Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(74)

2014-05-12 00:30:00 | コラム
上京した日(3月12日)の2日後には新聞奨学生として働き始めたので、いわゆるホームシックには罹らなかった。

奨学生はみんなそうかな―と思ったが、同日に静岡からやってきたKくんは「寂しい」「帰りたい」「都会怖い」「新聞触りたくもない」とひどいホームシックに罹っていたっけ。
(彼は「田園に囲まれて育ったから」といっていたが、自分の田舎もそんな感じだったんだけれども)


仕事が慣れてきたころに学校が始まったため、4月も忙しく、田舎のことを考える余裕がなかった。

5月―。
仕事と学業をそつなく? こなし始めたころ、やっとのことで郷愁というか、田舎や温かな家庭を恋しがるようになった。

早朝、新聞にチラシを折り込んでいるとデパートのチラシ「母の日特集」が目につく。

・・・・・そうか。

そうだよなぁ、そういや3月15日は、かーちゃんの誕生日だったっけか。
気づいていたクセして、忙しいことを理由になにも贈らなかったし、電話さえしていなかったじゃねぇか。

配達中に、なんか自己嫌悪。


奨学生って仕事はきついかもしれないが、なかなかの好待遇である。

自分が所属した専売所のケースでいうと・・・

(1)2年間180万円の授業料をサポート
(2)家賃7万円のアパートに住ませてくれる
(3)基本的に朝食・夕食が出る
(4)月に12万円前後の給料

これ月々の給料として計算し直せば、30万円くらいもらっている、、、ということになる。

それで母の日に「なにも贈らない」っていうのはないだろう。

しかし、なにを贈ればいいのか―。

やっぱり花?

当時から「花キューピット」的なサービスはあったと思うが、その発想が浮かばなかったのでペケ。


かーちゃんの好きなものを思い出してみる―。

食べ物全般。
朝日新聞に連載されていた漫画『ペエスケ』。
金魚。
西郷輝彦。

・・・わ、わからん。

いまは「プレゼント魔」みたいなところがあって、女子に「マメだよねぇ!」などといわれることも多いが、当時はぜんぜんでね。
いや、だから、あのころの経験によって、現在「そこそこ?」のセンスを持ち得ているような気がする。

いまだったら『ペエスケ』に登場する犬(=ガタピシ)やワニのぬいぐるみを必死で探そうとしたろうが、18歳のガキはデパートの「母の日、特設会場」みたいなスペースでなにかを選ぶという発想しかなくってね。

そうして、真っ赤な財布を選んだ。

1万円くらい、、、だったかな。

かーちゃんに似合うかどうかとか、あまり考えなかった。
考えられなかった、というほうが適切かもしれないが。

で、それを贈って(きのう全文を載せた)手紙が届く、、、と。

こうして、かーちゃんが死ぬまでの6年間、3月の誕生日と5月の母の日は必ずなにかを贈るようになったのだが、
きちんと覚えているのは、18歳の5月に贈った真っ赤な財布だけなのだった。


母親をなくしたすべての子どもが、母の日や誕生日や墓参りの日に「ああすればよかった、こうすればよかった」などと思うものなのだろう。
今年も自分は、そんな後悔を抱いて母の日を過ごした。

そうして「なにやってんだか…」と強く思うのは、そんな後悔をしているにも関わらず、去年も今年も義母にはなにも贈っていない「冷たい自分」が居るということ。

これじゃあ、いかんよね。

だから来年は、ぜったい。

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※きょうのトップ画像は、「優しいかーちゃん」からイメージした『東京物語』(53)の東山千栄子で。
「ありがと♪」のアクセントがかわいいんだよね。

※※星のフラメンコ




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明日のコラムは・・・

『60億分の1って、つくづく格好いい』

コメント (4)
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