ぼーいずら「ぶ」→「ぶ」れーどらんなー(ブレードランナー)
SF映画というジャンルで票を取った場合、
1位はどう考えても『2001年宇宙の旅』(68)で、これは不動というか、100年後もそうなんじゃないか・・・と思わせるほどにインパクトのある名作。
次いで『スターウォーズ』シリーズ(77~)、『猿の惑星』(68)、『エイリアン』シリーズ(79~)などがランクインするだろう。
そして、5位あたりにつけそうなのが『ブレードランナー』(82…以下、略して『ブレラン』)である。
『スターウォーズ』と『ブレラン』の両方に出演しているハリソン・フォード、
しかしハリソンは、『ブレラン』のことを好いていないといわれている。
なんで?
彼が演じたデッカードより、ルトガー・ハウアーがクールに演じたロイ・バッティ(トップ画像)のほうが印象に残るから、、、だそうで。
なるほどねぇ。
観る度に発見がある、じつに味わい深い映画。
しかし。
スマッシュヒットはしたものの、公開時にそれほど絶賛されたわけでもない。
公開を終えて以降に、深く静かに評価が上がっていき、80年代末ごろにはSF映画の傑作と評されるようになっていく。
原作は、フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』。
すぐに読み終えることが出来る短編である。
ディックの作品のなかでは、それほど完成度の高い作品とは思えないし、(映画化されるまでは)有名なわけでもなかった。
『トータル・リコール』(90)の原作、『追憶売ります』のほうが、
『マイノリティ・リポート』 (2002)の原作、『少数報告』のほうが、
有名だろうし、単純に物語として面白い。
だから『電気羊~』は『2001年』同様、「映画ありき」で論じられることの多い、極めて珍しい小説だといえる。
2019年―というと、いまから4年後の世界を舞台にしている。
宇宙開拓が進み、その前線で働かされているのが、人造人間のレプリカントたち。
開発当初は「感情」を持たなかった彼らはしかし、しだいに「感情」を持ち始め反乱を起こすようになっていく。
そのような謀反を起こしたレプリカントたちを処刑するのが、ブレードランナーと呼ばれる捜査官である。
ハリソンが演じるのは、ブレードランナーのデッカード。
ハウアーが演じるのは、謀反を起こしたリーダーのバッティ。(つまり、レプリカント)
たしかにデッカードは、主人公なのに影が薄い。
バッティだけでなく、謎の美女レイチェル(彼女もレプリカント:ショーン・ヤング)や、跳んだり跳ねたりする元気娘プリス(やっぱりレプリカント:ダリル・ハンナ)にも負ける存在感のなさ。
いや、ないわけではないが、レプリカントキャラのインパクトが強過ぎるのである。
自分が19歳のころ、『ブレラン』はリバイバル上映された。
いや、それは正確ではないな。
監督リドリー・スコットは92年にディレクターズ・カットを発表、だから新作として公開されたと。
さらに2007年、今度は「ファイナル・カット」とされるバージョンが発表される。
細かくいえば、3バージョンどころの話ではない。
ナレーションをカットしたり、ユニコーンのイメージショットを挿入したり、再編集を「やたら」繰り返し、どれがどれだけ分からないくらいになっちゃった。
これから初めて『ブレラン』を観るアンチャンネーチャンには、オリジナル版に触れることを薦めたい。
ディレクターズ・カットというのは結局、第一に監督のもの。第二に、コアな映画ファンのためのものなんだよ。
その後のキャリアが成功した監督だけに与えられる特権というか、「ほんとうはこうしたかったのに、当時は無理だったから夢を叶えたもの」に過ぎない。
たとえば自分は、『アマデウス』(84)が好き過ぎて、30回以上観ている。
リズムまでマスターしている。
これが完璧な形だ!! と確信している。
そうして、そのバージョンでオスカーまで独占している。
それが2000年代になって、唐突にディレクターズ・カットが発表された。
そりゃもちろん、あの傑作映像をスクリーンで拝めるのはうれしい。
結局、5回ほど高島屋のタイムズスクエアまで行って観たよ。
感動した。
したけれども、どうもリズムが(自分に)あわない。
すごい映画であることに変わりはないが、完璧な形は、やっぱりオリジナルだったんだなぁと痛感した。
だからまず、オリジナル版を観て、このダークなSFの世界に深い興味を抱いたひとだけ、ディレクターズ・カットやファイナル・カットに触れればいいと思う。
※そして、ヴァンゲリスのテーマ曲にしびれよう!!
次回のしりとりは・・・
ぶれーどらん「なー」→「なー」す。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『「文字」の威力、映画篇』
SF映画というジャンルで票を取った場合、
1位はどう考えても『2001年宇宙の旅』(68)で、これは不動というか、100年後もそうなんじゃないか・・・と思わせるほどにインパクトのある名作。
次いで『スターウォーズ』シリーズ(77~)、『猿の惑星』(68)、『エイリアン』シリーズ(79~)などがランクインするだろう。
そして、5位あたりにつけそうなのが『ブレードランナー』(82…以下、略して『ブレラン』)である。
『スターウォーズ』と『ブレラン』の両方に出演しているハリソン・フォード、
しかしハリソンは、『ブレラン』のことを好いていないといわれている。
なんで?
彼が演じたデッカードより、ルトガー・ハウアーがクールに演じたロイ・バッティ(トップ画像)のほうが印象に残るから、、、だそうで。
なるほどねぇ。
観る度に発見がある、じつに味わい深い映画。
しかし。
スマッシュヒットはしたものの、公開時にそれほど絶賛されたわけでもない。
公開を終えて以降に、深く静かに評価が上がっていき、80年代末ごろにはSF映画の傑作と評されるようになっていく。
原作は、フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』。
すぐに読み終えることが出来る短編である。
ディックの作品のなかでは、それほど完成度の高い作品とは思えないし、(映画化されるまでは)有名なわけでもなかった。
『トータル・リコール』(90)の原作、『追憶売ります』のほうが、
『マイノリティ・リポート』 (2002)の原作、『少数報告』のほうが、
有名だろうし、単純に物語として面白い。
だから『電気羊~』は『2001年』同様、「映画ありき」で論じられることの多い、極めて珍しい小説だといえる。
2019年―というと、いまから4年後の世界を舞台にしている。
宇宙開拓が進み、その前線で働かされているのが、人造人間のレプリカントたち。
開発当初は「感情」を持たなかった彼らはしかし、しだいに「感情」を持ち始め反乱を起こすようになっていく。
そのような謀反を起こしたレプリカントたちを処刑するのが、ブレードランナーと呼ばれる捜査官である。
ハリソンが演じるのは、ブレードランナーのデッカード。
ハウアーが演じるのは、謀反を起こしたリーダーのバッティ。(つまり、レプリカント)
たしかにデッカードは、主人公なのに影が薄い。
バッティだけでなく、謎の美女レイチェル(彼女もレプリカント:ショーン・ヤング)や、跳んだり跳ねたりする元気娘プリス(やっぱりレプリカント:ダリル・ハンナ)にも負ける存在感のなさ。
いや、ないわけではないが、レプリカントキャラのインパクトが強過ぎるのである。
自分が19歳のころ、『ブレラン』はリバイバル上映された。
いや、それは正確ではないな。
監督リドリー・スコットは92年にディレクターズ・カットを発表、だから新作として公開されたと。
さらに2007年、今度は「ファイナル・カット」とされるバージョンが発表される。
細かくいえば、3バージョンどころの話ではない。
ナレーションをカットしたり、ユニコーンのイメージショットを挿入したり、再編集を「やたら」繰り返し、どれがどれだけ分からないくらいになっちゃった。
これから初めて『ブレラン』を観るアンチャンネーチャンには、オリジナル版に触れることを薦めたい。
ディレクターズ・カットというのは結局、第一に監督のもの。第二に、コアな映画ファンのためのものなんだよ。
その後のキャリアが成功した監督だけに与えられる特権というか、「ほんとうはこうしたかったのに、当時は無理だったから夢を叶えたもの」に過ぎない。
たとえば自分は、『アマデウス』(84)が好き過ぎて、30回以上観ている。
リズムまでマスターしている。
これが完璧な形だ!! と確信している。
そうして、そのバージョンでオスカーまで独占している。
それが2000年代になって、唐突にディレクターズ・カットが発表された。
そりゃもちろん、あの傑作映像をスクリーンで拝めるのはうれしい。
結局、5回ほど高島屋のタイムズスクエアまで行って観たよ。
感動した。
したけれども、どうもリズムが(自分に)あわない。
すごい映画であることに変わりはないが、完璧な形は、やっぱりオリジナルだったんだなぁと痛感した。
だからまず、オリジナル版を観て、このダークなSFの世界に深い興味を抱いたひとだけ、ディレクターズ・カットやファイナル・カットに触れればいいと思う。
※そして、ヴァンゲリスのテーマ曲にしびれよう!!
次回のしりとりは・・・
ぶれーどらん「なー」→「なー」す。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
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明日のコラムは・・・
『「文字」の威力、映画篇』