[10月1日13時00分 天候:晴 東京都中央区銀座 南原清士個展会場]
リサをモデルにと言っても、桜谷さんの時みたいに、制作中ずっと立っていたり、座っていたりする必要は無いらしい。
南原氏はリサに対してイマジネーションを掻き立てられたので、その感覚を素に作品を描きたいのだという。
その為、リサの人物画が描かれたのだが、鉛筆によるラフ画程度であった。
南原「これでいい。私のイメージが保存されれば、これであとはイケる」
愛原「そういうものですか」
怪奇画の描き方にも、色々あるのだろう。
桜谷「リサ様、先ほど学校に電話しました。さすがに顧問の先生は休みでしたけど、2年生の伊藤先生が当直でいらっしゃったので、連絡しておきました」
リサ「伊藤先生か」
リサの美術の教科担任である。
なので、リサは知っている。
桜谷「南原先生のことも存じていて、すぐに話が付きました!」
南原「それは良かった。作品は額縁に入っていたかい?」
桜谷「それは入ってました。埃被っていましたけど……」
リサ「確かに管理が悪い」
南原「ホントにねぇ……。まあ、キミのように気に入ってくれた人なら、少なくとも大事にしてくれると信じてるよ」
リサ「はい、ありがとうございます」
愛原「そろそろ行くか。それじゃ、今日はありがとうございました」
南原「こちらこそ、ありがとうございました」
私達が滞在している間、個展には何人かの来訪者があった。
中には売買契約を結んで行く、ブローカーのような出で立ちの者もいたから、南原氏も注目されつつあるのかもしれない。
何せ、東京都が主催する、学生対象の絵画コンクールの特別審査員に呼ばれるくらいなのだから。
チーン!(エレベーター到着のチンベル)
南原「後であの絵は送りますね」
愛原「よろしくお願い致します」
私達はエレベーターに乗り込むと、南原氏と別れた。
リサ「先生、お腹空いた」
愛原「もうお昼過ぎたもんな。食べてから学校に行くか。高橋の情報だと、ウィンズの前にマックがあるらしい」
リサ「おー、マック!」
愛原「奢るよ」
リサ「おー!」
愛原「桜谷さんも」
リサ「あ、ありがとうございます!」
[同日13時58分 天候:晴 同区銀座4丁目 東京メトロ東銀座駅→日比谷線1342S電車1号車内]
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/ab/5e71e6b8b1799fafc96f2e0212b44222.jpg)
案の定、リサはマックでビッグマックを注文した。
小食そうな桜谷さんですら、ダブルチーズバーガーを注文するくらいだから、若いコはよく食べる。
〔まもなく4番線に、北千住行きが参ります。黄色いブロックの内側で、お待ちください。電車とホームの間に、広く空いている所があります。足元にご注意ください〕
南原氏の絵を取りに、東京中央学園に向かう。
幸い日比谷線なら、上野駅まで乗り換え無しで行ける。
ホームで電車を待っていると、東京メトロの新型車両がやってきた。
〔ひがしぎんざ、東銀座です。足元に、ご注意ください。4番線の電車は、北千住行きです〕
私達は先頭車に乗り込んだ。
すぐにホームから、発車メロディが流れてくる。
曲名は“ノスタルジア”という。
〔ドアが閉まります。手荷物をお引きください。無理なご乗車は、おやめください〕
最近の流行りなのだろうか、電車のドアチャイムが、JR東日本の通勤電車のそれと同じ音色なのである。
日比谷線ホームにはホームドアが無い為、電車のドアが閉まり切ると、運転室から発車合図のブザーの音が微かに聞こえてくる。
それからハンドルを操作する音が聞こえて来て、電車が動き出す。
この辺りは、都営地下鉄と大して変わらない。
〔次は築地、築地。本願寺前です。乗り換えのご案内です。有楽町線は、お乗り換えください〕
座席は1つだけ空いている席に私が座り、2人の少女はその前に立っている。
時折リサが電車の揺れに生じて、私の足と足の間に、自分の足を挟もうとしてくる。
逆痴漢か!
リサ「今日の私の誕パは、先生と『四天王』だけで参加するから」
桜谷「そうなんですか。リサ様のお兄さんは参加されないんですね?」
リサ「うん。お兄ちゃん、わたしより友達を選んだ」
愛原「その言い方は、正しいけど酷いよ」
私は苦言を呈した。
[同日14時13分 天候:晴 東京都台東区上野 東京メトロ上野駅]
〔まもなく上野、上野です。足元にご注意ください。電車とホームの間が、広く空いている所があります。出口は、左側です〕
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/1a/4a7ba7efa683e65148628f476aaca9ea.jpg)
電車は少しずつ乗客を増やしながら、上野駅に到着した。
東京メトロの本社もある上野駅は、乗降客も多い。
愛原「桜谷さん、一緒に家に来るの?」
桜谷「はい」
愛原「それで、少し大きめの鞄なんだ」
リサ「お泊りセット入ってる」
愛原「ふーん……って、ええっ!?」
リサ「せっかくの週末だし、今日は『魔王軍』のメンバーで、夜までドンチャン騒ぎ」
愛原「マジか……」
リサ「サクラヤ、わたしの誕プレは?」
桜谷「学校に用意してあります。でも、家でお渡ししますね」
恐らく、『魔王様の肖像画』とは別に制作したリサの肖像画ではないかな。
私はそう思った。
リサ「ん?リンからのLINE」
愛原「上野凛さんか。彼女も『四天王』?」
桜谷「そのようです」
リサ「おー、そうか」
愛原「何だって?」
リサ「リコも連れて来ていいかだって」
愛原「凛さんの妹さんだな。いいよ」
リサ「ありがとう。寝る所は後で確保する」
事務所から、エアーベッド持ってくるか。
事務所に泊まり込むような仕事を想定して、つい購入してしまったが、ぶっちゃけ応接室のソファに横になってもいいんだよな。
愛原「これで参加者は5人か。まあまあだな」
リサ「うん、まあまあだね」
桜谷「『魔王軍』のメンバー全員呼ぶと、大変なことになりますから」
体育の時に率先してブルマを穿くのが『魔王軍』。
普段は短パンだが、たまに穿くのが賛助者という位置づけ。
桜谷「代表して『四天王』が参加するということになりました」
愛原「うん、それはいいアイディアだな」
私は大きく頷いた。
もしも斉藤家が今でも無事に存在していたのなら、そちらに招かれて誕生日パーティーができたのだが、今はもう無理なので。
私の狭いマンションで開催するしかないのだ。
リサをモデルにと言っても、桜谷さんの時みたいに、制作中ずっと立っていたり、座っていたりする必要は無いらしい。
南原氏はリサに対してイマジネーションを掻き立てられたので、その感覚を素に作品を描きたいのだという。
その為、リサの人物画が描かれたのだが、鉛筆によるラフ画程度であった。
南原「これでいい。私のイメージが保存されれば、これであとはイケる」
愛原「そういうものですか」
怪奇画の描き方にも、色々あるのだろう。
桜谷「リサ様、先ほど学校に電話しました。さすがに顧問の先生は休みでしたけど、2年生の伊藤先生が当直でいらっしゃったので、連絡しておきました」
リサ「伊藤先生か」
リサの美術の教科担任である。
なので、リサは知っている。
桜谷「南原先生のことも存じていて、すぐに話が付きました!」
南原「それは良かった。作品は額縁に入っていたかい?」
桜谷「それは入ってました。埃被っていましたけど……」
リサ「確かに管理が悪い」
南原「ホントにねぇ……。まあ、キミのように気に入ってくれた人なら、少なくとも大事にしてくれると信じてるよ」
リサ「はい、ありがとうございます」
愛原「そろそろ行くか。それじゃ、今日はありがとうございました」
南原「こちらこそ、ありがとうございました」
私達が滞在している間、個展には何人かの来訪者があった。
中には売買契約を結んで行く、ブローカーのような出で立ちの者もいたから、南原氏も注目されつつあるのかもしれない。
何せ、東京都が主催する、学生対象の絵画コンクールの特別審査員に呼ばれるくらいなのだから。
チーン!(エレベーター到着のチンベル)
南原「後であの絵は送りますね」
愛原「よろしくお願い致します」
私達はエレベーターに乗り込むと、南原氏と別れた。
リサ「先生、お腹空いた」
愛原「もうお昼過ぎたもんな。食べてから学校に行くか。高橋の情報だと、ウィンズの前にマックがあるらしい」
リサ「おー、マック!」
愛原「奢るよ」
リサ「おー!」
愛原「桜谷さんも」
リサ「あ、ありがとうございます!」
[同日13時58分 天候:晴 同区銀座4丁目 東京メトロ東銀座駅→日比谷線1342S電車1号車内]
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/ab/5e71e6b8b1799fafc96f2e0212b44222.jpg)
案の定、リサはマックでビッグマックを注文した。
小食そうな桜谷さんですら、ダブルチーズバーガーを注文するくらいだから、若いコはよく食べる。
〔まもなく4番線に、北千住行きが参ります。黄色いブロックの内側で、お待ちください。電車とホームの間に、広く空いている所があります。足元にご注意ください〕
南原氏の絵を取りに、東京中央学園に向かう。
幸い日比谷線なら、上野駅まで乗り換え無しで行ける。
ホームで電車を待っていると、東京メトロの新型車両がやってきた。
〔ひがしぎんざ、東銀座です。足元に、ご注意ください。4番線の電車は、北千住行きです〕
私達は先頭車に乗り込んだ。
すぐにホームから、発車メロディが流れてくる。
曲名は“ノスタルジア”という。
〔ドアが閉まります。手荷物をお引きください。無理なご乗車は、おやめください〕
最近の流行りなのだろうか、電車のドアチャイムが、JR東日本の通勤電車のそれと同じ音色なのである。
日比谷線ホームにはホームドアが無い為、電車のドアが閉まり切ると、運転室から発車合図のブザーの音が微かに聞こえてくる。
それからハンドルを操作する音が聞こえて来て、電車が動き出す。
この辺りは、都営地下鉄と大して変わらない。
〔次は築地、築地。本願寺前です。乗り換えのご案内です。有楽町線は、お乗り換えください〕
座席は1つだけ空いている席に私が座り、2人の少女はその前に立っている。
時折リサが電車の揺れに生じて、私の足と足の間に、自分の足を挟もうとしてくる。
リサ「今日の私の誕パは、先生と『四天王』だけで参加するから」
桜谷「そうなんですか。リサ様のお兄さんは参加されないんですね?」
リサ「うん。お兄ちゃん、わたしより友達を選んだ」
愛原「その言い方は、正しいけど酷いよ」
私は苦言を呈した。
[同日14時13分 天候:晴 東京都台東区上野 東京メトロ上野駅]
〔まもなく上野、上野です。足元にご注意ください。電車とホームの間が、広く空いている所があります。出口は、左側です〕
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/1a/4a7ba7efa683e65148628f476aaca9ea.jpg)
電車は少しずつ乗客を増やしながら、上野駅に到着した。
東京メトロの本社もある上野駅は、乗降客も多い。
愛原「桜谷さん、一緒に家に来るの?」
桜谷「はい」
愛原「それで、少し大きめの鞄なんだ」
リサ「お泊りセット入ってる」
愛原「ふーん……って、ええっ!?」
リサ「せっかくの週末だし、今日は『魔王軍』のメンバーで、夜までドンチャン騒ぎ」
愛原「マジか……」
リサ「サクラヤ、わたしの誕プレは?」
桜谷「学校に用意してあります。でも、家でお渡ししますね」
恐らく、『魔王様の肖像画』とは別に制作したリサの肖像画ではないかな。
私はそう思った。
リサ「ん?リンからのLINE」
愛原「上野凛さんか。彼女も『四天王』?」
桜谷「そのようです」
リサ「おー、そうか」
愛原「何だって?」
リサ「リコも連れて来ていいかだって」
愛原「凛さんの妹さんだな。いいよ」
リサ「ありがとう。寝る所は後で確保する」
事務所から、エアーベッド持ってくるか。
事務所に泊まり込むような仕事を想定して、つい購入してしまったが、ぶっちゃけ応接室のソファに横になってもいいんだよな。
愛原「これで参加者は5人か。まあまあだな」
リサ「うん、まあまあだね」
桜谷「『魔王軍』のメンバー全員呼ぶと、大変なことになりますから」
体育の時に率先してブルマを穿くのが『魔王軍』。
普段は短パンだが、たまに穿くのが賛助者という位置づけ。
桜谷「代表して『四天王』が参加するということになりました」
愛原「うん、それはいいアイディアだな」
私は大きく頷いた。
もしも斉藤家が今でも無事に存在していたのなら、そちらに招かれて誕生日パーティーができたのだが、今はもう無理なので。
私の狭いマンションで開催するしかないのだ。