ららば「い」→「い」とうせいこう
小説家にしてラッパー、作詞も手がけ司会をやらせりゃ話も巧い、ときどき俳優もやっちゃう―真のマルチタレントとは、こういうひとのことをいうのでしょう。
東京出身の53歳、本名を平仮名表記して芸名とする。
ポップカルチャー全般に興味があるひとは「その名前」を随分と前から知っていたけれど、広い世代に知られるようになったのは「じつは最近のこと」かもしれない。
2013年、小説『想像ラジオ』が芥川賞候補に。
次作『鼻に挟み撃ち』も評価され、連続して芥川賞候補となる。
うちのとーちゃんは、このことで知ったようだし。
だから自分より上の世代のひとにとっては、小説家であると。
いや、そう決めつけるわけにもいかないな。
だって自分がこのひとを知ったのも、小説からだったのだもの。
といっても、20年以上も前の話だけれど。
自分が高校生だった88年―『ノーライフキング』を発表。
(自分はあまり好いていないけれど)自分のことを好いてくれた友人が笑、「この小説、面白いよ」と薦めるので読んでみた。
子どもたちのあいだで流行するゲームから生まれた「ある噂」が、大人たちをも翻弄するさまを描いている。
読んでいる最中に映画化のニュースが入り、(当時)新鋭の市川準が監督するというので期待値が高まった。
だが脚本の出来が芳しくなく、モダンホラーを目指したっぽい演出も気に入らなかったなぁ。
ともかく「気鋭の小説家」だと思っていたものだから、スタートは芸人であったこと、ラップ・ミュージックを日本に広めたひとであることを知るのは、それからずいぶんと経ってからだった。
たしかに「その見た目」は、芸人っぽいといえばそうだ。
いまは「だいぶマシ?」にはなったものの、少々狙った(と思える)髪型―おかっぱ頭―であったし。
それでもやっぱり、お笑いのひとという印象は薄い。
『ノーライフキング』のインパクト、それと知性的な発言ゆえか。
さて芥川賞作家になり損ねた『想像ラジオ』だが、素晴らしいアイデアと野心に満ちた快作である。
ほかの候補作も読んだが、これが受賞作でもいいのでは? と思った。
「死んでしまったDJのおしゃべり」で構成された物語。
(多くのひとが)語りたくてもどう語ればいいのか分からなかった「3.11のあれこれ」を背景に取り込んだ点に価値があり、それを平易な筆致で綴っているところに好感が持てる。
その平易さが賞を逃した最大の理由―という気がしないでもないが、個人的には受賞作『爪と目』(藤野可織・著)より好きだった。
ただ、もし映画化という話になっても、それには期待出来ない。
『ノーライフキング』同様、このひとの小説と映像との相性は「けっしてよくはない」だろうから。
それでも「いとうさん自身」と映画は、たいへん相性がよろしく。
質のいい日本産のコメディが沢山創られるように―という思いで始まった『したまちコメディ映画祭in台東』。
現在まで6回開催されているこの映画祭で、いとうさんは総合プロデューサーを担当。
いとうさんのようなひとが発起人となったからこそ、「しりあがり寿」「リリー・フランキー」「みうらじゅん」「五月女ケイ子」「吉田戦車」「辛酸なめ子」のような才人がメインビジュアル・アーティストを務めてくれたのでしょう。
今年の開催も、9月かな?
よい仕事をしてくださいな、いとうさん!!
あすのしりとりは・・・
いとうせいこ「う」→「う」でぃはれるそん。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『シネマしりとり「薀蓄篇」(80)』
小説家にしてラッパー、作詞も手がけ司会をやらせりゃ話も巧い、ときどき俳優もやっちゃう―真のマルチタレントとは、こういうひとのことをいうのでしょう。
東京出身の53歳、本名を平仮名表記して芸名とする。
ポップカルチャー全般に興味があるひとは「その名前」を随分と前から知っていたけれど、広い世代に知られるようになったのは「じつは最近のこと」かもしれない。
2013年、小説『想像ラジオ』が芥川賞候補に。
次作『鼻に挟み撃ち』も評価され、連続して芥川賞候補となる。
うちのとーちゃんは、このことで知ったようだし。
だから自分より上の世代のひとにとっては、小説家であると。
いや、そう決めつけるわけにもいかないな。
だって自分がこのひとを知ったのも、小説からだったのだもの。
といっても、20年以上も前の話だけれど。
自分が高校生だった88年―『ノーライフキング』を発表。
(自分はあまり好いていないけれど)自分のことを好いてくれた友人が笑、「この小説、面白いよ」と薦めるので読んでみた。
子どもたちのあいだで流行するゲームから生まれた「ある噂」が、大人たちをも翻弄するさまを描いている。
読んでいる最中に映画化のニュースが入り、(当時)新鋭の市川準が監督するというので期待値が高まった。
だが脚本の出来が芳しくなく、モダンホラーを目指したっぽい演出も気に入らなかったなぁ。
ともかく「気鋭の小説家」だと思っていたものだから、スタートは芸人であったこと、ラップ・ミュージックを日本に広めたひとであることを知るのは、それからずいぶんと経ってからだった。
たしかに「その見た目」は、芸人っぽいといえばそうだ。
いまは「だいぶマシ?」にはなったものの、少々狙った(と思える)髪型―おかっぱ頭―であったし。
それでもやっぱり、お笑いのひとという印象は薄い。
『ノーライフキング』のインパクト、それと知性的な発言ゆえか。
さて芥川賞作家になり損ねた『想像ラジオ』だが、素晴らしいアイデアと野心に満ちた快作である。
ほかの候補作も読んだが、これが受賞作でもいいのでは? と思った。
「死んでしまったDJのおしゃべり」で構成された物語。
(多くのひとが)語りたくてもどう語ればいいのか分からなかった「3.11のあれこれ」を背景に取り込んだ点に価値があり、それを平易な筆致で綴っているところに好感が持てる。
その平易さが賞を逃した最大の理由―という気がしないでもないが、個人的には受賞作『爪と目』(藤野可織・著)より好きだった。
ただ、もし映画化という話になっても、それには期待出来ない。
『ノーライフキング』同様、このひとの小説と映像との相性は「けっしてよくはない」だろうから。
それでも「いとうさん自身」と映画は、たいへん相性がよろしく。
質のいい日本産のコメディが沢山創られるように―という思いで始まった『したまちコメディ映画祭in台東』。
現在まで6回開催されているこの映画祭で、いとうさんは総合プロデューサーを担当。
いとうさんのようなひとが発起人となったからこそ、「しりあがり寿」「リリー・フランキー」「みうらじゅん」「五月女ケイ子」「吉田戦車」「辛酸なめ子」のような才人がメインビジュアル・アーティストを務めてくれたのでしょう。
今年の開催も、9月かな?
よい仕事をしてくださいな、いとうさん!!
あすのしりとりは・・・
いとうせいこ「う」→「う」でぃはれるそん。
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『シネマしりとり「薀蓄篇」(80)』