39年1月22日生まれ・現在75歳。
福岡出身。
公式ブログ
「カンフー映画?」
「そう、サニー千葉主演の『ストリート・ファイター』3本立てだ」
「サニー千葉って、誰?」
「サニー千葉を知らないのか? 大スターだぞ」
「・・・いいわ、カンフー映画なんて観ないから」
「・・・」
―映画『トゥルー・ロマンス』(93)、冒頭のナンパシーンより
海外名「サニー千葉」こと千葉真一(ちば・しんいち)さんに、2度ほど会ったことがあります。
あのころ60代後半だったと思いますが、肌に張りがあり、姿勢がよく、声も大きい。
俳優さんはそういうひとが多いですけれど、このひとは特にそうでした。
だから「年齢不詳の見た目ですね」といったんです。
豪快に笑って、「ありがとう!」とだけ返してくれました。
演技力どうこうは、はっきりいって分かりません。
それを不問にするほどの身体能力を持っています。
世代がちがうので想像の域を超えませんが、たぶん「同い年として」対決すれば、スティーブン・セガールやジャン=クロード・ヴァン・ダムに負けないんじゃないでしょうか。
※映画監督にも挑戦、『リメインズ 美しき勇者たち』(90)予告編
<経歴>
ジャパンアクションクラブ(JAC)の創始者。
真田広之などのスターを輩出させた功績は、もっと評価されていいのではないでしょうか。
極真空手は四段、少林寺拳法は二段。
スポーツ万能少年であり、中学生のころは陸上だけでなく、バレーボールや野球など複数の大会に出場して結果を残していたそうです。
名門の木更津一高に入学し、体操で全国大会優勝を成し遂げる。
日本体育大学で更なる鍛錬を積むも、跳馬の練習中に着地失敗、腰を負傷する。
それが原因で退学、実家に戻る途中に「東映ニューフェイス募集!」のポスターが目に入り悩んだ末に応募する。
3万人ちかい応募者のなかでトップ合格を果たすも、芸能界入りを反対する父親は千葉さんを勘当してしまいます。
59年、東映へ入社。(同期生に太地喜和子など)
俳優としてのデビュー作は、60年のテレビドラマ『新 七色仮面』(日本テレビ)。
堂々の主演です。
実質的な映画俳優デビュー作は、61年の『警視庁物語 不在証明』。
(不在証明と書いて「ありばい」と読みます)
以降、ほぼすべての作品のアクションをノースタントで演じました。
※『キイハンター』が始まる68年までのキャリアを、ドドドッと。
【61年】
~警視庁物語シリーズ~
『十五才の女』『十二人の刑事』
~風来坊探偵シリーズ~
『赤い谷の惨劇』『岬を渡る黒い風』
※このシリーズで深作欣二と出会い、ふたりの長い友情が始まる
~ファンキーハットの快男児シリーズ~
『ファンキーハットの快男児』『ファンキーハットの快男児 二千万円の腕』
【62年】
『南太平洋波高し』『二・二六事件 脱出』『恋と太陽とギャング』『あの空の果てに星はまたゝく』『残酷な月』『八月十五日の動乱』『ギャング対Gメン』
【63年】
『殺人鬼の誘惑』『次郎長社長と石松社員 安来ぶし道中』『暴力街』
~特別機動捜査隊シリーズ~
『特別機動捜査隊』『特別機動捜査隊 東京駅に張り込め』
~柔道一代シリーズ~
『柔道一代』『柔道一代 講道館の鬼』(64)
『八州遊侠伝 男の盃』『浅草の侠客』『海軍』『ギャング忠臣蔵』『わが恐喝の人生』
【64年】
『地獄命令』『君たちがいて僕がいた』『竜虎一代』
【65年】
『あの雲に歌おう』『可愛いあの娘』『にっぽん泥棒物語』『逃亡』『やくざGメン 明治暗黒街』『無頼漢仁義』『網走番外地 北海篇』
【66年】
『夜の牝犬』『網走番外地 南国の対決』『太陽に突っ走れ』『黄金バット』
~子守唄シリーズ~
『浪曲子守唄』『続 浪曲子守唄』(67)『出世子守唄』(67)
【67年】
『組織暴力』『あゝ同期の桜』『北海遊侠伝』『ギャングの帝王』
そして68年、テレビドラマ『キイハンター』(TBS)に主演。
30%を超える視聴率を記録した、犯罪アクションの快作でした。
千葉さん以外のレギュラー出演者は、丹波哲郎・野際陽子・川口浩・谷隼人・大川栄子。
これが縁で72年に野際陽子と結婚。(94年に離婚。翌年、一般女性と再婚)
『人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊』(68)、『あゝ予科練』(68)、『不良番長 猪の鹿お蝶』(69)、『日本暗殺秘録』(69)。
70年―スタントマン不足の現状を解消しようと、JACを設立させる。
(じつは堤真一も門下生だったこと、知ってました?)
~やくざ刑事シリーズ~
『やくざ刑事』(70)、『やくざ刑事 マリファナ密売組織』(70)、『やくざ刑事 恐怖の毒ガス』(71)、『やくざ刑事 俺たちに墓はない』(71)
~狼やくざシリーズ~
『狼やくざ 殺しは俺がやる』(71)、『狼やくざ 葬いは俺が出す』(72)
~麻薬売春Gメンシリーズ~
『麻薬売春Gメン』(72)、『麻薬売春Gメン 恐怖の肉地獄』(72)
東映が得意とした「アクション系」プログラムピクチャーのシリーズで主演を張ることが多く、当時は寝る暇もなかったんじゃないか―と思わせるフィルモグラフィです。
そして、『仁義なき戦い 広島死闘篇』で大友勝利を熱演した73年に転機が訪れます。
『ボディガード牙』のシリーズ(『ボディガード牙』『ボディガード牙 必殺三角飛び』、73)と、
『殺人拳』のシリーズ(『激突! 殺人拳』『殺人拳2』『逆襲! 殺人拳』、74)がスマッシュヒットを記録、
これが海を渡って『The Street Fighter』と改題し公開され、千葉さんは「Sonny Chiba」と呼ばれてカルト人気を博すようになりました。
このことを映画の冒頭に持ってきたのが、QT脚本による『トゥルー・ロマンス』でした。
~地獄拳シリーズ~
『直撃! 地獄拳』(74)、『直撃地獄拳 大逆転』(74)
『ルパング島の奇跡 陸軍中野学校』(74)、『少林寺拳法』(75)、『ウルフガイ 燃えろ狼男』(75)、
運転士を熱演した『新幹線大爆破』(75)、
敬愛する大山倍達に扮した『けんか空手シリーズ』の2作『極真拳』(75)と『極真無頼拳』(75)、
『横浜暗黒街 マシンガンの竜』(76)、『脱走遊戯』(76)、『沖縄やくざ戦争』(76)、『やくざ戦争 日本の首領』(77)、『北陸代理戦争』(77)、『日本の仁義』(77)、『ドーベルマン刑事』(77)、『瞳の中の訪問者』(77)、
タイトルロールを「激」演した『ゴルゴ13 九竜の首』(77)、
柳生十兵衛三厳を演じた『柳生一族の陰謀』(78)、
『沖縄10年戦争』(78)、『白昼の死角』(79)、『蘇える金狼』(79)、
そして、70年代後半の代表作となった『戦国自衛隊』(79)。
80年代―。
スタジオシステムが崩壊したため、出演作品は大幅に減るものの、大作には「必ず顔を出す」重鎮的存在になっていきます。
『復活の日』(80)、『魔界転生』(81)、『伊賀忍法帖』(82)、
そーとー笑えるコメディ『伊賀野カバ丸』(83)、
『里見八犬伝』(83)、『コータローまかりとおる!』、『将軍家光の乱心 激突』(89)、山城新伍が初監督に挑戦した『せんせい』(89)、おじさんパワー全開が楽しい『いつかギラギラする日』(92)。
『バトル・ロワイアル2 鎮魂歌』(2003)、
QTが千葉さんのために創出したキャラクター(服部半蔵)を楽しそうに演じた『キル・ビル』(2003…トップ画像)、
『マスター・オブ・サンダー 決戦!! 封魔龍虎伝』(2006)、
監督も兼任した『親父』(2007)、米国映画『SUSHI GIRL』(2012)、、、という具合に、還暦過ぎ以降はゲスト出演的な作品が多くなっていきました。
しかしそれでも繰り返しになりますが、未だ肌に張りがあり、姿勢がよく、声も大きい。
さすがですねぇ。
2011年以降の海外芸名は、「JJ Sonny Chiba」。
たぶん10年後も「ゲスト扱い」とはいえ、アクション映画に出演していることでしょう。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『にっぽん男優列伝(230)中条静夫』
福岡出身。
公式ブログ
「カンフー映画?」
「そう、サニー千葉主演の『ストリート・ファイター』3本立てだ」
「サニー千葉って、誰?」
「サニー千葉を知らないのか? 大スターだぞ」
「・・・いいわ、カンフー映画なんて観ないから」
「・・・」
―映画『トゥルー・ロマンス』(93)、冒頭のナンパシーンより
海外名「サニー千葉」こと千葉真一(ちば・しんいち)さんに、2度ほど会ったことがあります。
あのころ60代後半だったと思いますが、肌に張りがあり、姿勢がよく、声も大きい。
俳優さんはそういうひとが多いですけれど、このひとは特にそうでした。
だから「年齢不詳の見た目ですね」といったんです。
豪快に笑って、「ありがとう!」とだけ返してくれました。
演技力どうこうは、はっきりいって分かりません。
それを不問にするほどの身体能力を持っています。
世代がちがうので想像の域を超えませんが、たぶん「同い年として」対決すれば、スティーブン・セガールやジャン=クロード・ヴァン・ダムに負けないんじゃないでしょうか。
※映画監督にも挑戦、『リメインズ 美しき勇者たち』(90)予告編
<経歴>
ジャパンアクションクラブ(JAC)の創始者。
真田広之などのスターを輩出させた功績は、もっと評価されていいのではないでしょうか。
極真空手は四段、少林寺拳法は二段。
スポーツ万能少年であり、中学生のころは陸上だけでなく、バレーボールや野球など複数の大会に出場して結果を残していたそうです。
名門の木更津一高に入学し、体操で全国大会優勝を成し遂げる。
日本体育大学で更なる鍛錬を積むも、跳馬の練習中に着地失敗、腰を負傷する。
それが原因で退学、実家に戻る途中に「東映ニューフェイス募集!」のポスターが目に入り悩んだ末に応募する。
3万人ちかい応募者のなかでトップ合格を果たすも、芸能界入りを反対する父親は千葉さんを勘当してしまいます。
59年、東映へ入社。(同期生に太地喜和子など)
俳優としてのデビュー作は、60年のテレビドラマ『新 七色仮面』(日本テレビ)。
堂々の主演です。
実質的な映画俳優デビュー作は、61年の『警視庁物語 不在証明』。
(不在証明と書いて「ありばい」と読みます)
以降、ほぼすべての作品のアクションをノースタントで演じました。
※『キイハンター』が始まる68年までのキャリアを、ドドドッと。
【61年】
~警視庁物語シリーズ~
『十五才の女』『十二人の刑事』
~風来坊探偵シリーズ~
『赤い谷の惨劇』『岬を渡る黒い風』
※このシリーズで深作欣二と出会い、ふたりの長い友情が始まる
~ファンキーハットの快男児シリーズ~
『ファンキーハットの快男児』『ファンキーハットの快男児 二千万円の腕』
【62年】
『南太平洋波高し』『二・二六事件 脱出』『恋と太陽とギャング』『あの空の果てに星はまたゝく』『残酷な月』『八月十五日の動乱』『ギャング対Gメン』
【63年】
『殺人鬼の誘惑』『次郎長社長と石松社員 安来ぶし道中』『暴力街』
~特別機動捜査隊シリーズ~
『特別機動捜査隊』『特別機動捜査隊 東京駅に張り込め』
~柔道一代シリーズ~
『柔道一代』『柔道一代 講道館の鬼』(64)
『八州遊侠伝 男の盃』『浅草の侠客』『海軍』『ギャング忠臣蔵』『わが恐喝の人生』
【64年】
『地獄命令』『君たちがいて僕がいた』『竜虎一代』
【65年】
『あの雲に歌おう』『可愛いあの娘』『にっぽん泥棒物語』『逃亡』『やくざGメン 明治暗黒街』『無頼漢仁義』『網走番外地 北海篇』
【66年】
『夜の牝犬』『網走番外地 南国の対決』『太陽に突っ走れ』『黄金バット』
~子守唄シリーズ~
『浪曲子守唄』『続 浪曲子守唄』(67)『出世子守唄』(67)
【67年】
『組織暴力』『あゝ同期の桜』『北海遊侠伝』『ギャングの帝王』
そして68年、テレビドラマ『キイハンター』(TBS)に主演。
30%を超える視聴率を記録した、犯罪アクションの快作でした。
千葉さん以外のレギュラー出演者は、丹波哲郎・野際陽子・川口浩・谷隼人・大川栄子。
これが縁で72年に野際陽子と結婚。(94年に離婚。翌年、一般女性と再婚)
『人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊』(68)、『あゝ予科練』(68)、『不良番長 猪の鹿お蝶』(69)、『日本暗殺秘録』(69)。
70年―スタントマン不足の現状を解消しようと、JACを設立させる。
(じつは堤真一も門下生だったこと、知ってました?)
~やくざ刑事シリーズ~
『やくざ刑事』(70)、『やくざ刑事 マリファナ密売組織』(70)、『やくざ刑事 恐怖の毒ガス』(71)、『やくざ刑事 俺たちに墓はない』(71)
~狼やくざシリーズ~
『狼やくざ 殺しは俺がやる』(71)、『狼やくざ 葬いは俺が出す』(72)
~麻薬売春Gメンシリーズ~
『麻薬売春Gメン』(72)、『麻薬売春Gメン 恐怖の肉地獄』(72)
東映が得意とした「アクション系」プログラムピクチャーのシリーズで主演を張ることが多く、当時は寝る暇もなかったんじゃないか―と思わせるフィルモグラフィです。
そして、『仁義なき戦い 広島死闘篇』で大友勝利を熱演した73年に転機が訪れます。
『ボディガード牙』のシリーズ(『ボディガード牙』『ボディガード牙 必殺三角飛び』、73)と、
『殺人拳』のシリーズ(『激突! 殺人拳』『殺人拳2』『逆襲! 殺人拳』、74)がスマッシュヒットを記録、
これが海を渡って『The Street Fighter』と改題し公開され、千葉さんは「Sonny Chiba」と呼ばれてカルト人気を博すようになりました。
このことを映画の冒頭に持ってきたのが、QT脚本による『トゥルー・ロマンス』でした。
~地獄拳シリーズ~
『直撃! 地獄拳』(74)、『直撃地獄拳 大逆転』(74)
『ルパング島の奇跡 陸軍中野学校』(74)、『少林寺拳法』(75)、『ウルフガイ 燃えろ狼男』(75)、
運転士を熱演した『新幹線大爆破』(75)、
敬愛する大山倍達に扮した『けんか空手シリーズ』の2作『極真拳』(75)と『極真無頼拳』(75)、
『横浜暗黒街 マシンガンの竜』(76)、『脱走遊戯』(76)、『沖縄やくざ戦争』(76)、『やくざ戦争 日本の首領』(77)、『北陸代理戦争』(77)、『日本の仁義』(77)、『ドーベルマン刑事』(77)、『瞳の中の訪問者』(77)、
タイトルロールを「激」演した『ゴルゴ13 九竜の首』(77)、
柳生十兵衛三厳を演じた『柳生一族の陰謀』(78)、
『沖縄10年戦争』(78)、『白昼の死角』(79)、『蘇える金狼』(79)、
そして、70年代後半の代表作となった『戦国自衛隊』(79)。
80年代―。
スタジオシステムが崩壊したため、出演作品は大幅に減るものの、大作には「必ず顔を出す」重鎮的存在になっていきます。
『復活の日』(80)、『魔界転生』(81)、『伊賀忍法帖』(82)、
そーとー笑えるコメディ『伊賀野カバ丸』(83)、
『里見八犬伝』(83)、『コータローまかりとおる!』、『将軍家光の乱心 激突』(89)、山城新伍が初監督に挑戦した『せんせい』(89)、おじさんパワー全開が楽しい『いつかギラギラする日』(92)。
『バトル・ロワイアル2 鎮魂歌』(2003)、
QTが千葉さんのために創出したキャラクター(服部半蔵)を楽しそうに演じた『キル・ビル』(2003…トップ画像)、
『マスター・オブ・サンダー 決戦!! 封魔龍虎伝』(2006)、
監督も兼任した『親父』(2007)、米国映画『SUSHI GIRL』(2012)、、、という具合に、還暦過ぎ以降はゲスト出演的な作品が多くなっていきました。
しかしそれでも繰り返しになりますが、未だ肌に張りがあり、姿勢がよく、声も大きい。
さすがですねぇ。
2011年以降の海外芸名は、「JJ Sonny Chiba」。
たぶん10年後も「ゲスト扱い」とはいえ、アクション映画に出演していることでしょう。
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明日のコラムは・・・
『にっぽん男優列伝(230)中条静夫』