映画は映像で「ひとがたり」を表現するものであって、「あんまりことばに頼っちゃいけない」というひとが居る。
ことばを紡ぐ職業に就いているものの、概ね納得。
要は、安易にことばで説明するなってこと。
悲惨な境遇にあるキャラクターに「あぁ悲惨だ」なんていう台詞を与えちゃいけない、表情で表現しろよと。
安易なことばで説明したくないから、多くの映画作家が悩む。
悩んだ末に、ハッとするシーンが生まれるというわけだろう。
いっぽうで、ことばを文字にして表現する手法―テロップ―がある。
テレビの世界では「笑いを強調するために」、映画の世界では「(状況などを)簡潔に説明するために」多用されるが、このテロップひとつでもインパクトを残すことは充分に可能で。
以下の10作品は、自分をハッとさせた「技ありのテロップ術」である。
(1)『JFK』(91)
「この映画を、真実を探究する若者に捧げる―」
世界で屈指の「おしつけがましい」監督、オリバー・ストーンだが、あぁなるほど、このことをいいたくて、180分の大作を仕上げたのだなぁと呆れながらも感動した。
(2)『レイジング・ブル』(80)
「―そこでパリサイ人たちは盲人であったひとを、もう一度呼んでいった。
神に栄光を帰するがよい。あの人が罪人であることは私たちには分かっている。
すると彼はいった。
あのかたが罪人であるかどうか私は知りません。ただひとつの事だけ知っています。私は盲であったが、いまは見えるということです」
『新約聖書』の『ヨハネによる福音書』から引用、最初はどういう意味か分からなかったが、30回以上観た現在の自分には「見える」。
※デ・ニーロの独演シーンからテロップまで。
哀しいじゃないか。
でもこのラストは、けっして悲観的ではない。
40年しか生きていないが、人生ってこういうものなんだな、、、と、思う。
(3)『ツイン・ピークス劇場版』(92)
川を流れるテレサ・バンクスの死体に、わざわざ「テレサ・バンクス」という説明テロップが入る。
大爆笑!!
(4)『砂の器』(74)
「旅の形はどのように変わっても、親と子の宿命だけは永遠のものである」
物語だけで充分伝わるのでクドい、、、ともいえるが、いやいや、10年かけて映画にした橋本忍にとっては、これは必要なテロップだったのだと思う。
(5)『フィールド・オブ・ドリームス』(89)
「すべての親へ―」
この短いことばに、グッときたひとは多いことだろう。
(6)『アメリカン・グラフティ』(73)
青春を謳歌していた彼らがどうなったのか―それを伝えるエンド・テロップには、「ベトナム」という文字がある。
・・・・・。
(7)『街の灯』(31)
これは特例。
無声映画における「字幕としての」テロップだから。
もちろん、ラストの「あなたね…」のことを指している。
(8)『フェイク』(97)
「ジョーは現在もマフィアに50万ドルの懸賞金をかけられ、隠遁生活を送っている」
実録物の王道テロップとして、本作を代表としておこう。
(9)『カノン』(99)
「注意! 感受性を傷つけるおそれがあります」
娘の首を撃つシーンの前に登場。
どこまでも尖ったヤツだぜ、ギャスパー・ノエというひとは。
(10)『許されざる者』(92)
「人生の師、ドン・シーゲルとセルジオ・レオーネに捧げる」
もう、なんもいえないよ。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『にっぽん男優列伝(261)中村雅俊』
ことばを紡ぐ職業に就いているものの、概ね納得。
要は、安易にことばで説明するなってこと。
悲惨な境遇にあるキャラクターに「あぁ悲惨だ」なんていう台詞を与えちゃいけない、表情で表現しろよと。
安易なことばで説明したくないから、多くの映画作家が悩む。
悩んだ末に、ハッとするシーンが生まれるというわけだろう。
いっぽうで、ことばを文字にして表現する手法―テロップ―がある。
テレビの世界では「笑いを強調するために」、映画の世界では「(状況などを)簡潔に説明するために」多用されるが、このテロップひとつでもインパクトを残すことは充分に可能で。
以下の10作品は、自分をハッとさせた「技ありのテロップ術」である。
(1)『JFK』(91)
「この映画を、真実を探究する若者に捧げる―」
世界で屈指の「おしつけがましい」監督、オリバー・ストーンだが、あぁなるほど、このことをいいたくて、180分の大作を仕上げたのだなぁと呆れながらも感動した。
(2)『レイジング・ブル』(80)
「―そこでパリサイ人たちは盲人であったひとを、もう一度呼んでいった。
神に栄光を帰するがよい。あの人が罪人であることは私たちには分かっている。
すると彼はいった。
あのかたが罪人であるかどうか私は知りません。ただひとつの事だけ知っています。私は盲であったが、いまは見えるということです」
『新約聖書』の『ヨハネによる福音書』から引用、最初はどういう意味か分からなかったが、30回以上観た現在の自分には「見える」。
※デ・ニーロの独演シーンからテロップまで。
哀しいじゃないか。
でもこのラストは、けっして悲観的ではない。
40年しか生きていないが、人生ってこういうものなんだな、、、と、思う。
(3)『ツイン・ピークス劇場版』(92)
川を流れるテレサ・バンクスの死体に、わざわざ「テレサ・バンクス」という説明テロップが入る。
大爆笑!!
(4)『砂の器』(74)
「旅の形はどのように変わっても、親と子の宿命だけは永遠のものである」
物語だけで充分伝わるのでクドい、、、ともいえるが、いやいや、10年かけて映画にした橋本忍にとっては、これは必要なテロップだったのだと思う。
(5)『フィールド・オブ・ドリームス』(89)
「すべての親へ―」
この短いことばに、グッときたひとは多いことだろう。
(6)『アメリカン・グラフティ』(73)
青春を謳歌していた彼らがどうなったのか―それを伝えるエンド・テロップには、「ベトナム」という文字がある。
・・・・・。
(7)『街の灯』(31)
これは特例。
無声映画における「字幕としての」テロップだから。
もちろん、ラストの「あなたね…」のことを指している。
(8)『フェイク』(97)
「ジョーは現在もマフィアに50万ドルの懸賞金をかけられ、隠遁生活を送っている」
実録物の王道テロップとして、本作を代表としておこう。
(9)『カノン』(99)
「注意! 感受性を傷つけるおそれがあります」
娘の首を撃つシーンの前に登場。
どこまでも尖ったヤツだぜ、ギャスパー・ノエというひとは。
(10)『許されざる者』(92)
「人生の師、ドン・シーゲルとセルジオ・レオーネに捧げる」
もう、なんもいえないよ。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
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明日のコラムは・・・
『にっぽん男優列伝(261)中村雅俊』