Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(77)

2014-06-09 00:30:00 | コラム
てぃむばー「とん」→「とん」ずら。

いろんなアルバイトをしてきたが、どの職場でも「バックレ」「トンズラ」があった。

職場の「もの」だけでなく、人間関係を壊す/横領する・・・というのが主な理由だろうが、たいした理由もなく「いい難い」から「いわずに」辞めてしまう、というのがいちばん迷惑。

小さな職場だったとしてもシフトというものがあって、(新人研修中ならともかく)ひとりと計算されていた場合、そのひとが抜けると全体のバランスが崩れてしまう。
誰かが無理をしなくてはならないわけでね、逃げたひとと「たまたま」街で出くわしてみろ、悪口のひとつやふたついってみたくなるだろうし、いわれたとしてもいい返すことは出来ないだろう。


「バックレ」も「トンズラ」も逃げるという意味だが、後者のほうが「より犯罪色」が強くなる。

学校や部活などを「バックレ」るとはいうが、「トンズラ」するとは、あまりいわないものねぇ。

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「バックレ」

諸説あるが、個人的には「しらばっくれる」が語源という説を支持したい。

なかには「バック」(=back)は「後退する」の意味、、、なんていう説も。
面白いけど、、、ね。

「トンズラ」

とん…遁(とん)、逃げること
ずら…ずらかる、逃げ出すこと。

つまり、合成語。

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部活などの「バックレ」はあるが、「トンズラ」したことはない。

え、意外!?

うるせぇよ。

そりゃ、悪いこといっぱいしてきたよ。
してきたが、ちゃんとその責任は果たしてきたつもりなのだ。

つもりかい!!

という突っ込みには、あぁそうだよと答えておきたい。


さて、映画のなかの「バックレ」「トンズラ」はどうか。

悪人が「まんまと」逃げ切ってしまう映画は、ひじょうに少ない。
だからこそ異彩を放つのが、サム・ペキンパー×スティーブ・マックィーンの『ゲッタウェイ』(72)だろう。

銀行強盗を働く夫婦が生き延びちゃうというエンディング―いま観ても、新鮮な驚きに満ちている。
このオチを可能にしたのは、ウォルター・ヒルによる「若い脚本」と、それに応えたペキンパーの「アクション映画愛」によるもの、、、かな。

『レザボア・ドッグス』(91)の、ミスター・ピンク(スティーブ・ブシェーミ)。
「トンズラ」はしているが、そのあと、警官隊に蜂の巣にされたであろうことが想像出来る。

別の角度から見ると、『トレインスポッティング』(96)のマーク(ユアン・マクレガー)も「トンズラ」したといえる。
「悪」影響しかないであろう友人の絆を切り、彼らと山分けするはずだった金を「持ち逃げ」するのだから。

だが「トンズラの王者」といえば、居残り佐平次(フランキー堺)で決まり。

傑作『幕末太陽傳』(57)の、スーパーヒーローである。

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地獄も極楽もあるもんけぇ!! 俺はまだまだ生きるんでぇ!!




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愉快痛快、これほど爽快感を覚える「トンズラ」は、ほかにない。


夭折の鬼才・川島雄三の代表作にして最高傑作。
数十年前ならば解説不要だったろうが、いまの映画ファンには通じないかもしれない。

そんな馬鹿な!
これ観ていないなんて!!

『午前十時の映画祭』で上映されているので、千円札持って走りやがれ!!

主演フランキーのほか、裕次郎も南田洋子も左幸子も好演、
「昔の―」なんて懐古趣味っぽいことはいいたくないが、50ン年前の日本映画はすごかった! と、きっと思えるはずだから。

だから、細かい解説は書かない。

これを超える「トンズラ」を日本映画で生み出すことが、映画への恩返し―だと思って、何遍か「トンズラもの」を書いてはいるのだが・・・なかなか、うまくいかないねぇ!!


あすのしりとりは・・・
とんず「ら」→「ら」らばい。

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(78)』

コメント (3)
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