Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(76)

2014-05-21 00:30:00 | コラム
ぱー「てぃ」→「てぃ」むばーとん(ティム・バートン)

映画オタクが高じて「それを生業にした映画監督」といえば・・・
80年代以前はエドワード・ウッド・ジュニア、現在はQTことタランティーノだが、エド・ウッド以後/QT以前の代表格はティム・バートンであり、バートンが土壌を作ったからこそQTが羽ばたけた―ような気がしてならない。

その見た目だけでいえば、現在だってQTよりオタクっぽい。
以前付き合っていたリサ・マリーなんて「フィギュアが動いている」ようなひとだったし、このひとにシンパシーを覚える日本のオタクって、ひょっとしたらQTより多いのかもしれない。


独特の美的感覚が冴える映像表現は映画ファンだけでなく、絵画やフィギュアのアーティストからも注目を集める。
けれども最近、「昔ほどキラキラしていない」という評価を度々聞くようになった。

なぜか?

「本人が幸福になっちゃった。酷ないいかたかもしれないが、多少不幸を引きずっていたり、孤独なほうが、いい作品を創れるということかもしれない」と話してくれたのは、美大の先生。

たしかに酷。
でも、分からないでもない。

目の覚める色の配置などはさすがだし、クリーチャー造形も「ほどほどに気持ち悪く」でも「かわいい」。
そういうところは変わっていないのに、作品のハートの部分で鷲掴みにされるところがない。

昔は新作が発表される度に期待で胸が膨らんだものだが、いまは「時間が出来たら観にいこう」という程度になってしまっている。
じつはそれは、バートンが好んで起用するジョニー・デップについてもいえることで。

結局ふたりとも幸福になったからか? という意見がおおっぴらに語られることが少ないのは、単なるやっかみに捉えられるからだろう。
しかし「実人生」がドラマの内容に反映されてしまっている―それは、キャリアを眺めてみると納得出来ること、、、なのだよねぇ。

ここらで一発、孤独がテーマのダーク・ファンタジーとやらをジョニデ主演にして撮ってほしい。
「やっぱバートンはこれじゃなきゃ!!」と思わせてほしい。

・・・って、つくづくファンは我儘だなと思う。


現在55歳。
アニメーターとしての才能は若いころから突出していたようで、なんとディズニーの奨学金を受けてカリフォルニア芸術大学でアニメーションの勉強をする。

82年、短編映画『ヴィンセント』で実写に初挑戦。
84年、フランケンシュタインの物語を「犬」に置き換えた『フランケンウィニー』を発表し注目を集める。

89年、前年の『ビートルジュース』が好評を得て『バットマン』の監督に任命される。
しかし演出方針でスタジオと揉めに揉め、ここから「ビッグバジェット嫌い」が顕著となる。(プリンスによる楽曲『バットダンス』を、バートンは作中で流したくなかった)

90年、両手にハサミをつけられた人造人間の物語を御伽噺として描いた『シザーハンズ』を発表。
まだ無名にちかい存在だったジョニー・デップを主人公に起用し、バートンとジョニデの出世作となった。

『バットマン・リターンズ』(92)、ストップモーション・アニメの快作『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(93)、
そして個人的に最高傑作だと思っている『エド・ウッド』(94)、
SF映画全体をパロディにしてみせた『マーズ・アタック!』(96)、
『スリーピー・ホロウ』(99)、『ビッグ・フィッシュ』(2003)、『チャーリーとチョコレート工場』(2005)、『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007)、『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)、『ダーク・シャドウ』(2012)とつづく。

一般的な評価は、『ビッグ・フィッシュ』までは佳作連発だったのに、そのあとが振るわない―というもの。
同意見だが、枯れるにはまだ早いぜバートン! と素直に応援したくなる自分もまた、根っからのオタクなのだろう。






次回のしりとりは・・・
てぃむばー「とん」→「とん」ずら。

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明日のコラムは・・・

『「丁」の違和感』

コメント (2)
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