[11月27日16:40.天候:晴 東京都台東区花川戸 東武浅草駅]
(夜の東武浅草駅外観。写真はウィキペディアより)
車が東武浅草駅前に停車する。
部下:「着きました」
善場:「ありがとう。忘れ物だけ無いようにしてください」
高橋:「了解」
リサ:「はーい」
善場の部下を除く3人が車を降りた。
善場:「こちらです。行きましょう」
高橋:「ああ」
荷物を持って浅草駅構内に入る。
構内はそろそろ夕方ラッシュの様相を見せていた。
夏ならまだ余裕で明るい時間帯だが、もうこの時季は夜の帳が下りている。
そして何より、肌寒くなっていた。
善場はベージュのコートを着ていたし、高橋もジャンパーを着込んでいた。
何しろこれから、東京よりもっと寒い所に行くのである。
にも関わらず、リサは制服のブレザーを着ているだけで、特に上に何か羽織るようなことはしていない。
BOWの体温は概して高く、寒さに強いからだろう(爬虫類は寒さに弱いはずだが、爬虫類系BOWハンターが雪山で活動した例がある。例、“バイオハザード リベレーションズ”)。
とはいえ、さすがに学校に行く時は周囲に合わせてコートを着るようにしている。
善場:「キップは1人ずつ持ちましょう」
リサ:「私、窓側がいい」
善場:「はい。じゃあ、10A。高橋助手は10Bでいいですか?」
高橋:「ああ。姉ちゃんはどうなんだ?」
善場:「私は11A。リサの後ろですね」
高橋:「まあ、いいけどよ」
今はABCDのアルファベット表記になったが、かつては全て数字のみで座席番号が表示されていた。
その為、知らないとこの席番が窓側なのか通路側なのか判別できなかった(もちろん、窓口で指名買いをすることは可能だった)。
これは小田急ロマンスカーとも共通する(西武特急はレッドアロー時代からABCD表記)。
高橋:「こっちか」
エスカレーターで改札階へ上る。
高橋:「そういえば夕飯はどうするんだ?」
リサ:「お弁当!?駅弁!」
善場:「そうですね。これから乗る電車は車内販売は無いとのことなので、この駅で購入するのが無難でしょうね。一応、下今市駅で乗り換える時も多少の時間はありますが、そもそもその時間開いているかどうか不明なので」
高橋:「なるほどな。売店はどこだ?」
善場:「改札口を入った先です」
まずは自動改札機を通る。
ここから1番線、2番線から発車する通勤電車に乗る場合は、そのままホームに行けば良い。
しかしここから特急ホームの3番線、4番線に行く場合はまた更に中間改札がある。
特急改札口の手前を左に曲がると、売店があり、そこで駅弁が買えた。
高橋:「ん?下今市駅で乗り換えってことは、またあの各駅停車の鈍行に揺られて2時間以上ってことか?」
善場:「そういうことです。本当は会津田島まで直通の特急があるのですが、リサの学校が終わってからとなると、どうしてもそれには乗れないのです」
高橋:「ガッコ、サボっちまえよ」
リサ:「ヤダよ!」
善場:「経費が節減できた分、駅弁などは好きな物を購入していいですから」
高橋:「そ、そうか」
リサ:「あ、電車が来た」
4番線と5番線に上りの特急列車が到着した。
ここまでの乗客達は4番線に降りて来る。
5番線は、かつてここから発着していた快速や区間快速が使用していたが、今はそれが廃止された為、臨時ホームと化している(臨時列車の夜行列車ですらこのホームは使用しない)。
リサ:「あれに乗るの?」
善場:「そうですね。スペーシアに乗るのは初めてですか?」
リサ:「初めて!」
高橋:「俺もだな。……お、のり弁いいな。それとタバコ」
善場:「到着するまでは、禁煙でお願いします」
高橋:「分かってるよ」
善場:「私は松花堂弁当にしましょう。リサは?」
リサ:「すき焼き重」
高橋:「1番高ぇモンじゃねーかよw」
善場:「まあまあ。愛原所長の命を救うべく、献血したのはリサですよ。その功績を称えるべきです」
高橋:「そ、そういうことか」
善場:「でも、『2番』のリサ。『0番』のリサからのお願いです」
リサ:Σ(゚Д゚)
善場:「その血を悪用したりしないように。いいですね?」
リサ:「は、はい」
高橋:(リサに凄みを利かせやがった。本当に『0番』は人間なのか?)
売店で駅弁やらお菓子やらタバコやら色々買い込む。
売店の店員に聞くと、今からあの特急に乗って下今市駅に着く頃には、向こうの売店も閉店しているとのこと。
それで今、ここで買い込むことにした。
ジュースくらいなら、途中の自販機で購入できるだろうが……。
係員:「はい、ありがとうございます」
中間改札口にいる女性係員に特急券を見せて、特急ホームに入る。
ホームの先に向かう度に細く狭くなっていく。
それもそのはず。
次の駅に向かう際、90度のカーブがあり、既に場内の時点でカーブが始まっているからだ。
その為、1番線以外は6両編成までしか入れず、その下り寄りの車両には渡り板が設置される。
もちろんこれは、電車とホームの間の隙間が尋常ではないからだ。
1番線はギリギリ8両編成まで入れるが、それでもドア扱いできるのは上り方向6両のみという個性的な駅なのである。
ドアが開いて係員により渡り板が設置されると、それを踏んで車内に入る3人。
善場:「ここですね」
デッキに1番近い席であった。
進行方向左側。
荷物を棚の上に乗せる。
〔♪♪♪♪。東武鉄道ご利用くださいまして、ありがとうございます。この列車は17時ちょうど発、特急スペーシア“きぬ”135号、鬼怒川温泉行きです。停車駅は、とうきょうスカイツリー、北千住、春日部、栃木、新鹿沼、下今市、東武ワールドスクウェア、終点鬼怒川温泉の順に止まります。……〕
リサ:「テーブルが2つある」
高橋:「贅沢だな。こうやって、ひじ掛けから出すヤツもあるぞ」
リサ:「おー!」
リサはテーブルの上に自分の駅弁とお茶のペットボトルを置いて、駅弁の蓋を開けた。
高橋:「もう食べるのかよ」
リサ:「お腹空いた」
高橋:「俺は……後で食う」
高橋は、他に購入したお菓子なども絶対にリサが食べ尽くすと確信していた。
しばらくして列車は、定刻通りに発車した。
予想通り、90度カーブを徐行して進んでも尚、車輪を大きく軋ませながら。
(夜の東武浅草駅外観。写真はウィキペディアより)
車が東武浅草駅前に停車する。
部下:「着きました」
善場:「ありがとう。忘れ物だけ無いようにしてください」
高橋:「了解」
リサ:「はーい」
善場の部下を除く3人が車を降りた。
善場:「こちらです。行きましょう」
高橋:「ああ」
荷物を持って浅草駅構内に入る。
構内はそろそろ夕方ラッシュの様相を見せていた。
夏ならまだ余裕で明るい時間帯だが、もうこの時季は夜の帳が下りている。
そして何より、肌寒くなっていた。
善場はベージュのコートを着ていたし、高橋もジャンパーを着込んでいた。
何しろこれから、東京よりもっと寒い所に行くのである。
にも関わらず、リサは制服のブレザーを着ているだけで、特に上に何か羽織るようなことはしていない。
BOWの体温は概して高く、寒さに強いからだろう(爬虫類は寒さに弱いはずだが、爬虫類系BOWハンターが雪山で活動した例がある。例、“バイオハザード リベレーションズ”)。
とはいえ、さすがに学校に行く時は周囲に合わせてコートを着るようにしている。
善場:「キップは1人ずつ持ちましょう」
リサ:「私、窓側がいい」
善場:「はい。じゃあ、10A。高橋助手は10Bでいいですか?」
高橋:「ああ。姉ちゃんはどうなんだ?」
善場:「私は11A。リサの後ろですね」
高橋:「まあ、いいけどよ」
今はABCDのアルファベット表記になったが、かつては全て数字のみで座席番号が表示されていた。
その為、知らないとこの席番が窓側なのか通路側なのか判別できなかった(もちろん、窓口で指名買いをすることは可能だった)。
これは小田急ロマンスカーとも共通する(西武特急はレッドアロー時代からABCD表記)。
高橋:「こっちか」
エスカレーターで改札階へ上る。
高橋:「そういえば夕飯はどうするんだ?」
リサ:「お弁当!?駅弁!」
善場:「そうですね。これから乗る電車は車内販売は無いとのことなので、この駅で購入するのが無難でしょうね。一応、下今市駅で乗り換える時も多少の時間はありますが、そもそもその時間開いているかどうか不明なので」
高橋:「なるほどな。売店はどこだ?」
善場:「改札口を入った先です」
まずは自動改札機を通る。
ここから1番線、2番線から発車する通勤電車に乗る場合は、そのままホームに行けば良い。
しかしここから特急ホームの3番線、4番線に行く場合はまた更に中間改札がある。
特急改札口の手前を左に曲がると、売店があり、そこで駅弁が買えた。
高橋:「ん?下今市駅で乗り換えってことは、またあの各駅停車の鈍行に揺られて2時間以上ってことか?」
善場:「そういうことです。本当は会津田島まで直通の特急があるのですが、リサの学校が終わってからとなると、どうしてもそれには乗れないのです」
高橋:「ガッコ、サボっちまえよ」
リサ:「ヤダよ!」
善場:「経費が節減できた分、駅弁などは好きな物を購入していいですから」
高橋:「そ、そうか」
リサ:「あ、電車が来た」
4番線と5番線に上りの特急列車が到着した。
ここまでの乗客達は4番線に降りて来る。
5番線は、かつてここから発着していた快速や区間快速が使用していたが、今はそれが廃止された為、臨時ホームと化している(臨時列車の夜行列車ですらこのホームは使用しない)。
リサ:「あれに乗るの?」
善場:「そうですね。スペーシアに乗るのは初めてですか?」
リサ:「初めて!」
高橋:「俺もだな。……お、のり弁いいな。それとタバコ」
善場:「到着するまでは、禁煙でお願いします」
高橋:「分かってるよ」
善場:「私は松花堂弁当にしましょう。リサは?」
リサ:「すき焼き重」
高橋:「1番高ぇモンじゃねーかよw」
善場:「まあまあ。愛原所長の命を救うべく、献血したのはリサですよ。その功績を称えるべきです」
高橋:「そ、そういうことか」
善場:「でも、『2番』のリサ。『0番』のリサからのお願いです」
リサ:Σ(゚Д゚)
善場:「その血を悪用したりしないように。いいですね?」
リサ:「は、はい」
高橋:(リサに凄みを利かせやがった。本当に『0番』は人間なのか?)
売店で駅弁やらお菓子やらタバコやら色々買い込む。
売店の店員に聞くと、今からあの特急に乗って下今市駅に着く頃には、向こうの売店も閉店しているとのこと。
それで今、ここで買い込むことにした。
ジュースくらいなら、途中の自販機で購入できるだろうが……。
係員:「はい、ありがとうございます」
中間改札口にいる女性係員に特急券を見せて、特急ホームに入る。
ホームの先に向かう度に細く狭くなっていく。
それもそのはず。
次の駅に向かう際、90度のカーブがあり、既に場内の時点でカーブが始まっているからだ。
その為、1番線以外は6両編成までしか入れず、その下り寄りの車両には渡り板が設置される。
もちろんこれは、電車とホームの間の隙間が尋常ではないからだ。
1番線はギリギリ8両編成まで入れるが、それでもドア扱いできるのは上り方向6両のみという個性的な駅なのである。
ドアが開いて係員により渡り板が設置されると、それを踏んで車内に入る3人。
善場:「ここですね」
デッキに1番近い席であった。
進行方向左側。
荷物を棚の上に乗せる。
〔♪♪♪♪。東武鉄道ご利用くださいまして、ありがとうございます。この列車は17時ちょうど発、特急スペーシア“きぬ”135号、鬼怒川温泉行きです。停車駅は、とうきょうスカイツリー、北千住、春日部、栃木、新鹿沼、下今市、東武ワールドスクウェア、終点鬼怒川温泉の順に止まります。……〕
リサ:「テーブルが2つある」
高橋:「贅沢だな。こうやって、ひじ掛けから出すヤツもあるぞ」
リサ:「おー!」
リサはテーブルの上に自分の駅弁とお茶のペットボトルを置いて、駅弁の蓋を開けた。
高橋:「もう食べるのかよ」
リサ:「お腹空いた」
高橋:「俺は……後で食う」
高橋は、他に購入したお菓子なども絶対にリサが食べ尽くすと確信していた。
しばらくして列車は、定刻通りに発車した。
予想通り、90度カーブを徐行して進んでも尚、車輪を大きく軋ませながら。