報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「旅行翌日の月曜日」

2025-02-10 16:03:28 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月3日08時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 学校掲示板に学校新聞が掲示される。
 そこには、毎年恒例の“学校の七不思議特集”が掲示されていた。

 リサ「最近の話題が無いなぁ……」

 七不思議を見てみると、最新の物でも2008年に起こった物とか、怪奇現象全盛期の1990年代の話ばかり。
 それもヒトコワ系ばかりだ。
 結局、幽霊や妖怪が出てくる話の正体は、特異菌による幻覚症状だという真相が分かってしまったからだ。
 それとは無関係のヒトコワ系ばかりが紹介されている。

 淀橋「最近の『学校の怪談』は怖くなくなったね」
 小島「今や、『学校の七不思議』のうち、ほとんどがリサが関わってるものばかりだしね」
 リサ「エッヘン!」

 今や廃れたボクシング部の怖い話は、学校から外れた合宿所内での話だったが、これも結局学園内で特異菌に感染し、その幻覚症状が合宿所内で現れたものとされている。

 淀橋「今回は七不思議の集まりに呼ばれなかったんだ?」
 リサ「どうしてだろうねぇ……」
 小島「魔王様が参加したりして、機嫌を損ねるヤツがいたらバッドエンドになるからじゃない?90年代、バッドエンドになった回とかあったんでしょ?」
 リサ「らしいね。わたしも呼んでくれたら、とびきり怖い話をするのに……」
 小島「存在だけで怖いのに、話までされたらお漏らししちゃいます」
 リサ「いいね!」

 尚、教育資料館に転用されている旧校舎は、未だに再建中とのことで立入禁止のままである。
 これもまた、今回の『学校の七不思議特集』が盛り上がらなかった理由でもある。

 リサ「久しぶりに『血の老廃物』をもらおうかな?ねぇ、2人とも?」

 リサは学校にいる時は基本人間形態なのだが、時折力を解放する時がある。
 ギラッと2人に赤い瞳を見せるリサだった。

 淀橋「御意」
 小島「仰せのままに……」

[同日15時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 リサ「ただいまァ!」
 愛原「お帰り。ん?今日は少し早いな?」
 リサ「期末テスト期間中だからね」
 愛原「マジか。勉強してたっけ?」
 リサ「してたよ!昨日、一昨日は仕事だっただけで。てか、昨日帰ってから勉強してたでしょ?」
 愛原「あー、そうだったか。悪い悪い。俺も仕事が忙して気がつかなかったよ」

 愛原は頭をかいて弁明した。

 愛原「で、テストどうだった?」
 リサ「まあまあじゃない。学校のテストなんて、赤点取らなきゃいいんだし」
 愛原「おいおい。受験生でもあるんだから、それは困るよ」
 リサ「東大とか狙うんだったら、先生の言う通り。それこそ、満点狙う勢いじゃないとダメだと思うけど、わたしは違うから」
 愛原「まあな」

 正直、リサの志望校である東京中央学園大はFランク大学に匹敵するような所なので、付属の高校で赤点を取らないで済む学力なら普通に合格できると言われている。
 なので、わざわざ学習塾や予備校に通う必要が無いわけだ。
 そもそもまだ人間に戻れていないリサの進路はほぼほぼ決まったようなもので、本来なら高校など行かなくても、デイライトに入って善場係長の部下として働くことになっている。
 それが高卒でOKに変わっていたのだが、リサの希望で愛原達は大学に行かせることにした。
 元々は高卒でもいいような採用条件なので、大学も学歴フィルターも掛けられることなく、そのまま採用となる。
 BOWのままのエージェントなど世界初となるので、その筋からは注目されている。
 アメリカではBOWと化す直前にワクチンを投与されたことでそれを防げたものの、残ったGウィルスが遺伝子と融合して驚異的な身体能力を残したシェリー・バーキンや、日本では1度BOWになったものの、すぐに人間に戻れた善場優菜の例がある。
 つまり、BOWのままのエージェントはリサが初めてとなる。
 それが大学進学を機に、4年延長となった。

 愛原「それでも、夏期講習には行くか?」
 リサ「ミキが『一緒に行こう』って言うからねぇ……」
 愛原「学校の友達は?『魔王軍』とか……」
 リサ「皆して行きたい大学がバラバラだから、勉強の仕方が違うんだよ」
 愛原「あらま!」
 リサ「まあ、しょうがないね。どうせわたしが卒業したら、『魔王軍』も解散だよ」
 愛原「そんで、大学でまた『仲間』を作るわけか……」
 リサ「そう!」
 愛原「早く人間に戻れるといいなぁ……」
 リサ「ねー!」

 その時、事務所のインターホンが鳴った。

 リサ「はーい!」
 愛原「いいよ、俺が出る」

 因みにパールは夕食の買い出しに行っている。

 愛原「はい、愛原学探偵事務所です」
 配達員「こんにちは!佐川急便です!」
 愛原「はーい、今行きます」

 愛原がハンコを持って1階のエントランスに向かった。

 リサ「わたしが行ってもいいのにぃ……」

 制服姿だからだろうか?
 今は盛夏服のポロシャツと短いスカートを穿いている。

 愛原「やっと届いたよ。あのペンションからの……」
 リサ「それ、なに?」
 愛原「地下の資料庫で見つけた動画のテープとDVDだよ。あれは貴重な資料だから、デイライトさんも確認したいんだってさ」
 リサ「あのエロ動画を?」
 愛原「両親の記録映像をエロ動画って言うなしw」
 リサ「だってエロ動画だもん」
 愛原「……まあ、内容はな。あとは中身を確認して、デイライトさんに送るだけ」
 リサ「中身を確認!?わたしも観る!!」

 リサは鼻息を荒くした。

 愛原「映像は観ないぞ!ちゃんと届いたかどうかって意味だ!」

 私はそう言うと、段ボール箱の中を開けた。
 すると、原本と思われるVHSテープが2つと、それらをDVDに焼いた物が2枚入っていた。
 それから、添え状も。

 愛原「なるほど。それじゃ、早速、デイライトさんに電話だ」

 私は自分のスマホを取り出し、それで善場係長に掛けた。
 リサは、自分の両親による自分の製造工程記録テープをまじまじと見つめていた。

 愛原「愛原です。お疲れ様です。今しがた、ペンション『いたち草』より、例のテープが届きました。……はい。原本と思われるVHSテープと、それを焼き直したと思われるDVDが2枚ですね。……あ、はい。……あ、そうですか。……はいはい。……あー、分かりました。では、後ほど送らせて頂きます。……はい。……はい。失礼致します」

 愛原が電話を切る。

 リサ「何だって?」
 愛原「取りに来られるのかと思ったら、忙しいから取りに来れないから、送って欲しいって」
 リサ「どうするの?」
 愛原「梱包し直して、郵便局に持って行くさ。着払いでいいらしい。さっきのも着払いだったからな」

 愛原が送って欲しいと頼んだのだから、着払いは当然だ。
 そして今回も、善場が送って欲しいと頼んだのだから、着払いでの発送ということだ。

 リサ「ふーん……。また観たかったなぁ……」
 愛原「だからダメだって。それより、早く着替えて来い」
 リサ「はーい……」

 リサは渋々とエレベーターで4階に向かった。

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