[5月5日21:23.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅]
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、大宮です。上越新幹線、北陸新幹線、高崎線、宇都宮線、京浜東北線、埼京線、川越線、東武アーバンパークラインとニューシャトルはお乗り換えです。お降りの際はお忘れ物の無いよう、お支度ください。大宮の次は、上野に止まります〕
郡山以南から先、列車は“やまびこ”号最高速度の時速275キロで走行した。
その為か、暫定ダイヤの上では定刻通りに運転できた。
自由席はゴールデンウィーク期間中ということもあってか、満席状態である。
仙台始発の列車に乗って良かったと、勇太は改めて思った。
これがイリーナと一緒だと、グリーン車に乗れるのだが。
〔「まもなく大宮、大宮です。14番線に到着致します。お出口は、左側です。東北地方雨の為、本日、車内での傘の忘れ物が多く発生しております。大宮でお降りのお客様、お忘れ物の無いよう、ご注意ください。大宮からのお乗り換えをご案内致します。上越新幹線下り……」〕
東北地方では雨に降られたが、関東に入るとウソみたいに晴れていた。
車窓からは月が見えるくらいだ。
車窓から『カニトップ』の看板が見えてくる頃、下車の準備をすると良い。
勇太もそうした。
勇太:「降りようか」
マリア:「うん」
人形達は分かっているように、バッグの中へと入って行く。
そして、列車は新幹線上り本線ホームに入線した。
〔ドアが開きます〕
閉扉の時はガチャンと賑やかに閉まるのに対し、開扉の時はゆっくり開く。
〔「ご乗車ありがとうございました。大宮ぁ、大宮です。車内にお忘れ物の無いよう、お降りください。14番線の電車は、“やまびこ”“つばさ”190号、東京行きです。次は、上野に止まります」〕
列車を降りる。
案外、あまり大宮駅で降りる乗客はいなかった。
なので、自由席はまだまだ乗客が多い。
2人がエスカレーターを下りている間、ホームからは発車ベルが鳴り響いた。
今や大宮駅で唯一の発車ベルが流れるのが新幹線ホームである。
駅員:「前から乗車券が出てきまーす!乗車券のお取り忘れにご注意くださーい!」
だいぶチケットレスが進んだと思われるが、多客期はまだ紙のキップで乗る客が多いのだろう。
普段は大糸線以外、Suicaで乗る勇太とマリアもそうだった。
もちろん、この2人は取り忘れることはない。
在来線コンコースに移ると、今度は京浜東北線ホームに向かう。
西側にある新幹線乗り場から、東側の京浜東北線乗り場に行くのは大変だ。
勇太:「因みに、ここにも本屋がある」
改札内コンコース上にも、書店がある。
改札内コンコースには書店が3つあるが、そのうち南側コンコースの京浜東北線乗り場近くの店舗が最も規模が大きい。
マリア:「閉まってる」
勇太:「日曜・祝日は閉店時間が早いみたいだね」
試しにマリアが水晶玉で占うと、ここにもマリアが気になる本が置いてあることが分かった。
マリア:「なるほど。こういう所にもある時はあるのか」
勇太:「明日、また来てみる?」
マリア:「いや、また今度でいい」
勇太:「そう」
〔まもなく2番線に、当駅止まりの電車が到着致します。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。次は、さいたま新都心に止まります〕
階段を下りると、次の電車が入線してくるところだった。
勇太:「ちょうどいい。これに乗ろう」
パァァァンと電子警笛を鳴らして、電車が入線してきた。
〔「終点、大宮、終点、大宮です。ご乗車ありがとうございました。2番線は21時42分発、各駅停車の大船行きです」〕
到着した電車の先頭車、1号車に乗り込む。
平日よりは空いている時間なのは間違いない。
〔この電車は京浜東北線、各駅停車、大船行きです〕
〔This is the Keihin-Tohoku line train for Ofna.〕
勇太:「21時42分か。これに乗ったって、母さんに連絡しておこう」
マリア:「さすがに遅いって言われるか?」
勇太:「終電だったり、そもそも終電ですらなかったりしたら言われるだろうね。でもまあ、これは終電じゃないし」
京浜東北線の南端部である大船に行く、最終電車というわけではない。
大船行きは、この後もまだ何本かある(そもそも大船に行く乗客は、基本京浜東北線には乗らない)。
ここでもマリアは、ブルーの座席に腰かけると、またあの本を広げた。
発車時間前に母親の佳子から返信があったが、その内容が……。
佳子:「それじゃ、22時過ぎるわね。気を付けて帰って来て。マリアちゃん、高校生に見えるからお巡りさんに職質されないように」
という内容だった。
それを見た勇太は、マリアを見た。
ローブは着ているが、その下が制服ファッションな所なのを見て……。
勇太:(そろそろこの恰好、やめてもらった方がいいかな……)
確かに時間帯によっては職質されやすいし、飲食店などでアルコールを注文しにくいというデメリットはあるが、魔女狩りの目は誤魔化しやすい(魔女狩りも、まさか魔女がJKの制服を着ているとは思わない為)。
[同日21:58.天候:晴 埼玉県蕨市 JR蕨駅→同県川口市 稲生家]
〔まもなく蕨、蕨。お出口は、右側です〕
〔The next station is warabi.JK41.The doors on the right side will open.〕
勇太達はようやく実家の最寄り駅に到着した。
〔わらび、蕨。ご乗車、ありがとうございます〕
この辺りでは、電車は1号車寄りほど混んでいる。
1つ手前の南浦和駅では、南側にしか階段・エスカレーターが無いからである。
実際、空いている時間帯なのにも関わらず、先頭車は満席になるほど乗客が多かった。
そして出て行く電車を見ると、後ろの車両は空いていた。
勇太:「危ないから、表通りを通って帰ろう」
試しに駅前の交番の前を通ってみたが、特にマリアが警察官から職質されるようなことはなかった。
もっとも、警察官は別の訪問者の応対(道案内か落とし物)をしていたからというのもあるだろうが。
勇太:「うん。こっちは晴れてていいね」
マリア:「だけど、少し湿っぽい」
勇太:「まあ、確かに。5月くらいから雨が多くなる年なのかな」
マリア:「日本の雨期はジメジメしていて、そこだけは苦手だね。夏は屋敷にいた方がいいかも」
勇太:「そりゃそうだ。今はまだ涼しいから、マシな方だね」
あとは、明日のことを話しながら家に帰った。
明日は平日だが、魔道士達は今週末までここにいる予定である。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、大宮です。上越新幹線、北陸新幹線、高崎線、宇都宮線、京浜東北線、埼京線、川越線、東武アーバンパークラインとニューシャトルはお乗り換えです。お降りの際はお忘れ物の無いよう、お支度ください。大宮の次は、上野に止まります〕
郡山以南から先、列車は“やまびこ”号最高速度の時速275キロで走行した。
その為か、暫定ダイヤの上では定刻通りに運転できた。
自由席はゴールデンウィーク期間中ということもあってか、満席状態である。
仙台始発の列車に乗って良かったと、勇太は改めて思った。
これがイリーナと一緒だと、グリーン車に乗れるのだが。
〔「まもなく大宮、大宮です。14番線に到着致します。お出口は、左側です。東北地方雨の為、本日、車内での傘の忘れ物が多く発生しております。大宮でお降りのお客様、お忘れ物の無いよう、ご注意ください。大宮からのお乗り換えをご案内致します。上越新幹線下り……」〕
東北地方では雨に降られたが、関東に入るとウソみたいに晴れていた。
車窓からは月が見えるくらいだ。
車窓から『カニトップ』の看板が見えてくる頃、下車の準備をすると良い。
勇太もそうした。
勇太:「降りようか」
マリア:「うん」
人形達は分かっているように、バッグの中へと入って行く。
そして、列車は新幹線上り本線ホームに入線した。
〔ドアが開きます〕
閉扉の時はガチャンと賑やかに閉まるのに対し、開扉の時はゆっくり開く。
〔「ご乗車ありがとうございました。大宮ぁ、大宮です。車内にお忘れ物の無いよう、お降りください。14番線の電車は、“やまびこ”“つばさ”190号、東京行きです。次は、上野に止まります」〕
列車を降りる。
案外、あまり大宮駅で降りる乗客はいなかった。
なので、自由席はまだまだ乗客が多い。
2人がエスカレーターを下りている間、ホームからは発車ベルが鳴り響いた。
今や大宮駅で唯一の発車ベルが流れるのが新幹線ホームである。
駅員:「前から乗車券が出てきまーす!乗車券のお取り忘れにご注意くださーい!」
だいぶチケットレスが進んだと思われるが、多客期はまだ紙のキップで乗る客が多いのだろう。
普段は大糸線以外、Suicaで乗る勇太とマリアもそうだった。
もちろん、この2人は取り忘れることはない。
在来線コンコースに移ると、今度は京浜東北線ホームに向かう。
西側にある新幹線乗り場から、東側の京浜東北線乗り場に行くのは大変だ。
勇太:「因みに、ここにも本屋がある」
改札内コンコース上にも、書店がある。
改札内コンコースには書店が3つあるが、そのうち南側コンコースの京浜東北線乗り場近くの店舗が最も規模が大きい。
マリア:「閉まってる」
勇太:「日曜・祝日は閉店時間が早いみたいだね」
試しにマリアが水晶玉で占うと、ここにもマリアが気になる本が置いてあることが分かった。
マリア:「なるほど。こういう所にもある時はあるのか」
勇太:「明日、また来てみる?」
マリア:「いや、また今度でいい」
勇太:「そう」
〔まもなく2番線に、当駅止まりの電車が到着致します。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。次は、さいたま新都心に止まります〕
階段を下りると、次の電車が入線してくるところだった。
勇太:「ちょうどいい。これに乗ろう」
パァァァンと電子警笛を鳴らして、電車が入線してきた。
〔「終点、大宮、終点、大宮です。ご乗車ありがとうございました。2番線は21時42分発、各駅停車の大船行きです」〕
到着した電車の先頭車、1号車に乗り込む。
平日よりは空いている時間なのは間違いない。
〔この電車は京浜東北線、各駅停車、大船行きです〕
〔This is the Keihin-Tohoku line train for Ofna.〕
勇太:「21時42分か。これに乗ったって、母さんに連絡しておこう」
マリア:「さすがに遅いって言われるか?」
勇太:「終電だったり、そもそも終電ですらなかったりしたら言われるだろうね。でもまあ、これは終電じゃないし」
京浜東北線の南端部である大船に行く、最終電車というわけではない。
大船行きは、この後もまだ何本かある(そもそも大船に行く乗客は、基本京浜東北線には乗らない)。
ここでもマリアは、ブルーの座席に腰かけると、またあの本を広げた。
発車時間前に母親の佳子から返信があったが、その内容が……。
佳子:「それじゃ、22時過ぎるわね。気を付けて帰って来て。マリアちゃん、高校生に見えるからお巡りさんに職質されないように」
という内容だった。
それを見た勇太は、マリアを見た。
ローブは着ているが、その下が制服ファッションな所なのを見て……。
勇太:(そろそろこの恰好、やめてもらった方がいいかな……)
確かに時間帯によっては職質されやすいし、飲食店などでアルコールを注文しにくいというデメリットはあるが、魔女狩りの目は誤魔化しやすい(魔女狩りも、まさか魔女がJKの制服を着ているとは思わない為)。
[同日21:58.天候:晴 埼玉県蕨市 JR蕨駅→同県川口市 稲生家]
〔まもなく蕨、蕨。お出口は、右側です〕
〔The next station is warabi.JK41.The doors on the right side will open.〕
勇太達はようやく実家の最寄り駅に到着した。
〔わらび、蕨。ご乗車、ありがとうございます〕
この辺りでは、電車は1号車寄りほど混んでいる。
1つ手前の南浦和駅では、南側にしか階段・エスカレーターが無いからである。
実際、空いている時間帯なのにも関わらず、先頭車は満席になるほど乗客が多かった。
そして出て行く電車を見ると、後ろの車両は空いていた。
勇太:「危ないから、表通りを通って帰ろう」
試しに駅前の交番の前を通ってみたが、特にマリアが警察官から職質されるようなことはなかった。
もっとも、警察官は別の訪問者の応対(道案内か落とし物)をしていたからというのもあるだろうが。
勇太:「うん。こっちは晴れてていいね」
マリア:「だけど、少し湿っぽい」
勇太:「まあ、確かに。5月くらいから雨が多くなる年なのかな」
マリア:「日本の雨期はジメジメしていて、そこだけは苦手だね。夏は屋敷にいた方がいいかも」
勇太:「そりゃそうだ。今はまだ涼しいから、マシな方だね」
あとは、明日のことを話しながら家に帰った。
明日は平日だが、魔道士達は今週末までここにいる予定である。