とある三面記事を読んで、「ミザりってるなぁ! 日本では割と珍しいかもしれない」などと思った。
自分が積極的に使用する造語系? のことばは、みっつ。
オリジナルから一語減らしただけなのにスピード感のある「モノスゴ」(=ものすごい)、
性的高揚をチャーミングに表現してみせた「チンピク」(=まぁ勃起度)、
このふたつは漫画家・小林よしのりが生みの親で「さすが!」と思える言語感覚だが、
みっつめの、どう考えても浸透しそうにない「ミザりる」―という造語は、自分作である。
スティーブン・キングの原作を映画化した、『ミザリー』(90)からヒントを得た。
というか、そのまんまだけれども。
作家が創りだすキャラクターを愛して愛して愛し抜き、
最終的には作家よりも「彼(彼女)のことを理解している」と思い込む受け手の「偏執的な行為・心理状態」を指す。
作家を監禁し、自分の思い通りにミザリーというキャラクターを動かそうとするキャシー・ベイツ(トップ画像)、怖かったものなぁ。
ある意味で。
「あくまでも」ある意味では、そこまで愛してもらえるのだから、創り手としては喜ばしいというか誇らしいというか。
ガンダムのシャアとか寅さん、『スタンド・バイ・ミー』(86)のクリスあたりも「愛され過ぎのキャラクター」といえるだろう。
その三面記事の主人公は、32歳のアンちゃん。
ライトノベル『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の作者・伏見つかさ氏への脅迫容疑で逮捕されたのである。
作中で自分の気に入りのキャラクターが「ないがしろにされている」ことに腹を立て、伏見氏の身体を切断した合成写真などとともに、狂ったメールを大量に送ったらしい。
うーん、クレイジー。
というのでは、少し軽過ぎる気がする。
しかし単に「狂っている」とするのも、愛ゆえの暴走という背景を捉えていない。
だからこういう場合は「ミザりっている」と表現したほうが、その世界観? が想像し易いのではないか。
ま、流行らないだろうけれど。
じつは自分が飽きることなく記す『タクシードライバー』(76)にも、「ミザりった」受け手が居る。
しかもひとりではなかったことが、映画史・事件史を俯瞰してみることではっきりする。
(比較的)軽い症状を患った青年Aは、
「トラビスは自分自身だ。どうして俺のことが分かったんだい?」
という問いを投げかけるためだけに、直接スコセッシに会いにきたそうだ。
うれしいが、ちょっと怖い、、、かもしれない。
と思うのは、トラビスを地でいく青年が、その数ヵ月後に社会を騒がせたからである。
少女娼婦アイリスを演じたジョディ・フォスターに恋をしたジョンという男が、彼女の気を引くという動機から、主人公と同じ行為(要人暗殺)を企てた「レーガン大統領暗殺未遂」事件。
この事件の特異性は、要人暗殺なのに「政治的要素」が皆無であったこと。
うーん。
素敵に狂った「ミザりる」状態である。
そんな自分だって、前者の孤独な青年と後者のキチガイ青年の「ちょうど真ん中あたり」に存在する、病的なタクドラ信者なのだった。
迷惑な話かもしれないが、ちょっとばかり羨ましいとも感じるものだって居るのではないか。
・・・ねぇ、作家の卵さんたち?
<特別? 付録>
~映画ではなく、キングの小説で好きな作品ベスト5~
(1)『シャイニング』
(2)『IT』
(3)『クリスティーン』
(4)『刑務所の中のリタ・ヘイワース』
(5)『キャリー』
※キングが珍しく饒舌に喋っている。
あぁ今野雄二さん合掌。
このころの木村優子、妙に色っぽくて好きだった。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『佳織とフランティック』
自分が積極的に使用する造語系? のことばは、みっつ。
オリジナルから一語減らしただけなのにスピード感のある「モノスゴ」(=ものすごい)、
性的高揚をチャーミングに表現してみせた「チンピク」(=まぁ勃起度)、
このふたつは漫画家・小林よしのりが生みの親で「さすが!」と思える言語感覚だが、
みっつめの、どう考えても浸透しそうにない「ミザりる」―という造語は、自分作である。
スティーブン・キングの原作を映画化した、『ミザリー』(90)からヒントを得た。
というか、そのまんまだけれども。
作家が創りだすキャラクターを愛して愛して愛し抜き、
最終的には作家よりも「彼(彼女)のことを理解している」と思い込む受け手の「偏執的な行為・心理状態」を指す。
作家を監禁し、自分の思い通りにミザリーというキャラクターを動かそうとするキャシー・ベイツ(トップ画像)、怖かったものなぁ。
ある意味で。
「あくまでも」ある意味では、そこまで愛してもらえるのだから、創り手としては喜ばしいというか誇らしいというか。
ガンダムのシャアとか寅さん、『スタンド・バイ・ミー』(86)のクリスあたりも「愛され過ぎのキャラクター」といえるだろう。
その三面記事の主人公は、32歳のアンちゃん。
ライトノベル『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の作者・伏見つかさ氏への脅迫容疑で逮捕されたのである。
作中で自分の気に入りのキャラクターが「ないがしろにされている」ことに腹を立て、伏見氏の身体を切断した合成写真などとともに、狂ったメールを大量に送ったらしい。
うーん、クレイジー。
というのでは、少し軽過ぎる気がする。
しかし単に「狂っている」とするのも、愛ゆえの暴走という背景を捉えていない。
だからこういう場合は「ミザりっている」と表現したほうが、その世界観? が想像し易いのではないか。
ま、流行らないだろうけれど。
じつは自分が飽きることなく記す『タクシードライバー』(76)にも、「ミザりった」受け手が居る。
しかもひとりではなかったことが、映画史・事件史を俯瞰してみることではっきりする。
(比較的)軽い症状を患った青年Aは、
「トラビスは自分自身だ。どうして俺のことが分かったんだい?」
という問いを投げかけるためだけに、直接スコセッシに会いにきたそうだ。
うれしいが、ちょっと怖い、、、かもしれない。
と思うのは、トラビスを地でいく青年が、その数ヵ月後に社会を騒がせたからである。
少女娼婦アイリスを演じたジョディ・フォスターに恋をしたジョンという男が、彼女の気を引くという動機から、主人公と同じ行為(要人暗殺)を企てた「レーガン大統領暗殺未遂」事件。
この事件の特異性は、要人暗殺なのに「政治的要素」が皆無であったこと。
うーん。
素敵に狂った「ミザりる」状態である。
そんな自分だって、前者の孤独な青年と後者のキチガイ青年の「ちょうど真ん中あたり」に存在する、病的なタクドラ信者なのだった。
迷惑な話かもしれないが、ちょっとばかり羨ましいとも感じるものだって居るのではないか。
・・・ねぇ、作家の卵さんたち?
<特別? 付録>
~映画ではなく、キングの小説で好きな作品ベスト5~
(1)『シャイニング』
(2)『IT』
(3)『クリスティーン』
(4)『刑務所の中のリタ・ヘイワース』
(5)『キャリー』
※キングが珍しく饒舌に喋っている。
あぁ今野雄二さん合掌。
このころの木村優子、妙に色っぽくて好きだった。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『佳織とフランティック』