報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「斉藤秀樹からの依頼とデイライト」

2024-12-29 20:38:09 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月18日11時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 善場係長からついに返信があり、詳しい話が聞きたいので、事務所にお邪魔するということだった。
 車で来るというので、ガレージのシャッターを開けておく。
 ガレージには既に業務用にリースしているライトバンがあるが、その横に1台駐車できるスペースがある。
 更にその横に、ギリギリ軽自動車なら駐車できそうなスペースはあるのだが、ギリギリ過ぎるので、高橋夫婦のバイク置き場にしている。
 やってきたのは、いつもの黒いミニバンではなかった。
 白のコペンである。
 あれ?飛び込みの客でも来たかな?
 私が呆気に取られていると、普通にバックしてガレージの中に入って行った。
 しょうがないのでエレベーターに乗って、ガレージまで迎えに行ってみようと思う。

 愛原「あれ?善場係長!?」

 エレベーターで1階に下りると、車から降りて来たのは善場係長だった。

 善場「愛原所長、お疲れさまです。本日は休日で公用車が使えませんので、私用の車で来ました」

 善場係長、相変わらずスーツ姿ではあったが……それにしても……。

 愛原「意外ですね。意外なお車にお乗りですね」
 善場「よく言われます。それより、斉藤容疑者から連絡があったということで、詳しいお話を」
 愛原「ああ、そうでした。どうぞ、こちらへ」

 私は今しがた乗って来たエレベーターに、係長を案内した。
 あのコペン、もしもマニュアル車だったら、高橋やパールと勝負できるかもな。

 パール「いらしゃいませ」

 エレベーターが2階に到着すると、パールが出迎えた。

 善場「急な訪問、失礼致します」

 外はもう梅雨が終わったのかと思うくらいの暑さだが、事務所内は冷房を効かせている。

 愛原「何か冷たいもの、お出しして」
 パール「かしこまりました」
 善場「おかまいなく」

 私は係長を応接コーナーに案内した。
 すかさずパールが、冷たい麦茶を持って来た。

 善場「恐れ入ります。所長、まずは斉藤容疑者から連絡があった時の状況からお伺いします」
 愛原「はい。私が部屋で就寝していましたら、今朝7時頃に電話がありました」

 私は覚えている限りの事を善場係長に話した。

 善場「電話の内容は録音されていますか?」
 愛原「すいません。寝ている時の電話だったもので、録音ボタンを押していなくて……」
 善場「承知しました。ファックスの送信元と、電話の内容から、容疑者は本当にウラジオストク市内から電話を掛け、ファックスを送った物と思われます。ウラジオストクとの時差は1時間です。向こうが1時間早く進んでいます。今、こちらは午前11時くらいですので、向こうは12時くらいということですね」
 愛原「私は斉藤社長……失礼、斉藤さんの依頼を受けるべきでしょうか?」
 善場「本来なら受けるべきではありません。が、容疑者が何を企んでいるのか気になるので、受けたフリをしてください。表向きには、容疑者の言う通りにしてみてください」
 愛原「わ、分かりました。それには、例の『プラチナカード』が必要のようですが?」
 善場「解析は明日終了しますので、明日の夜までにはお返しします」
 愛原「夜ですか」
 善場「容疑者が何を考えているのか分からないので、行動はなるべく早い方がいいと思います。ただ、今日は日曜日で解析チームも休みですし、明日から再開するにしても、1日掛かりになると思われます」
 愛原「なるほど。どうやって、こちらに返して頂けるのですか?」
 善場「バイク便で返却します」
 愛原「あ、なるほど、バイク便!」

 通常の宅配便よりも料金は高いが、都内であれば、当日配達も深夜配達も可能である。

 善場「発送しましたら御連絡致しますので、お受取りの方、よろしくお願い致します」
 愛原「分かりました。そうなると、明後日には出発しないといけませんね」
 善場「はい。急な事で申し訳ありませんが、宜しくお願い致します」
 愛原「はい。ただ、リサは学校だから連れて行けないですねぇ……」

 パールは事務所で留守番していてもらわなくてはならない。
 超絶久しぶりに、私が1人で調査に向かうのか……。

 愛原「いや、ちょっと危険な場所ですので、護衛は必要なんですが……。高橋を超法規的な措置で釈放してもらえませんか?」
 善場「それは無理ですねぇ……。BSAAに依頼することも可能だったのですが、どうも心配です」
 愛原「レイチェルは……レイチェルも学校か」
 善場「斉藤容疑者が愛原所長に依頼するくらいですから、そんなに危険ではないと思いますが……。もちろん銃の携行は許可しますし、危険だと判断されたら、発砲も許可します」
 愛原「はあ……」

 まあ、そりゃかつては1人で調査していた時期もあったけどね。

 愛原「それではこの契約書は、ファックスして構いませんね?」
 善場「結構です。もちろん、コピーは取ってありますね?」
 愛原「もちろんです」

 私は契約書をロシアのウラジオストクのホテルに向けて送信した。

 善場「ここから斉藤容疑者に電話できないのですか?」
 愛原「それが、電話番号見たら、ロシアの番号で……」

 私はスマホを見せた。

 善場「なるほど。滞在先のホテルの電話から掛けたようですね。恐らく、ここからホテルに掛けたところで、ホテル側は斉藤容疑者への取り次ぎを拒否することになっているわけですね。考えたものです」

 そして、斉藤元社長へのファックスが届いたら、自分の所へ持って来るようにとでも命じているのだろう。
 彼の滞在先のホテルはどこなのかは不明だが、安宿ではないと思われる。
 何せ、シベリア鉄道のロシア号でも1等車に乗っていたというのだから。

 善場「それでは移動しましょう」
 愛原「移動?」
 善場「新幹線のキップを購入しないといけませんね?車でJRの駅まで送りしますよ」
 愛原「は、はあ……。ありがとうございます」

 初めてオープンカーに乗るのだと理解した。
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“私立探偵 愛原学” 「斉藤秀樹からの連絡」

2024-12-29 12:53:12 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月18日07時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家4階・愛原の部屋]

 今日は日曜日だ。
 ゆっくり寝ていよう。
 そう思ったのだが、枕元においたスマホがアラームを鳴らした。
 時間設定を間違えてしまったのだろうか?
 それにしては、メロディが違う。
 これは……起床のアラームではなく……音声着信のメロディだ。
 私はパッと飛び起きると、すぐに電話に出た。

 愛原「も、もしもし!?」
 ???「私だ。仕事の依頼だ」
 愛原「ぼ、ボス!?……って、ええっ!?」

 電話からは懐かしい声がした。
 零細探偵事務所の私は、探偵協会から依頼人を斡旋されることが多い。
 そんな時、協会幹部が、何故か『私だ』と名乗るので、高橋からは、『私田さん』と呼ばれていた。
 その正体は、探偵協会に出資していた斉藤秀樹元社長であったのだが。
 てことは、つまり……。

 斉藤「あれ?もしかして、朝早かったですかね?こちらはもう午前8時なんですが……」
 愛原「斉藤社長!?」
 斉藤「はっはっは!私はもう社長をクビになった男です。『斉藤』で結構」
 愛原「し、しかし……」

 斉藤元社長が私のスマホの電話番号を知っていることは、何ら不思議なことではない。
 ただ、よく掛けられたものだ。

 愛原「いいんですか?私の電話にのんきに掛けて……」
 斉藤「大丈夫。安全は確保されている。イエメンやレバノンよりもロシアの方が安全だよ」
 愛原「ウクライナと戦争中なのに!?」
 斉藤「戦争中だからこそ、却って安全なこともある。ロシア政府はそれを理由に、BSAAの介入を認めていない」
 愛原「そういうもんですか。移動はシベリア鉄道で?」
 斉藤「ああ。ロシア号だよ。是非とも、今度は愛原さんとシベリア鉄道旅行をしたいものです」
 愛原「私もロシアに逃亡するようなことになったら、宜しくお願います」
 斉藤「ああ、いいでしょう。それより、仕事の依頼があるのですがね?」
 愛原「ほ、報酬はあるのですか?」
 斉藤「私の家から、『プラチナカード』は受け取りましたかね?」
 愛原「はい」
 斉藤「結構です。それを持って……」

[同日09時00分 天候:晴 愛原家3階ダイニング]

 

 今朝はハムエッグとロールパン。

 愛原「はぁぁ……」
 リサ「先生、どうしたの?」
 愛原「ちょっと……今日は日曜日だが、休めそうにない……」
 リサ「これのこと!?」

 リサはテレビを指さした。

〔「……斉藤秀樹容疑者は、シベリア鉄道でウラジオストク市内に入り、現在はホテルに滞在しているものと見られています。ウラジオストク市と日本との時差は僅か1時間ほどであり、今日は日曜日ということもあって、日本国総領事館の職員の接触も月曜日以降になると見られ……」〕

 愛原「そうだな。斉藤元社長絡みだ」

 私は溜め息をついた。

 リサ「わたしは出かけない方がいい?」
 愛原「いや、アキバや錦糸町くらいならいいよ。何かあったら、連絡するから」
 リサ「分かった」

 因みに私は善場係長にメールを送ってみたが、日曜日ということもあって、まだ返信は来ていない。
 斉藤元社長が日曜日に連絡してきたのは、役所関係が休みになるからだろうか。
 リサが手に入れた『プラチナカード』は、まだデイライトに貸したままである。
 明日以降に解析と複製を終えて返却されるものと思われる。
 なので、私は今日は動けない。

[同日09時30分 天候:晴 愛原学探偵事務所2階]

 朝食を食べ終えた後で2階の事務所に行ってみると、ファックスが受信されていた。
 これは仕事の依頼書である。
 発信元はウラジオストクであった。
 ロシア語は読めないが、ロシア語が書かれていた時点でお察しだろう。
 もちろん、依頼書を作成したのは斉藤元社長だから、内容は日本語であったが。
 試しにロシア語の部分を翻訳アプリで翻訳してみたら、ウラジオストク市内のホテルからだと分かった。
 報道の通り、今はウラジオストク市内のホテルに滞在しているのだろう。
 もちろんその町とて、純然たるロシア国内。
 BSAAが介入できない国となっている。
 ロシアは世界一広い国土を持っており、いくら戦争中と言っても、全土が戦闘地域というわけでもない。
 さすがに世界大戦や冷戦の時は全土が危険地域だっただろうが、ウクライナとの戦争中に現時においては、極東地域はそんなに危険というわけでもないようだ。

 愛原「これもコピーして、保存しておくか……」

 依頼書は契約書ではない。
 あくまでも依頼書であり、この仕事を引き受けるといった場合は契約書を作成してそれを取り交わすのが通例となっている。
 多分、デイライトから何か言われるだろうが、一応、契約書の作成まではしておこう。

 リサ「先生……」

 その作業をやっていると、リサが上階から下りて来た。
 体操服にブルマから、Tシャツとデニムのショートパンツに着替えている。

 リサ「わたしは出かけて来るけど……」
 愛原「ああ、気をつけて。Pasmoはチャージしてあるな?」
 リサ「……チャージするから、おこづかいw」
 愛原「……あんまり無駄遣いはするなよ?」
 リサ「ついでにお使いやるよ?このレターパック、ポストに入れておけばいいんでしょ?」

 それはデイライトに出す物だった。
 先日の出張に絡み、それに掛かった費用を先に精算する為の書類等が入っている。

 愛原「ああ、宜しく頼む」

 私は追跡番号が書かれているラベルを剥がすと、リサに渡した。

 愛原「ポストの場所は分かるか?」
 リサ「郵便局の前でいいんでしょ?」
 愛原「そうそう」

 郵便局なら菊川駅からそんなに離れていないから、まだリサが単独行動が許される範囲で済むはずだ。
 リサの単独行動が認められるのは、通学のみ。
 菊川駅~岩本町駅~秋葉原駅~上野駅である。

 リサ「行ってきます」
 愛原「行ってらっしゃい」

 リサはレターパックを持って、事務所の外に出ていった。
 今のところ、まだ善場係長からの連絡は無い。
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“私立探偵 愛原学” 「斉藤秀樹の動向」

2024-12-28 20:51:15 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月17日18時00分 天候:雨 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 食卓に就く。

 

 リサにはポークステーキ。

 

 久しぶりに魚が食べたかった私には、ホッケの開きが出された。

 愛原「いただきまーす!」
 リサ「いただきます!」

 比較的簡単にできる夕食で、時短を図ったらしい。
 だが、美味いのでOKである。
 もちろんおかずはこれだけでなく、冷凍食品ではあるものの、ポテトフライやコロッケもあった。
 サラダもある。

 愛原「そういえば高橋からの手紙が何通が届いていたらしいな?」
 パール「そうなんです。一応、私宛てでした」
 リサ「先生とわたしには?」
 パール「それは……無かったです」
 リサ「なんだw」
 愛原「ふーん……俺宛てには無かったのか」
 パール「こんな大事件を起こしておいて、先生に手紙を出すのは申し訳ないと書いてありました」
 愛原「そんなことないよ!そんなこと気にしなくていいよ!遠慮しないで、ガンガン手紙出してくれていいんだよ!?」
 パール「今度、面会した時にそう伝えておきます」
 リサ「お兄ちゃん、変な所で気を使うよね」
 愛原「全くだ……。手紙には他に何て書いてあったんだ?」
 パール「……『レズガキのパパは、シベリア超特急に乗っている。もうすぐ東海岸に着く』と」
 愛原「レズガキって、斉藤……我那覇絵恋のことだよな?」
 パール「そのパパ……つまり、絵恋お嬢様のお父様とは、御主人様のことです」

 つまり、斉藤元社長だ。

 リサ「シベリア超特急って?」
 愛原「シベリア鉄道を舞台にしたB級映画のタイトルだが、今で言うならロシア号やボストーク号がそれに当たる。2つとも、シベリア鉄道を走る超特急の名前だ」
 リサ「東海岸って?」
 愛原「その2つの列車のうち、海沿いの町に着くのはロシア号の方だな。ボストーク号はロシアのモスクワと中国の北京を結ぶ列車。ロシア号は、モスクワから同じロシアのウラジオストクに向かう列車だ。で、ウラジオストクは日本海に面している。向こうでは『東海岸』とは言わないけど、首都モスクワから見れば、東の海岸に位置する町ではあるから、そういう暗号なんだと思う」
 パール「つまりは……」
 愛原「斉藤元社長は、シベリア鉄道のロシア号に乗って、ウラジオストクに向かっているということだ」
 リサ「どうしてそこへ?」
 愛原「ウラジオストクという町は、日本とも密接的な関係にあるんだ。姉妹都市もいくつかあるしな。変な韓流ブームのせいで、マスコミだけが盛り上がってる韓国のソウルよりも近いんだよ」
 リサ「へえ……」
 愛原「映画のシベリア超特急も、1941年に、陸軍大将の山下泰文大将がロシア視察を終えて、シベリア鉄道でウラジオストクに向かっている最中に殺人事件に巻き込まれたという設定だからな。ウラジオストクからは昔は船が出ていて、それで日本と行き来していたそうだ」
 リサ「ふーん……」
 愛原「今は飛行機が飛んでいるが、果たして、斉藤社長、本当に日本に戻って来るつもりなのか?」
 パール「よく列車に乗っていられますね?映画だと途中の駅から、警察隊が乗り込んで来て、無理やり逮捕なんてありそうですけど……」
 愛原「まず、日本とロシアとでは、犯罪人引渡条約が結ばれていないんだ。だから、斉藤社長がロシア国内で何か犯罪でもやってない限り、向こうの警察はそうしないよ」
 リサ「BSAAは?」
 愛原「分からん。どうしてBSAAが動かないのか。はたまた、動けないのか」
 パール「動けない?」
 愛原「シベリア鉄道は、ロシア政府が所有する、いわばロシア国鉄の一部だ。BSAAが勝手にやってきて、ドンパチするのは困るだろうさ」
 パール「御主人様は、バイオテロに加担した国際指名手配犯とのことですが……」
 愛原「指名手配しているのは、BSAAだけ。実はインターポールなどは指名手配していない。証拠が無いから」
 パール「では、何故BSAAは御主人様を追っているのですか?」
 愛原「BSAA独自では、斉藤社長がアンブレラと繋がっていたという何かを見つけたんだろうさ。BSAAはあくまで、バイオテロの防止、鎮圧、そして事後処理までが仕事だ。BSAAとしては、未だにアンブレラの事件の事後処理は終わっていないとする。何を持って終了とするのかは不明だが、少しでも関与した者は片っ端から捕まえないと気が済まないんだろう」

 その時、テレビに気づいたリサが……。

 リサ「あーっ!エレンのお父さん!」

 テレビの画面を指さした。

 愛原「!」

 私もつられて画面を見ると、確かに彼が映っていた。

〔「……繰り返します。20××年、○×県霧生市で大規模バイオテロ事件を起こした日本アンブレラ製薬。それに資金提供などの形で加担したとされ、国連組織BSAAに国際指名手配されている斉藤秀樹容疑者ですが、現在はロシア国内に潜伏しているされ、シベリア鉄道で移動しているとされています。この事に際し、ロシア政府では、『特に確認していない。確認の義務も無い。もしもBSAAが我が国のインフラを傷つけるようなことがあれば、直ちに常任理事国として、BSAAへの出資を一切取りやめる』と発表しています」〕

 リサ「ロシア強っ!」
 愛原「まあ……ロシアもどちらかというと、生物兵器を使いたい側だろうからな……。あんまり関わり合いになりたくないんじゃないか?」

〔「これに対し、アメリカ政府は、『ロシア政府の態度は、世界中のバイオテロを根絶する正義に反するものだ。強い表現でこれを非難する』との声明を発表しています」〕

 愛原「要はアメリカの思惑か……。あれ?だったら、ロシア号じゃなくて、ボストーク号で中国行った方が安全か?だって、武漢ウィルス、世界中にバラ撒いたくらいだもんな?」
 リサ「あー……」
 パール「御主人様はあまり中国が好きではありませんでしたから、それは無いと思いますよ?」
 愛原「そうかな」

 もしも斉藤元社長が日本に帰って来るようなことがあったら、大変な騒ぎになるだろう。
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“私立探偵 愛原学” 「夕方の帰宅」

2024-12-26 20:32:51 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月17日16時20分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 都営地下鉄菊川駅→愛原学探偵事務所]

〔2番線の、電車は、各駅停車、本八幡行きです。きくかわ~、菊川~〕

 私とリサを乗せた電車は、無事に菊川駅に到着した。
 電車を降りると、すぐに発車メロディが鳴る。

〔2番線、ドアが閉まります〕

 私達が改札口に向かうまでの間、電車はホームドアと車両のドアを閉めて発車して行った。

 愛原「学校、どうだった?」
 リサ「復帰できて良かった」
 愛原「『停学女』とか、イジメられなかった?」
 リサ「全然!てか、そんなのがいたら、『授業中お漏らしの刑』か『朝礼中お漏らしの刑』か『通学中お漏らしの刑』に処すけどね」
 愛原「何でお漏らしの刑しか無いんだよw」
 リサ「んん?先生、『JKお漏らし(教室編)』『JKの朝礼中にお漏らしプレイ』『もう我慢できない……ッ!通学中にお漏らししちゃった女子校生』っていうエロ動画が……」
 愛原「また人のパソコンのパスワード勝手に解析して!!」
 リサ「てへてへ……w」

 ふざけるリサを軽く小突くと、私達は家路を急いだ。

 愛原「いずれはお前がお漏らしさせられるぞ?」
 リサ「先生になら、浣腸されてもいいかも……」
 愛原「何言ってんだw」

 それから同じ地区内にある事務所兼住宅に到着する。
 郵便受けを覗いてみたが、チラシなどが入っているだけで、郵便物は入っていなかった。
 シャッターは閉まっていたので、玄関のドアを開けて入る。
 2階の事務所は電気が点いていたので、そのまま階段を上がって事務所に向かった。
 急な階段をリサが先に昇る。
 短いスカートの中にある緑色のブルマが見え隠れした。

 リサ「ただいまー!」
 愛原「ただいまァ」
 パール「先生、リサさん、お帰りなさい」
 愛原「遅くなって悪かったな。あとは俺に任せてくれ」
 パール「ありがとうございます。例の諸経費精算書ですが、このようになりました。領収証等は書類に添付しております」
 愛原「ありがとう」

 私は自分の机に座ると、パールの書類を確認した。

 愛原「あとは私が確認しておくから、パールは上がっていいよ」
 パール「かしこまりました。私は夕食の準備をさせて頂きます」
 愛原「ああ、宜しく頼む」
 リサ「パールさん、ゆうパックは来た?」
 パール「ゆうパックですか?まだ来てないですねぇ……」
 リサ「そうかぁ……」
 愛原「夕方に出したんだから、夕方以降に届くんじゃないのか?」
 リサ「そうかぁ……」
 パール「それでは、私はこれで失礼致します」
 愛原「ああ。お疲れー」
 リサ「先生、わたしがコーヒー淹れてあげる!」
 愛原「ありがとう。……変な物入れるなよ?」
 リサ「ギクッ!」
 愛原「何だよ、『ギクッ』って!」
 リサ「何でもないっス!隊長!」
 愛原「誰が隊長だ!」

 私は自分のパソコンを立ち上げると、事務作業を開始した。
 給湯室からは、ネスカフェ・バリスタを淹れる音が聞こえてくる。
 3階のダイニングにあるのは普通のドリップコーヒーメーカーだが、こちらにあるのはネスカフェ・バリスタ。
 急な来客でも、美味しいコーヒーが出せるようにと導入した。
 今ではあれで抹茶ラテまで淹れられるのだから凄い。

 リサ「はい、コーヒー!」
 愛原「ありがとう」

 私はコーヒーの皿に載せられたスティックシュガーを入れようとした。

 寄生虫「オイ、キタロー!」
 愛原「……おい、リサ」
 リサ「な、なぁに?先生……」
 愛原「この、目玉の付いたサナダムシみたいなのは何だ?ああ!?」
 リサ「う、ウィンナーコーヒーだよ」
 愛原「ウソつけぇ!やり直し!!」
 リサ「チッ、もう少しでわたしの配下になるところだったのに……」
 愛原「誰が配下だ、このやろ!!」
 リサ「うーむ……。わたしに楯突いたアホギャルは引っ掛かったのに……」

 リサの寄生虫は撲滅したと思っていたのだが、また復活しやがった。
 この場合、逆に電撃とかが使えなくなっていることがある。
 とはいえ、電撃を出せるかどうか確認はしたくなかった。
 私が感電してしまう。

 リサ「こ、今度は大丈夫だよ」
 愛原「天丼すんじゃねーぞ」
 リサ「はーい」

 試しにスプーンを入れてかき混ぜてみたり、掬ってみたりしたが、寄生虫の類が出てくることはなかった。

 愛原「卵チェック」

 とはいえ、寄生虫の卵までは、なかなか目視では確認しにくいので。
 私はBSAAのアプリを使ってスキャンしてみた。
 すると、『検出されず』と出た。
 どうやら、今度は本当にちゃんと淹れたらしい。

 愛原「オッケーだ」
 リサ「天丼はしないよー」
 愛原「そうか?」
 リサ「天丼よりも牛丼とかつ丼が好き」
 愛原「今日の夕飯は、丼じゃなくて、定食だと思うぞ?今しがた、パールが買い出しに行ったようだ」
 リサ「また肉だといいなぁ……」
 愛原「俺的には、そろそろ魚食いたいよ」
 リサ「それもそうか」

[同日17時00分 天候:雨 愛原学探偵事務所2階]

 私がコーヒーを飲みながら事務作業をやっていると、インターホンが鳴った。

 愛原「あっ、誰か来た」
 リサ「はーい!」

 リサが出た。

 配達員「こんにちはー!郵便局のゆうパックですー!着払いのお荷物です!」
 リサ「おー、やっと来たー!取りに行って来るね!」
 愛原「ああ。着払いだから、お金持ってけ!」

 リサはハンコと現金を持って、階段を駆け下りて行った。
 それから、少しして戻って来る

 愛原「確かに金棒が入っていそうだ」

 細長い長方形のダンボール箱が届いた。
 リサが早速開けてみると……。

 リサ「本当に金棒だ!」

 

 愛原「マジか……」

 リサは早速、金棒を手に取ってみた。

 リサ「重ッ!さすがは本物の鬼が持つ金棒は重いねぇ……」
 愛原「人間形態だからじゃないのか?鬼形態になったらどうだ?」
 リサ「それもそうか」

 リサは変化を解いて、鬼の姿に戻った。
 頭から2本角が生え、両耳は尖り、爪も長く鋭くなる。
 牙は人間形態でも隠せず、生えたままである。

 リサ「おおっ!ちょうどいい重さ!わたしの電撃を込めて、電気金棒の出来上がり!」
 愛原「チートアイテムだな。まあ、敵のクリーチャーやBOWが攻めて来たら、応戦よろしく」
 リサ「りょーかい!」

 そのまんま、『鬼に金棒』だな。

 愛原「美樹に届いたって連絡しとけよ。ちゃんと御礼も言っておくんだ」
 リサ「分かったー!」

 リサは一旦金棒を置くと、自分のスマホに手を伸ばした。
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“愛原リサの日常” 「久しぶりの登校」 2

2024-12-25 20:53:50 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月17日15時51分 天候:曇 東京都台東区上野 JR上野駅→山手線1523G電車・1号車内]

 臨時PTA総会が終わり、片付けも終わった後で、リサは愛原やレイチェルと共に帰宅の途に就いた。

〔まもなく、3番線に、東京、品川方面行きが、参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。次は、御徒町に、停車します〕

 愛原「2人が設営と撤収をやると早いなぁ……」
 リサ「むふー!力仕事は任せて!」
 レイチェル「体力に自信が無いと、BSAA隊員は務まりまセン」

 山手線の電車がやってくる。

〔うえの~、上野~。ご乗車、ありがとうございます。次は、御徒町に、停車します〕

 電車に乗り込む。
 愛原はドア脇の座席に腰かけた。
 2人の女子高生は、その前は横に立つ。

 愛原「まさか、2時間近く掛かるとはなぁ……」
 リサ「な、何かゴメン……」
 レイチェル「愛原センセイ、お疲れ様です」
 愛原「いや……」

 ホームから発車ベルの音が聞こえてくる。
 山手線や京浜東北線、新幹線ホームはメロディではなく、電子電鈴と呼ばれるベルが鳴る。

〔3番線の、山手線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 電車のドアとホームドアの両方が閉まる。
 車両の規格が統一されている山手線や京浜東北線のホームでは、ホームドアが設置できている。
 電車が動き出した。

〔この電車は、山手線外回り、東京、品川方面行きです。次は、御徒町、御徒町。お出口は、左側です。都営地下鉄大江戸線は、お乗り換えです〕

 愛原「明日は普通に休みなんだよな?」
 リサ「さすがにね。停学でも日曜日は補習ナシ。働き方改革で、先生達も休まないといけないから」
 愛原「それもそうか。レイチェルもか?」
 レイチェル「そう、ですね。訓練生は、実戦に出られないので」
 リサ「う、ウソだぁ……。わたしのこと、ヘリで追い回してなかった?」
 レイチェル「あくまでも、訓練です。わたし自身は、まだヘリコプターを操縦できません」
 愛原「あー、コホン……」
 レイチェル「リサはどこか行くのですか?」
 リサ「遊びに行きたいんだけど、善場さんがダメだって。何か、これから色々と起きるから、巻き込まれないように、学校のある日以外は家でおとなしくしてろだって」
 愛原「そんな指示が来たのか?」
 リサ「うん」

 リサは自分のスマホを見せた。
 確かにメールには、善場からのメッセージが着信されている。

 リサ「先生の所にも送られてるんじゃない?」
 愛原「そうか?俺のスマホには来てないが……」
 リサ「パソコンの方じゃない?」
 愛原「そ、そうか。帰ったら確認してみよう」
 レイチェル「デイライトも、色々と情報を掴んでいるようですね」
 愛原「デイライトもデイライトで、諜報機関だからな。色々掴んでてもおかしくはないさ」

 因みに、パールからのLINEはまだ無かった。
 太平山美樹からゆうパックが届いたら連絡するように頼んでおいたのだが、まだ無い。

[同日16時13分 天候:曇 東京都千代田区神田岩本町 都営地下鉄岩本町駅→都営新宿線1516T電車・最後尾車内]

 秋葉原駅でレイチェルと別れる。
 具体的には、JR秋葉原駅を出て都営地下鉄の岩本町駅に向かう途中まで。
 神田川の手前、和泉橋の袂に、東京メトロ日比谷線の秋葉原駅の入口がある。
 そこで別れた。
 レイチェルは日比谷線で、中目黒まで乗って行く。
 それなら上野駅から乗ればいいのだが、少しでも長く、リサの監視をしていたいらしい。

 リサ「! レイチェルは明日、ヒマなの?」
 レイチェル「ヒマ……というより、待機をしてなければなりませン。訓練生であっても、Aクラスの非常事態では出ないと行けないのです」
 リサ「それさえ無ければ、休み同然?」
 レイチェル「そ、そうです」
 リサ「レイチェル、わたしの監視役でもあるんだから、レイチェルに来てもらえばいいんだ!」
 レイチェル「何がですか?」
 リサ「ヨドバシやコジマと、明日、買い物に出かけるつもり」
 愛原「マジか……」
 リサ「マジです。善場さんは監視役が先生しかいないし、先生は明日、事務所にいないとでしょ?」
 愛原「溜まった事務作業、片付けないといけないしな」
 リサ「だから善場さんは、私に『家にいろ』って言ったんだよ。だけど、レイチェルが一緒にいればいいじゃん」
 愛原「……確かにな。レイチェルはいいのか?」
 レイチェル「HQに確認する必要がありますが、私は大丈夫です」
 愛原「そうか……。あんまり遠くに行くなよ?」
 リサ「アキバに行くだけだよ」
 愛原「……それは近いな」
 リサ「王子、北千住、中目黒、そして菊川から電車1本で行ける場所って行ったらそこでしょ?」
 愛原「……確かにな」
 リサ「もしかしたら、錦糸町に移動するかもね」
 愛原「もっと近くなるな!」
 リサ「それなら問題無いでしょ?」
 愛原「まあ、そうだな……」
 レイチェル「HQの許可が取れれば、私も大丈夫です」
 愛原「悪いな。リサの監視の為という理由、使ってくれていいから」
 レイチェル「むしろ、それ以外に理由が無いデス」

 などと話していたものだから、乗り換える電車を1本だか2本だか遅らせる形となった。

〔まもなく、4番線に、各駅停車、本八幡行きが、10両編成で参ります。ドアから離れて、お待ちください〕

 今度は最後尾の車両が来る位置で電車を待つ。
 入線する電車が巻き起こす轟音と強風で、リサの髪が大きく揺れて、スカートも少し捲れた。

〔4番線は、各駅停車、本八幡行きです。いわもとちょう、岩本町。秋葉原〕

 やってきたのは、往路と同じ東京都交通局の車両。
 但し、外観内装が違う。
 こちらは全体的に車内が暗めで、座席も硬い。

〔4番線、ドアが閉まります〕

 副線ホームのある駅だが、この電車は特に急行電車の通過待ちはしないもよう。
 本線ホームに停車し、短い発車メロディを鳴らした後、すぐにドアを閉めて発車した。

〔次は馬喰横山、馬喰横山。都営浅草線、JR総武快速線はお乗り換えです。お出口は、左側です〕

 私は硬めの座席に腰かけると、スマホを取り出し、事務所にいるパールに連絡した。
 パールからの返信はすぐにあって、私が頼んでいた書類の作成は既に終わっているらしい。
 私たちの帰宅後、すぐに夕食の買い出しと準備に行くと返信してきた。
 尚、ゆうパックが届いたという話は無かった。
 伝票番号による追跡をしてみると、既に都内の郵便局に到着しており、『持出中』となっていることから、今日中に配達されるのは間違いないようだ。
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