[8月26日15:40.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区]
〔次は上落合八丁目、上落合八丁目でございます〕
下車バス停が近づいて来たので、稲生は降車ボタンを押した。
〔次、止まります。バスが停車してから、席をお立ちください〕
通常の自動放送は女声だが、注意換気は男声。
バスは多くの車が行き交う県道上の停留所に停車した。
稲生:「大人2人お願いします」
運転手:「はい、どうぞ」
稲生達はSuicaで運賃を支払った。
運転手:「ありがとうございました」
稲生:「どうも」
前扉から降りる。
ミク人形:「ども!」
ハク人形:「どーもっ!」
運転手:「ありが……ええっ!?」
慌てて人形達をバッグに押し込むマリア。
マリア:「ダメじゃない!勝手に出て来ちゃ!」
ミク人形:「むぎゅ!」
ハク人形:「むぎゅう……!」
稲生:「魔法使いのファミリア(使い魔)は自由人だなぁ……」
と、稲生。
マリア:「温かい目で見てる場合じやないぞ。勇太もいずれはファミリアを持つんだ」
稲生:「な、なるほど」
マリア:「その際はイブキでいいんだな?」
稲生:「威吹も家族持ちですからねぇ……」
バス停の前にあるコンビニに立ち寄る。
バスの中は冷房が効いて涼しかったが、降りると灼熱地獄が待っていた。
それから待避する為に入ったと言えよう。
稲生:「東京都内よりも暑いですからね、埼玉は」
マリア:「暑さが世知辛い」
ここでアイスクリームとペットボトル入りのアイスコーヒーを買った稲生達。
で、またもや気温35度の外に出る。
稲生:「長野も30度でしたが、5度の違いは大きいですね」
マリア:「まあね」
魔道師のローブは見た目には暑苦しいが、魔力が備わっていることもあり、着ると結構涼しいらしい。
取りあえず、足早に稲生の実家に向かった。
[同日15:50.天候:晴 さいたま市中央区 稲生家]
佳子:「まあまあ、マリアさん。こんな暑い中、ありがとうございます」
マリア:「マタ、オ世話ニナリマス」
マリア、自動通訳魔法を切る。
そして、勉強中の日本語で話す。
稲生:「また、いつもの部屋に」
稲生はマリアを1階奥の部屋に案内した。
既に来客用の折り畳みベッドが展開されている。
マリア:「ここは落ち着く」
稲生:「そうでしょう」
マリアは荷物を置いた。
稲生:「今、お茶を入れてきますから。アイスでも食べててください」
マリア:「そうさせてもらう」
稲生が客間から出て行くと、マリアは荷物の中から水晶球を出した。
マリア:「師匠、師匠。マリアンナです。応答願います」
まるで無線通信のようだと、他の魔女達からツッコミを入れられるマリア。
だが、水晶球の向こうからは何故か銃声の音が。
それも1つだけではない。
ハンドガンの『パンパンパン!』という音もするし、ショットガンの『ズドン!ズドン!』という音も聞こえた。
更に遠くからはマシンガンの『タタタタタ!』という足踏み式ミシンのような音もすれば、似たような音でもっと重低音のある『ダダダダダ!』という音も聞こえた。
恐らくこれは据置式ガトリング砲の音だろう。
マリア:「何事!?」
イリーナ:「あ、マリア。今、先生は忙しいからまた後でね」
マリア:「どこにいるんですか!?」
イリーナ:「占いの依頼で、ちょっとソマリアまで……」
マリア:「何でそんな無政府状態の所に行ってるんですか、もう!」
イリーナ:「反政府軍の大佐から、『この戦争の行く末を占ってくれ』と頼まれたものでねぇ……」
マリア:「魔道師でも蜂の巣にされたら死にますよ!?早いとこ脱出してください!」
イリーナ:「ちょっと待ってね。今、ヒッチハイクしてるところだから」
マリア:「ヒッチハイク!?」
水晶球にどこのぞの軍隊か不明だが、1台の装甲車が停車した。
イリーナ:「Hey!Excuse me!I need your car!I want to leave...(ちょっと失礼!乗せてくれないかしら?行き先は……)」
明らかに装甲車に乗った軍人が、イリーナに銃口を向けているのだが。
マリアはそこで通信を切った。
マリア:「……ま、師匠のことだから何事も無く日本に来ることだろう」
そこへ稲生がアイスコーヒーを持って来た。
稲生:「何か、銃声のような音が聞こえましたが……?」
マリア:「師匠にとっては、戦場もビジネスエリアということだ」
稲生:「えっ?」
マリア:「私は地道に魔界で賞金稼ぎをする方を選ぼう」
稲生:「は、はあ……」
イリーナは極端だとしても、人間界で稼ぐ魔道師の方が多い。
エレーナもその1人。
マリアは時折魔界に足を運んでは、賞金首の悪質モンスター退治で金を稼いでいるようだ。
マリア:「勇太もそろそろ考えた方がいいよ」
稲生:「そうですねぇ……」
女戦士サーシャ(本名、アレクサンドラ)と一緒に旅をした時、彼女に言われたことだが、どうしてもダンジョンを探索する際、魔法の結界が張られた場所などがあり、その対策として魔法使いが必要になることが多々あるという。
稲生も見習ながら、魔法陣や結界については本科(教養科目)の1つとなっている為、何とか対応できた。
稲生:「またサーシャが冒険に出るようになったら、行ってみようかなぁ……」
マリア:「いや、別に女戦士だけがパートナーじゃないからね?」
稲生:「違いますよ。赤の他人が一緒より、少しは顔見知りと行った方が気も楽じゃないですか」
マリア:「女と行くなって言ってんの!」
鈍い稲生に、少しキレ気味のマリア。
稲生:「……すいません。威吹と行ってきます」
マリア:「それならいい」
マリアはアイスコーヒーにミルクを入れて口に運んだ。
稲生:「イリーナ先生は、いつこちらに?」
マリア:「さあ?そのうち、ひょっこり現れるだろう」
稲生:(何の心配もしていないうちは、大丈夫ってことなんだろうなぁ……)
〔次は上落合八丁目、上落合八丁目でございます〕
下車バス停が近づいて来たので、稲生は降車ボタンを押した。
〔次、止まります。バスが停車してから、席をお立ちください〕
通常の自動放送は女声だが、注意換気は男声。
バスは多くの車が行き交う県道上の停留所に停車した。
稲生:「大人2人お願いします」
運転手:「はい、どうぞ」
稲生達はSuicaで運賃を支払った。
運転手:「ありがとうございました」
稲生:「どうも」
前扉から降りる。
ミク人形:「ども!」
ハク人形:「どーもっ!」
運転手:「ありが……ええっ!?」
慌てて人形達をバッグに押し込むマリア。
マリア:「ダメじゃない!勝手に出て来ちゃ!」
ミク人形:「むぎゅ!」
ハク人形:「むぎゅう……!」
稲生:「魔法使いのファミリア(使い魔)は自由人だなぁ……」
と、稲生。
マリア:「温かい目で見てる場合じやないぞ。勇太もいずれはファミリアを持つんだ」
稲生:「な、なるほど」
マリア:「その際はイブキでいいんだな?」
稲生:「威吹も家族持ちですからねぇ……」
バス停の前にあるコンビニに立ち寄る。
バスの中は冷房が効いて涼しかったが、降りると灼熱地獄が待っていた。
それから待避する為に入ったと言えよう。
稲生:「東京都内よりも暑いですからね、埼玉は」
マリア:「暑さが世知辛い」
ここでアイスクリームとペットボトル入りのアイスコーヒーを買った稲生達。
で、またもや気温35度の外に出る。
稲生:「長野も30度でしたが、5度の違いは大きいですね」
マリア:「まあね」
魔道師のローブは見た目には暑苦しいが、魔力が備わっていることもあり、着ると結構涼しいらしい。
取りあえず、足早に稲生の実家に向かった。
[同日15:50.天候:晴 さいたま市中央区 稲生家]
佳子:「まあまあ、マリアさん。こんな暑い中、ありがとうございます」
マリア:「マタ、オ世話ニナリマス」
マリア、自動通訳魔法を切る。
そして、勉強中の日本語で話す。
稲生:「また、いつもの部屋に」
稲生はマリアを1階奥の部屋に案内した。
既に来客用の折り畳みベッドが展開されている。
マリア:「ここは落ち着く」
稲生:「そうでしょう」
マリアは荷物を置いた。
稲生:「今、お茶を入れてきますから。アイスでも食べててください」
マリア:「そうさせてもらう」
稲生が客間から出て行くと、マリアは荷物の中から水晶球を出した。
マリア:「師匠、師匠。マリアンナです。応答願います」
まるで無線通信のようだと、他の魔女達からツッコミを入れられるマリア。
だが、水晶球の向こうからは何故か銃声の音が。
それも1つだけではない。
ハンドガンの『パンパンパン!』という音もするし、ショットガンの『ズドン!ズドン!』という音も聞こえた。
更に遠くからはマシンガンの『タタタタタ!』という足踏み式ミシンのような音もすれば、似たような音でもっと重低音のある『ダダダダダ!』という音も聞こえた。
恐らくこれは据置式ガトリング砲の音だろう。
マリア:「何事!?」
イリーナ:「あ、マリア。今、先生は忙しいからまた後でね」
マリア:「どこにいるんですか!?」
イリーナ:「占いの依頼で、ちょっとソマリアまで……」
マリア:「何でそんな無政府状態の所に行ってるんですか、もう!」
イリーナ:「反政府軍の大佐から、『この戦争の行く末を占ってくれ』と頼まれたものでねぇ……」
マリア:「魔道師でも蜂の巣にされたら死にますよ!?早いとこ脱出してください!」
イリーナ:「ちょっと待ってね。今、ヒッチハイクしてるところだから」
マリア:「ヒッチハイク!?」
水晶球にどこのぞの軍隊か不明だが、1台の装甲車が停車した。
イリーナ:「Hey!Excuse me!I need your car!I want to leave...(ちょっと失礼!乗せてくれないかしら?行き先は……)」
明らかに装甲車に乗った軍人が、イリーナに銃口を向けているのだが。
マリアはそこで通信を切った。
マリア:「……ま、師匠のことだから何事も無く日本に来ることだろう」
そこへ稲生がアイスコーヒーを持って来た。
稲生:「何か、銃声のような音が聞こえましたが……?」
マリア:「師匠にとっては、戦場もビジネスエリアということだ」
稲生:「えっ?」
マリア:「私は地道に魔界で賞金稼ぎをする方を選ぼう」
稲生:「は、はあ……」
イリーナは極端だとしても、人間界で稼ぐ魔道師の方が多い。
エレーナもその1人。
マリアは時折魔界に足を運んでは、賞金首の悪質モンスター退治で金を稼いでいるようだ。
マリア:「勇太もそろそろ考えた方がいいよ」
稲生:「そうですねぇ……」
女戦士サーシャ(本名、アレクサンドラ)と一緒に旅をした時、彼女に言われたことだが、どうしてもダンジョンを探索する際、魔法の結界が張られた場所などがあり、その対策として魔法使いが必要になることが多々あるという。
稲生も見習ながら、魔法陣や結界については本科(教養科目)の1つとなっている為、何とか対応できた。
稲生:「またサーシャが冒険に出るようになったら、行ってみようかなぁ……」
マリア:「いや、別に女戦士だけがパートナーじゃないからね?」
稲生:「違いますよ。赤の他人が一緒より、少しは顔見知りと行った方が気も楽じゃないですか」
マリア:「女と行くなって言ってんの!」
鈍い稲生に、少しキレ気味のマリア。
稲生:「……すいません。威吹と行ってきます」
マリア:「それならいい」
マリアはアイスコーヒーにミルクを入れて口に運んだ。
稲生:「イリーナ先生は、いつこちらに?」
マリア:「さあ?そのうち、ひょっこり現れるだろう」
稲生:(何の心配もしていないうちは、大丈夫ってことなんだろうなぁ……)