[9月7日15:15.天候:晴 イオンモール与野→タクシー車内]
稲生:「最近は中国人の爆買いも、だいぶ収束したと聞きますが……。僕達も結構、爆買いする方なんですかね?」
マリア:「こういう機会でも無いと、なかなかショッピングなんてできないしな」
稲生:「まあ、そうですね」
稲生とマリアは、両手に持つほどのペーパーバッグを抱えていた。
稲生:「持って帰るのが大変ですね」
マリア:「まあ、しょうがないと言えばしょうがないけど……」
稲生:「これはキャリーバッグ入るかな……」
稲生はこのことを想定して、大きめのキャリーバッグを持って来ていた。
マリア:「どう?」
稲生:「何とか……詰まりそうです」
マリア:「良かった」
稲生:「さすがにこのまま次へ行くわけにはいかないので、これは駅のコインロッカーにでも持って行きましょう」
マリア:「そう」
稲生はゴロゴロとキャリーバッグを引きずって、モールの外に出た。
が、タクシー乗り場に行こうとすると、タクシーがいなかった。
マリア:「どうする?」
稲生:「しょうがないので、呼びましょう」
稲生は再びモール内に戻ると、エレベーターの横にある公衆電話コーナーに向かった。
そこにはタクシー会社直通の無料電話機があり、そこでタクシーを呼ぶことができる。
稲生:「イオンモール与野のタクシー乗り場に1台お願いします。……はい。稲生です。……はい。それじゃ、よろしくお願いします」
稲生は受話器を置いた。
稲生:「じゃ、行きましょう」
そして、再び外に出る。
マリア:「ゴメン。私の方が買い過ぎた」
稲生:「いや、いいですよ。先生へのお土産も入ってるんだし……」
マリア:「はっきり言って、師匠にアンチエイジングは無駄な抵抗だと思われるんだが……」
稲生:「後で怒られるから、それ以上は言わない方が……」
しばらく待っていると、『迎車』の表示を出したタクシーがやってきた。
運転手:「稲生様ですか?」
稲生:「はい、そうです。すいません、トランク開けてもらっていいですか?」
運転手:「ハイ」
稲生はトランクを開けてもらい、そこにキャリーバッグを入れた。
稲生:「大宮駅までお願いします」
運転手:「はい、ありがとうございます」
タクシーが走り出す。
マリア:「勇太は何を買った?」
稲生:「まあ、僕も服とか靴とかですけど、他にも……」
マリア:「新しいスマホとかか?」
稲生:「いずれは買い換えようとは思ってたんで……。まあ、いい機会だったのかなと。ケータイ・ショップ自体、なかなか行く機会無いですからね」
マリア:「だろうねぇ……」
[同日16:00.天候:晴 JR大宮駅西口]
稲生:「……はい。こちらは順調です。夜行バスの出発まで、まだ少し時間があるので、もう少しゆっくりしようかと……」
稲生達は大宮駅西口の、そごうの向かいにいた。
そこにはパチンコ店があるが、もちろんそこに用があるのではない。
日帰り温泉への送迎バスが発着しており、それに乗る為だった。
既にマリアは乗り込んでいるが、今度は稲生がイリーナとの連絡係になった為、新しいスマホで連絡していた。
イリーナ:「いいよ。アナスタシア組と戦って勝ったんだから、勝者の権利ってヤツで、ゆっくりしてきな」
稲生:「ありがとうございます。先生へのお土産もありますので、どうかお楽しみに」
イリーナ:「おお、そうかい。じゃあ、楽しみにしているよ」
稲生:「多くはマリアさんが購入していましたが……」
イリーナ:「ああ。マリアには、お使いを頼んでおいたからね。何か、余計なことは言っていたかい?」
稲生:「……いえ、特には言ってなかったかと……(-_-;)」
イリーナ:「ふーん……。まあ、いいわ。多分、もう他の魔女からのちょっかいは無いと思うけど、一応気をつけておいてね」
稲生:「分かりました」
イリーナ:「アンナが見逃したってことで、稲生君はだいぶ認められたことにはなったかもね」
稲生:「そうなんですか?」
イリーナ:「アンナが目を付けた男の、10人に9人は死んでるからね」
稲生:「えー……?」
稲生は電話を切って、送迎のマイクロバスに戻った。
2人席の窓側に座っているマリアの隣に座る。
運転手:「はい、出発しまーす!」
ピー!というアラーム音と共に、スライドドアが閉まる。
マイクロバスはエアーを使っていない為、中型・大型バスのようなエアーの排気音は聞こえない。
バスは出発すると、方向転換の為、バスプールの中を通って行った。
マリア:「師匠は何か言ってた?」
稲生:「えーっと……」
マリア:「正直に言って。私も魔女だから、あなたが嘘を付いてもすぐに分かるから」
稲生:「はあ……。マリアさんが何か余計なこと言ってなかったかって」
マリア:「それで……勇太は何て?」
稲生:「何も言ってませんと答えておきました」
マリア:「……お気遣い、ありがとう」
多分、イリーナにはバレているのだろう。
口は災いの元、である。
[同日16:15.天候:晴 湯快爽快大宮店]
バスは西に進むと国道17号線新大宮バイパスの下り線を北上する。
だいたい15分くらい走ると、目的地の店舗に到着する。
稲生:「少しでも、マリアさんの体の傷痕を癒してもらいたいんです。気休めかもしれませんけど」
マリア:「ありがとう」
魔道師の体は極端に成長または老化が遅いということは先述した。
その理由についても、明確ではないものの、しかし考察としては適切と思われるものも先述した。
しかし、それは裏を返して言えば、傷の治りも遅いということでもある。
悪魔と契約し、その力を最大限に引き出せば強いのだが、しかしちゃんとデメリットも存在しているところが、さすがは悪魔の力と言える。
人間時代に受けた暴行の傷痕が、未だに消えないマリア。
もちろん、ケガ自体は既に治っている。
どうして魔法の中に、回復魔法が存在するのかというと、それが大きな理由のようである。
また、ジャンルとして魔法薬を研究・開発するものがある理由というのもそれだろう。
稲生:「じゃあ、これがマリアさんの分です」
マリア:「ありがとう」
マリアは稲生から、入浴券やらレンタル用のタオルやら館内着のレンタル券などをもらった。
稲生:「それじゃまた、ここで」
マリア:「分かった」
2人は男湯と女湯の入口の所で、一旦別れた。
稲生:「最近は中国人の爆買いも、だいぶ収束したと聞きますが……。僕達も結構、爆買いする方なんですかね?」
マリア:「こういう機会でも無いと、なかなかショッピングなんてできないしな」
稲生:「まあ、そうですね」
稲生とマリアは、両手に持つほどのペーパーバッグを抱えていた。
稲生:「持って帰るのが大変ですね」
マリア:「まあ、しょうがないと言えばしょうがないけど……」
稲生:「これはキャリーバッグ入るかな……」
稲生はこのことを想定して、大きめのキャリーバッグを持って来ていた。
マリア:「どう?」
稲生:「何とか……詰まりそうです」
マリア:「良かった」
稲生:「さすがにこのまま次へ行くわけにはいかないので、これは駅のコインロッカーにでも持って行きましょう」
マリア:「そう」
稲生はゴロゴロとキャリーバッグを引きずって、モールの外に出た。
が、タクシー乗り場に行こうとすると、タクシーがいなかった。
マリア:「どうする?」
稲生:「しょうがないので、呼びましょう」
稲生は再びモール内に戻ると、エレベーターの横にある公衆電話コーナーに向かった。
そこにはタクシー会社直通の無料電話機があり、そこでタクシーを呼ぶことができる。
稲生:「イオンモール与野のタクシー乗り場に1台お願いします。……はい。稲生です。……はい。それじゃ、よろしくお願いします」
稲生は受話器を置いた。
稲生:「じゃ、行きましょう」
そして、再び外に出る。
マリア:「ゴメン。私の方が買い過ぎた」
稲生:「いや、いいですよ。先生へのお土産も入ってるんだし……」
マリア:「はっきり言って、師匠にアンチエイジングは無駄な抵抗だと思われるんだが……」
稲生:「後で怒られるから、それ以上は言わない方が……」
しばらく待っていると、『迎車』の表示を出したタクシーがやってきた。
運転手:「稲生様ですか?」
稲生:「はい、そうです。すいません、トランク開けてもらっていいですか?」
運転手:「ハイ」
稲生はトランクを開けてもらい、そこにキャリーバッグを入れた。
稲生:「大宮駅までお願いします」
運転手:「はい、ありがとうございます」
タクシーが走り出す。
マリア:「勇太は何を買った?」
稲生:「まあ、僕も服とか靴とかですけど、他にも……」
マリア:「新しいスマホとかか?」
稲生:「いずれは買い換えようとは思ってたんで……。まあ、いい機会だったのかなと。ケータイ・ショップ自体、なかなか行く機会無いですからね」
マリア:「だろうねぇ……」
[同日16:00.天候:晴 JR大宮駅西口]
稲生:「……はい。こちらは順調です。夜行バスの出発まで、まだ少し時間があるので、もう少しゆっくりしようかと……」
稲生達は大宮駅西口の、そごうの向かいにいた。
そこにはパチンコ店があるが、もちろんそこに用があるのではない。
日帰り温泉への送迎バスが発着しており、それに乗る為だった。
既にマリアは乗り込んでいるが、今度は稲生がイリーナとの連絡係になった為、新しいスマホで連絡していた。
イリーナ:「いいよ。アナスタシア組と戦って勝ったんだから、勝者の権利ってヤツで、ゆっくりしてきな」
稲生:「ありがとうございます。先生へのお土産もありますので、どうかお楽しみに」
イリーナ:「おお、そうかい。じゃあ、楽しみにしているよ」
稲生:「多くはマリアさんが購入していましたが……」
イリーナ:「ああ。マリアには、お使いを頼んでおいたからね。何か、余計なことは言っていたかい?」
稲生:「……いえ、特には言ってなかったかと……(-_-;)」
イリーナ:「ふーん……。まあ、いいわ。多分、もう他の魔女からのちょっかいは無いと思うけど、一応気をつけておいてね」
稲生:「分かりました」
イリーナ:「アンナが見逃したってことで、稲生君はだいぶ認められたことにはなったかもね」
稲生:「そうなんですか?」
イリーナ:「アンナが目を付けた男の、10人に9人は死んでるからね」
稲生:「えー……?」
稲生は電話を切って、送迎のマイクロバスに戻った。
2人席の窓側に座っているマリアの隣に座る。
運転手:「はい、出発しまーす!」
ピー!というアラーム音と共に、スライドドアが閉まる。
マイクロバスはエアーを使っていない為、中型・大型バスのようなエアーの排気音は聞こえない。
バスは出発すると、方向転換の為、バスプールの中を通って行った。
マリア:「師匠は何か言ってた?」
稲生:「えーっと……」
マリア:「正直に言って。私も魔女だから、あなたが嘘を付いてもすぐに分かるから」
稲生:「はあ……。マリアさんが何か余計なこと言ってなかったかって」
マリア:「それで……勇太は何て?」
稲生:「何も言ってませんと答えておきました」
マリア:「……お気遣い、ありがとう」
多分、イリーナにはバレているのだろう。
口は災いの元、である。
[同日16:15.天候:晴 湯快爽快大宮店]
バスは西に進むと国道17号線新大宮バイパスの下り線を北上する。
だいたい15分くらい走ると、目的地の店舗に到着する。
稲生:「少しでも、マリアさんの体の傷痕を癒してもらいたいんです。気休めかもしれませんけど」
マリア:「ありがとう」
魔道師の体は極端に成長または老化が遅いということは先述した。
その理由についても、明確ではないものの、しかし考察としては適切と思われるものも先述した。
しかし、それは裏を返して言えば、傷の治りも遅いということでもある。
悪魔と契約し、その力を最大限に引き出せば強いのだが、しかしちゃんとデメリットも存在しているところが、さすがは悪魔の力と言える。
人間時代に受けた暴行の傷痕が、未だに消えないマリア。
もちろん、ケガ自体は既に治っている。
どうして魔法の中に、回復魔法が存在するのかというと、それが大きな理由のようである。
また、ジャンルとして魔法薬を研究・開発するものがある理由というのもそれだろう。
稲生:「じゃあ、これがマリアさんの分です」
マリア:「ありがとう」
マリアは稲生から、入浴券やらレンタル用のタオルやら館内着のレンタル券などをもらった。
稲生:「それじゃまた、ここで」
マリア:「分かった」
2人は男湯と女湯の入口の所で、一旦別れた。