報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「上野凛の上京」

2022-01-29 22:04:08 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月21日17:00.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は栃木から上京してくる、上野凛さんを迎えに来た。
 彼女は明日、東京中央学園上野高校の推薦入試を受けることになっている。
 今夜はうちに泊まることになっていた。
 車で東京駅に向かい、八重洲地下駐車場に駐車する。
 そこから徒歩で、駅を目指した。

 愛原:「いいか、リサ?凛さんは謝ったんだし、そもそも責任は無い。俺も凛さんに責任をどうこうするつもりはない。分かってるな?」
 リサ:「分かってるよ」

 今月上旬、那須塩原のホテルで女将に襲われた私。
 女将は凛さんの母親だ。
 当然リサは烈火の如く怒り狂ったが、凛さんが母親の味方をした為に、怒りの矛先が凛さんにも向けられた。
 私は何度もリサに言い聞かせたのだが、今でも心の中は煮え切らないらしい。

 愛原:「ほら、入場券。これでホームまで迎えに行くぞ」
 リサ:「分かった」
 高橋:「VIP待遇っスね?」
 愛原:「ンなわけない。『監視』業務の委託だぞ?もはや上野凛さんも、政府関係から監視の対象とされている。リサは今のところ正真正銘の『鬼』だが、凛さんは半分人間なのに、リサと同じ扱いにされそうになっている。そっちの方がむしろ可愛そうってもんだよ」
 高橋:「それもそうっスね」

 実際、住まいから那須塩原駅までは、地元警察が護送するという徹底ぶりだ。
 もちろん、普通のパトカーではなく、覆面パトカーだろうがな。
 国家機関の命令とあらば、地元警察などすぐに動くというわけだ。
 まずは在来線の改札口を通過し、そこから今度は新幹線の改札口を通過する。

 愛原:「えーと……凛さんが乗って来るのは“なすの”278号か」

 学校が終わってから来る形になるので、この時間となった。

 愛原:「21番線だな」

 夕方ラッシュで、乗客がごった返すコンコースを通ってエスカレーターに乗った。
 在来線コンコースほどではないが、新幹線通勤客が目立っている。
 ましてや、今日は金曜日だ。

 愛原:「そうか……」
 高橋:「どうしたんスか?」
 愛原:「いや、東京中央学園は土曜日に入試をやるんだなって……」
 高橋:「あっ、そういや、入試って平日にやるイメージっスね」

 私立だから、その辺の日程は自由に設定できるのだろう。
 それとも、一般入試が平日で、推薦入試が土曜日とか?

 リサ:「うちは基本、中高一貫校だから、そもそも高校から入る人って少ないから」
 愛原:「あっ、なるほどな」

 完全中高一貫校ではない。
 中等部卒業後、別の高校に入る生徒もいるし、凛さんみたいに高校から入る生徒もいる。
 もちろん、大部分がリサみたいに中等部から高等部へエスカレーターの生徒であるが。

〔「今度の21番線の電車は、17時28分発、“やまびこ”151号、仙台行きです。上り電車折り返しの為、電車到着後、車内整備・清掃を行います。電車が到着しても、すぐにはご乗車できませんので、予めご了承ください。準備が終了しましたら、放送にてご案内致します」〕

 凛さんは、先頭車に乗っているという。
 これもまた、既に監視対象となっていることが分かる。
 同行者がいない時点で、まだ完全な監視対象ではないのだろうが、高校からそうなるのだろう。

〔21番線に、当駅止まりの電車が到着致します。……〕

 愛原:「おっ、来たな」

 接近放送がホームに鳴り響く。

 愛原:「さすが日本の鉄道は定時性世界一だ」
 高橋:「お言葉ですが先生、宇都宮線が人身事故で止まってます」

 ズコッ!

 愛原:「し、新幹線の話をしてるんだよ!私は!」
 リサ:「先生、東海道新幹線は雪の影響で、名古屋~新大阪間、徐行運転で遅れてるって」

 ズコーッ!

 愛原:「冬は除く!冬は!」

〔「21番線、ご注意ください。“なすの”278号が到着致します。折り返し、17時28分発、“やまびこ”151号、仙台行きとなります」〕

 真っ白のヘッドライトを灯しながら、列車がゆっくりと近づいて来た。
 そして、所定の停止位置にピタリと止まる。

〔「ご乗車ありがとうございました。東京、東京、終点です。車内にお忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください。21番線に到着の電車は、折り返し、17時28分発、“やまびこ”151号、仙台行きとなります。……」〕

 ここまでの乗客が、ぞろぞろと降りて来る。
 そして、その中に……。

 愛原:「凛さん!」
 上野凛:「あっ、愛原先生……」

 上野凛さんがいた。
 制服のセーラー服の上から、ライトブラウンのダッフルコートを着ている。
 やはりリサと同じく、暑さ・寒さに強いのか、マフラーなどは着けていなかった。
 因みにリサも、今は私服だ。
 学校から帰って来て、それから私服に着替えている。

 愛原:「お疲れさん」
 凛:「今日は、よろしくお願いします」
 愛原:「ああ。肩の力を抜いて」
 リサ:「…………」

 リサは無表情だったが、やはり何らかのオーラは放っていた。

 凛:「先輩、今日はよろしくお願いします」
 リサ:「……分かった」

 私があれだけ言い聞かせたのだ。
 この場で、リサが手を挙げられるはずがなかった。

 愛原:「よし。すぐ、家に向かおう。……おっと!その前に、夕食だったな。ファミレスでいいかな?」
 凛:「私は何でも……」
 愛原:「じゃあ、車の方まで行こうか。俺達についてきて」
 凛:「はい。よろしくお願いします」

 私達は急いで新幹線ホームをあとにした。

[同日17:30.天候:晴 東京都中央区八重洲 東京駅八重洲パーキング西駐車場]

 東京駅の地下駐車場に移動する。
 八重洲地下街に付随している大規模な地下駐車場だ。
 たまに地上からの徒歩連絡に迷い、日本橋口まで来てしまう者がいるが、【お察しください】。
 地下駐車場なのだから、地下に下りるという発想が無くなってしまったら終わりだと思う(実際いるんですよ、こういう人達)。

 凛:「……何か出そうで怖いですね」
 リサ:「なー?そこからリッカーが出て来そうで怖いよなー(棒)」
 愛原:「お前らが言うな」
 高橋:「上に同じ!」

 止めていた車に到着する。

 愛原:「荷物、後ろ乗せるか?」
 凛:「あ、はい。すいません」

 凛さんは普通の通学鞄の他、ボストンバッグを持っていた。
 多分、部活動で使っているヤツだろう。
 着替えとかは、その中に入れているのだと思われる。
 車はレンタカーでリース契約している、商用車。
 たまにタクシーでも使われている、5ナンバータイプのワゴンである。
 商用車タイプの方が、隠密行動の時に目立たなくて良いのだ。
 商用車なら、どこにいたって不自然ではないからである。
 いざという時には、出入りの業者のフリをすることだってできるし。

 愛原:「じゃあ、後ろに乗って」

 BOW2人(1人は半分人間)をリアシートに乗せ、運転は高橋に任せ、私は助手席に乗った。

 愛原:「菊川で飯にしよう」
 高橋:「分かりました」

 高橋は車を出した。
 後ろの2人、打ち解けてほしいものだが……。
 女将さんの件が無ければ、そうなっていたことを思うと、そこは悔やまれる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“大魔道師の弟子” 「8時ちょうどの“あずさ”5号」

2022-01-29 16:50:53 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月8日07:50~08:00.天候:晴 東京都新宿区新宿 JR新宿駅→中央本線5M列車8・9号車]

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の10番線の列車は、8時ちょうど発、特急“あずさ”5号、南小谷行きです。……〕
〔「本日に限りまして、8時ちょうどの“あずさ”5号は10番線から発車致します。……」〕

 中央本線特急ホームに行くと、10番線に今度乗る列車が入線していた。
 全車両指定席なので、慌てて席を確保する必要は無い。

 勇太:「先生のお席はこちらです」
 イリーナ:「ありがとう。私も食べたら寝てるから、あとは適当に寛いでて」
 勇太:「分かりました」

 イリーナをグリーン車に案内したところで、勇太とマリアは隣の普通車へと向かう。

〔この列車は、特急“あずさ”5号、南小谷行きです。停車駅は立川、八王子、甲府、小淵沢、茅野、上諏訪、岡谷、塩尻、松本、豊科、穂高、信濃大町、白馬、終点南小谷の順です。……〕

 男声の自動放送が流れる中、8号車の席に着いた。

 勇太:「ここだね」

 荷物を荷棚に上げる。
 進行方向右側の席が確保されていた。
 窓側にマリアが座り、勇太が通路側に座る。
 三連休初日ということもあり、車内は行楽客が多くを占めていた。
 また、下り列車で唯一大糸線に乗り入れるということもあり、スキー客が目立つ。
 その為か、

〔「……他のお客様の通行の妨げになりますので、スキー板やスノーボード等は通路に置かないよう、お願い致します」〕

 なんて、放送も流れている。
 グリーン車は空いていたが、普通車はそこそこ埋まっていた。
 座席に座り、テーブルを出してそこに駅弁と飲み物を置く。

 マリア:「師匠がああ言ったんだから、列車は無事に着くんだろう」
 勇太:「さすが先生、さらっと予知しちゃうよね」
 マリア:「全く……」

 駅弁に箸を付けていると、ホームから発車メロディが聞こえて来た。
 リズム感の良い発車メロディ、10番線の曲名は“See you again”という。
 何気なく流れている発車メロディだが、一部を除いて曲名が付けられている。
 特急が発車する為か、何コーラスか流れる。
 録り鉄嬉し泣きである。

〔「10番線から8時ちょうど発、特急“あずさ”5号、南小谷行きが発車します。次は、立川に止まります。見送りのお客様、黄色い点字ブロックまでお下がりください」〕
〔10番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の列車を、ご利用ください〕
〔「10番線、ドアが閉まります!」〕

 どうやら駆け込み乗車など無く、すんなり閉扉できたようだ。
 最新型のインバータ制御が搭載された車両であるが、勇太達の乗っている車両は“サハ”(付随車)である為、モーターの音は聞こえず、静かに走り出すといった印象である。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この列車は、特急“あずさ”5号、南小谷行きです。前3両、1号車から3号車は、途中の松本止まりです。停車駅は【中略】。次は、立川です〕

 平日であれば、朝ラッシュの満員電車と次々とすれ違うのだろうが、土曜日である為か、すれ違う通勤電車の車内には余裕があるようだ。

 マリア:「うん、チキン美味しい」
 勇太:「それは良かった。僕も、これが最後の和食かな」
 マリア:「そうだな。今日のランチから、再び日本食が食べれなくなる」
 勇太:「それは残念」

〔「……信濃大町には11時15分、白馬には11時41分、終点南小谷には11時56分の到着です。……」〕

 マリア:「ダニエラが、たまにライスボール(おにぎり)とか、作ってくれるみたいだけど?」
 勇太:「夜食でね。あとは、インスタントの味噌汁入れてくれる」
 マリア:「良かったじゃない」
 勇太:「うん、まあね。明日から、また修行開始かな?日曜日だけど……」

 因みに日本の祝日は、イリーナ組には無関係である。
 但し、ロシアやイギリスの祝日は関係させることがある。

 マリア:「今まで休暇を取っていたからって?あり得るね。私達は、別に安息日なんて関係無いし」
 勇太:「そっかぁ……」
 マリア:「まあ、私が今から予言しちゃうけど、表向きには修行はするけど、『自習』にするパティーンかな?」

 マリアはニッと笑った。
 弁当を食べているのて、マスクは取っている。

 勇太:「なるほど。きっとそうだね」

[同日11:41.天候:雪 長野県北安曇郡白馬村 JR白馬駅]

 雪が車窓から明確に見えるようになったのは、長野県に入ってから。
 それから終点に向かう度に、雪深くなっていった。
 乗客が減り始めたのは、大糸線に入ってから。
 特に有名なスキー場がある穂高駅での下車客は多かった。

 勇太:「そろそろ先生を起こしに行こう」
 マリア:「いや、いい。私が行こう。勇太だと遠慮して、強くは起こせないだろうし」
 勇太:「ええっ?」

 マリアはブレザーの上から魔道士のローブを羽織った。

 マリア:「荷物だけよろしく」
 勇太:「う、うん。それはもちろん」

〔♪♪♪♪。まもなく、白馬です。お降りの際はお忘れ物の無いよう、お支度ください。白馬の次は、終点、南小谷です〕
〔「白馬駅1番線の到着、お出口は左側です。お降りの際、ホーム大変滑りやすくなっております。お足元には十分ご注意ください」〕

 勇太は荷物を手に取ると、マリアの後を追ってグリーン車に向かった。

 イリーナ:「マリアは厳しいねぇ……」
 マリア:「日本は世界一時間に厳しい国ですから」

 デッキに着くと同時に、客室からイリーナとマリアがやってきた。

 マリア:「師匠を起こして来たぞ」
 勇太:「お、お疲れ様です……」

 列車はグングン速度を落として行き、本線ホームの1番線に到着した。
 改札口にも接しており、階段の昇り降りは無い。
 優等列車なので、基本的には本線ホームに止まれるよう、配慮されている。

〔「ご乗車ありがとうございました。白馬~、白馬です。お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください。1番線に到着の列車は、11時42分発、特急“あずさ”5号、南小谷行きです。次は、終点南小谷です。……」〕

 ここもスキー場が有名だからか、スキー客が大量に下車した。
 駅は自動改札にはなっていない為、駅員が出て来て手作業でキップを受け取っている。

 駅員:「はい、ありがとうございました」

 改札口の駅員にキップを渡し、待合室に入ると、何故かある意味、実家よりも安心感を感じてしまう勇太だった。

 勇太:「着いたー!」
 イリーナ:「アタシの予言通りだったでしょ?迎えの車が来ているはずだから、寒いし、早いとこ車に乗ろうかね」
 勇太:「そうしましょう。確かに、明らかに東京や埼玉より寒いです」

 駅の待合室には、ダルマストーブが赤々と燃えている。
 しかし、駅の外は雪景色であった。
 ロータリーには、スキー客や温泉客を迎えるバスや送迎車が止まっている。
 スキー客はここからバスやタクシーに乗って、スキー場に向かうわけである。
 宿泊するスキー客は、宿泊施設に荷物を置いてからスキーに向かうパターンもある為、宿泊施設のサービスで送迎が行われることもある。
 勇太達が向かうのは、一般車乗降場。
 そこには往路と同じ、黒塗りベンツGクラスが止まっていて、運転手が待っていた。
 ハッチを開けてもらって荷物を積み、その間にイリーナはたまたま起きた地吹雪に巻き込まれるようにして消え、次の瞬間には運転席の後ろに座っていた。

 イリーナ:「それじゃ、行きましょう。着いたら、すぐにランチにしましょう。ちょうど今から帰れば、その時間帯だしね」
 勇太:「そうですね」
 マリア:「大丈夫です。留守番の人形達が、用意して待っていますので」

 車に乗り込むと、重厚な車は除雪のされているロータリーを出発した。
 こうして、勇太の帰省旅行は無事終了したのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“大魔道師の弟子” 「帰りの旅立ち」

2022-01-28 21:05:28 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月8日07:00.天候:晴 東京都渋谷区代々木 ホテルサンルートプラザ新宿(マリアとイリーナの部屋)]

 師匠より先に起床するのが弟子の使命。
 先に起きたマリアは身支度を整えて、それからイリーナを起こすことにした。
 同じ部屋で弟子がバタバタやっていても、イリーナは起きなかった。

 マリア:「師匠、時間ですよ。起きてください。師匠」

 マリアはイリーナを揺り動かした。

 イリーナ:「ううん……あと5分……」
 マリア:(またか)

 マリアは自分の水晶玉を取り出した。

 マリア:「……どうか、よろしくお願いします」

 そして、水晶玉に映る人物に一言何かを告げる。
 それから、室内のテレビを点けた。
 何も映らないチャンネルであったが……。

 ダンテ:「やあ、おはよう。イリーナ」
 イリーナ:「ダンテ先生?!」

 自分の師匠の声がして、イリーナは飛び起きる。
 そして、青ざめた顔で声のした方を見ると、テレビ画面にダンテが映っていた。
 姿は七変化できるダンテだが、今はデフォルトの初老の紳士の姿をしている。
 髪は白い短髪。
 しかし肌は中東系のような浅黒さである。

 ダンテ:「キミの寝坊癖は見習いの頃からだったが、弟子に迷惑を掛けてはイカンな。特に、キミ達が潜伏している国、日本は世界一時間に厳しい国。その為、“魔の者”は日本には行けないが、だからといってルーズに過ごして良いわけではない。分かるね?」
 イリーナ:「も、申し訳ございません!」

 イリーナは飛び起きて、カーペットの床に片膝をつき、頭を垂れた。

 マリア:(日本は世界一時間に厳しい国だから、“魔の者”は入って来れない?どういうことだ?)

 同じく片膝をついているマリアは、大師匠の言葉に首を傾げた。

 ダンテ:「そういうわけだ。今後も精進して行くように」
 マリア:「Yes,sir.(御意)」
 イリーナ:「仰せのままに……」

 テレビ画面が消えた。

 イリーナ:「あ~、ビックリしたー!ちょっと、マリア!これは一体、どういうこと!?」
 マリア:「わ、私もビックリしましたよ!さっき朝の身支度をしていたら、水晶玉に着信があって、出てみたら大師匠様だったんです。すぐに師匠を起こそうしたんですが、『起床時刻は何時だ?』と聞かれましたので、『今日は7時です』とお答えしたら、さっきのようにやれとの御命令で……」
 イリーナ:「全く。ダンテ先生もお茶目さんねぇ……。時折ああして、抜き打ちで様子を見に来るのよ。心臓に悪いわ」

 イリーナはブツクサ文句を言いながら、再びベッドに入ろうとした。

 マリア:「ちょっと、師匠……」

 マリアがツッコミを入れようとした時だった。

 ダンテ:「いいから早く起きなさい、キミ」

 と、またテレビ画面にダンテが現れる。

 イリーナ:「はいーっ!」

 飛び起きようとしたら、ベッドから落ちたイリーナだった。

[同日07:30.天候:晴 同ホテル→JR新宿駅]

 マリア:「……ということがあったんだ」
 勇太:「そうだったんですか。それは大変でしたねぇ」
 イリーナ:「朝から心臓に悪いわ。あれなら、まだ魔女狩りが襲撃してくる方がマシよ」
 勇太:「は、はあ……」

 エレベーターに乗って1階まで下りる。
 そして、フロントに行ってチェックアウトの手続きをした。

 勇太:「昔はレストランの飲食代も、エステの料金も、全部フロントで払えたんですよね?」
 イリーナ:「そうね。今でも、まだそういう所はあるでしょう」

 ここではレストランでもエステサロンでも、料金はその都度請求された。
 なので、フロントでは特に追加料金を請求されることはなかった。

 イリーナ:「マッサージ自体は、部屋でも頼めたのね」
 勇太:「そのようですね。でも、サロンの方が良かったのでは?」
 イリーナ:「そうね。アタシも気分転換できたし、あなた達も楽しめたでしょう?」
 勇太:「は、はは……。おかげさまで……」
 マリア:(ちっ、やっぱバレてるか……)
 イリーナ:「避妊具は使い切ったの?」
 勇太:「は、はは……。おかげさまで……」
 マリア:「勇太!」

 往路の道を引き返すようにして、新宿駅の南口に入る。
 ここは、よくテレビ中継なんかが行われる場所だ。
 特に、台風や大雪などの時、首都圏の鉄道情報などを伝える時にロケされることが多い。
 これの他だと、新橋駅前SL広場が有名だろう。

 勇太:「キップは1人ずつ持ちましょう」
 イリーナ:「おっ、ありがとう」

 改札口の前で、勇太は帰りの列車のキップをマリアとイリーナに渡した。
 イリーナはグリーン車だ。

 マリア:「勇太、レストランで朝食が取れなかったから、ここで買って行くんでしょう?」
 勇太:「そうそう。駅弁買って行きましょう」
 マリア:「あ、勇太。駅弁の前に、ちょっと買って行きたいものがある」

 マリアはコンコース内のNEWDAYSを指さした。

 勇太:「そうか。実は、僕も……」
 イリーナ:「あいよ。私ゃ、店の外で待ってるよ」

 イリーナはすぐにピンと来た。

 イリーナ:(マリア、そろそろ生理用品が切れそうだからね。ここで買い足して行くか。で、勇太君はコンドームでも買い足して行くのかな?)

 これから乗る電車は、白馬駅まで乗り換え無し。
 そして、駅前にはもう車の迎えが来ているから、あとは屋敷まで直行。
 調達したいものがあれば、この新宿駅構内で完結さなければならない。
 平日なら通勤客でごった返している駅構内だが、今日は土曜日ということもあって、人の多さは相変わらずだが、平日ほどではなかった。
 客層も通勤客は半減し、行楽客が倍増している。

 勇太:「お待たせしました」
 マリア:「お待たせしました」
 イリーナ:「いいよ。それじゃ、次こそは駅弁かね?」
 勇太:「はい。向こうで売ってますので」

 買った物は、早々に自分達の手荷物の中に入れている。
 それから同じコンコース内にある駅弁屋“頂”に向かった。
 ここはNEWDAYS以上に賑わっている。
 勇太達と同じく、これから長距離旅行をする客達だろう。
 この時間だと、中央本線の特急“あずさ”と成田空港行きの特急“成田エクスプレス”が出ている。
 もっとも、“成田エクスプレス”はコロナ禍で閑古鳥だろう。
 感染者数が減った時には、少し盛り返した所もあるが、それはあくまでも国内旅行だ。
 羽田空港は一瞬また賑わいを取り戻したとしても、成田空港はそうもいかないだろう。

 勇太:「何にしますか?」
 イリーナ:「いいよ。勇太君達の好きなの選んで」

 和風テイストの駅弁売り場。

 マリア:「こういうのも、ルーシーは喜ぶ」

 と、マリアは勇太に外観の写真を撮らせた。

 勇太:「早く日本に来られるようになるといいねぇ」
 イリーナ:「何がいい?」
 勇太:「朝から肉は重いかな……」
 マリア:「じゃあ、魚にするか」
 勇太:「やっぱり“深川めし”かなぁ……。僕はどっちかっていうと、JR東海版の方が好きなんだけど……」

 同じ“深川めし”でも、JR東日本版とJR東海版で違うのだ。

 マリア:「私はチキン弁当でいいや」
 勇太:「ほおほお。先生は?」
 イリーナ:「この、カニとイクラにしてくれるかい?」
 勇太:「分かりました」

 勇太が代表してレジで会計しに行った。

 勇太:「それじゃ、行きましょう」

 もちろん、ついでに飲み物も買うのは忘れない。
 この駅弁屋の横に、特急ホームの9番線と10番線がある。
 駅弁を手に、エスカレーターに乗ってホームに降りる魔道士達だった。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“大魔道師の弟子” 「東京での一夜」 2

2022-01-28 15:01:36 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月7日19:30.天候:晴 東京都渋谷区代々木 ホテルサンルートプラザ新宿1Fレストラン]

 サンルートホテルチェーンの中では、高級の部類に属するホテル。
 しかし、世界の富豪から報酬を得ているイリーナにとっては、そこでの料金もはした金なのだろう。
 ホテルのレストランで夕食を取った時、コース料理を注文した。

 イリーナ:「こういうのを食べてると、そろそろ屋敷に帰るんだって思うよね」
 勇太:「そうですね。明日の朝です」
 マリア:「朝早いから朝食は無しか」
 勇太:「うん。朝食が7時からで、乗る電車が8時じゃね……。日本人だけなら早食いして、何とかなるところだけど……」
 マリア:「時間的余裕は無さそうだ。私にはこの他に、師匠を起こすという任務もある」
 イリーナ:「うんうん、頑張ってね」
 マリア:「師匠が自主的に起きて下されば、私のこのミッションはキャンセルされます」
 イリーナ:「5分の延長くらい、いいじゃない」
 マリア:「それを1時間以上も繰り返すから、タチが悪いと言っているのです」
 イリーナ:「気をつけまーす……」
 勇太:「まあまあ、マリア。先生は、これからエステを受けに行かれるから……」
 マリア:「そうだったな」

 最後にデザートや食後のコーヒーを飲んで、それからレストランを出た。

 イリーナ:「一旦、部屋に戻りましょうか。入浴してから行きたいわ」
 勇太:「そうしましょう」

[同日20:30.天候:晴 同ホテル客室(イリーナとマリアの部屋)]

 ソファ付きのツインに入っているマリアとイリーナ。
 イリーナはバスルームに入り、マリアはソファに寝転がってテレビを観ていた。
 衛星放送でアメリカの番組を観ている。
 そこで、面白いものを見つけたからだ。

 イリーナ:「ふぅ~、サッパリしたぁ~。あとはマリア、自由に使っていいわよ」
 マリア:「…………」
 イリーナ:「なぁに?それとも、勇太君の部屋のバスルームでも使う?w」
 マリア:「…………」
 イリーナ:「どうしたの?何かリアクションしてよ」
 マリア:「これ……」
 イリーナ:「ん?」

 マリアがテレビ画面を指さすと、それはアメリカの公開生放送のスタジオだった。
 スーツ姿の司会者がいて、ゲストは……魔道士のローブを着ていた。
 見た目はイリーナと同じ年恰好の女性。
 マリアやエレーナよりも白に近い金髪をしていた。

 マリア:「どうやら超能力を披露するようです」
 イリーナ:「超能力……」

〔「それでは、初めて頂きましょう!まずは、あの壁に掛けられている絵画をこのテーブルの上まで飛ばして頂きます!それでは、どうぞ!」〕

 司会者の言葉は英語です。
 読者の皆様の為、自動的に翻訳しております。
 けして、作者の英語力がゼロだからではありません。

 イリーナ:「多分、上手く行く」
 マリア:「そうですか」

 スタジオの魔道士……というかエスパーと思わしき女性は、右手を差し出すと、絵画に向かって指さした。
 因みに絵画はごく普通の静物画で、花瓶に生けられた赤い薔薇が描かれているだけである。
 大きさはA1ほど。
 すると、絵画が壁から外れてスーッと浮かび、そして女性がクイクイと呼び寄せるような仕草をすると、絵画はそれに従うようにして飛んできた。
 そして、テーブルの上を指さすと、絵画はテーブルの上に降り立った。

〔「Amazing!今の御覧頂けたでしょうか!?もちろん、このようにタネも仕掛けもございません!今度は、ここにございますマネキン人形を歩かせて頂きましょう!この通り、タネも仕掛けも無いですよ!」〕

 イリーナ:「……あー、思い出した。エバート組のクリスだわ。クリスティーナ・エバート」
 マリア:「同門の人でしたか!」
 イリーナ:「アタシと同じ、クロックワーカー(時を紡ぐ者)だわ。……うん、確かアメリカで仕事してるって言ってたわ。前に会ったのは……第2次世界大戦後……だったかな?いや、冷戦終結前に会ってたかも……」
 マリア:「『戦争の 火種で稼ぐ ダンテ流 ロシアと中国 利権が沢山』って、前に勇太がそんな『魔道士短歌』を詠んでましたが……」
 イリーナ:「おー!勇太君も段々うちの法門が分かって来たみたいね!もっとも、そこまで知っちゃったら、もう辞めれないわよ」
 マリア:「確かに……。それにしても、あんなに目立つことしちゃっていいんですか?」
 イリーナ:「魔法をどのように売るかは、魔道士それぞれだからね。アタシは占いで稼いでいるし、クリスみたいに、ああやってエンターテイメントで稼ぐ人もいるってことよ」
 マリア:「でも何だか、演出が嘘くさいですねぇ?」
 イリーナ:「エンターテイメントなんだから、それでいいのよ。もし何かあっても、『実は演出でちたw てへてへw』で逃げれるし」
 マリア:「何だか、魔法を安っぽく売られてるみたいで……」
 イリーナ:「だから、ボッタクリ商売するか、薄利多売するかは、人それぞれだから」

 イリーナは絶対前者であろう。

 イリーナ:「ああ見えても、階級はアタシと同じ、グランドマスター(大魔道師)だからね」
 マリア:「でしょうね!今何か、『これから時間移動します』なんて言ってますけど、本当にそれができるの、クロックワーカーで尚且つグランドマスターだけですからね!」
 イリーナ:「……おっと!こんなことしてる場合じゃないわ。そろそろ予約の時間。アタシはエステに行ってくるからね。まあ、22時過ぎまでは掛かるでしょうね」
 マリア:「はい、行ってらっしゃい」

 マリアは着替えが終わったイリーナを見送った。
 そして、水晶玉を使って、イリーナの後ろを追う。
 イリーナがエレベーターに乗ったのを確認してから、水晶玉の映像を切った。
 今度は、室内の電話機に手を伸ばす。
 それで、勇太の部屋に内線を掛けた。

 マリア:「……あ、もしもし?勇太?師匠、エステに行ったよ。……うん。戻るの、22時過ぎだって。だからさ……うん。勇太の部屋、行ってもいい?……うん。今から行くね」

 電話を切ると、マリアはいそいそと勇太の部屋に行く準備を開始した。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“大魔道師の弟子” 「東京での一夜」

2022-01-26 19:58:24 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月7日17:30.天候:晴 東京都新宿区新宿 JR新宿駅]

 稲生勇太達を乗せた東武特急は、湘南新宿ラインという貨物線を走行していた。
 ところが、埼京線に乗り入れる池袋付近で、急に徐行し出した。
 どうやら、埼京線でもダイヤ乱れがある為、なかなか線路が空かないらしい。
 特急などの優等列車は優先ダイヤで運転されるはずだが、そもそも線路が空かないとどうしようも無い。
 ようやく池袋駅に到着した時、勇太はダイヤ通りに走行している山手線に乗り換えた方がいいのではと思ったほどだという。
 何とか池袋駅を発車した特急だったが、隣を走る山手線よりもノロノロ走行で南下する。
 で、時折止まる。
 そんなことを繰り返し、ようやく列車は新宿駅に接近した。

〔「長らくのご乗車、お疲れ様でした。まもなく終点、新宿、新宿です。6番線に入ります。お出口は、左側です。お降りの際、お忘れ物、落とし物の無いよう、お支度ください。本日、昨夜からの積雪並びに強風の影響により、JR各線遅れが出ております。この電車も前の電車が詰まっている関係系で、およそ11分の遅れで新宿駅に到着致します。お急ぎのところ、電車遅れまして、大変ご迷惑をお掛け致しました。……」〕

 恐らく、場内信号機は黄色2つの『警戒』だったのかもしれない。
 鉄道信号の意味は道路信号とは違う。
 『警戒』信号は、次の信号が赤の『停止』であることを意味し、車掌の言ったように、すぐ前に別の列車がいるという状態である。
 この場合、列車の速度を時速25キロ以下に落とさなくてはならない。
 速度制限には、これとは別に標識もあるのだが、例え標識の方が速い速度を表示していたとしても、遅い方に合わせなくてはならない。
 列車は長いホームにゆっくりと入り、その半ばほどに停車した。

〔「ご乗車ありがとうございました。新宿、新宿、終点です。車内にお忘れ物の無いよう、ご注意ください。本日、列車遅れまして申し訳ございませんでした。6番線に到着の列車は折り返し、17時32分発の特急“スペーシアきぬがわ”7号、鬼怒川温泉行きとなります。……」〕

 勇太達が降りた時、既に折り返しの発車時刻が迫っていた。
 これから車内清掃等が行われるだろうが、明らかに時間が足りない。
 東武鉄道に帰る頃までには、定時ダイヤに戻れるだろうか。

 マリア:「ちょっと待って」

 マリアは列車から降りると、フロント部分に回り込んだ。

 マリア:「勇太、これの写真撮って。ルーシーに送ってあげるヤツ」
 勇太:「おっ、それはいいね」

 エレーナとはケンカし合う仲であるが、ルーシーとは普通に仲良しのマリア。
 同じイギリス人だからだろうか。

 勇太:「よし。これを後でメールで送ってあげよう」
 マリア:「どうして勇太が、ルーシーのメアド知ってるの?」
 勇太:「えっ?いや、ははは……。前に教えてもらったことがあって……」
 マリア:「ルーシーには私が送るから、今の写真転送して」
 勇太:「あ、はい」
 イリーナ:「2人とも、寒いから早いとこ行くよ」
 勇太:「は、はい!」
 マリア:「分かりましたよ」

[同日17:40.天候:晴 東京都渋谷区代々木 ホテルサンルートプラザ新宿]

 住所は代々木になっているが、アクセスは新宿駅からの方が便利だ。
 まあ、代々木駅からもアクセスできるのだろうが。
 確かに新宿駅の南口から、徒歩数分で辿り着くことができた。

 マリア:「Oh!凄いホテル!」

 佇まいはエアポートリムジンバスも発着する高級ホテルな感じだが、これでも国際的には下から2番目のエコノミークラスに相当する。

 勇太:「駅から近いホテルです」
 イリーナ:「うん。アクセスは最高だね」

 イリーナは目を細めたまま頷いた。
 紫色の布マスクをしているが、その下の口元も、一応口角は上がっているように見えた。

 勇太:「それじゃ僕、チェック・インしてきますので……」
 イリーナ:「はい、これ。アタシのカード」
 勇太:「ありがとうございます」

 勇太は両手でプラチナカードを受け取ると、その足でフロントへと向かった。

 マリア:「師匠が使われるには、少々カジュアルですかね?」
 イリーナ:「駅から徒歩圏内というのは大きなポイントだけどね。……む!?」

 その時、イリーナが細めていた目をカッと見開いた。
 その視線の先には、エステサロンの看板があった。

 イリーナ:「アロマボディトリートメント……リフレクソロジー……」
 マリア:「師匠!?」
 イリーナ:「完全予約制……23時まで営業……」
 マリア:「いやいやいや!昼間、温泉施設でマッサージ受けたでしょ!?」
 イリーナ:「あれはあくまでも、温泉施設に付帯したマッサージサービスコーナーでしょ?やはり、こういう専門店で受けると違うのよねぇ……」

 イリーナはスーッとフロントへ向かった。

 マリア:「師匠!落ち着いて!浮かんでますよ!」

 まるで宙を飛ぶように……って、本当に数cm浮いて移動するイリーナだった。

 マリア:(何であんな移動方法、簡単にできるのに、マッサージ受けたがるかねぇ!?)

 マリア、普通に走って追い掛ける。
 イリーナの体は耐用年数が迫ってきているからというのが表向きの理由だが、体に負担を掛けさせない魔法の使い方もあるというのに、それをしないのが不思議なのだ。

 フロントマン:「……それでは稲生様方、3名様で1泊のご利用でございますね?」
 勇太:「はい」
 フロントマン:「お部屋を2つ御用意させて頂きました。こちらがそのカードキーになりま……」
 イリーナ:「ちょいと失礼。あそこのエステサロンの予約をしたいんだけど、いいかしら?」
 勇太:「先生?!どうしました、急に!?」
 フロントマン:「スパの御利用でございますか?」
 イリーナ:「そう!夜、寝る前に受けさせてもらえるかしら?」
 フロントマン:「かしこまりました。コースと御時間は、如何なさいますか?」
 イリーナ:「そうねぇ……」
 マリア:「始まった……」
 勇太:「ああ、マリア。これ、カードキー。先生と御一緒の」
 マリア:「分かった」
 勇太:「部屋にもマッサージを頼めるらしいけど……」
 マリア:「師匠は、ああいうサロンがいいらしい」
 勇太:「そうなんだ」

 夕食後の時間に予約することができた。
 こうしてようやく、部屋に向かうことができた。

 イリーナ:「荷物を置いたら、ディナーにしましょう」
 勇太:「分かりました」

 ランク的にはミドルクラスに匹敵しそうな感じなのに、これでもエコノミー扱いとは……。

 マリア:「作者の金銭感覚が貧困層なんだと思う」
 勇太:「え、何がですか?」
 マリア:「何でもない」
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする