[6月18日11時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]
善場係長からついに返信があり、詳しい話が聞きたいので、事務所にお邪魔するということだった。
車で来るというので、ガレージのシャッターを開けておく。
ガレージには既に業務用にリースしているライトバンがあるが、その横に1台駐車できるスペースがある。
更にその横に、ギリギリ軽自動車なら駐車できそうなスペースはあるのだが、ギリギリ過ぎるので、高橋夫婦のバイク置き場にしている。
やってきたのは、いつもの黒いミニバンではなかった。
白のコペンである。
あれ?飛び込みの客でも来たかな?
私が呆気に取られていると、普通にバックしてガレージの中に入って行った。
しょうがないのでエレベーターに乗って、ガレージまで迎えに行ってみようと思う。
愛原「あれ?善場係長!?」
エレベーターで1階に下りると、車から降りて来たのは善場係長だった。
善場「愛原所長、お疲れさまです。本日は休日で公用車が使えませんので、私用の車で来ました」
善場係長、相変わらずスーツ姿ではあったが……それにしても……。
愛原「意外ですね。意外なお車にお乗りですね」
善場「よく言われます。それより、斉藤容疑者から連絡があったということで、詳しいお話を」
愛原「ああ、そうでした。どうぞ、こちらへ」
私は今しがた乗って来たエレベーターに、係長を案内した。
あのコペン、もしもマニュアル車だったら、高橋やパールと勝負できるかもな。
パール「いらしゃいませ」
エレベーターが2階に到着すると、パールが出迎えた。
善場「急な訪問、失礼致します」
外はもう梅雨が終わったのかと思うくらいの暑さだが、事務所内は冷房を効かせている。
愛原「何か冷たいもの、お出しして」
パール「かしこまりました」
善場「おかまいなく」
私は係長を応接コーナーに案内した。
すかさずパールが、冷たい麦茶を持って来た。
善場「恐れ入ります。所長、まずは斉藤容疑者から連絡があった時の状況からお伺いします」
愛原「はい。私が部屋で就寝していましたら、今朝7時頃に電話がありました」
私は覚えている限りの事を善場係長に話した。
善場「電話の内容は録音されていますか?」
愛原「すいません。寝ている時の電話だったもので、録音ボタンを押していなくて……」
善場「承知しました。ファックスの送信元と、電話の内容から、容疑者は本当にウラジオストク市内から電話を掛け、ファックスを送った物と思われます。ウラジオストクとの時差は1時間です。向こうが1時間早く進んでいます。今、こちらは午前11時くらいですので、向こうは12時くらいということですね」
愛原「私は斉藤社長……失礼、斉藤さんの依頼を受けるべきでしょうか?」
善場「本来なら受けるべきではありません。が、容疑者が何を企んでいるのか気になるので、受けたフリをしてください。表向きには、容疑者の言う通りにしてみてください」
愛原「わ、分かりました。それには、例の『プラチナカード』が必要のようですが?」
善場「解析は明日終了しますので、明日の夜までにはお返しします」
愛原「夜ですか」
善場「容疑者が何を考えているのか分からないので、行動はなるべく早い方がいいと思います。ただ、今日は日曜日で解析チームも休みですし、明日から再開するにしても、1日掛かりになると思われます」
愛原「なるほど。どうやって、こちらに返して頂けるのですか?」
善場「バイク便で返却します」
愛原「あ、なるほど、バイク便!」
通常の宅配便よりも料金は高いが、都内であれば、当日配達も深夜配達も可能である。
善場「発送しましたら御連絡致しますので、お受取りの方、よろしくお願い致します」
愛原「分かりました。そうなると、明後日には出発しないといけませんね」
善場「はい。急な事で申し訳ありませんが、宜しくお願い致します」
愛原「はい。ただ、リサは学校だから連れて行けないですねぇ……」
パールは事務所で留守番していてもらわなくてはならない。
超絶久しぶりに、私が1人で調査に向かうのか……。
愛原「いや、ちょっと危険な場所ですので、護衛は必要なんですが……。高橋を超法規的な措置で釈放してもらえませんか?」
善場「それは無理ですねぇ……。BSAAに依頼することも可能だったのですが、どうも心配です」
愛原「レイチェルは……レイチェルも学校か」
善場「斉藤容疑者が愛原所長に依頼するくらいですから、そんなに危険ではないと思いますが……。もちろん銃の携行は許可しますし、危険だと判断されたら、発砲も許可します」
愛原「はあ……」
まあ、そりゃかつては1人で調査していた時期もあったけどね。
愛原「それではこの契約書は、ファックスして構いませんね?」
善場「結構です。もちろん、コピーは取ってありますね?」
愛原「もちろんです」
私は契約書をロシアのウラジオストクのホテルに向けて送信した。
善場「ここから斉藤容疑者に電話できないのですか?」
愛原「それが、電話番号見たら、ロシアの番号で……」
私はスマホを見せた。
善場「なるほど。滞在先のホテルの電話から掛けたようですね。恐らく、ここからホテルに掛けたところで、ホテル側は斉藤容疑者への取り次ぎを拒否することになっているわけですね。考えたものです」
そして、斉藤元社長へのファックスが届いたら、自分の所へ持って来るようにとでも命じているのだろう。
彼の滞在先のホテルはどこなのかは不明だが、安宿ではないと思われる。
何せ、シベリア鉄道のロシア号でも1等車に乗っていたというのだから。
善場「それでは移動しましょう」
愛原「移動?」
善場「新幹線のキップを購入しないといけませんね?車でJRの駅まで送りしますよ」
愛原「は、はあ……。ありがとうございます」
初めてオープンカーに乗るのだと理解した。
善場係長からついに返信があり、詳しい話が聞きたいので、事務所にお邪魔するということだった。
車で来るというので、ガレージのシャッターを開けておく。
ガレージには既に業務用にリースしているライトバンがあるが、その横に1台駐車できるスペースがある。
更にその横に、ギリギリ軽自動車なら駐車できそうなスペースはあるのだが、ギリギリ過ぎるので、高橋夫婦のバイク置き場にしている。
やってきたのは、いつもの黒いミニバンではなかった。
白のコペンである。
あれ?飛び込みの客でも来たかな?
私が呆気に取られていると、普通にバックしてガレージの中に入って行った。
しょうがないのでエレベーターに乗って、ガレージまで迎えに行ってみようと思う。
愛原「あれ?善場係長!?」
エレベーターで1階に下りると、車から降りて来たのは善場係長だった。
善場「愛原所長、お疲れさまです。本日は休日で公用車が使えませんので、私用の車で来ました」
善場係長、相変わらずスーツ姿ではあったが……それにしても……。
愛原「意外ですね。意外なお車にお乗りですね」
善場「よく言われます。それより、斉藤容疑者から連絡があったということで、詳しいお話を」
愛原「ああ、そうでした。どうぞ、こちらへ」
私は今しがた乗って来たエレベーターに、係長を案内した。
あのコペン、もしもマニュアル車だったら、高橋やパールと勝負できるかもな。
パール「いらしゃいませ」
エレベーターが2階に到着すると、パールが出迎えた。
善場「急な訪問、失礼致します」
外はもう梅雨が終わったのかと思うくらいの暑さだが、事務所内は冷房を効かせている。
愛原「何か冷たいもの、お出しして」
パール「かしこまりました」
善場「おかまいなく」
私は係長を応接コーナーに案内した。
すかさずパールが、冷たい麦茶を持って来た。
善場「恐れ入ります。所長、まずは斉藤容疑者から連絡があった時の状況からお伺いします」
愛原「はい。私が部屋で就寝していましたら、今朝7時頃に電話がありました」
私は覚えている限りの事を善場係長に話した。
善場「電話の内容は録音されていますか?」
愛原「すいません。寝ている時の電話だったもので、録音ボタンを押していなくて……」
善場「承知しました。ファックスの送信元と、電話の内容から、容疑者は本当にウラジオストク市内から電話を掛け、ファックスを送った物と思われます。ウラジオストクとの時差は1時間です。向こうが1時間早く進んでいます。今、こちらは午前11時くらいですので、向こうは12時くらいということですね」
愛原「私は斉藤社長……失礼、斉藤さんの依頼を受けるべきでしょうか?」
善場「本来なら受けるべきではありません。が、容疑者が何を企んでいるのか気になるので、受けたフリをしてください。表向きには、容疑者の言う通りにしてみてください」
愛原「わ、分かりました。それには、例の『プラチナカード』が必要のようですが?」
善場「解析は明日終了しますので、明日の夜までにはお返しします」
愛原「夜ですか」
善場「容疑者が何を考えているのか分からないので、行動はなるべく早い方がいいと思います。ただ、今日は日曜日で解析チームも休みですし、明日から再開するにしても、1日掛かりになると思われます」
愛原「なるほど。どうやって、こちらに返して頂けるのですか?」
善場「バイク便で返却します」
愛原「あ、なるほど、バイク便!」
通常の宅配便よりも料金は高いが、都内であれば、当日配達も深夜配達も可能である。
善場「発送しましたら御連絡致しますので、お受取りの方、よろしくお願い致します」
愛原「分かりました。そうなると、明後日には出発しないといけませんね」
善場「はい。急な事で申し訳ありませんが、宜しくお願い致します」
愛原「はい。ただ、リサは学校だから連れて行けないですねぇ……」
パールは事務所で留守番していてもらわなくてはならない。
超絶久しぶりに、私が1人で調査に向かうのか……。
愛原「いや、ちょっと危険な場所ですので、護衛は必要なんですが……。高橋を超法規的な措置で釈放してもらえませんか?」
善場「それは無理ですねぇ……。BSAAに依頼することも可能だったのですが、どうも心配です」
愛原「レイチェルは……レイチェルも学校か」
善場「斉藤容疑者が愛原所長に依頼するくらいですから、そんなに危険ではないと思いますが……。もちろん銃の携行は許可しますし、危険だと判断されたら、発砲も許可します」
愛原「はあ……」
まあ、そりゃかつては1人で調査していた時期もあったけどね。
愛原「それではこの契約書は、ファックスして構いませんね?」
善場「結構です。もちろん、コピーは取ってありますね?」
愛原「もちろんです」
私は契約書をロシアのウラジオストクのホテルに向けて送信した。
善場「ここから斉藤容疑者に電話できないのですか?」
愛原「それが、電話番号見たら、ロシアの番号で……」
私はスマホを見せた。
善場「なるほど。滞在先のホテルの電話から掛けたようですね。恐らく、ここからホテルに掛けたところで、ホテル側は斉藤容疑者への取り次ぎを拒否することになっているわけですね。考えたものです」
そして、斉藤元社長へのファックスが届いたら、自分の所へ持って来るようにとでも命じているのだろう。
彼の滞在先のホテルはどこなのかは不明だが、安宿ではないと思われる。
何せ、シベリア鉄道のロシア号でも1等車に乗っていたというのだから。
善場「それでは移動しましょう」
愛原「移動?」
善場「新幹線のキップを購入しないといけませんね?車でJRの駅まで送りしますよ」
愛原「は、はあ……。ありがとうございます」
初めてオープンカーに乗るのだと理解した。