[11月26日13:04.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅→北陸新幹線“あさま”613号]
東京駅構内でイリーナ組とベイカー組は、ポーリン組と別れた。
ポーリン組は改札口を出て、八重洲中央口へ向かった。
そこからタクシー乗り場に行き、タクシーに乗ってワンスターホテルに向かうのだそうだ。
稲生達は改札を出ず、むしろそこから更に新幹線改札口へと入り、新幹線コンコースに入った。
ホームへ直行する前にトイレに寄ったりする。
駅弁はホームでも買えるので。
稲生:「グリーン車は11号車、僕達は10号車に乗りますから」
稲生はイリーナとベイカーをグリーン車に案内した。
稲生:「下車駅が近づいたら、またご案内します」
イリーナ:「ありがとう」
ベイカー:「よろしく頼むわね」
ベイカーは60代くらいの女性の姿、イリーナは30代くらいの女性の姿をしている。
ベイカーの金髪には白髪が混じっているが、イリーナの赤い髪にはそれは無い。
まるで親子かと思うほど歳が離れているが、実際は1000年単位で歳が離れている。
ダンテの一番弟子ではないかと思うほどなのだが、そうではないらしい。
大ベテランなのだから、強大な悪魔と契約していると思われるが、それが何なのか、稲生は知らない。
稲生:「先生達を案内してきましたよ」
マリア:「ありがとう」
稲生達は普通車。
3人席が確保されていた。
普通車といえども、そこはフル規格の新型車両。
シートピッチは広めに確保されている。
〔「ご案内致します。この電車は13時04分発、北陸新幹線“あさま”613号、長野行きでございます。停車駅は上野、大宮、熊谷、本庄早稲田、高崎、軽井沢、佐久平、上田、終点長野の順に停車致します。【中略】お待たせ致しました。まもなく発車致します」〕
駅弁に箸を付けていると、ホームから発車ベルの音が聞こえてきた。
東海道新幹線と違い、こちらは未だにベルである。
そして、客扱い終了合図の甲高いブザーが聞こえてきて、それでドアが閉まった。
インバータの音を響かせて、列車が発車する。
マリア:「富士山に行く新幹線と比べると、だいぶ本数は少ないな」
稲生:「そりゃ東海道新幹線と比べてはいけませんよ。ただ、この路線も、もう少し本数は多かったんですけどね」
マリア:「ああ、11月の台風の被害ってヤツ?」
稲生:「そうです。あれのせいですよ。あれで車両が水没して車両が足りなくなり、本数が減らされたんです」
マリア:「……“魔の者”の揺さぶり?」
稲生:「ええっ?先生、そんなこと仰ってませんでしたよ?」
ルーシー:「自然災害も“魔の者”の揺さぶりとされることがあるからね。イリーナ先生は、あまり気に留めてなかったんでしょう」
マリア:「まあ、確かにあの時……台風が直撃しても、グースカ寝ているような人だからなぁ……」
稲生:「逆に、それだけ先生が落ち着いていらっしゃるんだから、きっと大丈夫だっていう安心感はありましたけどね」
元々ホラーチックな洋館であるが、嵐の日はその雰囲気が倍増する。
稲生も最初は怖かったが、さすがに今は慣れてしまった。
本来なら稲生も、訪問者や侵入者に対し、恐怖を演出する側なのである。
稲生:「少し怖い屋敷だけど大丈夫?」
ルーシー:「何を今さら……。私だってスコットランドの古城を探索したことあるんだから。それと比べれば、マリアンナの屋敷なんて普通よ」
稲生:「イギリスの古城。日本じゃ、たまにホラーゲームの舞台になったりするよ」
マリアンナ:「日本のオールドハウス(古民家)の方が、よっぽど怖かった」
稲生:「威吹の家のことですか、それ?」
そりゃ妖怪の住む家なのだから、そんな雰囲気はある。
だけど長年の付き合いがある稲生は、全く不気味さを感じたことは無かった。
[同日14:48.天候:晴 長野県長野市 JR長野駅]
〔♪♪(車内チャイム)♪♪ まもなく終点、長野です。北陸新幹線、富山、金沢方面、信越本線、しなの鉄道北しなの線と長野電鉄長野線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
長野駅に接近し、車内に放送が鳴る。
稲生:「ちょっと先生方達の所へ行ってきます」
マリア:「行ってらっしゃい」
稲生が隣のグリーン車に行くと、2人のグランドマスター達はうたた寝をしていた。
もとい、ベイカーはうたた寝だが、イリーナは爆睡だ。
稲生:「先生方、そろそろ降りますよ」
ベイカー:「ん……そうかい」
稲生:「イリーナ先生、イリーナ先生」
ベイカーはすぐに起きたが、イリーナが起きない。
ベイカー:「起きなさい、イリーナ」
ベイカーはペチンとイリーナの居乳を引っ叩いた。
イリーナ:「あたぁ!?」
ベイカー:「もうすぐ降りる駅よ。早く準備しなさい」
イリーナ:「はぁい」
イリーナは欠伸をしながら応えた。
齢1000年の大魔道師も、その2~3倍生きる大先輩には頭が上がらないようである。
稲生:「先生達を連れて来ましたよ」
マリア:「ご苦労さん」
列車が副線ホームに停車してドアが開く。
〔「ご乗車ありがとうございました。長野、長野、終点です。お忘れ物、落とし物の無いようご注意ください。……」〕
ぞろぞろと列車から降りる乗客達。
稲生達もその中に混じっている。
稲生:「それじゃ、ここから先はバスで白馬まで行きますので」
イリーナ:「りょーかい」
稲生:「バスの中にトイレは無いので、トイレを済ませてからの方がいいかもしれませんね」
イリーナ:「ですって。ベイカーさん」
ベイカー:「それじゃそうしようかね」
冬なら賑わう白馬行きのバスだが、まだ雪の降らぬこの時期はそこまで混んでいないだろう。
もちろん白馬のバスターミナルには、屋敷までの車を待たせている手筈になっている。
東京駅構内でイリーナ組とベイカー組は、ポーリン組と別れた。
ポーリン組は改札口を出て、八重洲中央口へ向かった。
そこからタクシー乗り場に行き、タクシーに乗ってワンスターホテルに向かうのだそうだ。
稲生達は改札を出ず、むしろそこから更に新幹線改札口へと入り、新幹線コンコースに入った。
ホームへ直行する前にトイレに寄ったりする。
駅弁はホームでも買えるので。
稲生:「グリーン車は11号車、僕達は10号車に乗りますから」
稲生はイリーナとベイカーをグリーン車に案内した。
稲生:「下車駅が近づいたら、またご案内します」
イリーナ:「ありがとう」
ベイカー:「よろしく頼むわね」
ベイカーは60代くらいの女性の姿、イリーナは30代くらいの女性の姿をしている。
ベイカーの金髪には白髪が混じっているが、イリーナの赤い髪にはそれは無い。
まるで親子かと思うほど歳が離れているが、実際は1000年単位で歳が離れている。
ダンテの一番弟子ではないかと思うほどなのだが、そうではないらしい。
大ベテランなのだから、強大な悪魔と契約していると思われるが、それが何なのか、稲生は知らない。
稲生:「先生達を案内してきましたよ」
マリア:「ありがとう」
稲生達は普通車。
3人席が確保されていた。
普通車といえども、そこはフル規格の新型車両。
シートピッチは広めに確保されている。
〔「ご案内致します。この電車は13時04分発、北陸新幹線“あさま”613号、長野行きでございます。停車駅は上野、大宮、熊谷、本庄早稲田、高崎、軽井沢、佐久平、上田、終点長野の順に停車致します。【中略】お待たせ致しました。まもなく発車致します」〕
駅弁に箸を付けていると、ホームから発車ベルの音が聞こえてきた。
東海道新幹線と違い、こちらは未だにベルである。
そして、客扱い終了合図の甲高いブザーが聞こえてきて、それでドアが閉まった。
インバータの音を響かせて、列車が発車する。
マリア:「富士山に行く新幹線と比べると、だいぶ本数は少ないな」
稲生:「そりゃ東海道新幹線と比べてはいけませんよ。ただ、この路線も、もう少し本数は多かったんですけどね」
マリア:「ああ、11月の台風の被害ってヤツ?」
稲生:「そうです。あれのせいですよ。あれで車両が水没して車両が足りなくなり、本数が減らされたんです」
マリア:「……“魔の者”の揺さぶり?」
稲生:「ええっ?先生、そんなこと仰ってませんでしたよ?」
ルーシー:「自然災害も“魔の者”の揺さぶりとされることがあるからね。イリーナ先生は、あまり気に留めてなかったんでしょう」
マリア:「まあ、確かにあの時……台風が直撃しても、グースカ寝ているような人だからなぁ……」
稲生:「逆に、それだけ先生が落ち着いていらっしゃるんだから、きっと大丈夫だっていう安心感はありましたけどね」
元々ホラーチックな洋館であるが、嵐の日はその雰囲気が倍増する。
稲生も最初は怖かったが、さすがに今は慣れてしまった。
本来なら稲生も、訪問者や侵入者に対し、恐怖を演出する側なのである。
稲生:「少し怖い屋敷だけど大丈夫?」
ルーシー:「何を今さら……。私だってスコットランドの古城を探索したことあるんだから。それと比べれば、マリアンナの屋敷なんて普通よ」
稲生:「イギリスの古城。日本じゃ、たまにホラーゲームの舞台になったりするよ」
マリアンナ:「日本のオールドハウス(古民家)の方が、よっぽど怖かった」
稲生:「威吹の家のことですか、それ?」
そりゃ妖怪の住む家なのだから、そんな雰囲気はある。
だけど長年の付き合いがある稲生は、全く不気味さを感じたことは無かった。
[同日14:48.天候:晴 長野県長野市 JR長野駅]
〔♪♪(車内チャイム)♪♪ まもなく終点、長野です。北陸新幹線、富山、金沢方面、信越本線、しなの鉄道北しなの線と長野電鉄長野線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
長野駅に接近し、車内に放送が鳴る。
稲生:「ちょっと先生方達の所へ行ってきます」
マリア:「行ってらっしゃい」
稲生が隣のグリーン車に行くと、2人のグランドマスター達はうたた寝をしていた。
もとい、ベイカーはうたた寝だが、イリーナは爆睡だ。
稲生:「先生方、そろそろ降りますよ」
ベイカー:「ん……そうかい」
稲生:「イリーナ先生、イリーナ先生」
ベイカーはすぐに起きたが、イリーナが起きない。
ベイカー:「起きなさい、イリーナ」
ベイカーはペチンとイリーナの居乳を引っ叩いた。
イリーナ:「あたぁ!?」
ベイカー:「もうすぐ降りる駅よ。早く準備しなさい」
イリーナ:「はぁい」
イリーナは欠伸をしながら応えた。
齢1000年の大魔道師も、その2~3倍生きる大先輩には頭が上がらないようである。
稲生:「先生達を連れて来ましたよ」
マリア:「ご苦労さん」
列車が副線ホームに停車してドアが開く。
〔「ご乗車ありがとうございました。長野、長野、終点です。お忘れ物、落とし物の無いようご注意ください。……」〕
ぞろぞろと列車から降りる乗客達。
稲生達もその中に混じっている。
稲生:「それじゃ、ここから先はバスで白馬まで行きますので」
イリーナ:「りょーかい」
稲生:「バスの中にトイレは無いので、トイレを済ませてからの方がいいかもしれませんね」
イリーナ:「ですって。ベイカーさん」
ベイカー:「それじゃそうしようかね」
冬なら賑わう白馬行きのバスだが、まだ雪の降らぬこの時期はそこまで混んでいないだろう。
もちろん白馬のバスターミナルには、屋敷までの車を待たせている手筈になっている。