どこのバイト先にも「必ず」といっていいほど存在するキャラクター。
バンドをやっているもの。
筋肉馬鹿。
それから、美大生。
一般のひとよりもバイト経験が多いと自負する自分だが、実際、どんな職場でも彼ら・彼女らは存在した。
基本は誰とでも仲良くなれる自分だが、顔を会わせた瞬間から意気投合出来るのは美大生。
自分が映像をやっている・目指しているから―なのだろうが、それとは別の理由として、自称「変人」が多いから、、、というのがある。
そう、アートをやろうとしているヤツなんて大抵が変人。
そういえば先日の『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日)の投稿で、「わたしは美大生で、ときどきハダカのモデルさんを描く。スケベ心なんて一切ないのに、自分たちのことをヘンタイ! と罵るひとが居る。許せない!」というのがあった。
有吉「このひとはやめたほうがいいよ。ヘンタイと呼ばれたら喜ぶくらいのひとじゃないと」
激しく同意。
自分もキチガイを自称しているものだから、ヘンタイを自称してくれるひととは相性がいい。
必ずといっていいほど、そんな美大生に聞く質問がある。
昔は2つ、最近は3つ。
(1)村上隆をどう思うか
(2)ギーガーをどう思うか
最近になって追加したのが、
(3)Chin↑Pomをどう思うか
いずれも、現代を代表するアーティストである。
敢えていえば・・・
評判が悪いのは(1)、賛否両論なのが(3)、だがギーガーだけは絶賛なのである。「大」のつく絶賛。
嫌いだという子まで、こう補足する。
「嫌いだけど、すごいとは思う」
そんな風に評価されているH・R・ギーガーは、映画界でも有名な存在。
唾液? にまみれた、クソがつくくらい気持ちの悪い、それでいてなんともエロティックな「エイリアン」をデザインしたひと。
映画「屋」とはいえないひとで、ここまで映画好きに知られる存在って、スティーブン・キングと坂本龍一、そしてギーガーくらいなのではないか。
バイト先で知り合ったAくんは、彼の作品集を持っていた。
かつて付き合っていたK美は、部屋一面にエイリアンのポスターを貼っていた。
漫画家志望のS男は、高そうなエイリアン・クイーンのフィギュアを持っていたっけか。(触らせてもくれなかった!!)
スイス出身、元々は画家であった。
しかし、これほどおぞましい絵を描くアーティストを、映画業界・音楽業界が放っておくわけがない。
エマーソン・レイク・アンド・パーマーによるアルバム『恐怖の頭脳改革』でジャケット原画を担当、これが発表されたのは73年のこと。
自分が生まれる以前から、こんなに気持ちの悪いものを創ってやんの!!
79年―映画『エイリアン』完成。
改めてクルーの名を並べてみると、これだけでひとつの映画史が語れそうな面子であることに慄く。
監督、リドリー・スコット。
制作のひとりにウォルター・ヒル。
原案はダン・オバノン。
特殊効果はカルロ・ランバルディ。
音楽がジェリー・ゴールドスミス。
そして、クリーチャーデザインにギーガー。
最強、最狂、最凶である。
誰かひとりでも欠ければ、あの恐怖の空間は生まれなかったろう。
SF/ホラーのジャンルにおいては、ギーガー以前・以後という論じかたが可能である。
エイリアンのデザインは沢山模倣され、数々の亜流が制作された。
しかし技術は進歩しても、ギーガーの悪魔的な発想を超える創造物は創られなかった。
いつまで経ってもエイリアンが「最も」気持ち悪くて格好よくて、なおかつ美しいクリーチャーであり続けた。
駄作と評された『プロメテウス』(2012)でさえ、ギーガーの仕事だけは「完璧だ!」と褒めるひとが多かった。
美大生が目標とする、高過ぎる壁。
だから彼の死は、新聞の訃報記事の小ささに反して、大きな大きな地殻変動を起こすのだと思う。
5月12日―H・R・ギーガー、転落死。
享年74歳、合掌。
※ナレーションなし、すげー格好いい予告編
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『にっぽん男優列伝(227)千秋実』
バンドをやっているもの。
筋肉馬鹿。
それから、美大生。
一般のひとよりもバイト経験が多いと自負する自分だが、実際、どんな職場でも彼ら・彼女らは存在した。
基本は誰とでも仲良くなれる自分だが、顔を会わせた瞬間から意気投合出来るのは美大生。
自分が映像をやっている・目指しているから―なのだろうが、それとは別の理由として、自称「変人」が多いから、、、というのがある。
そう、アートをやろうとしているヤツなんて大抵が変人。
そういえば先日の『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日)の投稿で、「わたしは美大生で、ときどきハダカのモデルさんを描く。スケベ心なんて一切ないのに、自分たちのことをヘンタイ! と罵るひとが居る。許せない!」というのがあった。
有吉「このひとはやめたほうがいいよ。ヘンタイと呼ばれたら喜ぶくらいのひとじゃないと」
激しく同意。
自分もキチガイを自称しているものだから、ヘンタイを自称してくれるひととは相性がいい。
必ずといっていいほど、そんな美大生に聞く質問がある。
昔は2つ、最近は3つ。
(1)村上隆をどう思うか
(2)ギーガーをどう思うか
最近になって追加したのが、
(3)Chin↑Pomをどう思うか
いずれも、現代を代表するアーティストである。
敢えていえば・・・
評判が悪いのは(1)、賛否両論なのが(3)、だがギーガーだけは絶賛なのである。「大」のつく絶賛。
嫌いだという子まで、こう補足する。
「嫌いだけど、すごいとは思う」
そんな風に評価されているH・R・ギーガーは、映画界でも有名な存在。
唾液? にまみれた、クソがつくくらい気持ちの悪い、それでいてなんともエロティックな「エイリアン」をデザインしたひと。
映画「屋」とはいえないひとで、ここまで映画好きに知られる存在って、スティーブン・キングと坂本龍一、そしてギーガーくらいなのではないか。
バイト先で知り合ったAくんは、彼の作品集を持っていた。
かつて付き合っていたK美は、部屋一面にエイリアンのポスターを貼っていた。
漫画家志望のS男は、高そうなエイリアン・クイーンのフィギュアを持っていたっけか。(触らせてもくれなかった!!)
スイス出身、元々は画家であった。
しかし、これほどおぞましい絵を描くアーティストを、映画業界・音楽業界が放っておくわけがない。
エマーソン・レイク・アンド・パーマーによるアルバム『恐怖の頭脳改革』でジャケット原画を担当、これが発表されたのは73年のこと。
自分が生まれる以前から、こんなに気持ちの悪いものを創ってやんの!!
79年―映画『エイリアン』完成。
改めてクルーの名を並べてみると、これだけでひとつの映画史が語れそうな面子であることに慄く。
監督、リドリー・スコット。
制作のひとりにウォルター・ヒル。
原案はダン・オバノン。
特殊効果はカルロ・ランバルディ。
音楽がジェリー・ゴールドスミス。
そして、クリーチャーデザインにギーガー。
最強、最狂、最凶である。
誰かひとりでも欠ければ、あの恐怖の空間は生まれなかったろう。
SF/ホラーのジャンルにおいては、ギーガー以前・以後という論じかたが可能である。
エイリアンのデザインは沢山模倣され、数々の亜流が制作された。
しかし技術は進歩しても、ギーガーの悪魔的な発想を超える創造物は創られなかった。
いつまで経ってもエイリアンが「最も」気持ち悪くて格好よくて、なおかつ美しいクリーチャーであり続けた。
駄作と評された『プロメテウス』(2012)でさえ、ギーガーの仕事だけは「完璧だ!」と褒めるひとが多かった。
美大生が目標とする、高過ぎる壁。
だから彼の死は、新聞の訃報記事の小ささに反して、大きな大きな地殻変動を起こすのだと思う。
5月12日―H・R・ギーガー、転落死。
享年74歳、合掌。
※ナレーションなし、すげー格好いい予告編
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明日のコラムは・・・
『にっぽん男優列伝(227)千秋実』