[11月12日06時45分 天候:曇 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→新宿線661K電車先頭車内]
高橋は拘置所に収監されたままなので、福島県への調査は私とリサだけで行くことにした。
まずは東京駅に向かう為、最寄りの菊川駅に向かった。
〔まもなく1番線に、各駅停車、笹塚行きが、10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください〕
愛原「高橋の新幹線チケット、無駄にしたよ」
リサ「払い戻ししたんでしょ?」
愛原「その手数料は取られたんだよ」
リサ「あー……」
愛原「その手数料は、さすがのデイライトさんも出してくれないし……」
リサ「だよねぇ……」
列車番号の末尾のアルファベットがKということもあり、京王線から乗り入れていた京王電車が入線してきた。
旧型の車両である。
〔1番線の電車は、各駅停車、笹塚行きです。きくかわ~、菊川~〕
平日の同じ時間よりは空いているだろうが、ローズピンクの座席が空いているということはなく、私達は反対側のドアの前に立つ。
恐らく、後ろの車両は空いているだろう。
しかし、今回はあえて混んでいる先頭車に乗り込んだ。
その理由は、東京駅への乗り換えが、この車両の方が便利だからである。
〔1番線、ドアが閉まります〕
ホームドアと共に、電車のドアも閉まる。
2打点チャイムが2回鳴るタイプで、JR東海の普通列車と同じチャイムである。
運転席から発車合図のブザーの音が聞こえると、ガチャッと運転士がハンドルを操作する音が聞こえた。
そして、エアーの抜ける音がすると、電車が動き出した。
明るいホームから、暗いトンネルの中へと入る。
〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕
自動放送は都営の車両と共通。
リサは制服ではなく、私服を着ていた。
デニムのショートパンツに、上は黒いTシャツ。
そして、その上からはグレーのフード付きパーカーを着ていた。
今はそのフードを被っている。
角や尖った耳を隠すのに、フードは打ってつけなのだ。
さすがに真夏だとそういう上着は着れないので、代わりにキャップを被って角を隠している。
意識して角を引っ込めることはできるのだが、ふとした拍子に戻ってしまう恐れがある為、常に被っておいた方が無難だということになった。
デニムのショートパンツやミニスカートを穿くのは……太ももを見せたい年頃なのだろう。
制服のスカートも短くなっているし。
それと、もう1つ理由があった。
それは、斉藤玲子のこと。
平泉の食堂の大女将が、玲子が上野医師と共に出て行く最後の姿を見ていた。
その時、斉藤玲子はデニムのパンツを穿いていたという。
当時は『ジーパン』と言ったか。
リサのように太ももが見えるほどのショートタイプではなかったようだが、それを聞いたことで、リサも真似したようである。
[同日07時32分 天候:曇 東京都千代田区丸の内 JR東京駅]
都営新宿線は馬喰横山駅で降りた。
そして、そのまま電車の進行方向に向かって歩くと、下に下りる階段がある。
そこを下りると、JRとの乗換改札口があり、そこを通ると、すぐにJR総武快速線乗り場である。
それで東京行きの電車に乗り換え、私達は東京駅に無事到着した。
尚、キップは新幹線特急券と乗車券が1枚になったタイプではない。
『東京都区内→郡山』の乗車券を先に使用することになる。
東京都区内とは、東京23区内のJRの駅なら、どこからでも乗り降りして良いという乗車券だ。
新幹線に乗るのは東京駅からだが、そこに向かうのに、馬喰町駅は堂々たる東京都区内なので、ここでその乗車券が使用できるというわけである。
そして、東京駅地下総武線・横須賀線ホームに到着。
京葉線ホームほどではないが、地下深い場所にあるということもあり、ここから新幹線ホームへ向かうのに、少し時間が掛かる。
もちろん、余裕を持って家を出たので、特に慌てる必要は無い。
それに……リサが駅弁を所望しているので。
リサに限らないことだが、どうも鬼というのは、常に空腹でいるようだ。
その極みが餓鬼なのだろう。
リサ「先生、駅弁は?」
愛原「新幹線ホームでも売ってるよ」
リサ「やった!」
在来線コンコースにも、大きな駅弁売り場はあるが、ホーム上の売店でも販売されている。
リサが欲しがったのは、やはり肉系統であった。
で、私は幕の内弁当にする。
あとは、お茶とかジュースとか……。
〔まもなく22番線に、7時44分発、“やまびこ”205号、仙台行きが、17両編成で参ります。この電車は、各駅に停車します。グランクラスは、10号車。グリーン車は、9号車、11号車。自由席は1号車から3号車と、12号車から17号車です。尚、全車両禁煙です。……〕
駅弁や飲み物を購入してホームに戻ると、ちょうど列車が入線してくるところだった。
私達が持っているのは、自由席のキップ。
だから、自由席まで行かないといけない。
高橋がいる場合は、3人席狙いなので、必然的に東北新幹線の車両に乗ることになるが、今日はリサと2人なので、せっかくだから秋田新幹線の車両に乗ってみることにした。
リサと一緒の場合、先頭の17号車に乗らなくてはならない。
長大編成の先頭車両だから、新幹線ホームもかなり端の方であった。
日本橋口が近いくらいだ。
各駅停車の仙台止まりで、これだけの長大編成。
そして、端の車両ともあれば、乗車口に並んでいる先客は、数えるほどしかいなかった。
しかも、平日なら上り列車の折り返しなのであるが、土休日ダイヤにおいては、回送列車として入線する。
その為、すぐに乗車することができた。
山形新幹線の車両もそうだが、秋田新幹線の車両も在来線規格である為、車両の幅が狭い。
その為、普通車でも2人席しかないのだが、車両とホームの間が広く空いてしまうことになる。
そこで、ホームに停車中はドアの下から、ステップがせり上げる構造になっているのである。
私とリサはそのステップを踏んで、車内に入った。
そして、進行方向左側の座席に座る。
併結相手の東北新幹線E5系同様、普通車にもピローが付いている座席だが、シートピッチはやや狭い。
狭いといっても、旧型車両と同程度であるが。
少なくとも、E5系や東海道新幹線の普通車よりは狭い。
3人席を嫌がってこっちの車両を狙う乗客もいるようだが、しかしシートピッチの狭さを嫌う客は敬遠するらしく、結局は乗客の好みということになる。
尚、グリーン車にあってはどちらも広さは変わらない。
E5系がモケットシート、秋田新幹線のE6系が一部革製のモケットで、肘掛けが木製という違いである。
リサ「よいっしょっと」
窓側に座ったリサは、座席のテーブルを出すと、そこに駅弁と飲み物を置いた。
リサ「いただきまーす!」
そして、発車の時刻を待たずして、駅弁の蓋を開けたのだった。
高橋は拘置所に収監されたままなので、福島県への調査は私とリサだけで行くことにした。
まずは東京駅に向かう為、最寄りの菊川駅に向かった。
〔まもなく1番線に、各駅停車、笹塚行きが、10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください〕
愛原「高橋の新幹線チケット、無駄にしたよ」
リサ「払い戻ししたんでしょ?」
愛原「その手数料は取られたんだよ」
リサ「あー……」
愛原「その手数料は、さすがのデイライトさんも出してくれないし……」
リサ「だよねぇ……」
列車番号の末尾のアルファベットがKということもあり、京王線から乗り入れていた京王電車が入線してきた。
旧型の車両である。
〔1番線の電車は、各駅停車、笹塚行きです。きくかわ~、菊川~〕
平日の同じ時間よりは空いているだろうが、ローズピンクの座席が空いているということはなく、私達は反対側のドアの前に立つ。
恐らく、後ろの車両は空いているだろう。
しかし、今回はあえて混んでいる先頭車に乗り込んだ。
その理由は、東京駅への乗り換えが、この車両の方が便利だからである。
〔1番線、ドアが閉まります〕
ホームドアと共に、電車のドアも閉まる。
2打点チャイムが2回鳴るタイプで、JR東海の普通列車と同じチャイムである。
運転席から発車合図のブザーの音が聞こえると、ガチャッと運転士がハンドルを操作する音が聞こえた。
そして、エアーの抜ける音がすると、電車が動き出した。
明るいホームから、暗いトンネルの中へと入る。
〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕
自動放送は都営の車両と共通。
リサは制服ではなく、私服を着ていた。
デニムのショートパンツに、上は黒いTシャツ。
そして、その上からはグレーのフード付きパーカーを着ていた。
今はそのフードを被っている。
角や尖った耳を隠すのに、フードは打ってつけなのだ。
さすがに真夏だとそういう上着は着れないので、代わりにキャップを被って角を隠している。
意識して角を引っ込めることはできるのだが、ふとした拍子に戻ってしまう恐れがある為、常に被っておいた方が無難だということになった。
デニムのショートパンツやミニスカートを穿くのは……太ももを見せたい年頃なのだろう。
制服のスカートも短くなっているし。
それと、もう1つ理由があった。
それは、斉藤玲子のこと。
平泉の食堂の大女将が、玲子が上野医師と共に出て行く最後の姿を見ていた。
その時、斉藤玲子はデニムのパンツを穿いていたという。
当時は『ジーパン』と言ったか。
リサのように太ももが見えるほどのショートタイプではなかったようだが、それを聞いたことで、リサも真似したようである。
[同日07時32分 天候:曇 東京都千代田区丸の内 JR東京駅]
都営新宿線は馬喰横山駅で降りた。
そして、そのまま電車の進行方向に向かって歩くと、下に下りる階段がある。
そこを下りると、JRとの乗換改札口があり、そこを通ると、すぐにJR総武快速線乗り場である。
それで東京行きの電車に乗り換え、私達は東京駅に無事到着した。
尚、キップは新幹線特急券と乗車券が1枚になったタイプではない。
『東京都区内→郡山』の乗車券を先に使用することになる。
東京都区内とは、東京23区内のJRの駅なら、どこからでも乗り降りして良いという乗車券だ。
新幹線に乗るのは東京駅からだが、そこに向かうのに、馬喰町駅は堂々たる東京都区内なので、ここでその乗車券が使用できるというわけである。
そして、東京駅地下総武線・横須賀線ホームに到着。
京葉線ホームほどではないが、地下深い場所にあるということもあり、ここから新幹線ホームへ向かうのに、少し時間が掛かる。
もちろん、余裕を持って家を出たので、特に慌てる必要は無い。
それに……リサが駅弁を所望しているので。
リサに限らないことだが、どうも鬼というのは、常に空腹でいるようだ。
その極みが餓鬼なのだろう。
リサ「先生、駅弁は?」
愛原「新幹線ホームでも売ってるよ」
リサ「やった!」
在来線コンコースにも、大きな駅弁売り場はあるが、ホーム上の売店でも販売されている。
リサが欲しがったのは、やはり肉系統であった。
で、私は幕の内弁当にする。
あとは、お茶とかジュースとか……。
〔まもなく22番線に、7時44分発、“やまびこ”205号、仙台行きが、17両編成で参ります。この電車は、各駅に停車します。グランクラスは、10号車。グリーン車は、9号車、11号車。自由席は1号車から3号車と、12号車から17号車です。尚、全車両禁煙です。……〕
駅弁や飲み物を購入してホームに戻ると、ちょうど列車が入線してくるところだった。
私達が持っているのは、自由席のキップ。
だから、自由席まで行かないといけない。
高橋がいる場合は、3人席狙いなので、必然的に東北新幹線の車両に乗ることになるが、今日はリサと2人なので、せっかくだから秋田新幹線の車両に乗ってみることにした。
リサと一緒の場合、先頭の17号車に乗らなくてはならない。
長大編成の先頭車両だから、新幹線ホームもかなり端の方であった。
日本橋口が近いくらいだ。
各駅停車の仙台止まりで、これだけの長大編成。
そして、端の車両ともあれば、乗車口に並んでいる先客は、数えるほどしかいなかった。
しかも、平日なら上り列車の折り返しなのであるが、土休日ダイヤにおいては、回送列車として入線する。
その為、すぐに乗車することができた。
山形新幹線の車両もそうだが、秋田新幹線の車両も在来線規格である為、車両の幅が狭い。
その為、普通車でも2人席しかないのだが、車両とホームの間が広く空いてしまうことになる。
そこで、ホームに停車中はドアの下から、ステップがせり上げる構造になっているのである。
私とリサはそのステップを踏んで、車内に入った。
そして、進行方向左側の座席に座る。
併結相手の東北新幹線E5系同様、普通車にもピローが付いている座席だが、シートピッチはやや狭い。
狭いといっても、旧型車両と同程度であるが。
少なくとも、E5系や東海道新幹線の普通車よりは狭い。
3人席を嫌がってこっちの車両を狙う乗客もいるようだが、しかしシートピッチの狭さを嫌う客は敬遠するらしく、結局は乗客の好みということになる。
尚、グリーン車にあってはどちらも広さは変わらない。
E5系がモケットシート、秋田新幹線のE6系が一部革製のモケットで、肘掛けが木製という違いである。
リサ「よいっしょっと」
窓側に座ったリサは、座席のテーブルを出すと、そこに駅弁と飲み物を置いた。
リサ「いただきまーす!」
そして、発車の時刻を待たずして、駅弁の蓋を開けたのだった。