[11月23日23:45.天候:雪 埼玉県さいたま市大宮区 敷島家]
敷島:「ただいまァ!どうだ、アリス?ちゃんと約束通り、今日中に帰ってきたぞ。俺は約束を守る男だ」
アリス:「シーッ!トニーが寝てるんだから、もっと静かにしてっ!」
敷島:「うぉっと!いっけね!」
敷島はコートを脱ぐと、シンディに渡した。
敷島:「外は結構、大雪だぞ?こりゃ間違い無く積もるなぁ……」
アリス:「本当?明日の出勤、大丈夫かしら……」
敷島:「お前は車だろ?まだ冬タイヤに換えてないんだから、明日はバスにしとけよ」
アリス:「バスが走ってたら、苦労はしないわよ」
敷島:「科学館送迎バスがあるじゃないか?」
アリス:「あれは開館時間中だけの運行だよ」
敷島:「そうだっけ?」
アリス:「どうしましょ?」
シンディ:「マスター。それなら、川越線の指扇駅からバスに乗るのはいかがでしょう?科学館の近くまでのバスなら、朝から運行されています」
アリス:「川越線?動いてる?」
敷島:「少しは動いているだろう。いざとなったら、ゴリ押しでタクシー代請求しろよ」
アリス:「簡単に言うけどさぁ……」
敷島:「俺も明日は、始発の新幹線で行くから早く寝かせてもらうよ」
アリス:「新幹線?どこまで行くの?」
敷島:「東京。東北新幹線なら雪に強いからな」
シンディ:「天気予報ですと、東京や埼玉で3センチの積雪が見込まれています」
敷島:「1番嫌な積もり方だな。まあいい。とにかく寝よう。シンディ、明日は5時に起こしてくれ」
シンディ:「かしこまりました」
アリス:「アタシも一緒に駅まで行くわ」
敷島:「そうしてくれ。何なら、シンディも一緒でいいぞ」
アリス:「そうはいかないよ。シンディにはバッチリ監視してもらうから」
シンディ:「お任せください。マスター」
敷島:「くそ……!」
[11月24日05:00.天候:雪 敷島家]
シンディ:「マスター、社長。おはようございます」
起動したシンディは、すぐに自らのオーナーとユーザーの寝室に起こしに行った。
敷島:「……もう朝か。まだ暗いな……って、そろそろ起きろ!」
敷島は斜め45度の角度で寝ているアリスを起こした。
敷島の胸の上に片方乗っけている巨乳をペチーン!と叩く。
アリス:「Ouch!」
シンディ:「二海が朝食の御用意をしておりますので……」
敷島:「ああ。今、起きる。二度寝するなよ。ほらっ!」
敷島はアリスの上半身を起こした。
ウェーブの掛かった金髪がだらりと垂れる。
敷島:「シンディ、アリスをよろしく」
シンディ:「はい」
敷島:「マジで寒いな……」
敷島は起き上がると、窓のカーテンを開けた。
外に広がる光景は……。
敷島:「う……マジで積もってやがる」
とはいうものの、3センチというほどではない。
今のところ、1センチくらいか。
ただ、外は寒いとはいえ、マイナスまでは下がっていないのだろう。
そんな状態で積もっているもんだから、シャーベットに近い雪質だ。
敷島:「このくらいなら、辛うじて電車は走ってるっぽいなー」
敷島はそう呟いて、洗面台に向かった。
[同日06:20.天候:雪 JR大宮駅]
敷島:「うーむ……在来線は軒並み遅延か。でも、せいぜい5分から15分くらいじゃないか。早目に来て良かったな」
アリス:「そうなの?」
アリスは大きな欠伸をしていた。
敷島:「ああ。これが本格的な朝ラッシュの時間になったら、遅延が拡大して30分以上ってなるのがオチだな」
敷島はそう分析した。
シンディ:「社長、新幹線のキップです」
敷島:「ありがとう。とにかく、行こう。お前は在来線だからSuicaで行けるだろう?」
アリス:「そうね」
敷島達が西口南改札からコンコースに入ると、先にアリスを川越線まで送って行った。
埼京・川越線では『遅れ5分』という表示が出ていたが……。
[同日06:38.天候:雪 JR大宮駅・新幹線ホーム→東北新幹線“なすの”252号1号車内]
その後で敷島とシンディは、改めて新幹線ホームに向かった。
埼京線と東北新幹線の大宮から南はセットで開通したので、実は乗り換えは意外と楽である。
さすがに近距離利用ではグリーン車ではなく、自由席である。
シンディ:「社長、このままだと社員の皆さんも遅れてくるかもしれないわね」
敷島:「そうだな。無理しないで、安全優先に出勤するようにメールしておこう。ただ、遅延証明書はゲットしてもらって……」
シンディ:「私が一斉メール送っておくわ」
敷島:「頼む。どうせ、ボカロは自分で行動できるしな」
〔14番線に、“なすの”252号、東京行きが10両編成で参ります。この電車は途中、上野に止まります。グリーン車は9号車、自由席は1号車から8号車と10号車です。まもなく14番線に、“なすの”252号、東京行きが参ります。黄色い線まで、お下がりください〕
朝の東北新幹線上り初電は、唯一の小山駅始発の列車である。
シンディ:「私は立ってる?」
敷島:「そんなに混んでないだろうから大丈夫だろ」
昨日乗ったのと同じE2系が入線してくる。
雪は被っておらず、ずぶ濡れの状態でワイパーを動かしていた。
〔「おはようございます。大宮、大宮です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。“なすの”252号、東京行きです。9号車のグリーン車以外、全ての車両が自由席です」〕
敷島達は先頭車に乗り込んだ。
確かに、車内は空いていた。
今度のはコンセントが付いていない前期型である。
シンディ:「社長、全社員に一斉メールを送っておきました」
敷島:「ありがとう」
大宮駅の新幹線ホームは無機質な発車ベルが流れる。
〔14番線から、“なすの”252号、東京行きが発車致します。次は、上野に止まります。黄色い線まで、お下がりください〕
在来線には微妙な遅延が発生している中、新幹線は定刻通りに発車した。
駅構内を出ると、どんよりとした曇り空に舞う大粒の雪が窓に当たる。
これは更に積もるフラグである。
現在は1センチほどであるが、確かにこのままだと3センチは行くのではないかと思うほどだ。
敷島:「東京駅からの移動が大変だな。都営バスが上手いこと走っててくれるといいが……」
シンディ:「既に東京都交通局からは、バスに大幅な遅延が発生する恐れがあるとのお知らせが出ています」
敷島:「……だろうな。まあ、会社は一海が7時には起動するから、それで電話対応くらいは何とかなるが……」
朝イチの上り新幹線は、雪の舞う中を東京へ向かう。
敷島:「ただいまァ!どうだ、アリス?ちゃんと約束通り、今日中に帰ってきたぞ。俺は約束を守る男だ」
アリス:「シーッ!トニーが寝てるんだから、もっと静かにしてっ!」
敷島:「うぉっと!いっけね!」
敷島はコートを脱ぐと、シンディに渡した。
敷島:「外は結構、大雪だぞ?こりゃ間違い無く積もるなぁ……」
アリス:「本当?明日の出勤、大丈夫かしら……」
敷島:「お前は車だろ?まだ冬タイヤに換えてないんだから、明日はバスにしとけよ」
アリス:「バスが走ってたら、苦労はしないわよ」
敷島:「科学館送迎バスがあるじゃないか?」
アリス:「あれは開館時間中だけの運行だよ」
敷島:「そうだっけ?」
アリス:「どうしましょ?」
シンディ:「マスター。それなら、川越線の指扇駅からバスに乗るのはいかがでしょう?科学館の近くまでのバスなら、朝から運行されています」
アリス:「川越線?動いてる?」
敷島:「少しは動いているだろう。いざとなったら、ゴリ押しでタクシー代請求しろよ」
アリス:「簡単に言うけどさぁ……」
敷島:「俺も明日は、始発の新幹線で行くから早く寝かせてもらうよ」
アリス:「新幹線?どこまで行くの?」
敷島:「東京。東北新幹線なら雪に強いからな」
シンディ:「天気予報ですと、東京や埼玉で3センチの積雪が見込まれています」
敷島:「1番嫌な積もり方だな。まあいい。とにかく寝よう。シンディ、明日は5時に起こしてくれ」
シンディ:「かしこまりました」
アリス:「アタシも一緒に駅まで行くわ」
敷島:「そうしてくれ。何なら、シンディも一緒でいいぞ」
アリス:「そうはいかないよ。シンディにはバッチリ監視してもらうから」
シンディ:「お任せください。マスター」
敷島:「くそ……!」
[11月24日05:00.天候:雪 敷島家]
シンディ:「マスター、社長。おはようございます」
起動したシンディは、すぐに自らのオーナーとユーザーの寝室に起こしに行った。
敷島:「……もう朝か。まだ暗いな……って、そろそろ起きろ!」
敷島は斜め45度の角度で寝ているアリスを起こした。
敷島の胸の上に片方乗っけている巨乳をペチーン!と叩く。
アリス:「Ouch!」
シンディ:「二海が朝食の御用意をしておりますので……」
敷島:「ああ。今、起きる。二度寝するなよ。ほらっ!」
敷島はアリスの上半身を起こした。
ウェーブの掛かった金髪がだらりと垂れる。
敷島:「シンディ、アリスをよろしく」
シンディ:「はい」
敷島:「マジで寒いな……」
敷島は起き上がると、窓のカーテンを開けた。
外に広がる光景は……。
敷島:「う……マジで積もってやがる」
とはいうものの、3センチというほどではない。
今のところ、1センチくらいか。
ただ、外は寒いとはいえ、マイナスまでは下がっていないのだろう。
そんな状態で積もっているもんだから、シャーベットに近い雪質だ。
敷島:「このくらいなら、辛うじて電車は走ってるっぽいなー」
敷島はそう呟いて、洗面台に向かった。
[同日06:20.天候:雪 JR大宮駅]
敷島:「うーむ……在来線は軒並み遅延か。でも、せいぜい5分から15分くらいじゃないか。早目に来て良かったな」
アリス:「そうなの?」
アリスは大きな欠伸をしていた。
敷島:「ああ。これが本格的な朝ラッシュの時間になったら、遅延が拡大して30分以上ってなるのがオチだな」
敷島はそう分析した。
シンディ:「社長、新幹線のキップです」
敷島:「ありがとう。とにかく、行こう。お前は在来線だからSuicaで行けるだろう?」
アリス:「そうね」
敷島達が西口南改札からコンコースに入ると、先にアリスを川越線まで送って行った。
埼京・川越線では『遅れ5分』という表示が出ていたが……。
[同日06:38.天候:雪 JR大宮駅・新幹線ホーム→東北新幹線“なすの”252号1号車内]
その後で敷島とシンディは、改めて新幹線ホームに向かった。
埼京線と東北新幹線の大宮から南はセットで開通したので、実は乗り換えは意外と楽である。
さすがに近距離利用ではグリーン車ではなく、自由席である。
シンディ:「社長、このままだと社員の皆さんも遅れてくるかもしれないわね」
敷島:「そうだな。無理しないで、安全優先に出勤するようにメールしておこう。ただ、遅延証明書はゲットしてもらって……」
シンディ:「私が一斉メール送っておくわ」
敷島:「頼む。どうせ、ボカロは自分で行動できるしな」
〔14番線に、“なすの”252号、東京行きが10両編成で参ります。この電車は途中、上野に止まります。グリーン車は9号車、自由席は1号車から8号車と10号車です。まもなく14番線に、“なすの”252号、東京行きが参ります。黄色い線まで、お下がりください〕
朝の東北新幹線上り初電は、唯一の小山駅始発の列車である。
シンディ:「私は立ってる?」
敷島:「そんなに混んでないだろうから大丈夫だろ」
昨日乗ったのと同じE2系が入線してくる。
雪は被っておらず、ずぶ濡れの状態でワイパーを動かしていた。
〔「おはようございます。大宮、大宮です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。“なすの”252号、東京行きです。9号車のグリーン車以外、全ての車両が自由席です」〕
敷島達は先頭車に乗り込んだ。
確かに、車内は空いていた。
今度のはコンセントが付いていない前期型である。
シンディ:「社長、全社員に一斉メールを送っておきました」
敷島:「ありがとう」
大宮駅の新幹線ホームは無機質な発車ベルが流れる。
〔14番線から、“なすの”252号、東京行きが発車致します。次は、上野に止まります。黄色い線まで、お下がりください〕
在来線には微妙な遅延が発生している中、新幹線は定刻通りに発車した。
駅構内を出ると、どんよりとした曇り空に舞う大粒の雪が窓に当たる。
これは更に積もるフラグである。
現在は1センチほどであるが、確かにこのままだと3センチは行くのではないかと思うほどだ。
敷島:「東京駅からの移動が大変だな。都営バスが上手いこと走っててくれるといいが……」
シンディ:「既に東京都交通局からは、バスに大幅な遅延が発生する恐れがあるとのお知らせが出ています」
敷島:「……だろうな。まあ、会社は一海が7時には起動するから、それで電話対応くらいは何とかなるが……」
朝イチの上り新幹線は、雪の舞う中を東京へ向かう。