映画のデジタル化の波に乗って、3D上映の作品がワンサカ創られている。
映画史として俯瞰すれば、この流れは「初」というわけではない。
ではないが、かつては「3Dにしてみましたけれど、いかが?」という程度のもので、今回は「本気度」がちがう。
鍵はデジタル化で、技術が「やっと」追いついてきたという背景がある。
奥行きなどの表現もそーとーなもので、だからジェームズ・キャメロンだけじゃなく、ティム・バートンや、まさかまさかのスコセッシまでもが3Dに挑戦したのだった。
ただ個人的に、すごいじゃないかテクノロジーって!! と感嘆出来た3D映画は現時点で『アバター』(2009)と『ヒューゴ』(2012)くらいで、
料金は高いし、(昔よりは気にならなくなったが)眼鏡が邪魔といえば邪魔だし、
年に1~2回程度ならいいけれど、この鑑賞法がスタンダードになるわけがない、、、と思った。
3Dはエロとスポーツ、あるいはアニメーションに最適な技術であり、映画には適さないのではないか―『アバター』公開時点でそう確信したのだが、
周囲でも3D映画の評判は芳しくなく、これぞ! というものは3Dを選択するが、「フツーに観たい」と思った作品は2Dにする・・・とのことだった。
その結果が、興行収入にはっきりと現れてしまった。
2011年~本年にかけて、2D/3Dで上映された映画で、どのくらいの観客が後者を選択したのか―。
【日本映画】
『ALWAYS 三丁目の夕日’64』…3割弱
『映画 怪物くん』…7割強
『フレンズ もののけ島のナキ』…5割
『劇場版 イナズマイレブンGO』…5割弱
『一命』…2割弱
『おかえり、はやぶさ』…5割弱
【外国映画】
『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』…8割弱
『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』…8割強
『カーズ2』…5割強
『ナルニア国物語 第3章』…8割弱
『塔の上のラプンツェル』…8割弱
『ヒューゴ』…6割
強調しておくけれど、面白い/つまらんとは別次元の話。(批評・興行の両面で失敗したのは、『一命』くらい)
2Dで観たいか3Dで観たいかの話で、日本映画は3D失敗、ハリウッド産は成功、、、という結果が出ているのである。
なんで?
対象が「中高年」か「若者」か―で、その差が出ている。
『ALWAYS 三丁目の夕日’64』や『一命』は、それで失敗したと見ていいだろう。
もうひとついえば、料金の高さがネックになっている。
「ドラマ」中心であれば2Dの通常料金で充分、「観たことのない映像を提示してくれそうな、ハリウッドのビッグバジェットであれば」3Dで観る価値があるのではないか・・・そんな風に捉えられている、と。
映画ジャーナリスト・大高宏雄は朝日の記事で、
「見方を変えれば、3D表現が高く評価された『ヒューゴ』でも4割が2Dを選ぶということ。よほどの作品でないと、邦画の3D版は見てもらえない」といっている。
うん、そう思う。
その結果、春以降の日本映画で3D版を制作する会社がほとんどなくなることになった。
「早っ!」な展開だが、リスクが大き過ぎる―そもそも3Dの制作費が高い―ゆえ、その選択は間違っていないように思う。
今後、3D映画はどうなっていくのか。
冷静に映画界を眺めてみれば、あれだけ元気な韓国映画は3Dの波に乗っていない。
数人の野心的な映画作家―ヴェルナー・ヘルツォークとか―は実験を試みてはいるものの、欧州も無視にちかい態度を取っている。
つまりメインは(やはり)ハリウッドで、現時点でいえばCGのような広がりは見せず、一過性に終わる可能性がないでもない、、、というのが映画小僧の本音。
ただ80年代の3D技術に比べれば、「ガキの玩具」から「オトナの玩具」への変化が見られる―ことは確かなのだから、完全に消えることはないのだろう。
結論。
映画を「見世物」として捉えたときに、3Dはなくしてはいけない技術なのかもしれない。
だからときどき、繰り返すけれど、ときどき、「お!」と思わせてくれる3D作品が「ハリウッドから」出現してくれれば、それでいいのではないか。
~特別付録 ぜひ3D版が観たい映画ベストスリー~
『プライベート・ライアン』(98)…まさに、戦場を体感出来る。ある意味で地獄だ。
『2001年宇宙の旅』(68)…金がないひとにとっては、宇宙旅行の疑似体験。目前にモノリスが出現するだけで、もう満足。
『イレイザーヘッド』(76)…悪夢の世界へ、ようこそ。リンチなら、けっこう「その気」があるかも。
それにしても。
20年以上前とはいえ、この3Dは、ひどかった。
でもキャスティングがやけに豪華で、リー・トンプソンまで出ている。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『ドロンジョーヌより多香美』
映画史として俯瞰すれば、この流れは「初」というわけではない。
ではないが、かつては「3Dにしてみましたけれど、いかが?」という程度のもので、今回は「本気度」がちがう。
鍵はデジタル化で、技術が「やっと」追いついてきたという背景がある。
奥行きなどの表現もそーとーなもので、だからジェームズ・キャメロンだけじゃなく、ティム・バートンや、まさかまさかのスコセッシまでもが3Dに挑戦したのだった。
ただ個人的に、すごいじゃないかテクノロジーって!! と感嘆出来た3D映画は現時点で『アバター』(2009)と『ヒューゴ』(2012)くらいで、
料金は高いし、(昔よりは気にならなくなったが)眼鏡が邪魔といえば邪魔だし、
年に1~2回程度ならいいけれど、この鑑賞法がスタンダードになるわけがない、、、と思った。
3Dはエロとスポーツ、あるいはアニメーションに最適な技術であり、映画には適さないのではないか―『アバター』公開時点でそう確信したのだが、
周囲でも3D映画の評判は芳しくなく、これぞ! というものは3Dを選択するが、「フツーに観たい」と思った作品は2Dにする・・・とのことだった。
その結果が、興行収入にはっきりと現れてしまった。
2011年~本年にかけて、2D/3Dで上映された映画で、どのくらいの観客が後者を選択したのか―。
【日本映画】
『ALWAYS 三丁目の夕日’64』…3割弱
『映画 怪物くん』…7割強
『フレンズ もののけ島のナキ』…5割
『劇場版 イナズマイレブンGO』…5割弱
『一命』…2割弱
『おかえり、はやぶさ』…5割弱
【外国映画】
『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』…8割弱
『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』…8割強
『カーズ2』…5割強
『ナルニア国物語 第3章』…8割弱
『塔の上のラプンツェル』…8割弱
『ヒューゴ』…6割
強調しておくけれど、面白い/つまらんとは別次元の話。(批評・興行の両面で失敗したのは、『一命』くらい)
2Dで観たいか3Dで観たいかの話で、日本映画は3D失敗、ハリウッド産は成功、、、という結果が出ているのである。
なんで?
対象が「中高年」か「若者」か―で、その差が出ている。
『ALWAYS 三丁目の夕日’64』や『一命』は、それで失敗したと見ていいだろう。
もうひとついえば、料金の高さがネックになっている。
「ドラマ」中心であれば2Dの通常料金で充分、「観たことのない映像を提示してくれそうな、ハリウッドのビッグバジェットであれば」3Dで観る価値があるのではないか・・・そんな風に捉えられている、と。
映画ジャーナリスト・大高宏雄は朝日の記事で、
「見方を変えれば、3D表現が高く評価された『ヒューゴ』でも4割が2Dを選ぶということ。よほどの作品でないと、邦画の3D版は見てもらえない」といっている。
うん、そう思う。
その結果、春以降の日本映画で3D版を制作する会社がほとんどなくなることになった。
「早っ!」な展開だが、リスクが大き過ぎる―そもそも3Dの制作費が高い―ゆえ、その選択は間違っていないように思う。
今後、3D映画はどうなっていくのか。
冷静に映画界を眺めてみれば、あれだけ元気な韓国映画は3Dの波に乗っていない。
数人の野心的な映画作家―ヴェルナー・ヘルツォークとか―は実験を試みてはいるものの、欧州も無視にちかい態度を取っている。
つまりメインは(やはり)ハリウッドで、現時点でいえばCGのような広がりは見せず、一過性に終わる可能性がないでもない、、、というのが映画小僧の本音。
ただ80年代の3D技術に比べれば、「ガキの玩具」から「オトナの玩具」への変化が見られる―ことは確かなのだから、完全に消えることはないのだろう。
結論。
映画を「見世物」として捉えたときに、3Dはなくしてはいけない技術なのかもしれない。
だからときどき、繰り返すけれど、ときどき、「お!」と思わせてくれる3D作品が「ハリウッドから」出現してくれれば、それでいいのではないか。
~特別付録 ぜひ3D版が観たい映画ベストスリー~
『プライベート・ライアン』(98)…まさに、戦場を体感出来る。ある意味で地獄だ。
『2001年宇宙の旅』(68)…金がないひとにとっては、宇宙旅行の疑似体験。目前にモノリスが出現するだけで、もう満足。
『イレイザーヘッド』(76)…悪夢の世界へ、ようこそ。リンチなら、けっこう「その気」があるかも。
それにしても。
20年以上前とはいえ、この3Dは、ひどかった。
でもキャスティングがやけに豪華で、リー・トンプソンまで出ている。
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明日のコラムは・・・
『ドロンジョーヌより多香美』