Cape Fear、in JAPAN

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にっぽん男優列伝(227)千秋実

2014-05-16 08:06:08 | コラム
17年4月28日生まれ・99年11月1日死去、享年82歳。
北海道出身。


映画史に残る傑作『七人の侍』(54)、
この映画を好きなひとにとっては「もはや常識」となっているトリビアをひとつ。

映画のなかのキャラクターが死んでいく順番と、それを演じた俳優さんの死んだ順番―が、ちょっと面白い? んですね。

【生き残ったキャラクター】

七郎次(加東大介)
岡本勝四郎(木村功)
島田勘兵衛(志村喬)

【死んだキャラクター、その順番】

林田平八(本日の主役、千秋実)
片山五郎兵衛(稲葉義男)
久蔵(宮口精二)
菊千代(三船敏郎)

【演じた俳優さんの死、その順番】

加東大介…75年7月31日
木村功…81年7月4日
志村喬…82年2月11日

宮口精二…85年4月12日
三船敏郎…97年12月24日
稲葉義男…98年4月20日
千秋実…99年11月1日


・・・・・そう、実際には、生き残ったキャラクターを演じた俳優さんが「全員、先に」死んで、
(三船と宮口さんが逆ではあるものの)早く死んだキャラクターを演じた俳優さんであればあるほど? 長生きしていると。

面白いという表現はどうかと思いましたが、やっぱり面白い! ですよねぇ。

きょうの主役は、いちばん早く死んだキャラクター「平八」を演じ、実際には最後に死んだ「7人のうちのひとり」千秋実(ちあき・みのる)さん。

中期―いわゆる黒澤の絶頂期の作品に数多く参加し、どんなに小さなキャラクターでも印象に残る演技を披露した名優さんです。
(トップ画像でいうと、中央に位置するひと。ちなみに手前が三船)





<経歴>

陸上選手として将来を有望視されるほどの俊足の持ち主でしたが、怪我により断念。
大学在学中に演じることに興味を抱き、新築地劇団の研究生となる。

46年、「薔薇座」を結成する。
(黒澤初期の佳作『静かなる決闘』の原作として知られる)『堕胎医』公演を観た黒澤に「発見」され、映画の世界に。

映画俳優デビュー作は、49年の『野良犬』。
以降、黒澤映画に連続出演―『醜聞』(50)、旅法師を演じた『羅生門』(50)、『白痴』(51)、『生きる』(52)。

54年、前述した『七人の侍』で平八を好演する。
平八は「明るい貧乏侍」というキャラクターでしたが、「あの旗」を創ったひと―と説明したほうがピンとくるかもしれませんね。

『生きものの記録』(55)、『蜘蛛巣城』(57)、
自称「殿様」をユーモラスに演じた『どん底』(57)、
そして『隠し砦の三悪人』(58)では藤原釜足と凸凹農民コンビを快演、これはよく知られているように、『スター・ウォーズ』シリーズ(77~)のC-3POとR2-D2のモデルになったとされています。

黒澤映画には、次の『天国と地獄』(63)まで出演。

そのほかの出演作に・・・
『春琴物語』(54)、『ゴジラの逆襲』(55)、『決闘巌流島』(56)、『鞍馬天狗』(59)、『浪花の恋の物語』(59)、『はだかっ子』(61)、『他人の顔』(66)。

75年に脳内出血で倒れるも、翌年には復帰。
『徳川一族の崩壊』(80)、
85年の『花いちもんめ。』ではアルツハイマーを患う老人を熱演、ビッグインパクトを残す。

映画出演は87年の『ドン松五郎の大冒険』を最後に事実上の引退、
そして99年11月1日、急性心肺不全により死去しました。

享年82歳、「七人の侍、最後のひとり死す―」・・・そう伝える訃報が多く、自分もその翌日に『七人の侍』を観返したという想い出が残っています。

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コメント (1)
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