと、師匠の後継者として無理らしい」
 稲生:「ええっ?……そりゃ、かなり高いハードルですねぇ……」
 マリア:「うん……」

 発車時間になると、

 運転手B:「はい、発車しまーす」

 自動ドアが閉まって、バスが出発した。

 稲生:「週末だから賑わってますね」
 マリア:「うん」

 バス車内も殆ど座席が埋まっている状態である。

 稲生:「さすがに悪魔達はついて来ないか……」
 マリア:「そうだ……うっ!」

 マリアは窓の外を見て、嫌そうな顔をした。

 稲生:「え?何ですか?」
 ベルフェゴール:「ヒュー♪そうは行かないよ!」

 ベンツのオープンカーに乗って、バスと並走する悪魔達がいた。

 稲生:「オープンカーかよ!?どっから持って来た!?」
 マリア:「ユウタ、悪魔と契約するとなぁ……まあ、あんな感じなんだ……」
 稲生:「こんなぶっ飛びなんですか!?」
 マリア:「まあ、色んな悪魔がいるから……」

 マリアと稲生は呆れ、イリーナは何事も無いかのように仮眠モードに入っていた。
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“大魔道師の弟子” 「稲生家での一夜」

2017-07-31 12:25:52 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[7月6日19:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 稲生家・ダイニング]

 佳子:「御飯できましたよ」
 稲生:「はーい。じゃ、食べましょう。……あの、お酒は本当にいいんですか?」
 マリア:「ぶー……」
 イリーナ:「ええ。いただきます」
 佳子:「ワインありますけど、先生だけでよろしいんですか?」
 イリーナ:「ちょっと諸事情がございまして、まだまだ修行中の身でありながら飲酒はどうかということになりまして……」
 宗一郎:「ほほう。なかなか厳しい御指導なんですなぁ……」
 イリーナ:「そうなんですの。ですが、代わりにこの私めがお付き合いさせて頂きますわ。おほほほほほ!」
 宗一郎:「は、はあ……」

 夕方になって起こされたマリアは、昼食時の失態を聞かされて最初は記憶に無いの1点張りだったが、魔道師の世界でそんな言い訳は通用しなかった。
 悪魔達が勝手に撮影していた動画がイリーナの水晶球に映し出され、フリーズするしか無かったという。

 宗一郎:「えーと、戻りはどうなるのかな?」
 稲生:「明後日土曜日の夜行バス……あっ、しまった。予約はしたけど、乗車券の発券をしてなかった。後でコンビニ行ってこないと……」
 宗一郎:「コンビニなんていつでも行けるだろ。先に食べてからにしなさい」
 稲生:「はいはい」
 宗一郎:「マリアンナさんも。指導が厳しいのはお察ししますが、禁酒明けの酒は美味いものですぞ?」
 マリア:「アリガトゴザイマス……」
 稲生:「父さん、新入社員だった頃、酔っ払って接待先の部長さんのヅラを……」
 宗一郎:「やめなさい!それは黒歴史だから!」
 稲生:「それで会社から『謹慎令と禁酒令どちらがいいか?』なんて迫られて……」
 宗一郎:「だからやめなさい!」
 イリーナ:(おもしろ親子……w)

 イリーナはクイッとワイングラスのワインを空けた。

 佳子:「もう一杯、行かれます?」
 イリーナ:「ダー。あ、いえ、はい」
 宗一郎:「ユウタこそ、日蓮正宗の信仰中に『某講頭のヅラを取る作戦!』なんて叫んでたじゃないか。あれはどうなった?」
 稲生:「僕もう辞めちゃったから関係なーい!」
 宗一郎:「オマエというヤツは……」
 イリーナ:(ある意味、秘密が守られたその講頭さんは『御仏の御加護』か……)

[同日22:00.天候:晴 稲生家・客間]

 マリア:「ぶー……」
 イリーナ:「あー、サッパリした。なぁに?マリア、まだイジけてるの?」
 マリア:「イジけてませんよ……」
 イリーナ:「反省している態度が分かれば、後で禁酒令は解いてあげるわよ。但し、日本酒とか焼酎は引き続き禁止ね」
 マリア:「魔女の中でも私は貧相な体付きなんです……。エレーナの方が背も胸も大きいし……」
 イリーナ:「そういうこと気にしてたの?あなたは悪魔との契約上、体の成長が極端に遅くなってるの。だからしょうがない」
 マリア:「それは分かってるんですけど……」
 イリーナ:「それに、最初に会った頃と比べればちゃんと成長してるよ」
 マリア:「本当ですか?」
 イリーナ:「うん。だから、前の服はサイズが合わなくなって着なくなったんでしょう?」
 マリア:「そうです!」

 稲生が初めて会った時のマリアは、今みたいなJKの制服みたいなものは着ていなかった。
 表向きは、『“魔の者”との戦いに必要な魔力の更なるアップの為、契約悪魔と更なる結び付きを強化する必要がある』ということで、稲生が通っていた東京中央学園の制服をモチーフにした服を着るようになった。
 サイズは当初Sであったが、今はMサイズに変わっている。
 最初は太ったかと思ったが、その分、身長が伸びていることから、そうではなかった。

 イリーナ:「だから、大丈夫だよ。そのうち、ユウタ君を超えたりしてね」
 マリア:「あ……!」

 稲生もまた身長165cmと、どちらかというと低い方である。

 イリーナ:「そういやアタシも、ダンテ先生に拾われた時はマリアくらいの体型だったような気がする」
 マリア:「その後、師匠は何回か体交換してるじゃないですか……」
 イリーナ:「おっと、そうだった」
 稲生:「すいませーん、ちょっといいですかー?」

 部屋の外から稲生の声がした。

 マリア:「いいよ」
 イリーナ:「あっ、ちょっと待ってて。今、マリア脱がすから」
 マリア:「何でですか!」
 稲生:「ええっ?」

 取りあえず中に入る稲生。

 稲生:「コンビニ行って、バスの乗車券発券して来たんです。あと、これはついでに買って来たアイス」
 ミク人形:「おお〜!」
 ハク人形:「おお〜!」

 マリアの荷物の中から、メイド人形のミカエラとクラリスが出て来た。
 人形形態のままだと、なかなかコミカルな動きを見せてくれる。
 マリアの魔力で動いているのだが、その魔力が向上したことが分かるのが、彼女らの武器。
 有事の際はサーベルやスピアを取って戦うのだが、それが今はショットガンやマシンガンに変わっている。
 メイド服のままそんな武器を持って戦うのだから、とてもシュールである。
 稲生専属メイドという立場を取るダニエラなどは、狙撃用ライフルまで持っている。
 メイド服のまま狙撃用ライフルを構えるその姿はシュールなものであるが、ここまで来るともう魔法もヘッタクレも無い

 ミク人形:「美味しいね」
 ハク人形:「美味しいね」
 マリア:「ハーゲンダッツか。イギリスでも有名だな」
 イリーナ:「うんうん、そうだね」

 ↑ロシアにはハーゲンダッツの拠点が無いので、ほとんどノーコメントのイリーナ。

 稲生:「イギリスでも?あれ?イギリスに本社があるんじゃ?」
 マリア:「いや、無いよ。あれはアメリカ」
 稲生:「あ、そうでしたか。いや、社名の響きが英語だったもんで」
 マリア:「いや、まあ英語だけど、ユダヤ系のアメリカ人が創業したって私は聞いたけど……」
 稲生:「そうなんですか」
 イリーナ:「日本でも売ったらバカ売れするよって占い、してあげたっけなぁ……。いやあ、懐かしい懐かしい」
 稲生:「先生も関わってるんですか、これ!」
 マリア:「その割にはロシアでは売らないんですね」
 イリーナ:「まあ、ロシアだから、アメリカのものはちょっとねぇ……」
 マリア:「あ、そういえば……」

 マリアがスプーンでパクッと口に運んだ時だった。

 マリア:「アメリカ人のミアも、これ食べてたんですよ。パッケージが見えなかったんで、『何食べてるんだ?』って聞いたら、あいつの英語訛ってたんで、よく聞き取れなかったんです」
 イリーナ:「ミアは南部出身じゃなかったと思うけどねぇ……。まあ、アメリカ人の英語はイギリス人には聞き取れないことがよくあるって話だから……」
 稲生:「それがどうかしたんですか?」
 マリア:「あいつ、『ハーゲンダーズ/ˈhɑːgənˌdɑːz』って繰り返すんですよ。私も何だかバカにされた気分になりましてねぇ。今これ見て、これのことかと思いまして」
 イリーナ:「アメリカ人は『ハーゲンダッツ』とは発音しないみたいだね」
 稲生:「そうなんですか!」
 イリーナ:「ヨーロッパで話されている言語とは関係無いからね、向こうは。日本人だって、メーカーが『これはハーゲンダッツだ』って言うから、素直にそう呼んでるだけでしょ?」
 稲生:「まあ、そうですね。じゃあ、日本ではあえて漢字で書いてみますか。『哈根達斯』」
 マリア:「エキゾチック」
 イリーナ:「ていうか、それむしろ中国語だよ」
 稲生:「実際、中国ではこう書くみたいです」
 イリーナ:「当て字だね」

 ミク人形:(英語とロシア語と日本語が飛び交ってる……)
 ハク人形:(分かりやすく日本語でお送りしています……)
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“大魔道師の弟子” 「導かれし 酔い者たち」

2017-07-30 20:24:34 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[7月6日13:00.天候:晴 埼玉県さいたま市 某回転寿司店]

 マリア:「何が『神は皆平等に祝福を与える』だ!私が助けを呼んだ時、助けてくれなかったじゃないか!神のスカタン!!」

 マリアは顔を真っ赤にして、ドンとテーブルの上に空になったビールジョッキを叩きつけた。

 稲生:「ケンショー、ソッカー、法華講と分割させといて何の責任も取らーねのか!仏のバカヤロー!金満坊主!!」

 稲生も負けていなかった。
 昼間だからと酒を控えていたんじゃなかったのか、この魔道師達は。
 一体、何が原因だったのだろうか?

 ベルフェゴール:「うんうん、正しくその通り。神なんてのは所詮、独り善がりの偽善者だからね。その点、ボク達悪魔は契約者には尽くすよ。まあまあ、飲んで飲んで」

 ビール瓶を傾けて、マリアのジョッキにビールを注ぐマリアの契約悪魔ベルフェゴール。

 アスモデウス:「仏ぇ?仏なんてホットケーだよ!頼れるのはアタシ達、悪魔だけなんだから。早いとこ一人前になって、アタシと契約してよ。まずは飲んで飲んで」
 マリア:「おい、ユタぁ!そこの色ボケ悪魔に鼻の下伸ばしてんじゃねぇよ、ああ!?」
 稲生:「いやいや!僕はマリアさん一筋!悪魔はあくまで悪魔でヤンス!」
 マリア:「この前、ダニエラに頼んで、アタシの下着くすねさせたってのは本当かぁ?ヒック」
 稲生:「とんでもない!水泳の練習の時に使ったスクール水着だけでヤンス!ヒック!」

 この酔っ払いどもwww

 マリア:「きゃはははははは!!」
 稲生:「たははははは!!」
 ベルフェゴール:「何ですか、店長?……あ、そろそろお会計?分かりました。失礼、そろそろお会計……」
 マリア:「んあ?……ああ、アンタ払っといて」
 ベルフェゴール:「ええっ!?」
 稲生:「マリアさん、丸投げっすかぁ!?」
 マリア:「アタシゃ“怠惰の魔女”なんだよ!今日はもう閉店だっ、この!」
 稲生:「じゃあ、僕も閉店……」
 アスモデウス:「あん❤稲生君は、これから“開店”でしょお???」
 マリア:「オラ、その姉ちゃん!メイドになれや!」
 アスモデウス:「えっ?でもアタシ、悪魔……」
 マリア:「ベルフェもだ!」
 ベルフェゴール:「いや、ボク男だし……」
 マリア:「前に『悪魔に性別は無い』とか言ってただろうがぁぁっ!!」
 稲生:「ええっ!?」
 ベルフェゴール:「酔っ払っているのに、そういうことは覚えてるんだね。……あ、失礼、店長。取りあえず、アメリカン・エクスプレスで払います。フフ、ボクも大好きなグリーンカードです」
 マリア:「だいたい、師匠にしろテメェにしろ、何だその怪しからんデカパイは!ああ!?」
 アスモデウス:「いや、私はそういう悪魔だから……」
 マリア:「いくらか私に寄越せ!出来んのなら脱げーっ!!」
 アスモデウス:「ええーっ!?」
 稲生:「あ、はいはい。マリアさん、そろそろ帰りますよ」
 ベルフェゴール:「失礼、失礼。とんだご迷惑さまでした。これにて失礼」
 アスモデウス:「ごちそうさまー!」

 ここにいる二柱の悪魔はキリスト教系七つの大罪の“怠惰”と“色欲”を司る者である。
 RPGの世界では“憤怒”のサタンや“飽食”のベルゼブブ(ベルゼバブとも)と同様、大ボスを張るほどの実力派だ。
 その二柱が、まだ人間臭さを残す見習魔道師と一人前に成り立て魔道師に圧倒された。

 ベルフェゴール:「支払いは我が主のカードを使わせてもらったけどいいよね?」
 稲生:「う、うん。いいと思う」
 アスモデウス:「オッパイ掴まないで!」
 マリア:「放して欲しかったら、いくらか私に寄越せ!ヒック!」
 アスモデウス:「私と契約してくれないと無理だって!」
 マリア:「じゃ、契約してやんよ!」
 稲生:「ええーっ!?」
 ベルフェゴール:「ちょっwww ここにボクという契約悪魔がいるんだけど……?」
 稲生:「まあまあまあ、マリアさん。早いとこ家に帰って休みましょうね」
 アスモデウス:「稲生さん、しばらくの間、アタシ、ロリに変身しておくわ」
 稲生:「う、うん。10歳くらいの女の子?幼女先輩くらいがいいかもね」

[同日13:30.天候:晴 同市内 稲生家]

 イリーナ:「クカー……クカー……。へへ……さすがにもう食べれないよ……」

 客間の簡易ベッドに横になっているイリーナ。
 何か、ご馳走をたらふく食べている夢を見ているようだ。

 マリア:「うらぁッ!!」

 バァンとドアを思いっきり開けてマリアが飛び込んできた。

 イリーナ:「わああっ!?」

 さすがのイリーナも飛び起きた。

 イリーナ:「な、なになになに!?」
 マリア:「師匠、聞いてくださいよォ……ヒック」

 今度は泣き出したマリア。

 イリーナ:「なに?!何があったの!?」
 稲生:「マリアさん、いい加減に……!」
 マリア:「ユウタが……ユウタがね……。酔っ払って私のこと、『ええか?ええか?ええんのか?』言って私のことを無理やり……」
 稲生:「でっち上げだーっ!」
 ベルフェゴール:「痴漢の冤罪も、酔っ払った女性が原因ってこともあるのかねぇ……」
 イリーナ:「何だかよく分からないけど、……ルァ・リィ・ホ!」
 マリア:「きゃん!」

 イリーナに何か魔法を掛けられたマリア、バタンと倒れて……。

 マリア:「スー……スー……」
 稲生:「ありゃ寝ちゃった!?ラリホーですか!」
 イリーナ:「さて、ユウタ君」
 稲生:「はい?」
 イリーナ:「アタシの眠りを妨げたからには、こうなった理由はちゃんと説明してくれるのでしょうね……!?」

 いつもは目を細めているイリーナ。
 それが今は両目がカッと開かれ、緑色の瞳が稲生にロックオンされていた。

 稲生:「ああっ!何か、大いなる事態の予感がしますがっ……!」
 ベルフェゴール:「さて、アスモ。昼食も済んだことだし、ボク達は埼玉ウォークに行ってみるとするか。ほとぼりが冷めるまで」
 アスモデウス:「そ、そうだね」
 レヴィアタン:「お前ら、この事態招いといて逃げる気か……」

 いつの間にかイリーナの契約悪魔も現れて、他の二柱にツッコミを入れていた。
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“大魔道師の弟子” 「埼玉帰還」

2017-07-29 19:13:07 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[日本時間7月6日11:30.天候:晴 埼玉県さいたま市 稲生家]

 稲生の実家の庭に魔法陣が浮かび上がる。
 そして、そこから魔道師3人が飛び出してきた。

 稲生:「やっと帰って来れた……」
 マリア:「ピンポイントだな」
 イリーナ:「アタシって天才!」

 3人全員が魔法陣から出ると、魔法陣は跡形も無く消えた。

 稲生:「さすが先生です!」
 イリーナ:「ま、アタシがちょっと本気出せばこんなもんよ。マリアだったら、何か媒体が無いとできないもんね」
 マリア:「悪かったですね。まだローマスターなんですから、異世界間移動ができるようになっただけでも良しとしてくださいよ」
 稲生:「媒体?」
 イリーナ:「魔界の穴を利用する方法がベタな法則だね」
 稲生:「となると……。あの旧校舎ですか」
 イリーナ:「ま、そういうことになるね」
 マリア:「今回はまあ、師匠に任せて良かったと思います」

 マリアは以前の東京中央学園での戦いを思い出して吐き気がした。

 稲生:「先生、今回の件は……」
 イリーナ:「うん、おおかた知ってるよ。ユウタ君も、久しぶりの友達との再会で飲み過ぎたのは分かるけど、もう少し慎重になるべぎたったね」
 稲生:「すいませんでした」
 マリア:「だからタクシーで帰って来いって言ったのに……」
 稲生:「いや、ハハハ……」
 イリーナ:「それより少し休ませてもらえる?」
 稲生:「あ、はい」
 マリア:「?」
 イリーナ:「本気出すのって本当疲れるわ」
 マリア:「自宅警備員みたいなこと言わないでください」
 稲生:「因みに今の魔法、何て名前なんですか?」
 マリア:「あ、そうそう。私も気になってた」
 イリーナ:「スーパー・ル・ゥラ?うん、きっとそうよ!」
 稲生:「は、はあ……」
 マリア:「知らないんですか!」
 イリーナ:「何よ?じゃあ、マリアは何て唱えて使ってたわけ?」
 マリア:「……ウルトラ・ル・ゥラ」
 イリーナ:「〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
 マリア:「笑いたかったら素直に笑ってください!知らないから、聞こうと思ったのに!」
 稲生:「まあまあ」

[同日12:00.天候:晴 稲生家]

 稲生:「……うん、上手く行ったぞ」

 稲生は自室に入ると、PCで威吹への報酬と出産祝いを通販サイトで注文した。
 もちろん、このサイトから直接魔界へ送れるはずがない。
 そこで1度こちら側に送ってもらって、それからエレーナに依頼することとなる。

 稲生:「それから……」

 稲生は長野までの帰りの足を確保しようと思った。

 稲生:「おっ、やった!まださすがにピークじゃないもんな!」

 稲生はネットで帰りの高速バスのチケットを購入した。
 厳密に言えば、ネット予約しただけ。

 稲生は部屋の外に出た。

 マリア:「ユウタ、そろそろランチの時間だけど、どうする?」
 稲生:「あっと!そう言えばそうですね。先生は?」
 マリア:「師匠は昼寝モードに入った。多分、ディナーの時間まで起きそうにない」
 稲生:「そうですか。平日昼間は両親もいないからなぁ……。じゃあ、外に食べに行きますか。帰りの高速バスの予約もしたので」
 マリア:「そうか。マイケル氏から『新幹線じゃないのか』と言われそうだな」
 稲生:「え?何ですか?」
 マリア:「え?あれ?私、何か言った?」
 稲生:「いや、あの……。新幹線かぁ……」
 マリア:「交通手段は全てユウタに一任することになってるんだから、師匠も私も文句を言うつもりは無いよ」
 稲生:「そ、そうですね」
 マリア:「おっと、交通費か」
 稲生:「先生、寝てらっしゃるんでしたら、立て替えて……」

 しかしマリアは、2人が客間として借りている一室へ行った。

 マリア:「師匠、帰りの交通手段……あっ」

 するとテーブルの上に、プラチナカードが置いてあった。
 ロシア語のメモがあったが、訳すと、『バス代はこれで』と書かれていた。

 稲生:「先生、予知していたんですね」
 マリア:「ここまで予知されると、却ってムカつかない?」
 稲生:「僕は平気ですけど……。とにかく、行ってみましょう」
 マリア:「うん」

 2人は外に出た。
 7月の暑い日差しが2人を襲う。

 マリア:「日本の夏はほんとジメジメしてる」
 稲生:「そうですねぇ……」

 マリアはブレザーは着ておらず、ブラウスの上から緑色のローブを羽織っている。
 ローブは本来防寒着なのだが、魔道師用に作られたそれは防熱の役割も果たす。

 マリア:「何食べる?」
 稲生:「この近くに回るお寿司があるんで、そこにしましょう」
 マリア:「Sushi……?回る……?」

 もちろんマリアは寿司を知っているが、お皿に乗った寿司が皿回しのように回っているのを想像した。

 稲生:「あ、いや、そういうことじゃないんですよ」

 稲生はマリアの顔を見て、明らかに違うことを想像していることに気づいた。

[同日12:30.天候:晴 さいたま市内 某回転寿司店]

 お昼時だったので、店内は混んでいた。
 少し待たされてから、ようやくテーブル席へ案内される。

 マリア:「これは……?」
 稲生:「コンベアの上に流れているお皿、自由に取っていいんですよ。もし食べたいものがあって、それがコンベアを流れていない場合、注文することもできます」

 稲生が言ってるそばから、テーブル横のレーンを“新幹線”が通過していった。

 マリア:「凄いアイディアだ」
 稲生:「何か飲みますか?」
 マリア:「ビー……あ、いや、お茶でいい」
 稲生:「いいんですか?築地で飲み過ぎたことは……」
 マリア:「あれはちょっとテンションが上がり過ぎたんだ!」
 稲生:「いや、まあ……。あの時のマリアさんもなかなか可愛かったのに……」
 マリア:「! ……と、とにかく、昼はアルコールはいい」
 稲生:「分かりました。あとは何食べます?」
 マリア:「サーモン、エッグ、オクトパス」
 稲生:「はいはい」

 稲生はピッピッと端末のパネルを操作した。

 マリア:「ところで、帰りはバス?いつの?」
 稲生:「明後日の土曜日、夜行便です」
 マリア:「夜行!」
 稲生:「アルピコ交通のそれは期間限定ですからね。今月の下旬くらいになると学校も夏休みになるんで、こうやって直前では取れなくなるでしょうが、今はまだギリギリ取れました」
 マリア:「なるほど。……フフッ」
 稲生:「何ですか?」
 マリア:「いや、ユウタはあの冥鉄暴走電車でだいぶ死闘を繰り広げたっていうから、しばらく夜の交通機関は懲り懲りかなと思っていたんだけど、大丈夫みたいだな」
 稲生:「帰りに関しては先生やマリアさんと一緒ですから。……てか、大丈夫ですよね?」
 マリア:「私の予知夢ではそういう夢はまだ出てこないし、何より師匠がグースカ寝ている間は大丈夫」
 稲生:「分かりやすいバロメーターですよねぇ、あれは……」

 稲生達がそんな噂しているものだから……。

 イリーナ:「……っクシュ!……うー……」

 イリーナはクシャミで目が覚めたという。
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“大魔道師の弟子” 「魔界稲荷」 2

2017-07-29 15:38:14 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[魔界時間7月4日06:36.天候:晴 魔界稲荷(南端稲荷)]

 威吹達の住まいの玄関の扉をガラガラと開けた稲生。
 そこにいたのは……。

 赤ん坊:「ふぁい」
 稲生:「!?」

 稲生は目を丸くした。

 稲生:「誰!?」
 赤ん坊:「ふぁ?」
 坂吹:「誰って、威吹先生と禰宜様の御子息ですよ?」
 稲生:「何だ、そうか。……って、ええっ!?」
 赤ん坊:「あくす……あくす……」

 髪の色が銀色なのは、威吹譲りだろう。
 赤ん坊は稲生に向かって無邪気にバタバタと両手を振った。

 稲生:「ん?何だい?」
 坂吹:「握手ですって」
 稲生:「おー、握手かー。よしよし」
 赤ん坊:「ふぁ!」

 稲生は赤ん坊の小さな右手を握った。

 さくら:「あっ、伊織。こんな所にいたの?ダメよ。勝手にハイハイしちゃ」
 伊織:「おっかー……」
 坂吹:「禰宜様!おはようございます」
 稲生:「あっ、さくらさん、お久しぶりです」
 さくら:「あらっ、確か……伊藤さん?」
 稲生:「稲生です……」

[同時間07:00.天候:晴 同場所]

 ボーン!ボーン!とぜんまい式の柱時計が鳴る。

 稲生:(昭和というより明治だな……)

 稲生は何故かそう思った。
 いや、柱時計と黒電話は明らかに昭和の遺物のはずなのだが……。
 稲生は電話を借りて、イリーナやマリアに連絡を取ろうとした。

 稲生:「あっ、マリアさん!良かった……」
 マリア:「それはこっちのセリフだ!どこにいる!?」
 稲生:「魔界です。アルカディアシティ南部の南端村。マリアさんも1度来たことがありますよね?あそこです。あそこの威吹の家にいます」
 マリア:「分かった。あの狐妖怪の家だな。すぐ迎えに行く」
 稲生:「すいません」

 マリアはあえて理由は聞かなかった。
 電話であれこれ聞いても仕方が無いと思ったか、或いはもうイリーナが魔法で知る由となっているのか。

 マリア:「私だけでも駆け付けたいんだけど、恐らく師匠も行きたがるだろうから、ちょっと待ってて」
 稲生:「分かりました」
 マリア:「まずは師匠を起こすことから作業は始まる!」
 稲生:「あっ、しまった!そっち、今何時ですか?時差を忘れてた!」
 マリア:「こっちは7月5日の19時2分だな。魔界の方が遅いんだっけ?」
 稲生:「確か……」
 マリア:「まあ、いいや。弟子が行方不明だってのにグースカ寝てやがってダメだ、あの婆さん」
 稲生:「それって僕が無事に帰って来ると予知していたってことですよね?」
 マリア:「そうだといいんだけどなっ!……とにかく、威吹の家は安全なんだろう?」
 稲生:「魔界で威吹にケンカ売って来るようなアウトローはいないと思います」
 マリア:「分かった。なるべく早く行くから、もうちょっと待ってて」
 稲生:「お手数お掛けします。……はい、では」

 稲生は電話を切った。

 威吹:「ユター、電話終わった?早いとこ朝餉を」
 稲生:「あ、うん」

 食卓に行くと稲生の分も用意されていた。

 稲生:「すいません、急に押し掛けた上に……」
 さくら:「いいえ、構いませんよ」

 さくらは伊織を抱っこしていた。

 稲生:「頂きます」
 威吹:「あれ?ユタ、御題目三唱とやらはしないの?」

 威吹がニッと笑った。

 稲生:「やめてくれよ。神社でそんなことはできないよ」
 威吹:「ははははっ!」
 さくら:「本当に仲がよろしいんですのね」
 稲生:「すいません、昔馴染みなもので。……あ、先ほど僕の姉弟子に連絡しまして、迎えに来てもらえる算段を付けたので、もう少しだけいいでしょうか?」
 さくら:「もちろんですよ。ゆっくりしていってください」
 威吹:「うんうん。ユタとは、僕を呼び出した報酬について相談をしないとな」
 稲生:「ハハハハ……」

[同日08:00.天候:晴 同場所]

 別の和室に移動して、そこで話し合う稲生と威吹。

 稲生:「びっくりしたよ。そう言えば確か、さくらさん、身籠っていたとは聞いていたけど……」
 威吹:「伊織という名はさくらが付けた。僕的にはあと1人欲しいところだけど」
 稲生:「知ってたら、出産祝いを……。あっ、そうだ。それもプラスしよう。このカタログの中から選んで」
 威吹:「かたじけない。……というか、キミはいつもこういうのを持ち歩いているのかい?」
 稲生:「いや、予知能力向上の為に毎朝占いをしているんだ。今日1日必要なものは何かをね。そしたらこれがあったんだけど、やっと僕の占い、当たるようになってきたなぁ……」
 威吹:「空恐ろしい話だ。それで、僕的には、やはりさくらには栄養のある物を食べさせて……と思うわけだよ」
 稲生:「うんうん、そうだね」

[同日11:00.天候:晴 同場所]

 坂吹:「でやぁーっ!!」
 威吹:「浅い!もっと踏み込め!!」
 坂吹:「はい!!」

 稲生と話が終わった威吹は、坂吹に稽古を付けている。
 取りあえずスマホの充電が終わった稲生は、ネットに繋いで注文しようかと思ったが……。

 稲生:「いっけね。魔界からじゃアクセスできないんだった。マリアさん達に迎えに来てもらったら、取りあえず実家に戻らないとなぁ……」

 縁側に座ってスマホの画面を見ていた稲生はそう呟いた。
 その時、バタバタと外に向かって走って行く坂吹の姿があった。

 稲生:「ん?」
 威吹:「来客だ。それも、ただの参拝客じゃない。多分、ユタの仲間の魔女達じゃないか?」
 稲生:「おおっ!やっと来てくれた!威吹、僕は帰る準備するから、先生達には待っててもらえる!?」
 威吹:「分かった分かった。玉串料せしめてくるよ」

 稲生は休憩室として使っていた和室に戻り、ローブを羽織った。
 それから、できたばかりの魔法の杖を持って外に出た。

 イリーナ:「あー、はいはい。何もしないから」

 坂吹が妖狐の姿に戻って、犬のように唸り声を上げていた。

 稲生:「イリーナ先生!マリアさん!」
 マリア:「ユウタ……」
 イリーナ:「やほー!迎えに来たよー!」

 イリーナはムギュッと稲生をハグした。

 イリーナ:「いやー、よくあの冥鉄電車から脱出できたねぇ!偉い偉い!」
 稲生:「せ、先生……」

 イリーナの巨乳が稲生の顔を飲み込んでいる。

 マリア:「師匠!ユウタが窒息しちゃいます!」
 稲生:「ガクッ……」

 チーン!Ω\ζ°)

 威吹:「こ、この色ボケ魔女が……!」

 イリーナは地面に魔法陣を描くと、その中にマリアと意識を失った稲生を入れ、呪文を唱えた。
 冥鉄列車には乗らず、このまま魔法で人間界へ戻るつもりらしい。

 イリーナ:「それじゃ皆さん、どうも。うちの弟子がお世話になりました」
 威吹:「あ、ああ。ユタに、また来てくれと伝えておいてくれ」
 イリーナ:「了解!それじゃ!」

 魔法陣が淡いピンク色に光り、その中にいた魔道師達を包み込んだ。
 光が消えると、魔法陣ごと無くなっていた。
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