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報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

参詣エクスプレス 0630

2015-06-30 21:48:49 | 日記
新幹線車内で火災2人死亡 放火の疑いで捜査

 本当は“新アンドロイドマスター”の続きを書きたかったのだが、その矢先にこの新幹線事件だ。
 実は今後のストーリー展開で、新幹線ではないが、列車がバージョン4.0の火炎放射器により放火されるシーンがあるのと、十条家の身内に自殺者がおり、それについて厳しく述べるシーンがあるので、ストーリーの練り直しを迫られることになった。
 練り直しが終わるまで、続きはしばらくお待ち頂きたい。

 私の実害はそれくらいしか無いが、実際に乗り合わせた人達は大変だっただろう。
 菅官房長官は「テロの可能性は低い」と無難な見解を述べたが、私を含め、ニュースサイト系の掲示板では多くのコメンターが、「テロ同然」と異口同音に述べている。
 飛行機と違って気軽に乗れるのが鉄道の売りなだけに、厳しい手荷物検査とかは非現実的のような気がする。
 まず、定期券で新幹線通勤などできなくなるのではないか?
 電車通勤している方は想像して欲しいが、通勤の行き帰り毎に手荷物検査をやるのだよ?
 つまり、そういうことだ。

 実は新幹線より乗るのが面倒臭い高速バスなら、より現実的ではある。
 が、やられたのは新幹線であって、高速バスではない。

 “新アンドロイドマスター”の序章部分で、舞台がアメリカの架空の町やシカゴのシーンがあるが、それの移動に使用されたグレイハウンドバス。
 私が調べたところによると、アメリカの長距離バスであるが、特に手荷物検査などはしていないらしい。
 だからこの作品でも、レイチェルやコードネーム“ショーン”が利用した際、手荷物検査のシーンは無い。
 “アセラ・エクスプレス”などの高速列車、“サンセット・リミテッド”などの大陸横断列車を運行しているアムトラック(全米旅客鉄道公社)においても、特段厳しい手荷物検査はしていないという。
 なので、銃火器を装備しているマルチタイプでも、気軽に乗れたのだろう。
 敷島達がやっているように、普通は人間がマルチタイプなどのロイドを使役していて連れて行くものなのに、序章部分ではその逆という皮肉(ロボットが人間に取って代わる)をやってみたのがあの部分だ。

 “ユタと愉快な仲間達”シリーズも含め、所々に私が込めたメッセージがストーリー中に散りばめられているので、気が付いてくれるとありがたい。
 ストレートに書いて失敗したのが2代目ブログだからその反省を含めて、当代ブログでは、言いたいことなんだけど黒い部分は趣味の小説を使ってオブラートに包むことにした。
 さすがに新幹線焼身自殺は直近過ぎてオブラートに包めないので、少しストーリー変更を行うことにする。
 “のび太と鉄人兵団”みたいに、8号機のアルエットがリルルの役回りを果たしてくれることを期待していたんだけどねぇ……。

 明日は久しぶりの休みだが、色々とさいたま市内を歩き回る予定があるので、末寺参詣は無し。
 ていうか、いい加減、都内の末寺からさいたま市内に移籍した方がいいんじゃね?と思うくらいだ。
 休日はあまり都内に行くことは無いんだよ。
 都内は仕事をしに行く場所だということで、もう確立してしまったから。
 大石寺参詣の中継地点(東京駅)として、くらいだな。

 ま、歩き回りながら、ストーリーを如何に上手く変えるか考えることにしよう。
コメント (2)
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“新アンドロイドマスター” 「第2の狂科学者の弟」

2015-06-28 21:17:25 | アンドロイドマスターシリーズ
[6月20日10:55.神奈川県相模原市緑区・十条達夫宅 敷島孝夫、初音ミク、シンディ、リカルド・ブラウン、十条達夫]

「この家って……」
 見た目はオシャレな洋風の佇まい。
 しかし、シンディのメモリーにはデータがあった。
 タクシーを降りて、改めてスキャンしてみる。
「やっぱり。ここ、昔、ドクター・ウィリーが一時的な隠れ家にしていた家だ」
「何だって!?こんな所に潜んでたのか!エミリーとかもよく電波を飛ばしていたんだぞ?」
「こういう所じゃ、電波も届かないだろうねぇ……」
「シンディもいたのか?」
「ほんの少しだけね。でも、ドクター十条達夫のことは知らない」
「うん?」
 タクシー料金の支払いで最後に助手席から降りたリカルドが、
「どうぞ。中で十条博士がお待ちです」
 と、敷島達を促した。
「その呼び方だと、伝助の爺さんの方をイメージしちゃうなぁ……」
 敷島が嫌そうな顔をした。
「下の名前で呼んでくれないか?」
「あいにくですが、それはできません」
「えっ?」
「なに?それはドクター十条達夫の命令?」
 敷島の希望拒否に、シンディも眉を潜めた。
「私は執事ですので、マスターたる十条博士に対し、『達夫』と呼ぶわけには参りません」
「ええーっ!?」
「この社長、そこまで気安く呼べとも言ってないと思うけど?この天然執事が!
「い、いや、まあ、確かに言葉が足りなかったような……?」

 とにかく中に入る。
「いらっしゃーい。我が家へ」
「こんにちはー!」
 初音ミクが元気よく挨拶した。
「こんにちは。ミクの修理代をお持ちしました」
「わざわざ御足労頂き、真に恐れ入る。さ、上がってくれ」
 リカルドは敷島とミクのスリッパを用意した。
「……ちょっと、アタシのは?」
「床が抜ける恐れがございますので、シンディ様はご遠慮ください」
「マジで!?」
 シンディの自重は200キロである。
「……アタシは外の警備でもしてる」
「すまんのォ、ボロ家で……」
「シンディを軽量化することはできないものでしょうか?平賀博士はエミリーを150キロまで軽量化することに成功しましたが……」
「それは新しいボディを一から作ったからじゃろう?今使用しているボディで軽量化は難しいよ。新たに軽量化したボディを作る方が早い」
「なるほど。うちのマンションや事務所なら平気なんだけどなぁ……」
 敷島が住んでいる大宮のマンションは1階の部屋、東京のマンスリーマンションも1階。
 事務所は5階だが、鉄筋コンクリート造りのビルで、用途が事務所なので、床もそれくらいの重さに耐えられるから大丈夫だ。
 しかし達夫のこの家は木造2階建てで、築年数も相当行っていると思われ、シンディの重さに耐えられるか微妙だという。

 応接間に通された敷島とミク。
 リカルドがお茶を入れに行っている。
「これがミクの修理代です」
「では、確かに受け取ったという証書を残そう」
「達夫博士に直して頂いたら、何だか少し体が軽くなったような気がします」
 と、ミクが言った。
「えっ?」
「そうかね?ワシは応急処置をしただけじゃから、本格的に修理をしたのは、ウィリアム氏の孫娘じゃと思うが……」
「アリスのヤツ、変な改造したんじゃないだろうな?」
 敷島は不審な顔をして、ミクの体を見回した。
「しかし、3号機のシンディは異常無く動いているようじゃな?」
「ええ。あれが本来の“性格”ですね?」
「うむ。マルチタイプ7姉弟の中で、1番のムードメーカーじゃと聞いている。が、ウィリアム氏が専有してから、狂った殺人機械に成り果ててしまったようじゃが……」
「本来の用途に戻ってくれて良かったですよ」
「キミも、あやつに殺され掛けたようじゃが、壊す気は無いのか?」
 達夫はミクを見ながら聞いた。
 東京決戦のことは、ミクのメモリーを見たのだろう。
「色々と便利ですし、平賀先生の所の学会も、『世界に2機しかない貴重なアンドロイド』という見解ですから」
「平賀、平賀君か。なるほどなるほど。少年のうちからその才能を発揮した天才、南里先生からロボット工学の何たるかを全て教わった後継者と聞いているよ」
「ええ。平賀先生は天才です。正義感も強いし、頼りになります。先生は技術開発、私は営業に専念することで、ボーカロイド専門の芸能事務所を運営できているのです」
「わたしも平賀博士から、何回も整備を受けました。腕とか動かなくなっても、元通りです」
「ほっほ……。それはまあ、基本中の基本じゃが……」
「話は変わりますが、7号機のレイチェルが“復元”されたということですが、他のマルチタイプも?」
「そう思うかね?答えはイエスともノーとも言えんな」
「と、言いますと?」
「間違い無く、兄の目的はそれじゃ。マルチタイプ1機の力がどんなものか、敷島さんもよくご存知じゃろう?それを何機も個人が保有してみることを想像してみるが良い。手に余るのは間違いない」
「まさか、世界征服なんて考えていないでしょうな?それじゃ、ウィリーと変わらない!」
「恐らく、それは無い。ただ、兄は知的好奇心は強い。それの一環で、全てのマルチタイプを“復元”したがるかもしれんの」
「えっ!?所属しているKR団がいい顔しますかね?あのテロ組織は、ロボット工学の更なる躍進に猛反対なわけでしょう?あそこのサイトを見ましたが、『行き過ぎた機械化は人間の劣化を招く』とか、『ロボットは人間の奴隷であるくらいがちょうど良い』とか、『ロボットが人間に取って代わるようなことは絶対にあってはならない』とか、そういう思想の連中ですね。それがマルチタイプの増産に賛同するかな?」
「もし敷島さんが兄の立場で、組織の連中を賛同させるにはどのようにしたら良いと思いますかな?」
「やっぱ、プレゼンですかねぇ……。マルチタイプの増産が、いかに組織の為になるかを焦点にして……。製作費や維持費は大変だけど、売れば巨万の富になるということを強調して……ブツブツ……」
「うむうむ。敷島さんは会社経営者じゃから、そのように考えるじゃろう。あの兄にしてこの弟ありと思われるかもしれんが、ワシだったら、内部クーデターを起こすがな」
「ええっ!?」
「恐らく兄がKR団とやらに付いたのも、兄の知的好奇心を満たす為の資金提供をしてくれるからに過ぎんのじゃろう。つまり、ふとしたことで利害が衝突するようになったら……。まあ、その『復元』した7号機のレイチェルでも使って、内部クーデターを起こすのは必然じゃと思う。オーナー登録はワシじゃが、ユーザー登録は兄のままじゃ。オーナー命令で、8号機のアルエットを連れて来て欲しいと送っているのじゃが、なしのつぶてじゃ」
「ユーザーの言う事を聞かないなんてなぁ……」
「ま、レイチェルも苦しいとは思うがな」
 と、その時、敷島のスマホが鳴った。
 普通の外線ではなく、シンディからの“ロイド通信”アプリからだった。
「ああ、何だ?どうした?」
{「ミクを避難させて!レイチェルが……!」}
「なにっ!?」
 その時、家のすぐ近くに爆弾が着弾するような音が響いた。

 ついにマルチタイプ同士のガチンコ対決か!?
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冨士参詣臨時便

2015-06-28 20:58:26 | 日記
 あまり個人のブログに連投するのもアレなので、ここで書いてみることにする。
 最近私はミミさんのブログにもお邪魔しているが、その最新の記事を読んでみて、何となく気持ちが分かるものがある。
 そもそも私が小説をここに公開するに至ったのも、実はミミさんが「ブログを書く気が起きない」理由とよく似ている。
 ただ、私の場合、その解決法として、『ボツネタを公開して繋ぐ』という安易なものだった。
 だから最初は、日記と一緒に公開していたのである。
 しばらくやっているうちに、多摩準急先生から、
「日記と小説は切り離しで別個の記事にした方が良い」
 というアドバイスを受け、更にはボツネタだけでなく、新ネタを公開することで、今ではメインが日記なのか小説なのか分からない状態となっている。
 一部のブロガーさんはブログを複数運営していて、それぞれが違うハンネで運営していることが多い為にまるで内容が違うため、あたか別人のブログにように見えてしまう。
 私の場合も一応そのようにしようかと思ったことがあった。
 2代目ブログが放火・炎上された際に、そこは放置して別ブログに避難しようかと考えたこともある。
 3代目ブログ(これとは違う)を用意しているうちに、2代目ブログの整理をしていたら、アカウントが乗っ取られてしまった!
 多分、当時使用していたPCがウィルスに感染したか何かしたのだろうと思う。

 そういうこともあって、私はこのgoo1本に絞っている。
 どうしてgooなのかというと、他の信仰者があまり使用していないからだ。
 私以外だと大東亜の星さんと、同じ所属寺院で実名で活動しておられる方くらいだ。
 アメーバは武闘派の巣だから、あまりそこの仲間入りをしたくないってのもあるんだけどね。

 ま、私は我が道を行くまでだ。
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小説の途中ですが、ここでパラパラ茜氏の破折を行いたいと思います。

2015-06-27 20:51:39 | 日記
 基本的にネットでの折伏はしない私だが、一部の目に余る顕正会員に対してだけは別だ。
 トチロ〜さんの所にもちょっかい出してた阿呆がいたが、多分あの顕正会員は【お察しください】。
 またあのオバハン、性懲りも無く更新しているからね。

>20年もの間で、毎月末の楽しみは、総幹部会ビデオ放映。

 あれ?ブログタイトルの下には、「clubやDISCOで踊る事が大好き」とあるけど、これはいいの?
 それとも、さすがにアラフィフでそれはキツくなったかな?

>顕正会員が功徳で幸せになれたって聴いてて気分いいですよ。

 作文と添削だらけで、さすがに私の小説よりも話が噛み合わない顕正会員の体験発表と、一応は事実なんだろうけど、明らかに本人の努力だろとツッコミを入れたくなる某学会員の体験発表とどっちがマシなんだろうと……マジメに考えるだけ時間が無駄なので、後日、小説を書くことにします。

>まあ、アメーバの誰かさん達にはこの功徳の感激、わっかんねーだろーな!

 goo派ですが、分かりません。何か?
 アメーバ派とgoo派の莫迦共にも分かりやすいようにご説明をお願い致します。

>聴いてると、学会員は、そんじょそこらの邪教に執着している連中に比べて悪い人はいないのは、登壇者の話を聴けばわかる事。聴けば聴くほど、悪いのは上の立場の者達である。

 あまり持ち上げるから、爆サイなどで変な疑いを掛けられるのだよ。

>また、浅井先生のご指導は、笑いがあって、また、解りやすいですね。

 ポテンヒットさんのネタには大笑いさせて頂きました。
 ドンチャンさんの掲示板もです。
 私も拙いですが、少々ネタにさせて頂いております。

>だから私は、悩み事は、人に相談しません。

 そもそも相談できる人がいないだけでは?

>家庭の事で悩んでいた御婦人の体験発表で、総班長に相談した所、返って来た答えは、

『泣いている暇があったらお題目をしなさい。』

「お題目をする」ではなく、「唱題をする」ね。
 日本語と仏法用語・用法を正しく使いましょう。
 まあ、これは茜オバハン本人の言葉ではないが、顕正会員の変な所の1つではある。
 でもまあ、顕正会員にしては比較的感心できる答えだ。
 変な組織だったら……ねえ、ポテンヒットさん?
 ケンショーレンジャー、特にブルー(若かりし頃?の佐藤公一)やホワイト(【お察しください】)みたいなヤツが上長で、そんなヤツに相談して御覧なさい。
 お題目(唱題)ではなく、折伏して乗り切れと言われて終わりだろう。
 それどころか、追い打ちを掛けるかのように、悩むのは信心が足りないからだみたいなことを言われるだろう。
 そういう所からすれば、比較的優しい総班長さんだったのだろうと思われる。

>私が顕正会で信心しているのがわかった連中、ヒステリックになって、キチガイになってましたし、面白いのが、こういう奴って、自分の方が友達いっぱいいますから、と勝ち誇ったように言って来ますが、所がどっこい!
実は大逆縁になった奴等の方が嫌われ者なんだわ。

 これ、半分くらい自分のこと言ってない?

>顕正会員で良かった瞬間の1つですね。

 うん、分かったから早く山門入り口さんのトラックバックに何かしらリアクションしなって。
 普通ならブログ記事で、
「スパムヒステリックの山門入り口!」(←山門入り口さん、ごめんなさい!)
 なんて書きそうなものだが、そうではないと。
 しかし、よっぴんさんには書いている。
 やはり、ただならぬ事があったのだろう。
 直接折伏したか、それとも……。
 利権、もしくは在日特権絡みか。
 ……いや、さすがに考え過ぎか。

 とにかく、このオバハンは救い無しのようである。

 私は顕正会も楽しかったけど、晩年はつまらん団体に成り下がっていたし、どうせつまらないのなら、まだ法華講でいいと思ってるよ。
 どっちがカミングアウトしやすいかを考えたら……。

 顕正会員であることをカミングアウトする度胸は、私には無いな。
 よほど肝の座った人か、厚かましいのだろう。
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“新アンドロイドマスター” 「新しい執事ロボット」

2015-06-26 21:49:57 | アンドロイドマスターシリーズ
[6月20日10:29.JR藤野駅 敷島孝夫、初音ミク、シンディ]

〔まもなく藤野、藤野。お出口は、右側です〕
〔「お降りの際、電車のドアは自動では開きませんので、ドア横のボタンを押してお降りください」〕

 断続的に続くトンネルを出て、ようやく電車は目的地の駅に到着した。
 高尾から西は、電車のドアは半自動ドアとなる。
 東北地方などでは当たり前だが、東京側しか利用しない乗客には用途不明のドアボタンが、この辺りから使われるわけだ。
 尚、都内でも上野駅始発の宇都宮線と高崎線が夏期に冷房効果維持の為、半自動にしていることがある(冬期も暖房効果維持の為に行うことがある)。

〔ふじの〜、藤野〜。ご乗車、ありがとうございます〕

「はあ……。ここ?」
「ここみたいね」
「ここですね」
 敷島は電車を降りて呆気に取られた。
 電車はそんな敷島などお構いなく、すぐにドアを閉めて発車していった。

 
(JR藤野駅ホーム。セマーイ!)

 ホームが狭いのは、北側は崖、南側は段々畑のような所に家が建っている。
 つまり、駅のある場所も平坦な所がギリギリだということだ。
「と、とにかく、行こう!」
 駅のホームは狭く、土地もギリギリなせいか、改札口への階段も東京側に偏った所に1ヶ所あるだけ。
 エスカレーターは無いが、エレベーターはあった。
 何とかこれで、バリアフリーの体裁を取っているのだろう。

 
(藤野駅の正面。背後は緑に覆われているが、崖になっているのが分かる)

 駅を出ても目の前には急な階段がある。
「こんなお年寄りには住みにくそうな場所をよく選んだもんだ、達夫の爺さんはァ……」
 敷島は感心というか、半ば呆れた様子で駅前の階段を下りた。
「逆に、そういう所にまさか住んでいるわけがないって狙いなのかもね」
 と、シンディ。
「うーん……。そんなもんかなぁ……って、タクシーも居やがらねぇ……」
「ちょっと待って。バス路線が無いか、検索してみる」
「あっ、わたし、やってみます」
 ミクが右手を挙げた。
 ミクがまだデビューする前、フィールドテストの際にはそれで敷島と長距離を移動したものだ。
 今でこそミクは他のメンバーと同じく敷島を社長と呼ぶが、その前は一貫して『たかおさん』であった。
 敷島がプロデューサーとなる前からの付き合いだった名残だ。
 つまり、ミクが1番の古参なのである。
 だが、そんなミクの提案をブチ破る者が現れた。
「! 誰!?」
 シンディが両目をギラッと光らせて右側を向いた。
 さすがに右手をいきなり銃火器に変化させることは、場所柄控えたが。
「お、驚かせてしまって、申し訳ありません」
 そこにいたのは黒いスーツを着た長身の男だった。
 見た目20代前半だから、井辺くらいの歳か。
 サラリーマンとか就活生とかいうよりは、どこかのホテルのフロントマンといった感じだが……。
「私は十条達夫博士の言い付けでお迎えに上がりました、リカルド・ブラウンと申します。以後、お見知り置きのほどを……」
 恭しく頭を下げるリカルドと名乗る男。
 名字の通り、髪の色は焦げ茶色だ。
 長くは伸ばしておらず、ソフトモヒカンに近い。
「……ロイドね。用途は何なの?」
 シンディは警戒を解かずに問うた。
「執事です」
「ああ!それで、名字が色なのか!キール・ブルーみたいに」
「はい」
「……まあ、いいわ。よろしく」
 シンディは右手の青い手袋を取った。
 エミリーのは運転手やホテルマンなどが付けているような白手袋だが、シンディは肘まで保護されているものだ。
 右手の掌の中央には、赤外線通信のレンズがある。
「よろしくお願いします」
 リカルドも白手袋を取って、同じく右手を付き合わせた。
 見た目はまるでハイタッチである。
 しかし、これでロイド同士の挨拶、名刺交換のようなものである。
 犬が互いに尻の臭いを嗅ぎ合うのと同じというか……。
 マルチタイプ(女性型)はメイドロボットの用途もできる為、似た仕事を行う執事ロボットとも通じる物があるのだろう。
「では、こちらです」
「……え?歩き?」
「車を御用意しています」
「何だ」
 といっても、それはタクシー。
 達夫がどうせ駅前にタクシーがいないのを見越して、家からタクシーを呼んリカルドを向かわせたのだろう。

[同日10:50.神奈川県相模原市緑区 敷島孝夫、初音ミク、シンディ、リカルド・ブラウン、十条達夫]

 山梨県に入ったのかと思った敷島だったが、実際の住所は神奈川県だというから驚きだ。
 もっとも、すぐそこが山梨県であり、県境に住んでいるとのことだ。
 実はマルチタイプにしろ、他のロイドにしろ、GPSの都合上、県を越えると地図更新のため、幾ばくかの検索ブランクが発生するという。
 つまり、一瞬の足止めだ。
 もし仮に達夫がマルチタイプやバージョン・シリーズを送り込まれても、隣の山梨県や東京都に逃げ込めば、多少の雲隠れができるという算段だそうだ。
 よく考えたものだ。
 東京都まで電車で2駅、山梨県へは電車で1駅なのだから。
「そういえば相模湖駅に着くまでの間、『No Data』になっちゃったねぃ……」
 と、シンディ。
 トンネルが断続的に続く場所、つまり電波の入りにくい場所ということもあり、データが取得できた場所は何とか開けた所にある相模湖駅に接近してから。
 7〜8分くらいだ。
 その間、達夫に対しては目視でしか追跡できなくなるため、上手い事隠れられれば、逃げおおせると考えたのだろう。
(もっとも、アタシなら見失った場所に弾幕を張って、いぶり出してやるけどね……)
 シンディは“心の中”で笑った。
「もう、まもなくですよ」
 助手席に座るリカルドは、後ろに座る3人に向かって言った。
「ほお……。ん?ここは……」
 十条達夫の新しい居宅兼研究所(?)。
 その佇まいは……。
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