Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

恐怖の報酬、府中篇

2013-10-02 00:30:00 | コラム
A地点から、B銀行まで。

自転車を使用せず、徒歩。
大きめのバッグを抱えているから。

時間はだいたい、20分くらい。

なんてことはないが、バッグの中身が大金なので緊張感がハンパない。

「現金を持ったまま移動する」シチュエーション、いままでの最高額は200万円だったから、それを一気に更新することになった。

中身は700万、おぉ、このくらいの重量か、もっと重いのかと思った、、、なんて。

なにが起こるか分からない、
だから緊張が途切れることはないが、それでいて少し、うん、ほんの少しだけ、なにかに遭わないかな遭いたいな・・・と思ったりもする。

誰かに会いたい、あのひとに逢いたい、ではなく、なにかに遭いたい。

なにか―って、なにさ?

ひったくりに遭遇したりしたい―という、とっても歪んだ思い。

無駄に自信があるから、そういうこと思っちゃったりするのだろう、きっと。

正面から襲われたら蹴り、
背後から襲われたら柔道技で投げ、
複数だった場合は、無理に全員を相手せず標的を「ひとり」に絞る・・・とかなんとか。

実際にそう動ける可能性は低いが、なんとなく出来るんじゃないかと考える甘ちゃん。

腕におぼえあり、、、か。


自分の金じゃない、ヒトサマの金である。

知り合いの年上女子Cから「あたし怖いんだけど、まっき~頼まれてくれない?」と依頼を受ける。

ヤバイ金じゃない。
そこの会社で働く、みなの給料。
いつも振込みに行くボスが出張中で、Cが頼まれたのだそうだ。

治安の悪い町でもない。
ないが、華奢過ぎるほど華奢なCを前にして「ひとの会社の金じゃん、なにかあったらどうする?」なんて冷たい態度は取れない。

ん?

じゃあなぜ、ひとりで運んでいるのかって?
Cはどこに居るんだって?

怖がりの彼女は、目的地のB銀行で待っている。

金持っての移動、それだけがイヤだったのだ。
じゃあ車で移動しろって話だが、いろいろ事情があって出来ないらしい。


で、当たり前だが事なきを得て、報酬を受け取る。
受け取るというか、まぁ夕飯を奢ってもらうと。

「なんでも注文して。あたし、いちおう部長だから」
「いちおうって」
「まっき~は、怖いものはないの?」
「(苦笑)勘違いしているみたいだけど、怖いものだらけだよ」
「うそー」
「最初にベタなこというけど、女がいちばん怖い」
「それは分かる(笑う)」
「あと、べつに力に自信があるってわけでもないし、自分よりでかいヤツと対峙すれば、そりゃあ震えるしね」
「でも、こころは折れない?」
「そういうと格好よく聞こえるけど、転んでもただじゃ起きないっていうだけかねぇ」
「流行の、あれ?」
「(笑う)ゼッタイにいわないよ、あれいうんだったら、一部だけで流行ってる、“やられたら、でんぐり返しだ”といったほうがマシ」
「(笑う)」
「見た目をクリアすれば、意外とうまくいくものだよ」
「見た目?」
「全身タトゥー野郎とかね、一瞬怯むけど、彫ってるとこ想像すれば、あぁ一皮剥ければただのひとだって」
「そういうものかなぁ」
「そういうものだよ」

「またいつか、頼める?」
「しょっちゅうは困るけど、たまにだったら」


痴漢撃退してくれとか、そういうタノミゴトをされたことは何度かあったけれど、
大金持っての移動は、刺激的っちゃあ刺激的だが、もしなにかあったら・・・と考えると、快諾するのも気が引ける。

自分の身体は、まぁ再起不能にならなければ問題ないが、みなの生活がかかっているからねぇ、

とりあえず、なにもなかったからいいが・・・・・って、なにかに遭いたいといっていたクセしてね!



※トップ画像は、クルーゾー監督の傑作『恐怖の報酬』(53)。

動画の『天国と地獄』は・・・
金は自分のものだが、誘拐された子どもは「ひとんちの子」だった。




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コメント (1)
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