Cape Fear、in JAPAN

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映画監督別10傑(31)阪本順治

2018-10-17 00:10:00 | コラム
~阪本順治のキャリア10傑~

娯楽も社会派も、地味目も派手目もいける、日本を代表するエンターテイナー・・・のはずなのに、映画監督としての知名度はけっして高くない。

発言が私生活がマトモ過ぎるのかな~、
とか考えてみたが、いやいや映画監督としての評価は映画だけでいいのであって、同じ関西系だからといって井筒監督のように吠える必要なんかないでしょう。

60歳。
いままでは中堅の存在だったけれども、パワーバランス的にはもう上位のほうに居ると思う。


このひとなら資金は集まるはずだから、超大作を撮ってほしいな。


(1)『トカレフ』(94)

極力説明を排した創りにしびれるサスペンス。



トカレフを「拾った」男と、それにより息子を奪われた男。

「拾った」男・佐藤浩市が死ぬ間際に「親より先に死んじゃ、ダメだよね」と発する。

なんだか知らないが、グッときてしまった。

(2)『KT』(2002)

負け犬たちが精いっぱい吠える、政治サスペンスの傑作。

日本で、こういう題材の大作は撮れないといっていたヤツは誰だ!?



(3)『大鹿村騒動記』(2011)

原田芳雄の遺作。

長野県に実存する大鹿村を舞台に、そこの伝統「大鹿歌舞伎」にまつわるアレヤコレヤを描いた、観光映画としても「かなりよい線」いってる佳作。

(4)『どついたるねん』(89)



監督デビュー作、そして主演の赤井英和にとっても、俳優として初めての大役。

湿ったところが全くないボクシング映画は、世界的視野で捉えても「初」なのではないか。

赤井さんのキャラクター性や関西の空気も大きいのだろうね、ヒロインの相楽晴子も「まちがいなく」キャリア最高の演技。

(5)『顔』(2000)

「あぶないあぶない」で話題となった犯罪者、福田和子をモデルとしたユニークな犯罪劇。

とにもかくにも、ヒロインを演じた藤山直美に尽きるだろう。

(6)『亡国のイージス』(2005)

福井晴敏の小説を映画化、スケール感もあるし悪くはないが、上映時間などの問題で娯楽要素を削った結果、やや食い足りないところがあるのが惜しい。



(7)『団地』(2016)

再び藤山直美を起用して撮った、小規模SF。

うん、こういうアイデアで挑めば、ハリウッド産に対抗出来るSFも創れるのだなぁと感心した。

(8)『この世の外へ クラブ進駐軍』(2004)

ジャズバンド「ラッキーストライカーズ」の視点から、敗戦後の日本と、その時代を生きる若者を描く。

真木蔵人や前田亜季など、脇もみんなよかったが、ぜんぜん話題にならなかった記憶があり・・・。



(9)『エルネスト もう一人のゲバラ』(2017)

日系ボリビア人、 フレディ・マエムラ。
チェ・ゲバラから「エルネスト」と命名され、革命闘争に参加した男を描く野心作。

(10)『新・仁義なき戦い』(2000)

「俺は生きざま、こいつは死にざまや。」

いまのことばでいえば、伝説的ヤクザ映画を「リブート」した作品。

けっして成功作とはいえないし、実際に褒めるひとのほうが少なかったと思うが、心意気はおおいに買いたい。

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明日のコラムは・・・

『にっぽん女優列伝(81)加藤あい』
コメント (1)
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