※私のオリジナルでは屋敷の地下室に避難していたマリアを訪ねて来たのは、マリアが使役しているミク人形でしたが、多摩先生の原案だとこうなります。
[5月31日02:00.長野県某所にあるマリアの屋敷 地下室 マリアンナ・ベルゼ・スカーレット]
今現在動かせる人形は2体。
それほどまでに低下した魔力を回復させるのは容易なことではない。
ミク人形とフランス人形1体だけが、広い屋敷を徘徊するように歩き回って侵入者の警戒に当たってる。
屋敷の主人たる魔道師の師匠イリーナからは、マリアの命を狙う者がいるということで、魔力が回復するまではなるべく地下室に避難しているように通達されていた。
常時10体の精鋭たる人形を操れただけに、たった2体では心許ない。
どうしてこんなことになったのか。
イリーナの予知夢はよく当たる。そして、ユタの予知夢も確率が高い。
その2人が同時に、自分が死ぬ夢を見たからだという。
イリーナ曰く、順番的にイリーナの予知夢の内容が早そうだから、それを回避すればユタの夢の内容も回避できるだろうという。
師匠にケチをつけるわけではないが、そんな簡単な話なのだろうか。
その時、地下室のドアが開いた。
入ってきたのは……。
「マリア、いい子にしてた?」
「師匠?どうしたんですか?こんな時間に……」
「緊急事態よ。すぐにこの屋敷を出て」
「緊急事態?でも、ここにいた方が安全だって……」
「事情が変わったの。急いで!」
「は、はい」
マリアは地下室から外に出た。
昼も夜も基本は地下室にいなければならなくなったのだから、久しぶりに地上に出るとまだ邸内とはいえ解放感がある。
「一体、何があったんですか?」
「鬼族が動き出したみたい。あなたの命を狙って、この屋敷に向かってる。そうなる前にここを出ましょう。妖狐達が対策に乗り出してるから、ユウタ君達と合流するのがベストね」
「なるほど」
2人の魔道師は屋敷の玄関までやってきた。
「内側からはあなたの魔法でしか開かないようにしているから、あなたが開けて」
「はい」
マリアは自分の杖を持ち、ドアに向けて、開錠の呪文を唱えた。
「一時開錠です。ドアを1度開けてまた閉めたら、ロックが掛かります」
「外の安全を確認してね」
「はい」
マリアは玄関のドアを開けて、外を確認をした。
「師匠、外には誰も……」
ドスッ……!
「え……?」
突然背中に痛みが走る。
振り向くと、
「師匠……?どうし……て……?」
力が抜け、床に崩れ落ちるマリア。
辛うじて保てた意識を持って師匠だった者を見上げる。
その姿は、師匠のイリーナではなかった。
赤毛が特徴の師匠ではなく、髪も服装も黒い女……。
それは自分の感情が高ぶり、相手に『復讐』をする時に浮かべるものと同じ“狂った笑い”を浮かべていた。
「あなたは……!?」
「ポーリン先生!エレーナはやりました!あなたの愛弟子、エレーナ・マーロンは見事やり遂げたのです!はは……はははははははは!!」
エレーナ・マーロン?
どこかで聞いたことがあるような名前に、マリアは聞こえた。
「死ぬがいい!『裏切りの魔道師』イリーナ・レヴィア・ブリジッドの手下よ!」
ポーリンという名前は聞いたことがある。
確か、師匠が修行時代に一緒に修行していた姉弟子の……。
ポーリンの弟子だというエレーナと名乗る女は、何度もマリアの胸にナイフを突き刺した。
(ユウタ君、ごめんね……)
これが最後に心の中でつぶやいたマリアの言葉だった。
[同日03:00.マリアの屋敷付近 蓬莱山鬼之助]
「鬼之助さん、こんな所に魔道師の屋敷が?」
鬼之助は数十名の手勢を連れ、マリアの屋敷に向かっていた。
「おう、そうだ。奴らは今、他の魔道師と抗争中だって話だから、やるなら今だと思う。が、もしかしたら裏を掛かれてるかもしれねぇ。だから一応、警戒しておけよ?一応な」
「はい」
鬼之助は鬱蒼とした木々をかき分けた。
「んで、調査報告によると、場所はあの辺……おおっ、あった!」
「マジですか」
「いきなり現れるもんですなぁ……」
「よし。いきなり攻め込んで罠が待ってるかもしれねぇ。誰かちょっと様子を見てこい」
「へい。アッシが」
「藪鬼(やぶき)か。頼むぜ」
藪鬼と名乗る小柄な体型の赤鬼は、そのイメージ通り、すばしっこい行動で屋敷に向かって行った。
その間、他の手勢達は小休止に入る。
「あんまり月が見当たりませんな?」
1人の部下が鬼之助に話し掛けた。
「ほんの数日前まで、新月だったからな。現れたとしても、ほんの僅かしか顔を出すこたぁねぇさ」
と、そこへ、別の部下が、
「鬼之助さん!姐さん(美鬼のこと)にばれたようです。鬼門の左右と直属鬼女隊を連れて、こちらに向かっているとの情報が入りました!」
「ちっ!いちいちうるせーんだよ、姉貴はよォ……。こりゃ、のんびりもしてられねぇな。藪鬼が戻り次第、決行するぜ」
しばらくして藪鬼が血相を変えて戻って来た。
「鬼之助さん、大変です!」
「なにっ?やっぱり迎撃準備万端か?くそっ、世の中そう甘くはねぇか!」
「いや、それが……対象のマリアンナ魔道師が死んでました!」
「はあ!?」
[同日03:30.マリアの屋敷、玄関前 蓬莱山鬼之助]
「うっ!こ、こりゃ……!?」
無残なマリアの死体を発見した鬼之助。
「マジで死んでる」
「見たところ、刃物で背中や胸を何ヶ所も刺されております。死因はそれによる失血死かと」
藪鬼が片膝をついて報告していた。
「おいおい、マジかよ!誰がやったんだ!?こっちはわざわざ長野くんだりだったのによ!」
「分かりませんが……」
「とにかくアレだ!」
鬼之助は自分の妖刀を抜いた。
そして既に死体と化しているマリアの首を刎ねた。
「こいつを手土産に持って行く!首桶を持ってこい!」
「ははっ!」
部下の1人が首桶を持って来る。
「あとの者は屋敷内を検索しろ!誰もいなかったら、この屋敷を火を放つ!」
「ははっ!」
「早くしろ!夜が明ける前に!」
「ははっ!」
部下達は邸内に散って行った。
[同日05:30.さいたま市中央区 ユタの家 稲生ユウタ]
ユタはいつもの通り、朝の勤行を行っていた。
だが、仏間の外はいつもと違う雰囲気が漂っていた。
[同日06:00.同場所 稲生ユウタ]
外の騒がしさに負けず、何とか朝の勤行を終えた。
「一体、何なんだよ?」
ユタは仏間を出ると、つかつかとリビングに向けた。
「いや、だからこっちも何も知らん!」
「情報をすぐに集めろ!そうだ!幻想郷側にも協力を求めて構わん!」
家の固定電話とカンジの携帯電話がひっきり無しに鳴り響いていた。
「これは一体……!?」
固定電話の方の対応に当たっていた威吹が、ユタに気付く。
「ユタ、すまん!今日の添書登山は中止にしてくれ!大変なことが起きた!」
「大変なことって?」
「マリアと鬼之助が殺された!」
「はあ!?」
「鬼之助がマリアを殺しに、手勢を引き連れて屋敷に向かったそうだ。その後、その屋敷に隕石が落ちて……!」
威吹はリビングのテレビを点けた。
そこでは既に長野県に隕石が落ち、山1つ消し飛んだことが報道されていた。
また固定電話が鳴る。
「……まだ亡骸の回収ができたとの報告は入っていない。というか、山1つ消し飛んだ状態ではムリだ!」
「幻想郷側に影響が出ているとの噂もある。向こう側の王国が動き出す恐れが……」
「そ、そんな……」
威吹とカンジの電話のやり取り、そしてテレビに映し出される地獄絵図のような大規模な山林火災。
封鎖された県道から、生々しいリポートを行うリポーター。
その県道は、前にマリアの屋敷に向かう時、駅から乗った1日2本しか無いバスが走る道路だった。
その時、ユタのケータイに着信があった。
それは藤谷からだった。
{「ああ、稲生君、朝早くから悪いな」}
「いえ……」
{「今さっき、栗原さんと合流した」}
「確か栗原さんは、ずっとキノの家にいるはずですが……」
{「帰されたんだよ。もうキノが死にやがって、何の利害も無くなったから。全く。勝手な連中だよなぁ……」}
「キノが死んだのは本当なんですか?」
{「ああ。魔道師を襲撃に行ったら、隕石が落ちて来て、直撃を食らったらしいな。生き残った部下が証言したっていうから、間違い無いだろうさ」}
「あの、マリアさんは?」
{「……あいにくと、キノに殺されたらしい。その部下は首桶を持っていたらしいんだ。ほら、戦国時代に敵の武将の首を刎ねた後、それを運んだり保管したりする桶のことだよ。威吹なら知ってるんじゃないか?……その中に、マリアの首が入っていたらしいぜ。栗原さんもショックで口が利けなくなっちまった。さっき、キノのお姉さんって人から一通り聞いてさ。取りあえず、栗原さんは地元の大病院にしばらく入院ってとこだな。……稲生君?」}
「うう……うわあああああああああっ!!」
突然のユタの号泣に、電話応対に忙殺されていた2人の妖狐がユタを見た。
「ユタ、しっかりして。こりゃもうダメだよ。仏法なんぞやってても幸せにはなれないってことさ。仏にすがる時間があったら、もっと安全な所に避難させるべきだったんだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何だよ、これ。
多摩先生もひでぇな。
稲生ユウタはもちろんのこと、栗原江蓮もついでに不幸になってんじゃんよ。
で、最後の威吹のセリフが、正にアンチ日蓮正宗の先生の言いたいことか……。
とてもじゃないが、私の作風には合いません。
え?もっとこの後続きがあるだろって?
ええ、ありますよ。だけど、とても御紹介できませんって。
ほら、31日ってユタが添書登山に行く設定でしょ?
私の作品では威吹が同行して、更にケンショーレンジャーが登場したりしたけど、多摩先生の原案ではユタは単独で登山する。
すると、何がどうなるかっていうと、エレーナを倒すヤツがいなくなるんだよ。
てことは、御開扉の際に、扉が開かないままになって御開扉は中止。
エレーナは手持ちのスイッチを押しちゃって、大御本尊を……これ以上は言えません。
と、とにかく明日、多摩先生と直接交渉に入ります。
明日、更新できるといいけど……。というか、ブログ自体潰されなきゃいいけど……。
[5月31日02:00.長野県某所にあるマリアの屋敷 地下室 マリアンナ・ベルゼ・スカーレット]
今現在動かせる人形は2体。
それほどまでに低下した魔力を回復させるのは容易なことではない。
ミク人形とフランス人形1体だけが、広い屋敷を徘徊するように歩き回って侵入者の警戒に当たってる。
屋敷の主人たる魔道師の師匠イリーナからは、マリアの命を狙う者がいるということで、魔力が回復するまではなるべく地下室に避難しているように通達されていた。
常時10体の精鋭たる人形を操れただけに、たった2体では心許ない。
どうしてこんなことになったのか。
イリーナの予知夢はよく当たる。そして、ユタの予知夢も確率が高い。
その2人が同時に、自分が死ぬ夢を見たからだという。
イリーナ曰く、順番的にイリーナの予知夢の内容が早そうだから、それを回避すればユタの夢の内容も回避できるだろうという。
師匠にケチをつけるわけではないが、そんな簡単な話なのだろうか。
その時、地下室のドアが開いた。
入ってきたのは……。
「マリア、いい子にしてた?」
「師匠?どうしたんですか?こんな時間に……」
「緊急事態よ。すぐにこの屋敷を出て」
「緊急事態?でも、ここにいた方が安全だって……」
「事情が変わったの。急いで!」
「は、はい」
マリアは地下室から外に出た。
昼も夜も基本は地下室にいなければならなくなったのだから、久しぶりに地上に出るとまだ邸内とはいえ解放感がある。
「一体、何があったんですか?」
「鬼族が動き出したみたい。あなたの命を狙って、この屋敷に向かってる。そうなる前にここを出ましょう。妖狐達が対策に乗り出してるから、ユウタ君達と合流するのがベストね」
「なるほど」
2人の魔道師は屋敷の玄関までやってきた。
「内側からはあなたの魔法でしか開かないようにしているから、あなたが開けて」
「はい」
マリアは自分の杖を持ち、ドアに向けて、開錠の呪文を唱えた。
「一時開錠です。ドアを1度開けてまた閉めたら、ロックが掛かります」
「外の安全を確認してね」
「はい」
マリアは玄関のドアを開けて、外を確認をした。
「師匠、外には誰も……」
ドスッ……!
「え……?」
突然背中に痛みが走る。
振り向くと、
「師匠……?どうし……て……?」
力が抜け、床に崩れ落ちるマリア。
辛うじて保てた意識を持って師匠だった者を見上げる。
その姿は、師匠のイリーナではなかった。
赤毛が特徴の師匠ではなく、髪も服装も黒い女……。
それは自分の感情が高ぶり、相手に『復讐』をする時に浮かべるものと同じ“狂った笑い”を浮かべていた。
「あなたは……!?」
「ポーリン先生!エレーナはやりました!あなたの愛弟子、エレーナ・マーロンは見事やり遂げたのです!はは……はははははははは!!」
エレーナ・マーロン?
どこかで聞いたことがあるような名前に、マリアは聞こえた。
「死ぬがいい!『裏切りの魔道師』イリーナ・レヴィア・ブリジッドの手下よ!」
ポーリンという名前は聞いたことがある。
確か、師匠が修行時代に一緒に修行していた姉弟子の……。
ポーリンの弟子だというエレーナと名乗る女は、何度もマリアの胸にナイフを突き刺した。
(ユウタ君、ごめんね……)
これが最後に心の中でつぶやいたマリアの言葉だった。
[同日03:00.マリアの屋敷付近 蓬莱山鬼之助]
「鬼之助さん、こんな所に魔道師の屋敷が?」
鬼之助は数十名の手勢を連れ、マリアの屋敷に向かっていた。
「おう、そうだ。奴らは今、他の魔道師と抗争中だって話だから、やるなら今だと思う。が、もしかしたら裏を掛かれてるかもしれねぇ。だから一応、警戒しておけよ?一応な」
「はい」
鬼之助は鬱蒼とした木々をかき分けた。
「んで、調査報告によると、場所はあの辺……おおっ、あった!」
「マジですか」
「いきなり現れるもんですなぁ……」
「よし。いきなり攻め込んで罠が待ってるかもしれねぇ。誰かちょっと様子を見てこい」
「へい。アッシが」
「藪鬼(やぶき)か。頼むぜ」
藪鬼と名乗る小柄な体型の赤鬼は、そのイメージ通り、すばしっこい行動で屋敷に向かって行った。
その間、他の手勢達は小休止に入る。
「あんまり月が見当たりませんな?」
1人の部下が鬼之助に話し掛けた。
「ほんの数日前まで、新月だったからな。現れたとしても、ほんの僅かしか顔を出すこたぁねぇさ」
と、そこへ、別の部下が、
「鬼之助さん!姐さん(美鬼のこと)にばれたようです。鬼門の左右と直属鬼女隊を連れて、こちらに向かっているとの情報が入りました!」
「ちっ!いちいちうるせーんだよ、姉貴はよォ……。こりゃ、のんびりもしてられねぇな。藪鬼が戻り次第、決行するぜ」
しばらくして藪鬼が血相を変えて戻って来た。
「鬼之助さん、大変です!」
「なにっ?やっぱり迎撃準備万端か?くそっ、世の中そう甘くはねぇか!」
「いや、それが……対象のマリアンナ魔道師が死んでました!」
「はあ!?」
[同日03:30.マリアの屋敷、玄関前 蓬莱山鬼之助]
「うっ!こ、こりゃ……!?」
無残なマリアの死体を発見した鬼之助。
「マジで死んでる」
「見たところ、刃物で背中や胸を何ヶ所も刺されております。死因はそれによる失血死かと」
藪鬼が片膝をついて報告していた。
「おいおい、マジかよ!誰がやったんだ!?こっちはわざわざ長野くんだりだったのによ!」
「分かりませんが……」
「とにかくアレだ!」
鬼之助は自分の妖刀を抜いた。
そして既に死体と化しているマリアの首を刎ねた。
「こいつを手土産に持って行く!首桶を持ってこい!」
「ははっ!」
部下の1人が首桶を持って来る。
「あとの者は屋敷内を検索しろ!誰もいなかったら、この屋敷を火を放つ!」
「ははっ!」
「早くしろ!夜が明ける前に!」
「ははっ!」
部下達は邸内に散って行った。
[同日05:30.さいたま市中央区 ユタの家 稲生ユウタ]
ユタはいつもの通り、朝の勤行を行っていた。
だが、仏間の外はいつもと違う雰囲気が漂っていた。
[同日06:00.同場所 稲生ユウタ]
外の騒がしさに負けず、何とか朝の勤行を終えた。
「一体、何なんだよ?」
ユタは仏間を出ると、つかつかとリビングに向けた。
「いや、だからこっちも何も知らん!」
「情報をすぐに集めろ!そうだ!幻想郷側にも協力を求めて構わん!」
家の固定電話とカンジの携帯電話がひっきり無しに鳴り響いていた。
「これは一体……!?」
固定電話の方の対応に当たっていた威吹が、ユタに気付く。
「ユタ、すまん!今日の添書登山は中止にしてくれ!大変なことが起きた!」
「大変なことって?」
「マリアと鬼之助が殺された!」
「はあ!?」
「鬼之助がマリアを殺しに、手勢を引き連れて屋敷に向かったそうだ。その後、その屋敷に隕石が落ちて……!」
威吹はリビングのテレビを点けた。
そこでは既に長野県に隕石が落ち、山1つ消し飛んだことが報道されていた。
また固定電話が鳴る。
「……まだ亡骸の回収ができたとの報告は入っていない。というか、山1つ消し飛んだ状態ではムリだ!」
「幻想郷側に影響が出ているとの噂もある。向こう側の王国が動き出す恐れが……」
「そ、そんな……」
威吹とカンジの電話のやり取り、そしてテレビに映し出される地獄絵図のような大規模な山林火災。
封鎖された県道から、生々しいリポートを行うリポーター。
その県道は、前にマリアの屋敷に向かう時、駅から乗った1日2本しか無いバスが走る道路だった。
その時、ユタのケータイに着信があった。
それは藤谷からだった。
{「ああ、稲生君、朝早くから悪いな」}
「いえ……」
{「今さっき、栗原さんと合流した」}
「確か栗原さんは、ずっとキノの家にいるはずですが……」
{「帰されたんだよ。もうキノが死にやがって、何の利害も無くなったから。全く。勝手な連中だよなぁ……」}
「キノが死んだのは本当なんですか?」
{「ああ。魔道師を襲撃に行ったら、隕石が落ちて来て、直撃を食らったらしいな。生き残った部下が証言したっていうから、間違い無いだろうさ」}
「あの、マリアさんは?」
{「……あいにくと、キノに殺されたらしい。その部下は首桶を持っていたらしいんだ。ほら、戦国時代に敵の武将の首を刎ねた後、それを運んだり保管したりする桶のことだよ。威吹なら知ってるんじゃないか?……その中に、マリアの首が入っていたらしいぜ。栗原さんもショックで口が利けなくなっちまった。さっき、キノのお姉さんって人から一通り聞いてさ。取りあえず、栗原さんは地元の大病院にしばらく入院ってとこだな。……稲生君?」}
「うう……うわあああああああああっ!!」
突然のユタの号泣に、電話応対に忙殺されていた2人の妖狐がユタを見た。
「ユタ、しっかりして。こりゃもうダメだよ。仏法なんぞやってても幸せにはなれないってことさ。仏にすがる時間があったら、もっと安全な所に避難させるべきだったんだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何だよ、これ。
多摩先生もひでぇな。
稲生ユウタはもちろんのこと、栗原江蓮もついでに不幸になってんじゃんよ。
で、最後の威吹のセリフが、正にアンチ日蓮正宗の先生の言いたいことか……。
とてもじゃないが、私の作風には合いません。
え?もっとこの後続きがあるだろって?
ええ、ありますよ。だけど、とても御紹介できませんって。
ほら、31日ってユタが添書登山に行く設定でしょ?
私の作品では威吹が同行して、更にケンショーレンジャーが登場したりしたけど、多摩先生の原案ではユタは単独で登山する。
すると、何がどうなるかっていうと、エレーナを倒すヤツがいなくなるんだよ。
てことは、御開扉の際に、扉が開かないままになって御開扉は中止。
エレーナは手持ちのスイッチを押しちゃって、大御本尊を……これ以上は言えません。
と、とにかく明日、多摩先生と直接交渉に入ります。
明日、更新できるといいけど……。というか、ブログ自体潰されなきゃいいけど……。