「存命のモノカキ」と大雑把に括った場合、
最も信奉するのが松尾スズキ、とにかくこのひとの「スピード感溢れる文章」と「毒」が好きなのである。
こんな文章を書くひとだ。
「例えばチャゲアスのファンというものに私は生まれてこの方まったく出会ったことがないが、厳然とある絶対的な彼らの人気、これはなぜだろう、なんとなく飲み込める。高すぎて人間の耳には聞こえない音があるように“ブスが過ぎてもう肉眼では見えない”ほどにブスな人たちが世の中にはいて、そういう人たちがチャゲアスのコンサートを満席にしているのであろうことはわかる」
そんな松尾の文章スタイルを(少しだけ)真似て、
脱線を繰り返すコラムを書いてみる。
松尾スズキの本職? は劇作家であり、劇団『大人計画』の主宰者でもある。
阿部サダヲや荒川良々を「拾った」劇団―といえば、あぁ! となるひとも居るだろう。
そんな『大人計画』の新作、『ウェルカム・ニッポン』(下北沢本多劇場)を観てきた。
映画の見巧者ではあるが、演劇を観る目は「ドシロート」にちかい。というか、まんま「ドシロート」である。
しかし松尾が絡んだ舞台は、すべて触れている。そのくらい、好きなのだった。
松尾らしいムチャクチャな展開が待ってはいるが、背景に9.11テロと3.11を配置している。
この10年をまるごと描く、、、というか撃つのがねらいで、
じつは映画の世界でも、同じような構造を持つ作品が公開されている。
3.11と秋葉原殺傷事件を結びつけた、廣木隆一による『RIVER』である。
賛否はあるだろう。
(松尾の場合にかぎっては)賛否を期待しているふしもあるが、闘っているという点では共通している。
なにかと比較し、なにかと結びつけることでしか、いまのところ、3.11と向き合えないのかもしれない―ここに、表現者の苦悩を見て熱くなるじゃないか。
いっつも爆笑出来る『大人計画』の芝居は、と同時に、いっつもこころに痛い。
観ているあいだは観客を楽しませてくれるが、最後の最後で突き放すからだ。
舞台の向こう側から、「あっかんべー」をする松尾が見える。
あっかんべー。
その精神は、ストーンズのシンボルに通じるところがあるのかもしれない。
だからこんな夜は、サントリーから発売されるという「ストーンズ印の酒」でも呑んで、己と向き合うほかないのかもしれない。
好きなんだ、こういう企画が個人的に。
たとえばこれは夏に撮ったものだが、自家製の仏壇、うしろに外国産ビール瓶が並んでいるでしょう。
地震で割れるかもしれないのに、棚のあちこちにビール瓶とグラスが並んでいる。ストーンズ好きとしてビール瓶コレクターとして、このストーンズのシリーズを全制覇することだろう。
このストーンズの酒を持って、会いにいきたい、、、というか、いくべきひとが居る。
とーちゃんの実弟、つまり自分にとっての叔父である。
余命わずか、らしい・・・というメールが、とーちゃんから届く。
生活保護を受けていたひとで、民生委員が入院を手配したときには「骨と皮」だけの状態になっていたという。
よくある「孤独死」のニュースに、なりかけたのだ。
自分が少年だったころ、でっかいバイクに跨って群馬まで遊びにきた格好いいひと。
耳の障害から塞ぎがちになり、気難しくなった。
酒なんか呑める身体ではないが、よく呑むひとだったし、毒も通じるひとだった。
だから敢えて「舌を出せっ!!」な酒を贈って、もういちど笑ってもらいたいのである。
靖兄ぃ―。
苦しいでしょうが、もう少し生きてください。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『古参者と新参者』
最も信奉するのが松尾スズキ、とにかくこのひとの「スピード感溢れる文章」と「毒」が好きなのである。
こんな文章を書くひとだ。
「例えばチャゲアスのファンというものに私は生まれてこの方まったく出会ったことがないが、厳然とある絶対的な彼らの人気、これはなぜだろう、なんとなく飲み込める。高すぎて人間の耳には聞こえない音があるように“ブスが過ぎてもう肉眼では見えない”ほどにブスな人たちが世の中にはいて、そういう人たちがチャゲアスのコンサートを満席にしているのであろうことはわかる」
そんな松尾の文章スタイルを(少しだけ)真似て、
脱線を繰り返すコラムを書いてみる。
松尾スズキの本職? は劇作家であり、劇団『大人計画』の主宰者でもある。
阿部サダヲや荒川良々を「拾った」劇団―といえば、あぁ! となるひとも居るだろう。
そんな『大人計画』の新作、『ウェルカム・ニッポン』(下北沢本多劇場)を観てきた。
映画の見巧者ではあるが、演劇を観る目は「ドシロート」にちかい。というか、まんま「ドシロート」である。
しかし松尾が絡んだ舞台は、すべて触れている。そのくらい、好きなのだった。
松尾らしいムチャクチャな展開が待ってはいるが、背景に9.11テロと3.11を配置している。
この10年をまるごと描く、、、というか撃つのがねらいで、
じつは映画の世界でも、同じような構造を持つ作品が公開されている。
3.11と秋葉原殺傷事件を結びつけた、廣木隆一による『RIVER』である。
賛否はあるだろう。
(松尾の場合にかぎっては)賛否を期待しているふしもあるが、闘っているという点では共通している。
なにかと比較し、なにかと結びつけることでしか、いまのところ、3.11と向き合えないのかもしれない―ここに、表現者の苦悩を見て熱くなるじゃないか。
いっつも爆笑出来る『大人計画』の芝居は、と同時に、いっつもこころに痛い。
観ているあいだは観客を楽しませてくれるが、最後の最後で突き放すからだ。
舞台の向こう側から、「あっかんべー」をする松尾が見える。
あっかんべー。
その精神は、ストーンズのシンボルに通じるところがあるのかもしれない。
だからこんな夜は、サントリーから発売されるという「ストーンズ印の酒」でも呑んで、己と向き合うほかないのかもしれない。
好きなんだ、こういう企画が個人的に。
たとえばこれは夏に撮ったものだが、自家製の仏壇、うしろに外国産ビール瓶が並んでいるでしょう。
地震で割れるかもしれないのに、棚のあちこちにビール瓶とグラスが並んでいる。ストーンズ好きとしてビール瓶コレクターとして、このストーンズのシリーズを全制覇することだろう。
このストーンズの酒を持って、会いにいきたい、、、というか、いくべきひとが居る。
とーちゃんの実弟、つまり自分にとっての叔父である。
余命わずか、らしい・・・というメールが、とーちゃんから届く。
生活保護を受けていたひとで、民生委員が入院を手配したときには「骨と皮」だけの状態になっていたという。
よくある「孤独死」のニュースに、なりかけたのだ。
自分が少年だったころ、でっかいバイクに跨って群馬まで遊びにきた格好いいひと。
耳の障害から塞ぎがちになり、気難しくなった。
酒なんか呑める身体ではないが、よく呑むひとだったし、毒も通じるひとだった。
だから敢えて「舌を出せっ!!」な酒を贈って、もういちど笑ってもらいたいのである。
靖兄ぃ―。
苦しいでしょうが、もう少し生きてください。
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