それが、贈られるひとにとって「ビンゴ!」であるかどうかは分からないが・・・
このひとの雰囲気からいって、百合かな。
とか、
蛍光色の服ばかり着ているから、黄色とかオレンジの花かな。
とか、
去年、女子に贈った花は、そんな風にして決めた。
会った瞬間に贈るとか、
最後の最後に贈るからバッグのなかに隠れるサイズのがいいとか、
贈るほうもいろいろ考えて、大変だ。
とはいえ。
きのう書いたとおり、そんな風にアレコレ思案して花を贈るように「なれた」のも、ここ10年くらいのことである。
20代のころは、なにをどうしていいかも分からなかった。
分からなかったから、花屋に入って3秒後には店員さんに「おまかせ」するのが常であった。
その日は、Kちゃんにとって特別な日でもなんでもなかった。
なかったが、なんとなく彼女に花を贈りたくなった。
Kちゃんにはすでに、自分の想いを伝えていた。
バイト先で知り合った女子大生。
東京での就職を望んでいたが、身体の具合が悪く、卒業したら帰郷することが決まっていた。
自分はそのころに告白し、その想いがほんとうであることを証明するために、毎日、彼女のアパートまで自転車で向かい、メッセージを記した絵葉書をポストに入れて帰ることを日課としていた。
なんとまぁ、純な行為であろうか・・・。
その、第50日目くらいに「いつも絵葉書じゃ芸がないな。きょうは花を贈ろう」と思いついたのである。
花屋に入る。
「―2万円で、どのくらいの花束が出来ますか」
「そーとー、いいものが出来上がりますよ」
「じゃあ、よろしくお願いします。可能なかぎり、でっかいやつを」
「かしこまりました」
相場も分からないので、こんな感じで笑
実際に出来上がったものを見てビビッたね。
そうか、花ってそこまで高額じゃないんだなと笑笑
現在はロードだが、当時の自分の愛車はマウンテンバイク。
とか、あんまり関係ないか。
どちらにせよ、阿呆みたいにでかい花束を抱えて運転することなど出来ないのだから。
そのことに途中で気づき、スーパーの駐車場に自転車を停めて彼女のアパートまで歩き出した。
ジャージ姿のガキが、ばかでかい花束を抱えている。
ある意味で罰ゲームのようであり、愛の行為? には見えなかったように思う。
45分後、Kちゃんのアパートに到着。
インターホンを押す。
「―えっ」
「ちょっと勢いで、花を買っちゃったの。よかったら、受け取ってくださいな」
「・・・ごめん。いまお風呂上りで、すっぴんだし」
「・・・そっか。・・・どうしようか」
「せっかく来てもらって、ごめんね。宅配便用の、大きなポストがあるから、そこに入れておいてくれる? 1時間くらいしたら、ちゃんと取りに行くから」
「分かった」
アポなしで来た自分が悪いんだ、顔を見たかったがしょうがないね。
しかし。
当時はケータイも持たぬアナログ人間だったため、最新であろうポストシステム? の操作が分からず、花束は「ぎりぎり」入ったのだけれど、センサーが反応せず鍵がかからなかった。
20分くらい苦戦していただろうか。
いっこうにインターホンから「帰るね」コールがなかったものだから、Kちゃんが下まで降りてきてくれた。
ほんとうに風呂上りだったようで、髪は濡れていた。
「(苦笑)ごめん。ちゃんと閉められなかった」
自分はそういって、ポストから花束を出し、彼女に渡した。
Kちゃんは喜ぶというより、その「でかさ」に引いていた。
「・・・見たことない花ばっかり。高かったでしょう」
「まぁ、それはそれとして」
このあと、120分くらい話しこんだであろうか。
自分は顔を拝めて、話も出来てうれしかったが、湯冷めして風邪を引かなかっただろうか。
まだ自分が精神的童貞だったころの、純な、あまりにも純なエピソードでした。
おわり。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『誰が誰やらダレノガレ』
このひとの雰囲気からいって、百合かな。
とか、
蛍光色の服ばかり着ているから、黄色とかオレンジの花かな。
とか、
去年、女子に贈った花は、そんな風にして決めた。
会った瞬間に贈るとか、
最後の最後に贈るからバッグのなかに隠れるサイズのがいいとか、
贈るほうもいろいろ考えて、大変だ。
とはいえ。
きのう書いたとおり、そんな風にアレコレ思案して花を贈るように「なれた」のも、ここ10年くらいのことである。
20代のころは、なにをどうしていいかも分からなかった。
分からなかったから、花屋に入って3秒後には店員さんに「おまかせ」するのが常であった。
その日は、Kちゃんにとって特別な日でもなんでもなかった。
なかったが、なんとなく彼女に花を贈りたくなった。
Kちゃんにはすでに、自分の想いを伝えていた。
バイト先で知り合った女子大生。
東京での就職を望んでいたが、身体の具合が悪く、卒業したら帰郷することが決まっていた。
自分はそのころに告白し、その想いがほんとうであることを証明するために、毎日、彼女のアパートまで自転車で向かい、メッセージを記した絵葉書をポストに入れて帰ることを日課としていた。
なんとまぁ、純な行為であろうか・・・。
その、第50日目くらいに「いつも絵葉書じゃ芸がないな。きょうは花を贈ろう」と思いついたのである。
花屋に入る。
「―2万円で、どのくらいの花束が出来ますか」
「そーとー、いいものが出来上がりますよ」
「じゃあ、よろしくお願いします。可能なかぎり、でっかいやつを」
「かしこまりました」
相場も分からないので、こんな感じで笑
実際に出来上がったものを見てビビッたね。
そうか、花ってそこまで高額じゃないんだなと笑笑
現在はロードだが、当時の自分の愛車はマウンテンバイク。
とか、あんまり関係ないか。
どちらにせよ、阿呆みたいにでかい花束を抱えて運転することなど出来ないのだから。
そのことに途中で気づき、スーパーの駐車場に自転車を停めて彼女のアパートまで歩き出した。
ジャージ姿のガキが、ばかでかい花束を抱えている。
ある意味で罰ゲームのようであり、愛の行為? には見えなかったように思う。
45分後、Kちゃんのアパートに到着。
インターホンを押す。
「―えっ」
「ちょっと勢いで、花を買っちゃったの。よかったら、受け取ってくださいな」
「・・・ごめん。いまお風呂上りで、すっぴんだし」
「・・・そっか。・・・どうしようか」
「せっかく来てもらって、ごめんね。宅配便用の、大きなポストがあるから、そこに入れておいてくれる? 1時間くらいしたら、ちゃんと取りに行くから」
「分かった」
アポなしで来た自分が悪いんだ、顔を見たかったがしょうがないね。
しかし。
当時はケータイも持たぬアナログ人間だったため、最新であろうポストシステム? の操作が分からず、花束は「ぎりぎり」入ったのだけれど、センサーが反応せず鍵がかからなかった。
20分くらい苦戦していただろうか。
いっこうにインターホンから「帰るね」コールがなかったものだから、Kちゃんが下まで降りてきてくれた。
ほんとうに風呂上りだったようで、髪は濡れていた。
「(苦笑)ごめん。ちゃんと閉められなかった」
自分はそういって、ポストから花束を出し、彼女に渡した。
Kちゃんは喜ぶというより、その「でかさ」に引いていた。
「・・・見たことない花ばっかり。高かったでしょう」
「まぁ、それはそれとして」
このあと、120分くらい話しこんだであろうか。
自分は顔を拝めて、話も出来てうれしかったが、湯冷めして風邪を引かなかっただろうか。
まだ自分が精神的童貞だったころの、純な、あまりにも純なエピソードでした。
おわり。
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明日のコラムは・・・
『誰が誰やらダレノガレ』