報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

○○前夜の魔の嵐

2013-05-31 19:27:41 | 日記
 先日、関西地方の私鉄で、走行中の電車に自殺者が飛び込んできたという事案があった。自殺者は貫通扉を突き破って、運転室内に飛び込んできたとのこと。
 その電車は新人研修中で、新人運転士がハンドルを握っていたという。その横には、指導教官。自殺者は指導教官とぶつかったとのこと。
 多分、電車にもドライブレコーダーが付いていたと思うが、それが公開されることはない。外国では路線バスが大事故を起こした場合、日本のニュースでその時の映像が公開されることがあるが、何故か日本国内の事故はあまり公開されることはない。不思議なものだ。
 アメリカの場合はクラッシュ映像として、中国の場合は笑い話として紹介されるのは気のせいか。

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 “新人魔王の奮闘記”から。

 政権運営も安定してきた頃、“外遊”と称して人間界へやってきたルーシー。東京へやってきたルーシーは、ある劇場で公演されていたミュージカルを観劇した。

〔「『あら、おやつの時間だわ』」〕
 ズシャッ!
〔「悪の華♪可憐に散る♪鮮やかな彩で♪のちの人々はこう語る♪嗚呼♪彼女は正に悪ノ娘♪」〕
「グスッ……」
(魔王様が傾国の物語を鑑賞するか……)
 同行した安倍春明は呆れていたが、ルーシーは純粋にハンカチ片手に観劇している。

「いいミュージカルだったね」
 ルーシーはパンフレット片手に、劇場を出た。
「異世界通信社から、いいネタにされそうですな」
 春明は苦笑した。
「うちも双子の召使を雇うわ」
「やめときなさいって!」
 その時、ルーシーはある店の前で足を止めた。それは回転寿司だった。
「ハルアキ。前々から疑問だったんだけど、これ……」
「は?」
「Sushi...回る……」
「ああ、回転寿司ね。ルーシー、日本留学時代来なかった?」
「無かったね」
「異国の文化に触れるのも“外遊”の目的。ちょっと体験してみましょうか」
 早速入店してみる。その時、春明はふと思った。
(てかこの魔王様、ラージサイズのポップコーン食ってなかったか、さっき???)
 ボックス席に座る。最近の回転寿司店はベルトコンベアの上に、新幹線が走っていたりする。
「Oh!面妖な!しかも、Look!ハルアキ、Sushiだけじゃなく、うどんやスイーツまで!」
 ズルズルとうどんをすするルーシーだった。
「だからって、いちいち取って食べる必要は無いんだよ」
 ハルアキは呆れて言った。そしてふと嫌な予感がする。
(まさか後で魔王城に、この設備作れなんて言うんじゃないだろうな……)
 とはいえ、ポップコーン食った後の割には、ガンガン食う魔王様。グラマラスなボディは、この食欲にあると首相は確信した。
「むっ!?」
 その時、ルーシーは更に新しい寿司をロックオンした。危うく隣の席に流れていく皿を取った!が、隣の席の客も同時に掴んだ。
「むっ!?」
「ん?」
 ハルアキは隣の席を覗いて見た。
「あーっ!?」
 そこにいたのは、粛正された民主党タカ派の天野刀弥とその仲間2名であった。
 春明と天野は同年齢である。
 タカ派が粛正された後、人間界に舞い戻っていたとは聞いていたが……。
「今のは俺が速かっただろ?」
「No!わたしよ!」
 しかし、天野の仲間達は苦笑いしていた。
「譲ってあげなよー」
「レディ・ファーストだぞ?刀弥」
「ちっ……」
「あまとう君、ハンバーグかい?意外とお子様だねー」
 春明は少し嫌味を込めて言った。
「あまとうじゃねぇ!いいか?こういう所のハンバーグは、案外手間ひま掛けてんだ。ナメんじゃねぇ」
「はいはい
 天野は気を取り直して、ベルトコンベアを見た。
「……。おい、全然流れてこねーぞ!」
 その時、気づく。
「げっ!?」
 ルーシーが流れてくる皿、全部取って次々に食っていた。
「ま、マジかよ……

 食事が一段落する。
「このデザート、スロットができるぞ」
 春明は端末のタッチパネルを操作した。
「ゲームもできるの?」
「まあね」
 そして、スロットが回る。
「Oh!?」
 だが、最後の絵が外れてしまった。
「フン、気合いが足りねーぜ。これじゃ、ルーシー政権も終わりだな」
 天野は寿司を頬張りながら言った。
「シャラップ!こんなのゲームでしょうよ!」
「まあまあ、ルーシー」
 ムキになるルーシーを止める春明。
 すると今度は、天野のスロットが回り始めた。
「あっ、当たった」
「ゲッツ!見たか!今度こそこの勢いで王制ブッ潰して民主制立ててやる!」
「Shit!」
 だが、
「こちらが景品になります」
 店員が持ってきたのは、ゼンマイ式のおもちゃ。
「…………」
「良かったな、あまとう君」
「……あまとうって呼ぶなっ!」
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もうしばらく、駄作で失礼。

2013-05-31 00:00:37 | 日記
 更に昨日の続き……。

 敷島は劇団事務局仙台事務所のあるビルに向かった。
 因みに後から、鏡音リン・レンがついてきている。
 敷島は1人で行くつもりだったが、プロデューサーだけではなく、主役と準主役が一緒に謝れば許してくれるかも……というリン・レンの考えでついてきたのだった。
「ん?ここか?」
 敷島は足を止めた。
 そこは市街地に建つごく普通の雑居ビルで、高くもなく広くもない、こぢんまりとしたビルだった。
「おお~。ちっちゃいビル」
「でも研究所よりは大きい」
「シーッ!2人とも、余計なこと言うなよ!」
 とても観客を泣かせる演技をしたのとは違う。しかし、この無邪気さが普段の2人だ。

 事務所まで行くと、その応接室には、気難しい顔をした壮年の男が足を組んで座っていた。
(う……やべェ……)
 敷島の体中に、冷や汗が吹き出す。この目の前にいるのは、事務局長の本田に他ならなかった。
(普段東京にいる事務局長が、わざわざ仙台事務所まで出張って来てるなんて……。高額な賠償請求されたら、どうしよう……)
「そこに立ってないで、どうぞ座って」
 本田は敷島達にソファを勧めた。
「あ、あの……!こ、この度は、真に申し訳ありませんでした!私どもの心構えが至らず……」
「ごめんなさい!(×2)」
 すると本田は、組んでいた足を直して、きょとんとした顔になった。
「はて?私、何か謝られるようなこと、しましたかね?ま、本当は私の方からお宅さん方に出向きたかったところなんですけども。そういったことからすれば、むしろ謝るべきはこっちの方なんですがね」
「はい?」
「まあ、いいから座ってくださいよ。今日お呼び立てしたのは、あなた達にお礼とお願いがあってのことなんですから」
「えっ?」
 取りあえず敷島は、本田と正対する形でソファに座る。その両隣に、リンとレンも座った。
「リン君とレン君だっけ?君達、凄いねぇ。最初はロボットがミュージカルなんてと思ってたけど、君達を見て考えを変えたよ。並の役者より、よほど優れているよ」
「ありがとうございます!(×2)」
「特に、終盤のアドリブは凄いよ。確かに“黄色の王国”が革命される前、リリアンヌ王女が“緑の王国”を滅ぼすストーリーなんだけど、まさかその生き残り(ミクが演じた兵士A)が革命に参加するなんてくだり、思いもつかなかった。私はあくまで、“黄色の王国”の国民達による蜂起と考えていたからね」
「はあ……」
「おかげで、本当に特別に公演しただけのつもりが、思わぬ大反響を呼んでくれました。何やら、お宅らの方でトラブルがあったようですが、私どもは特に迷惑とか、そんなことは全く考えておりません。むしろ、お礼を言いたいくらいです」
「恐縮です」
「実はおかげ様で、全国から反響がありましてね。この勢いに乗るということで、事務局の方で先程、全国公演を行うこととなりました」
「ぜ、全国公演!?」
「はい。つきましては引き続き、そこにいるリン君とレン君、その他ボーカロイドの皆さんをまたお借りしたいのです」
 敷島はさっきまでの冷や汗はどこへやら、天にも昇る心地に至ったのであった。
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昨日の続き

2013-05-29 19:31:55 | 日記
 台本によれば、ミク演じる革命軍の一兵士は、将軍演じるMEIKOの制止によって見逃すことになっている。だが、ミクは敷島の手元にある台本とは違う行動に出た。
「『いいえ!あやつは、リリアンヌに他なりません!恐らく先ほど処刑されたのは影武者か何か!私めが今度こそその首、刎ねて見せましょうぞ!』」
 一兵士はリリアンヌを追い掛けた。
「なっ……!?」
 当然それを知らないMEIKOは呆気に取られた顔をする。
「み、ミク!?何やってるんだ!?」
 敷島は驚いて立ち上がった。
 しかし背景は変わり、何故か崖っぷちのシーンに変わる。
 リリアンヌ演じるリンも何が何やら分からず、尻餅をついた。それで、フードが取れてしまった。
「『やはりキサマは、リリアンヌ!』」
「ちょ、ちょっと……」

「しまった!」
 敷島はそこで気づく。
「やっぱりワナだったんだ!」
 ミクが持っている剣は、当然ながら模造刀である。
 しかし、より臨場感を持たせるために、切れ味を無くしただけの本物の鉄製とのこと。しかし、だ。ミクはボーカロイドでもロボットである。ロボットの力で思いっきり叩けば、人間なら骨が粉々に砕け散るほどだという。リンとてボーカロイドだが、ミクに思いっきり叩かれれば……。
「そういうことだったのか!」
「まあ、落ち着きたまえ、敷島君」
「えっ!?」
 いつの間に敷島の直後の席に、南里とエミリーがいた。
「ゆっくり芝居が見れんではないか」
「な、何言ってるんですか!?」
「観客が勝手に舞台に上がってはならんぞ。それでは……私の計画では100%大丈夫だが、行ってみるかね?」
「ど、どこに!?」

「『俺はお前に、親兄弟を殺された!今こそ復讐の時だ!』」
「や、やめて……!」
 だが、ミクの目も止めてほしいと訴えていた。
 人間の役者と違い、ボーカロイドは台本の内容を打ち込めばその通りに動く。
 ファジィ機能が付いていて、それでいわゆる機械的な動きはしないように工夫されているが、とにかく絶対に台本通りの動きをするという長所を逆手に取られたのだ。
「『覚悟はできたか!今こそ、積年の恨み、晴らしてくれようぞ!』」
「いやあーっ!」
 リンは両手で頭と顔を押さえた。だが!
「!?」
「『待て!』」
 ミク演じる兵士(以下、兵士A)を後ろから羽交い絞めにする別の兵士(以下、兵士B)がいた。
「『将軍様の御命令であるぞ!これ以上、勝手な行動は許さん!』」
「『放せ!いくら将軍様の御命令といえども、こればかりは……!』」

「!? 何だ?こんなの台本に無い……」
 舞台袖でノートPCを見ながら困惑する者がいた。
「演劇中申し訳無いが、ちょっとこちらに来てもらおうかの?」
 それは演出家だった。エミリーは険しい顔をして、右手を銃口に変形させ、演出家の頭に突きつけた。
「な、何だお前らは!?」
「本物の演出家は、既に財団の方で救出しておる。あとは、お前さんの覚悟次第じゃな」
「な、なにっ……!?」
「ってか所長、あそこで兵士Bを演じてるのは誰ですか!?」
「なぁに。エキストラを送り込んでおいたわい」
「ええっ!?」

「『見ろ!既に城には我が革命軍の旗が立った!リリアンヌは既に“処刑”されている。ここにいるのは召使だ!』」
 そう行って、兜を取る兵士B。その素顔は……。

「な、七海!?」
「さよう。七海は一介のメイドロボットに過ぎんが、平賀君の設定ミスで、腕力はエミリー並みにあるでな。初音ミクを押さえるには、十二分じゃわい」
「おとなしく・しなさい!」
 エミリーは偽演出家を捻じ伏せた。
「く、くそっ!」
「あとはブタ箱で、きっちりお灸をすえてもらうからの。おおかた、ドクター・ウィリーの差し金であろうが……」
 エミリーと警備員、警察官などに囲まれて、偽演出家は舞台袖から連行されていった。
 直後、観客席から大拍手が起きる。

 結果的に仙台公演は東京公演以上に大好評となってしまった。が、やはり舞台裏での混乱は否めなかった。
 因みにミュージカル自体は、リリアンヌがその後、異国の地に落ち延びて修道女をやっているところで終わる。いかにも、続編があるような素振りで終わるのだが……。
「それじゃ、所長は演出家が偽者だって知ってたんですか?」
「ふふふ。まあな。キミ、演出家と直接会って話をしたじゃろう?」
「ええ」
「その時から既に、演出家が1番怪しいと踏んでいたのじゃよ」
「どうして教えてくれなかったんですか?」
「敵を欺くには、まず味方からということじゃな。脚本はしっかり、わしが直前に差し替えておいたわい。エキストラとして潜り込ませた七海が食い止めるようにな」
「所長が?」
「無論」
 南里は大きく頷いた。
「だけど……後が……」
「ん?」
 その時、研究所の電話が鳴った。すぐ近くにいた七海が取る。
「……はい。かしこまりました。なる早でお伺い致します」
「うわっ、劇団さんからの苦情の電話だ!」
 敷島は両手で頭を抱えた。
「敷島さん、すぐに事務局までご足労願いたいと……」
「分かったよ」
 敷島は重い腰を上げた。
「なぁに、敷島君、心配いらん。公演自体は大成功したのじゃからの」
「そーゆー問題じゃないですよ!」
 
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明るいニュースではあるが……

2013-05-28 20:20:30 | 日記
小6遭難 「発見」一報、拍手と涙 校長「元気な姿うれしい」(産経新聞) - goo ニュース

 小学生高学年の男女1組のペアが山で行方不明になったということで、私はつい“地獄先生ぬ~べ~”を連想してしまった。この漫画のメインキャラクター達も小学校高学年だが、山で行方不明になるシーンがいくつかあるからである。無論この漫画では妖怪絡みなのだが、今回はまあ……好き勝手な想像で留め置くことにしよう。いずれにせよ、無事だったのだから。
 物書きなんかやってるとね、何か変なネタが思い浮かんでしまうのだよ。上記の事件を元に、1つの短編が思いついたくらいだ。
 ま、それは後々、事故のほとぼりが冷めた頃にでも……。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 “ボカロマスター”より。ミュージカル編が思いのほか盛り上がったので、もう少し公開。

 結局謎が解けないまま、仙台公演が始まった。
 仙台公演は特別公演ということで、たった3日間だけの開催であった。
 敷島は言わば出演者を提供したプロダクション側の人間であるのだが、何故か舞台袖には入れてもらえず、代わりに観客席を用意してもらっていた。

 シーンは第1部のクライマックス、リリアンヌ(リン)の王宮が革命軍によって攻め込まれているところに差し掛かる。
「もうすぐこの国は終わるだろう♪怒れる国民たちの手で♪これが報いだというのならば♪僕はあえて♪それに逆らおう♪」
 生き別れた双子が再会した時、姉リリアンヌは悪逆非道の王国の頂点に君臨する王女であり、弟アレン(レン)は雇われた直属の召使であった。
 それだけでも哀しさが漂うが、2人は互いが実は幼い頃に生き別れた双子の姉弟だということを知らないフリして過ごしていた(最初は知らなかったが、後に薄々気づき始めた)。
 そして、シーンは双子が互いに衣装を交換するところに差し掛かる。
「ほら僕の服を貸してあげる♪これを着て、すぐにお逃げなさい♪大丈夫♪僕らは双子だよ♪きっと、誰にも分からないさ♪」

 そろそろすすり泣く観客が出始めた頃、敷島は冷静に台本と役者達の台詞、立ち回りを見比べていた。
「『各々方、革命にて候!』」
 ついに王宮に革命軍が乗り込んでくる。そのリーダー役を演じているのはMEIKO。
「『狙うは悪の娘リリアンヌのみ!良いか!けして殺してはならぬ!必ずや生け捕りにし、民衆の前で裁きに掛けるのだ!』」
(MEIKO演じるジェルメイヌ将軍が、革命軍を率いて、城の中に突入するよな?)
 やっぱり台本通りだ。どこもおかしい所は無い。
「『近衛兵団など、この人数を持ってすれば恐れるに足らん!突っ込め!』」
「…………」

 そしてリリアンヌがついに、革命軍に捕らえられる。しかしそれは、双子の弟が成り済ましたものである。しかし、革命軍は誰一人それに気づかない。
「『……よって、リリアンヌ・ルシフェン・ドートゥリシュを翌日午後3時の鐘を持ち、ギロチンの刑に処す!それまでは逃亡の防止と反省を促すため、北の塔への幽閉を命ず!』」
(確か台本だと、弟の処刑を見届けた後、国外逃亡しようとして、ミクが演じる革命軍の兵士に見つかるんだっけ)
 ここまで見てきたが、何もおかしな所は無い。

 3時の鐘が鳴る。
〔「ついにその時はやってきて♪終わりを告げる鐘が鳴る♪民衆などには目もくれず♪君は私の口癖を言う♪」(リンの歌声)〕
「『あら、おやつの時間だわ』」
「『執行!』」
 ザシュッ!
〔「君は王女♪僕は召使♪運命分かつ♪哀れな双子♪君を守る♪その為ならば♪僕は悪にだってなってやる♪」(レンの歌声)〕
 大歓声を上げる民衆。しかしその中に1人、泣きじゃくる者がいる。入れ替わって生き延びたリリアンヌだった。
〔「もしも生まれ変われるならば♪その時はまた遊んでね♪」〕
 涙を誘われた観客達も、ハンカチが手放せない。
「『そこの者!待て!』」
 しかし、それを打ち消すかのようにミク演じる革命軍の一兵士が、リリアンヌを呼び止める。
「『何をフードで顔を隠している?怪しいヤツめ!こっちへ来い!』」
 一兵士はリリアンヌの腕を掴んで、引き立てた。
 民衆から離れたところで、一兵士の尋問が始まる。
「『フードを取れ!何者だ!?』」
 リリアンヌが震える。だが、兵士はフードの隙間からその正体に気づく。
「『キサマ、もしや……!?』」
「『おい、そこで何をしている?』」
 そこへ赤い鎧を身にまとい、立派な馬に乗った騎士が現れた。革命軍のジェルメイヌ将軍に他ならなかった。
 すぐに兵士は片膝をついて畏まる。
「『これは閣下!実は先ほど刑場前にて、怪しい者を捕らえました!こやつにございます!』」
「『これはもしや、リリアンヌ王女の召使の1人ではないか?』」
「『そのようでありますが、どうもこやつ……』」
「『良い。召使になど、用は無い。我らの目的はただ1つ。元王女リリアンヌの粛正と、混乱した王国の建て直しにある。我らにはやるべきことが沢山あるのだ。放っておけ』」
 タタタッとリリアンヌは小走りに立ち去る。ここまでは台本通りだった。ここまでは!
「!!!」
 次の瞬間、ミクが台本に無いことをやり始める!
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冨士参詣臨時便 6

2013-05-28 13:33:19 | 日記
 寸借詐欺に注意。前記事のつぶやきにも書いた通りである。意外と治安の良さそうな場所でそれは発生するようである(治安の悪い場所だと、もっと悪いヤツに狙われるからか)。この前は大手町でも遭遇した。1番いいのは、全く相手にしないことである。少しでも関心を見せると、食らいついて来るのでご注意のほどを。
 私もまた神出鬼没。どうして日本橋浜町にいたのかは【お察しください】。
 そうそう。手口だが、電車に乗るのに金が無いから電車賃貸してくれというのがデフォのようである。
 あいにくと、施しをすることがイコール功徳を積むことにはならない。私はクリスチャンではないのでね。功徳にならないことはしない。それだけだ。

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 “ボカロマスター”より。

 ズシャッ!とギロチンの刃が落ち、“悪ノ娘”と呼ばれた王女リリアンヌの首は跳ね飛ばされた。
 悪政からの解放を見届けた民衆が大歓声を挙げる。

(おかしいな。ここまでは台本通りだけど……)
 実はこれはDVDの映像。通常のストーリーで行われた東京公演の時のもの。
 敷島はリンとレンが主役と準主役を務めるミュージカルの内容をチェックしていた。
(何が問題なんだ?)
 平賀が指摘したストーリーの違い。赤月が持ってきた仙台公演用の台本と見比べていた。
 実はギロチンで首を刎ねられたのは王女とは生き別れた双子の弟で、直前に入れ替わっていたのだ。そこが、観衆の涙を誘う所である。
 その役作りの為に、わざわざ赤月はレンの首と胴体が離れても機能停止しないように改造するほどの力の入れようだった。
(リン……リリアンヌは確か、入れ替わった召使に成り済まして1人、城を抜け出すはずだ……)
 そこから第二部が始まる。
(何でリンが壊れるんだ?ストーリー上、そんな危険な箇所は無いはずだが……)
 敷島は分からなかった。
「あの、たかおさん……」
 そこへミクがやってきた。
「何だ?」
「このミュージカルではわたし、一人二役をやるんです」
「知ってる。“緑の王国”の王女ミカエラだけじゃなく、革命軍の名も無き兵士の役をやるんだろ?確か、召使に化けて逃げ出す王女を見つけて、追い掛けようとするんだろ?」
「はい」
「だけど革命軍のリーダーに、『召使に用は無い』と言われて、追跡をやめるはずだ」
「そうですね」
「…………」
 そこで敷島は違和感を覚える。
「だけどさ、確かにミクは主役じゃないけど、ストーリーに絡む重要人物の役はやるわけだ」
「はい」
「そんな役を与えられておきながら、どうして名も無い兵士の役も割り当てられたんだろ?別に、そんなのエキストラでもいいだろうに……」
「それは分かりません」
「演出家に会ってみる必要があるな」
 敷島は席を立った。
「演出家さんは今、人間の役者さん達の指導で忙しいですよ」
「リン本人に聞いても的を得ないんなら、中核に聞くしかないだろ」
「わ、わたしも行きます」
 敷島とミクは研究所を飛び出した。
(このミュージカル。仙台公演自体がワナなんじゃないか?)
 車を発進させながら、敷島はふとそんなことを考えていた。
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