報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“ユタと愉快な仲間たち” 「賽の河原で見た真相」

2014-04-30 19:41:11 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月1日 時刻不明 地獄界“賽の河原”入獄審査場 蓬莱山鬼之助]

「次は甲だな。お前の罪は許せん。河原で石積みの刑だ」
「お前は乙か。“学校でイジメ被害の再体験”コース。よろしくぅ!」
 キノは巡視役のはずだが、何故か審査場の受付で送られた罪人達の仕分けをしていた。
「ほい、一段落」
「意外とキミは、こういう仕事の方が向いているのかな?」
 青鬼監督が首を傾げる。
「叫喚地獄でも、入獄審査とかやってたもんで」
 キノは片目を瞑った。
「座っていると重い刀を下げなくていいっていう楽さもあるんで」
「ちょっと待った。少なくとも剣客が言うセリフじゃないよ、それ」
 刀を下げた状態で椅子に座ると、刀が引っ掛かるので、受付業務の際は刀を腰から外す。
「で、監督、何か用っスか?」
「ああ。この前、キミが検索していた者なんだけどね……」
 監督はスッと1枚の書類をキノの前に置いた。
「どうやら閻魔庁側で結審したらしく、ここに送られることになったようだ」
 それは栗原江蓮の体の本当の持ち主、魂としての栗原江蓮のことである。
 心臓疾患で僅か15歳で死亡した栗原江蓮は成仏したかと思われたが、罪障の関係で如何に仏法に縁していたと言えども、地獄界送りになったようである。
 代わりにキノの計らいで地獄界から這い上がった川井ひとみが入れ替わるように栗原江蓮の体に憑依し、今では栗原江蓮として生きている。
「ええっ?マジっスか?さすがに哀れだなぁ……」
「罪人に私情は禁物だよ。もしまたやったら、今度という今度はキミも捕縛されて、投獄されることになるだろう」
 キノが川井ひとみに一目惚れして地獄界から勝手に這い上がらせたことは重罪であり、蓬莱山家が叫喚地獄を総べる獄長の一族ということで、その力を駆使したこともあり、キノは無期限停職で済んだ。
 本来は地獄界の辺境とはいえ、賽の河原でバイトすることも許されないのだが、人手不足という理由で『研修』と称してここに来ている身分だ。
 また勝手に罪人に私情を挟んだら、さすがに蓬莱山家の威光も及ばなくなるだろう。
「まあ……そうっスね」

 こうして、入獄審査場に魂としての栗原江蓮がやってきた。
 当然であるが、見た目は肉体と同じである。
(江蓮……)
 無論監督はキノが変な気を起こさないよう、審査官は別の獄卒に振った。
 しかしキノは離れた所から、それを見ていた。
「その方、名を申せ」
「栗原……江蓮です」
 当然ながら、声も肉体と同じである。
「閻魔庁でも言われたと思うが、如何に仏法を実践していたとて、完全に罪障が消滅しきっておらぬ。また、病死により、両親に対する親不孝の罪もある。よってこの賽の河原にて、その罪と向き合うが良い!」
「……はい」
「ああいうことってあるんだな」
「そもそも、栗原家は元々創価学会所属だったからな、その分の罪障が大きかったようだ」
 青鬼監督がそう言った。
「なあ、カントク。あいつの担当、オレにやらせてくれ……やらせてください。あいつには勝手に体を使わせてもらっている借りがある」
 しかし青鬼監督は、静かに首を横に振った。
「あいにくだが、それはできない相談だよ。キミが栗原江蓮の肉体を無断使用している件は、地獄界全てに知れ渡っている。キミが担当すると、間違いなく私情を挟むという色眼鏡で見られることだろう。あくまでキミがここに来たのも、栗原江蓮が来たのもただの偶然なのだ。分かるかね?」
「そんな……」
「キミのここでの仕事は、あくまでも遊撃的な巡視役だ。獄卒と罪人達のやり取りを見ているだけでいい。キミも少しは立場をわきまえたまえ」
「くっ……!」
 キノは右手で拳を作り、歯ぎしりをした。
「鬼之助君。今、私が言ったことをヒントにして、よく考えてみなさい。きっといい手段が見つかるはずだ」
 青鬼監督は牙を覗かせてニッと笑いながら、詰所の方へと戻っていった。
「ヒントだぁ……?」

「オラオラーっ!早く石積め!」
 まずは河原で石積みの刑場に送られた栗原江蓮。
 担当獄卒達が鞭や金棒片手に罪人達を恫喝して回る。
「あっ……」
 生前、川井ひとみと違ってあまり体力の無かった栗原江蓮は、積んだ石を自ら崩してしまった。
「何しとるか、貴様っ!!」
「!!!」
 近くにいた獄卒が気づいて、金棒を振り上げた。
 栗原江蓮は両手で頭を押さえた。
「やめとけ」
 しかし、そこへたまたま巡視に来たキノが止めた。
「な、なにっ!?」
「彼女はまだここに来たばかりだ。少しは大目に見てやれ」
「ちっ……!余計な口出しはしないでもらおう!」
「おい、お前。もっと向こうの方でやれ。向こうの石は軽くて平べったくて積みやすいぞ」
「は、はい!」
 それを見届けたキノは、
「悪かったな。あばよ」
「何なんだ、アンタわ!?」
 当然ながら、止めた獄卒に変な顔をされた。
(たまたま巡視に来て止めるっつー方法も、何回かやるとムリが出てくるな……。もっといい方法が無いものか……)
「おっ、ここにいたのか」
「ん?」
 そこへまた別の獄卒がやってきた。
「お前に電話だぞ。詰所に戻れ」
「それって校舎の裏に呼び出し的な……?」
「んなワケあるか!実家から電話だぞ」
「実家!?」
 キノは目を丸くした。
 こんな所に電話してくる者など、送り込んだ張本人しかいない。
「5分以内に掛け直さないと、もう1回電話するということだが、どういう意味なんだろうな?」
「は、はは……ちょっとその……蓬莱山家の隠語で……。詰所な?」
「詰所だ」

 キノは詰所に戻った。
「姉貴のヤツ、この忙しいのに何なんだ……」
「ああ、鬼之助君。その電話を使いたまえ」
 青鬼監督が尖った爪で電話機を指さした。
「人間界じゃスマホが主流だってのに、こっちは未だに黒電話かい。電話番号、いちいち覚えてねーぞ」
「実家の電話番号も覚えてないのかい?」
「ケータイで1発だからな……」
 キノは自分のケータイを取り出した。
「……って、アンテナ立ってる!圏外じゃねぇの!?」
「何を言ってるのか分からんが、早いとこ掛け直した方がいいんじゃないのかね?」
「お、おう」
 キノは自分のケータイに登録された実家の電話番号を検索すると、それを見ながらダイヤルを回した。
{「はい、蓬莱山です」}
 電話の向こうから末妹の声がした。
「おう、魔鬼か。オレだ、オレ」
{「蓬莱山家では名前を名乗らない人は、オレオレ詐欺と見なしまーす」}
「誰がオレオレ詐欺だ!兄貴の声くらい、1発で気づけ!鬼之助だ!」
{「ああ、キノ兄ィ。久しぶり」}
「姉貴がここに電話したっつーんで、掛け直した。姉貴に代わってくれ」
{「はーい」}
 すぐに電話の声が聞き慣れた姉に変わる。
{「ああ、ウチやけどね」}
「蓬莱山家では名前を名乗らない人はウチウチ詐欺と見なしまーす!」
{「……アンタ、ふざけとるんなら、今すぐそっちへ“面会”に行ってもええんよ?」}
「冗談です!お美しいお姉さま!」
{「まあ、ええわ。で、アンタの今後の処遇なんやけど、十分に反省したと思ったら、いつでも家に戻って来ィ。人間界の江蓮ちゃんには、ウチからフォローしておいたき、ウチも付いとくから、後でアンタの口からよう謝るんよ?それこそ、土下座する勢いでなぁ」}
「あ、ああ。まあ、ちょっとこっちでやるべきことがあるから、それが終わったらにしとく」
{「そっちでずっと働きたい言うんなら、それでも構わんけど……」}
「いやまあ、ちょっとな……。!」
 その時、キノの頭に何かもやもやしたものが浮かんだ。
(何だ?この感じ……。何かが……何かが繋がりそうだ)
{「……まあ、何かあったらすぐ連絡するんよ?で、さっき父さんから聞いたんやけど、そっち、何か携帯電話が繋がるみたいやから、それで連絡できるんよ」}
「ああ。オレも今さっき気づいた」
{「じゃあ、そっちの偉いさん達の言うことよう聞いて、頑張りや」}
「ああ。分かった」
 キノは電話を切った。
「何だかんだ言って、キミのことが心配なんだ。いいお姉さんじゃないか」
 青鬼監督はニコニコして言った。
「そ、そうっスね……」
 しかし今日においては、頭の中に現れたモヤモヤ感が晴れることは無かったのである。
コメント (4)
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小説の途中ですが、ここで普通の日記をお送りします。

2014-04-30 16:54:01 | 日記
 ふと気づいたのだが、普通の日記よりも駄作の小説の方がシェアが広かったりw
 普通の日記の方がメインのはずなんだが……。
 まあ、それは後で考えよう。
 今日は久しぶりに所属寺院に参詣してみた。
 はっきり言って、参詣の頻度は稲生ユウタ達に物凄く劣る。
 偶然かもしれないがこの前の添書登山といい、今回と言い、最近私が信心に関連する行動をしようとすると雨に見舞われることが多いような……。
 でもこれは今に始まったことではなく、顕正会員時代からのことなので、大して気にはしていない。
 障魔の働きが雨程度で済むんなら、安いもんだ。
 魔というのは信心を妨害しようとする際、やろうと思えば、ありとあらゆる手段を使ってくるからね。
 さしもの鉄ヲタも、路線全部が止まったらお手上げである。

 2月の支部登山、あの大豪雪は魔過ぎるだろ?いや、俺は(知識を悪用駆使して何とか)辿り着けたけど。

 次の支部登山、台風が直撃したりしてな。
 新幹線は雪にはある程度強いが、台風には弱いからなぁ……。
 まあとにかく、私が今日参詣した目的は添書登山の申し込みの為である。
 何とか自己誓願、月イチ登山ができていることは有難い限りだ。
 交通手段は相変わらずの経費節減の折、往復“やきそばエクスプレス”だが。
 支部登山の時くらいは新幹線で行きたいなぁ……。久しぶりにN700系に乗るのもオツだろう。

 職場に寄ってから参詣したので、メトロ東西線に久しぶりに乗った。
 旧型の05系にこれまた久しぶりに乗ったが、いずれはこいつもジャカルタ行きだろうか。
 現地では冷房付きのきれいな電車、尚且つ走行性能もいいということで、乗員・乗客共に大好評であるという。
 で、冷房が付いてる準急だか急行電車は特別料金取るんだと。
 こんな通勤電車で、追加料金取るのかよ。まあ、おかげでオンボロ各駅停車と比べれば空いているらしい。

 そんなことを考えながら、高田馬場で所用を済ませ、タクシーに飛び乗って現地に向かう。
 今度の運転手は、意外と所属寺院の場所について知っていた。
 もっとも、ナビと睨めっこしながらの行程だったが。
 タクシーのナビに、ちゃんとお寺が出てるんだね。素晴らしい。

 御供養袋に御供養を詰めて提出する。
 藤谷春人みたいに札束を突っ込めたらなぁ……。
 あ、でも、競馬で勝った金は不浄過ぎるかな。
 御供養は浄い財だからね。不浄な財ではダメか。
 顕正会でも、パチスロで勝った金を広布御供養として出したら、上長が苦い顔してたな。
 こんなことを書くと、穿った見方をする顕正会員から、
「参詣する度に御供養と称して、金を取るのか!やはり宗門は堕落している!」
 とでも言われかねないが、御供養しないと添書登山を受け付けてくれないわけでは絶対に無いので念のため。
 詳細を知りたければ、いつでもどうぞお近くの寺院をお訪ねください。

 ついでにまた乗り鉄。メトロ有楽町線に乗ってみると、またまた久しぶりに東武9000系がやってきた。
 しかも、リニューアルされている。内装だけ見れば、新型車両みたいだ。
 オンボロ電車というイメージの東武だが、リニューアルだけでも相当上手くできるものだな。

 話は全く変わるが、女性顕正会員パラパラ茜女史のブログが更新された。
 コメントに対するレスは全く無かったが、冒頭から既に法華講員に対する怨嫉。あれは無いなと思った。
 無論、私は女史とあの法華講員達との間に何があったか知る由は無いし、知ろうとも思わないが。
 もし仮に法華講員達の言動などが怨嫉だと思うのなら、むしろ罪障消滅だと喜ぶべきだと思うのだがね。
 むしろそうだとブログに書く分には、まだ好感が持てるだけに非常に残念である。
 私だって顕正会員時代、法華講員によくブログを荒らされたものだ。
 あれは今でも頂けないと思っているので、反面教師にしている。
 顕正会員だから荒らしてもいいわけではないことに留意するべきである。
 あれは喝破でも砕破でもなく、ただの放火だ。何故なら、どこにも慈悲を感じないからである。
 なので私は、仮に顕正会を脱会することがあったとしても、荒らしをしてくるような輩のいるお寺には絶対に行かないと思ったね。
 それは正しい判断だったと今でも思っている。
 え?そんなこと言ったって、オマエ結局前の寺を飛び出しただろって?
 あれは信心の最中に、第3者の介入によるトラブルに巻き込まれただけだ。あれは全くの想定外だった。

 トチローさんには申し訳ないが、黒歴史にさせてもらうよ。

 私は顕正会員のブログに、まずは1度だけ挨拶に行く。好感触であれば、その後も出入りさせて頂く。厳虎さん所がそうだな。
 バーズさんやパラパラ茜さんの場合は、あまり好感触ではなかったようなので、挨拶で終了だ。
 少なくとも、
「ユタ?ああ、そういえばそんなヤツ来たっけな……」
 程度にしてくれれば結構である。
 仏縁というのは、いつどこであるか分からないものだ。
 縁があれば、どこかでまた会うさ。

 添書登山の時まで、できる限りの罪障消滅と仏様の御加護を信じて……。
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“ユタ愉快な仲間たち” 「賽の河原で見た真相」

2014-04-30 10:20:12 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月末 時刻不明 地獄界のどこかにあるという“賽の河原” 蓬莱山鬼之助]

「オラぁ!そこ!もっと腰入れろ!」
 雑草刈りの現場。
 キノは今日、その現場を訪れた。
 地獄界には珍しい、見渡す限りの草原が広がっている。
 ここに送り込まれた10代の少年少女には、果てしなく続く重労働が待っているという。
 キノが巡視にやってくると、ここを担当している下級獄卒達は金棒や鞭を持っているのが分かった。
 始末書を山のように書き、実家では大叱責をよく食らうキノだが、家柄と階級の高さから、そういった者だけが許される帯刀をしているのとは対照的だ。
「もう嫌ですぅ……許してくださぃぃぃ……」
「少し休ませてくれ……」
 賽の河原というからには、『報われない労働』をさせるのが基本だと思うが……。
 キノは持っていたマニュアルに目を通した。
「なるほど。ブレイクの時は、この笛を吹くのか」
 キノはホイッスルを吹いた。
「よーし!休憩!」
「やった!」
 キノの笛を待ち侘びたかのように、罪人達がホッとした表情で倒れ込む。
「鬼之助さん、お疲れさまです」
 近くにいた獄卒がキノに挨拶してきた。
「おう。ここで笛を吹けっていうんでそうしてみたが、これから何が起こるんだ?ていうか、どのくらい休憩させるんだ?」
「まあ、見ててください」
「いいか、お前ら!」
 別の獄卒が休憩している罪人達に呼びかける。
「休憩時間は自由だ!好きなだけ休んで構わぬ!」
「おおっ!」
 歓喜する罪人達。
「但し、その時間と比例して草は伸びるからな!それもちゃんと刈れ!分かったか!?」
「ええーっ!?」
 確かにそれまで刈り取ってスッキリした野原に、グングンとまた草が生え伸びる。
「確かに“賽の河原”だ、ここ……」
 キノは思いっきり納得した。
「石を積むのは小さな子供でもできます。しかし、10代になればもっと重労働をさせるのです」
「来世への罪障リセットって、こういうことか……。確かに叫喚地獄だけにいたんじゃ知る由も無かったな」
「この川の上流では、ダム工事をさせています」
「そうか」
「完成と同時に決壊し、また最初から作り直させるわけです」
「ここ最近、人間界でNEETや自宅警備員が増えている理由って、賽の河原のせいってことは無ェよな?」
 キノが口元を歪めていると、
「脱走だ!」
「待てや、コラ!」
 現場の方で怒号が飛び交った。
「たまにいるんですよ」
 キノに説明していた獄卒がそれだけ言うと、金棒を手に脱走者の確保に向かった。
「ったく。変に開放的だからな、賽の河原ってな……。叫喚地獄みてぇに、地味に閉鎖的な方が脱走者もゼロだぜ」
 キノは腕組みをして呟いた。
「……そこにいるんだろ?隠れてないで出てこい」
 キノは振り返りもせず、背後の気配に向かって言った。
 しかし、何の反応も無い。
「出てこいと言ってるんだ!」
 左腰に差した刀の束に手をやり、少し振り向いて警告した。
 目をギラッと光らせ、口から牙を覗かせる。
「お願いです……助けてください……」
「お願いです、じゃねぇ!さっさと戻れ!」
 出て来たのは江蓮くらいの歳……よりも下くらいの少女。
 そこへ、他の獄卒が3人ほど駆けつける。
「そこにいたか!」
「鬼之助さん、確保ありがとうございます!」
「オレは何もしてねぇ。てか、もっと目を光らせておけ」
「はい、すいません!」
「手間取らせやがって!来いっ!!」
 泣き叫ぶ少女をお構いなしに、ズルズルと引きずって行く獄卒達だった。
「…………」
 腕組みをしてその様子を見つめていたキノは、ふとこんなことを考えていた。
(江蓮も1歩間違えりゃ、ここに送り込まれていたというわけか……)

[同日同場所 “賽の河原”獄卒事務所 蓬莱山鬼之助]

 栗原江蓮は10代で死亡したものの、ちゃんと成仏したらしい。
 検索を掛けてみたが、数多ある罪人リストに掲載されていなかった。
「未決囚は入ってないよ」
 と、PCの前に座るキノに、青鬼監督が言った。
「おお〜。って、マジっスか?」
「だから、掲載されていないからイコール成仏したと思わない方がいいよ」
「?」
 キノが首を傾げていると、
「要は『地獄界に来なかった』というだけで、成仏したかどうかまでは分からない。人間界でも逮捕されたら即、刑罰ってわけじゃないでしょ?それと同じ」
「ふーん……。10代で病気で死んだ場合、どういう扱いになるんスかね?」
「親不孝の扱いになるから、ここに来るだろうね」
「仏法とかやってても?あの日蓮の……」
「日蓮仏法か。それなら……。でも病気で死んだのもまた大きな罪障によるものだからね、だから決めかねてるんじゃないかな。まあ、間違っても、また元の体に戻って来ることはないと思うよ。特定の人間にぞっこんするような鬼は、他にいないだろうからね」
「へへ、どうも……」
 ↑コイツのことである。
「まだ、ほとぼりは冷めていないようだ。もう少しいた方がいいな」
「……オレ、いつんなったら出れるんスかね」
「罪人みたいなこと言わないの」
「で、オレが気になったのは……。川井ひとみは、ここじゃなく、オレがいた叫喚地獄にやってきました。あいつも10代で死んだのに、どうしてここじゃなかったんスかね?」
「ここは子供……日本の場合は20歳未満だな。……が死んで、親不孝と見なされた罪人達が来る所なんだよ。だから例えば、もう親がいない場合は、親不孝でも無いからここには来ない」
「あれ?川井ひとみは親いたと思うけどなぁ……」
「恐らく、何とも思わなかったんだろうね。その場合でも、親不孝とは見なされないことがある」
「マジっスか!?子供が死んでも悲しまないとは……!」
「何も、そんなに驚くこともあるまい。大昔から存在していたことだよ。間引きとか“野捨子(のつご)”とか……ね」
「長年、獄卒やってるけど、結構な最前線なんだなぁ……」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 過去世の罪障で計算されるため、今生において罪は無くても、親からの虐待などといった憂き目に遭うのである。
 よく虐待事件が発生した時に、『子供に罪は無い』とかいって子供をかばうのだが、仏法的には過去世の罪障によるものと見なされ、『いやいや、子供にも罪がある』のである。
 だから生まれてくる子供には、個人的には『御愁傷様』って感じかな。
 過去世の罪障を消滅できず、また今生で罰ゲームを食らうんだからね。
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“ユタと愉快な仲間たち” 「マリアの業」

2014-04-29 19:37:46 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月27日 09:00.ユタの家 ユタ、威吹、カンジ、マリア]

 ユタは朝の勤行を終え、数珠を数珠入れにしまった。
 仏間から出た後、ダイニングに向かった。
「おーはよー」
「あ、おはようございます。稲生さん」
 彫りの深い顔立ちでポーカーフェイスのカンジ。
 ユタの姿を見ると、少しだけ口元に笑みを浮かべる。
「朝の用意ができてますよ」
「ありがとう。マリアさんは?」
「まだ見えてませんが?」
「寝坊かよ」
 威吹は口元を歪めた。
「いいじゃないか。マリアさんはお客さんなんだから」
「申し訳ない。朝の支度に手間取ってしまった」
 奥からやってきたマリア。
 魔道師の恰好ではなく、普通の私服を着ていた。
 後ろからミク人形(初音ミクによく似た人形)が付いてくる辺り、魔道師だということを忘れさせない。
「おはようございます」
 ユタは満面の笑顔でマリアを出迎えた。
(こんな顔のユタ、初めて見るなぁ……)
 威吹は味噌汁を啜りながら、複雑な感情だった。
「カンジ。今日は剣の稽古をつけよう」
「えっ、本当ですか?」
「だからユタ、悪いけどボクはキミに付いていられないかもしれない」
「ああ。分かったよ。気にしないで」
 ユタは威吹がマリアと2人っきりになれるよう、取り計らったのだと気づいた。
 そこはさすがに付き合いが長いだけのことはある。
「結局泊まってしまったが、宿泊費はどこに払えばいい?」
「あ、いや、いいんですよ!僕だって、マリアさんの屋敷に何回か泊まらせてもらったことがありますし……」
「そう?」
「はい。だから、どうぞお気になさらず……」

[同日10:00.ユタの家 威吹邪甲&威波莞爾]

 ※因みにカンジの本名、威波は「いなみ」と呼んだり、「いば」と呼んだりと一貫性を見ない。妖狐の名前としては「いなみ」であるが、人間界での戸籍では「伊庭(いば)」という名字を使っているため、本人的にはどちらでも構わないとのこと。紛らわしいので、威吹やユタは下の名前で呼ぶようにしている。
「先生。お聞きになりましたか?」
「何が?」
「蓬莱山鬼之助のことです」
「キノがどうした?」
「都内で重傷を負ったそうです」
「あいつも腕自慢の鬼族のはずだが、どんなヤツが現れた?」
「栗原江蓮女史との痴情のもつれから、彼女に滅多打ちにされたそうです」
「プww 女にやられたのか。バカだなぁ!」
 そこで威吹とカンジ、ハッと気づく。
「あー、コホン。ま、最近の女は強くなったからな」
「江戸時代から……ですよね?」
「あー、そうだったかな……」
 ↑江戸時代、甲種(A級)霊力の巫女に現代まで封印されていた威吹。

[同日10:20.JR大宮駅 稲生ユウタ&マリアンナ・ベルゼ・スカーレット]

「えーと……家から適当にここまで来てしまいましたけど、どこへ行きますか?」
「ここからユウタ君が霊力をうなぎ上りにしたという宗教団体は、近いんだったか……な?」
「顕正会ですか?まあ、そうですね」
 実は江蓮の家から徒歩10分という近さである。
「ユウタ君の霊力の秘密について参考にしたい」
(わざわざ長野から出てきて顕正会!?)
「だ、ダメ……か?」
「い、いえ!ダメでは無いですよ!ただ、僕はもう法華講員ですので、中までは入っていけませんが……。芙蓉茶寮で堂々と飯食ってるの作者くらいだ
「じゃあ、行こうか」
「あっ、そうだ。せっかくだから……」
「?」

[同日10:35.JR大宮駅東口11番バス停 ユタ&マリア]

「僕が現役会員時代、日曜勤行に行く時によく乗ってたんです」
「バスか……。意外だね。ユウタ君は鉄道好きだと聞いていたのに」
「こっちの方が法華講員の包囲網も無いし、バス停から会館まで近いことに気が付いたんです。まあ、本数は頗る少ないですけどね」
 ユタとマリアは1番後ろのぞ席に座っていた。
 乗客は7〜8人ほど乗っている。が、顕正会員らしいのはいない。

〔「お待たせ致しました。寿能先回り、導守循環、まもなく発車致します」〕
〔ドアが閉まります。ご注意ください〕

 バスが走り出す。
「これで行くと、11時の勤行にピッタリだったんですよ。懐かしいな」
「ふむふむ……」
 マリアは手帳に何やら書き込んでいた。
 魔術の研究に、ユタの霊力が何か関係しているのだろうか。

〔毎度ご乗車ありがとうございます。このバスは寿能先回り、導守循環です。次は氷川参道、氷川参道。……〕

 11番バス停から発車するバスは、大宮区役所前を通過する法則。
(※別作品では、アリバイ作りのトリックに使用した)
「ところで、マリアさんに泊まってもらえて嬉しかったんですけど、後でイリーナさんから文句言われたりしませんよね?」
「ああ。それなら心配無い。前にも言ったと思うが、師匠は私のプライベートには介入しない。私に危害を加えたりとかしない限り、師匠は何も言わない。その辺はフランクな方だ」
「でも、水晶玉で見ていたりとか?」
「それは……あるかも……な」
「やっぱり!」

[同日同時刻 長野県内某所 マリアの屋敷 イリーナ・レヴィア・ブリジッド]

〔「でも、水晶玉で見ていたりとか?」「それは……あるかも……な」「やっぱり!」〕

「クカー……」
 水晶玉で見ていたのは事実だが、同時に寝落ちもしていた。
「……もちもちのフワフワなの……何でこの黒猫、四角いの……?……へへ……」
 何だかよく分からない寝言を言って……。

[同日10:50.大宮公園入口バス停→顕正会本部会館前 ユタ&マリア]

〔「大宮公園入口です」〕

 バスを降りたのはユタとマリアだけだった。
 やはりこのバスに、顕正会員は乗車していなかった。
「この道を行くんですよ」
 ユタは一方通行の路地に入った。
「なるほど。異様な空気が漂ってくる」
「本当ですか。昔の支隊長とかと、まさか会ったりしないよな……」
 ユタは少し不安そうな顔をしていた。
 車道を挟んで向かい側の道から、本部会館前の門までやってくる。
「左側にあるのが青年会館、右側が本部会館です」
「なるほど……」
 マリアは眼鏡を掛け、魔道書を開いて、スウッと右手を翳した。
「分かった。もういい」
「は、はい。取りあえず、公園の方まで行きましょうか」
 2人は大宮公園に向かった。

[同日11:10.大宮公園 ユタ&マリア]

 ベンチに隣り合わせにする。
「マリアさん、さっきのは……?」
「ああ。霊気を測定してみた」
 マリアは魔道書を開いて、あるページをタップした。
 すると、白紙のページに文字が浮かび上がる。
 英語表記だったのが、それが崩れて日本語表記に変わった。
「ユウタ君の霊力が上がったのは、確かに顕正会で使用している崇拝物の影響のようだ」
「崇拝物……御本尊ですね。もっとも、顕正会のは偽本尊だったり、血脈の切れたものだったりしますが……」
「そのせいだよ。今はきちんと血脈のある物を拝んでいるので、浄化されつつあるようだが……」
「前にイリーナさんが言ってた、『霊力の暴走』って?」
「私の見立てでは、今の状態なら、寺の本尊を拝んでいれば大丈夫のような気はするが……」
「本当ですか!」
「1番確実なのは、あなたが魔道師になること。そしたら完璧だ」
「はあ……」
「まあ、そんなことをしたら、私が妖狐2人と対決することになるか……。それはユウタ君の望む所ではないだろう?」
「もちろんです!威吹には仲良くやるように伝えてあります」
「それなら、私もユウタ君の希望に沿わなくてはならないな」
「すいませんね。優柔不断で」
「いや……それでいい。……この場合はそれでもいいのだが、ややもするとそれが仇になることもある」
「マリアさん?」
 ユタはマリアの目の奥に、どこか悲し気さを見た気がした。
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“ユタと愉快な仲間たち” 「一方その頃……」

2014-04-29 15:08:29 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月26日 18:00.東京都区内某所のラブホテル 栗原江蓮&蓬莱山美鬼]

「……で、妖力が暴走したと称して、催眠妖術を掛けた江蓮ちゃんをここに連れ込み、無理やりレイプしようとしたんな?」
「……はい」
「抵抗として、金属バッドで滅多打ちにしたんな?」
「……はい」
「まあ、金属バッドが何で部屋にあったんかは読者さんの想像にお任せするとして……」
「読者!?」
「ようもまあ、ウチのアホ弟をボッコボコにしたもんや」
「す、すいません。ちょっとやり過ぎた……かな」
「ええんよ、ええんよ。そもそも、妖力が暴走して前後不覚や言うなら、妖術自体使えんから。騙してここに連れ込んで、無理やりヤろうとした弟がアホなだけや。ウチからもよう折檻しとくき、堪忍してくれんか?」
「いえ、別に盟約破棄までは考えてませんから……」
 多分、肉体としての“栗原江蓮”はむしろキノに抱かれることを望んでいたのだろう。
 ところが、土壇場で魂としての“川井ひとみ”が拒絶したこともある。“川井ひとみ”は男嫌いだからだ。
「江蓮ちゃんは素直でええコやねー!お詫びに今度、我が家に遊びに来ィ。精一杯おもてなしするよ?」
「は、はあ……。(それって何気に地獄界に誘ってねぇ?)」
 そこで江蓮は別の話題を振る。
「あの、キノは大丈夫なんでしょうか?」
「何が?」
「頭を滅多打ちにしちゃって、だいぶ血を流してたから……」
「ああ。それなら心配いらんよ。人間やったら死んどったかも分からんが、鬼族はあんなことでは死なん。ケガが回復次第、座敷牢に閉じ込めただけでは反省せんやろから、“地方”でバイトでもさせるわ」
「地方!?」
 地獄界に地方とか中央とかいう概念があるのか。
「あと、こんな騒ぎになったのに、ケーサツとか来ませんね」
「このホテル、ウチらの共済組合でやっとるからなぁ……」
「鬼の共済組合!?」
「だから確信犯なんよ、あのアホ」
「はあー……」
「ここの責任者にはオフレコさせとくき、江蓮ちゃんも頼むな?」
「はあ……」
「うん。ほんと、ええ判断や。ウチにすぐ連絡してくれたんは……」
「どうも……」
「今後も鬼絡みでトラブルあったら、ウチに連絡しぃ。大抵のことは何とかなるき」
「よ、よろしくお願いします……」
 キノには鬼のように厳しい長姉・美鬼も、長兄の彼女には優しいのだった。

[数日後 時刻不明 地獄界のどこかにある“賽の河原” 蓬莱山鬼之助]

「オラオラーっ!もっと石積めーっ!穴掘れーっ!夕方には積んだ石崩して、掘った穴は埋めるがな!」
 鬼族の獄卒達が子供の罪人に対し、恫喝を行う。
 中には金棒で滅多打ちにする者も。
「はー……何だこれ……」
 ここに送り込まれたキノは、やる気無く、河原の隅に寝転がっていた。
 本来なら叫喚地獄辺りを適当に歩き回って、罪人達を追い立てる下級獄卒達を監督する立場である。
「江蓮と飯食いたかった!カラオケやりたかった!つーか、裸にひん剥いてヤりたかったーっ!」
 駄々こねるキノ。
「……少しスッキリした。だけど、あのガキ共相手にする気にはなれんなー……」
「おい、鬼之助!」
 別の獄卒がキノに声を掛ける。
「あー?ガキ共の相手ならしねーよ」
「そんなに女子高生だか中学生だか相手にしたいんだったら、あっち行け」
「ああっ!?」
 鬼之助は上半身を起こし、別の獄卒が指さした方を見た。
「あっちに何があるんだ?」
「お前さんは知らないかもしれんが、ここ数十年の間に“賽の河原”エリアは拡大リニュールしたのだ」
「CR賽の河原でも入れたのか?」
 どういうCR機だ!
「年齢、性別ごとに区分けすることになったのだ」
「……却ってメンド臭くねーか?何で?」
「10代の自殺者が増えたので、それに対応する為だ。行って相手にしてこい」
「ふーん……。まあいいや。このままここで寝てても、バイト代出ねーだろうしな」
「その通り」
「今の、マジで出す気無かっただろ!?あ!?」

[同日同時刻 地獄界“賽の河原”10代女子エリア 蓬莱山鬼之助]

「乳児エリアや幼児エリアは古風の河原だったが、こっちは……」
 鬼之助がやってきた場所は……。
「富岡製糸場が世界遺産に登録されるっていうのに、何だこの“女工哀史”みてーな雰囲気は?」
「おう、お前が蓬莱山鬼之助か」
 このエリアを管轄している監督者がやってきた。鬼之助と違って全身が青白い、青鬼である。
「チィーッす!蓬莱山鬼之助っス。乳幼児のガキ相手が嫌なんで、こっちに来ました」
「まあ、お前さんは従来型の賽の河原の鬼って感じじゃないな」
「何すりゃいいんスか?女子中高生相手ってことは、もしかして、レ○プ?」
「はっはっはっ。さすが人間界で無理やりヤろうとして、“獲物”に返り討ちにされただけのことはあるなぁ」
 青鬼は牙を剥き出しにして笑った。
「何でそれを!?」
「蓬莱山家から、お前さんの行く所全てに通達が回ってるよ」
「あのクソ姉貴……!」
「残念だけど、その人手……もとい、鬼手は間に合ってるんだ」
「あらま!」
「キミには巡視役をお願いしたい」
「巡視……っスか?」

 で……。
「ここがご期待のレイプ・エリア。援助交際や痴漢冤罪でっち上げなど、性犯罪の加害者が送り込まれる」
「ほおほお」
 キノは青鬼監督にエリアを案内されていた。
「1日数十回はぶっとい物をブチ込まれる」
「生きてたら子宮がブッ壊れるなぁ……」
「その通り。しかし、それも一晩で回復する。そしてまた延々とその行為が無間に続くのだ」
「? ここ、無間地獄界じゃないっスよね?」
「この“賽の河原”エリアは、八大地獄から送り込まれた罪人達を扱う場所だからね。ある意味、独立した地獄かもしれん」
「ああ、前に親父から聞いたような気が……」
「そうかね。将鬼殿もかつては賽の河原を総べておられたからな」
 中からは少女達の絶叫に交じって、嬌声も聞こえてくる。
「ヤられ慣れたら、却って“極楽”なんじゃないスか?」
「それも考えてある。その状態になったと判断されれば、罪人達は処女膜も回復するから」
「何それ?そんな無駄に凄いシステム……」
「そしてそれまでの記憶はリセットされ、処女の思考、体のままで犯されるところからスタートするわけだ」
(親父の趣味じゃねぇだろうな……)

 他のエリアも歩いてみる。
「何か、学校みたいな所っスね?」
「うむ。ここではイジメで自殺した罪人が来る所だ」
「で、イジメの被害の再現を受けるんスね?」
「ま、そんなところだ」
「イジメの被害から逃げる為に自殺したのに、死んだ先でまた同じ目に遭うとは……」
「人間界でも地獄界の相により、そんな目に遭っていたのかもしれんが、向こうは期限付きだ。卒業という期限な」
「ああ」
「こっちは期限無しの無間だから」
「やっぱり……」
 中には気の強そうな、むしろ加害者側だったのではないかと思しき者も被害に遭っている。
 キノがそれを監督に聞いてみると、
「いい質問だ。加害者の中にも事故などで早死にした者はいるし、中には被害者に復讐されて死んだ加害者もいる。まあ、レアケースだけど、探せばあるもんだよ」
「へえ……。だけどそれで殺した被害者も、行き着く所はここっスか?」
「まあ、その後どういう人生を歩んだかにもよるがな」
「ふーん……」
「どうだい?叫喚地獄を歩くだけでは分からない、勉強になることも多々あるだろう?」
「そうっスね」
「しばらくここにいて、ほとぼりが冷めた頃に戻るといい」
「よろしくお願いしまっス」
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